この記事の目次 CONTENTS
日常でも使い勝手良し、BMWが提唱するSAV
X1でもX3でも広さは十分
駆動方式の異なるX1とX3
パワーならX1の直列4気筒エンジンが得か
選択肢が豊富だからこそ、中古車でも検討を

ライター紹介

CAR-TOPICS編集長

村田 創 氏

大学卒業後新車ディーラーにて5年勤務。その後、中古車のガリバーへ入社。車一筋20年以上のベテランが新車から中古車まで幅広く解説します。

日常でも使い勝手良し、BMWが提唱するSAV

BMWは自社で開発したSUVを「SAV=Sport Activity Vehicle(スポーツアクティビティビークル)」と呼んでいる。一般的なSUVはオフロード性を重視するあまり舗装された道で走りに硬さが出やすい。市街地でも滑らかに走ることができ、かつ、アクティブな走りをするSUV。これがBMWの考えるSAVだ。

今回はその中でも日本で人気の高いコンパクトSAV、X1とX3を比較したい。

SUVのエントリーモデルとして有能なX1

X1_外観_正面

X1は2009年に初代が登場し、2015年から2代目となった。セダンやハッチバックを使っていたユーザーにとってSUVは高さや駆動方式の面で多少運転しにくいと言われるが、X1はSUV初心者でも使いやすい1台に仕上がっているので安心感がある。

●サイズ:全長4,455mm×全幅1,820mm全高1,610mm
●燃費:15.6km/L(ベースモデルX1 sDrive18iの場合)
●新車価格:417万円~

 

使い勝手としては絶妙なボディサイズのX3

X3_外観_正面

X3は2004年に初代がデビューし、つい最近フルモデルチェンジして3代目となった。新型X3は2017年10月に日本でも販売が開始されている。ミッドサイズSUVと捉える人もいるかもしれないが、大きすぎず小さすぎない、使い勝手の良いボディサイズとなっている。

●サイズ:全長4,720mm×全幅1,890mm×全高1,675mm
●燃費:13.5km/L(ベースモデルX3 xDrive20iの場合)
●新車価格:639万円~

 

X1でもX3でも広さは十分

コンパクトSUVでまず心配されるのは広さだが、X3はもちろん、X1もその点は問題ない。

意外だと思うかもしれないが、X1のリアシートは大人でも余裕を持って座れる広さがある。高さも初代に比べて2代目は高くなっており、頭上が狭いという心配もない。さらに、ラゲッジルームの容量も505Lとこのサイズの中ではかなり大きく、容量550LのX3と大きな差がない。

一方、X3はプラットフォームが3シリーズでなく5シリーズと共通になった。大きさそのものは大きく変わらないものの、ホイールベースが長くなったことで車内空間にゆとりができ、リアシートやラゲッジスペースがより広くなった。こちらも、ゆとりは十分にある。

似通ったエクステリアを持つ兄弟車

X3_外観_後ろ

最近のBMWはフルモデルチェンジしてもあまりエクステリアを大きく変化させない傾向がある。

今回のX3のフルモデルチェンジも多少フロントグリルが拡大されてフロントフェイスが強調される形にはなったが、2015年にフルモデルチェンジしたX1とあまり大きな違いが見られない。元々全幅と全高に大きな違いがないため、両者のエクステリアには特別大きな違いがない。

インテリアについても多少の違いはあるが、スポーティで無駄のない雰囲気は共通しており、見た目や質感だけでは甲乙をつけがたい。なお、X3はオプションでリアシートにもリクライニング機能をつけられるので、よりリラックスした空間を求めるならこれは魅力的なオプションだ。

 

駆動方式の異なるX1とX3

X1とX3の大きな違いとして一つ挙げられるのは駆動方式だろう。BMWは「駆けぬける歓び」というキャッチコピーを掲げ、ドライバーとクルマの一体感を演出するよう開発を行ってきた。そのため、BMWのクルマのほとんどは後輪駆動方式や四輪駆動方式を採用している。

そんな中で、X1は2015年のフルモデルチェンジを機にそれまで採用していた後輪駆動方式からあえて前輪駆動方式に変更をした。この変更によって、X1は良くも悪くも多少落ち着きのあるものに変化した。これを残念がる声もあるが、よく言えば安定性の高い走りをする。

一体感を求めるか、安定感を求めるか

X1_外観_後ろ

X3は四輪駆動方式を採用しており、アグレッシブな運転を楽しめる一台に仕上がっている。また、X1より若干ボディサイズが大きいものの、そのサイズからイメージできない機敏な走りをし、SUVで課題となりやすい曲がり角もロールが小さい。

しかし、X1も負けていない。X1は前輪駆動方式を採用したことで直進安定性が増した。高さも低重心を心がけており、SUV初心者にもおすすめできる。さらに、一定の操舵性を確保している点はやはりBMWのクルマだと感じられる。

パワーならX1の直列4気筒エンジンが得か

X1もX3もそれぞれガソリンエンジンモデルとディーゼルエンジンモデルを展開しているが、X1についてはガソリンエンジンでも直列3気筒エンジンと直列4気筒エンジンの2種類から選択できる。

日本ではまだあまり馴染みのないディーゼルエンジンだが、静音性や環境性能に優れているという点でディーゼルエンジンもぜひおすすめしたい。しかし、ガソリンエンジンで選ぶなら、X1の上位モデルをおすすめしたい。

X1のベースモデルに搭載されている直列3気筒エンジンはあまりパワーを感じられないが、直列4気筒エンジンモデルはX3とほとんどパワーの差を感じない。走りの質が多少異なるものの、X1の上位モデルを選べばそれなりの満足感はあるだろう。

安全性能については差があるので注意

X3_インパネ

X1もX3も安全性能はある程度高い水準のものを揃えているが、駐車関連の機能についてはX3の方が充実している。X3はパーキング・アシスト・プラスが標準装備されており、駐車が苦手という人も各方面に設置されているカメラや警告機能で安心して駐車ができる。

この他にも、X3に標準装備されているドライビング・アシスト・プラスの内容とX1に標準装備されているドライビング・アシストでは内容にそれなりの差があるので、販売価格が高いといっても、駐車が苦手な人や安全性能をより重視する場合はX3の方がおすすめだ。

X1_インパネ

選択肢が豊富だからこそ、中古車でも検討を

X1とX3についてはエクステリアやインテリアの質感で大きな違いがなく、リアシートにどれだけリラックス感を求めるかと、走りの質という点で違いがある。やはり、SUV初心者にとってはX1の方が扱いやすい。しかし、よりBMWらしさを求めるならX3が良いだろう。

両者とも新型が登場してからあまり年月が経過していないので、中古でも傷みの少ないクルマが見つかるかもしれない。また、上位モデルを選択すればパワーも異なり、オプションの選択肢によって安全性能等も変化する。両者とも、まずは中古で見積もりをとってみてもらいたい。