この記事の目次 CONTENTS
ワクワクするBMWのSAVと上品なベンツのSUV
広さ重視のX1と見た目重視のGLA
燃費の良さと家計への影響は同じぐらいか
安全性能はオプションをつけるならGLAの勝ち
上位モデルも視野に、中古でも検討を

ライター紹介

221616 編集部

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ワクワクするBMWのSAVと上品なベンツのSUV

「駆けぬける歓び」をキャッチコピーにどんな道でも楽しめるSAVを開発しているBMWと、SUVであっても都会に馴染む上品さを維持し続けるベンツ。

傾向の異なる2社から開発されているBMWのX1とベンツのGLAだが、ともに使い勝手の良いボディサイズで日本での人気が高い。果たしてどちらの方がより魅力的なのか。両者を比較してみたい。

安定感と操舵性のバランスが良いBMWのX1

X1は2009年に初代が登場、モデルチェンジを経て、現在は2代目が販売されている。初代はBMWならではの後輪駆動方式を採用していたが、2015年のモデルチェンジで前輪駆動方式に変更。SUV初心者でも安心して走りやすいクルマに生まれ変わった。

●サイズ:全長4,455mm×全幅1,820mm全高1,610mm
●燃費:15.6km/L(ベースモデルX1 sDrive18iの場合)
●新車価格:417万円~

お洒落さと安全性能で勝負しているベンツのGLA

GLAは2013年に初代が発表され、2014年より日本でも販売開始となった比較的新しいクルマである。名前の通り、プラットフォームなどはAクラスと同様のものを採用している。SUVらしさ以上にブランド価値と安心感を重視した一台に仕上がっている。

●サイズ:全長4,430-4,460mm×全幅1,805mm×全高1,500-1,510mm
 (全長や全高はモデルやオプションによって異なる)
●燃費:16.4km/L(ベースモデルGLA180スタイルの場合、無鉛プレミアムガソリン)
●新車価格:406万円~

広さ重視のX1と見た目重視のGLA

ともにCセグメントに属するX1とGLAだが、上記のデータを見て分かるように、ボディサイズには少々差がある。GLAは上位モデルを選ぶことで全長を少し長くできるものの、実は上位モデルになるほど全高が低くなる。

ベースモデル同士で比較した場合、車内空間の広さはX1の方が勝っており、大人でもゆとりを持って座れる。ラゲッジスペースの容量でもX1は505L、GLAは341Lと大きな差がある。

一方、GLAのセールスポイントはそのスタイリッシュなフォルム。SUVというよりクーペを思わせるような、滑らかなボディラインにはベンツのセンスを感じる。また、インテリアも豪華であり、スポーティながらもシンプルなBMWのインテリアを気に入らない人にはGLAの方が良いだろう。

SUVらしくもあり、初心者にも安心の高さを提供するX1

エクステリアの印象で言えば、GLAの方がお洒落かもしれない。しかし、よりSUVらしい見た目をしているのは間違いなくX1だろう。

SUVの楽しみの一つは高さだ。セダンやハッチバックに比べて高い位置から広がる視界は普段の生活にないもので、乗ってワクワクした気持ちになる。GLAだとこのワクワクは感じられないだろう。

一方で、高さはSUV初心者にとって不慣れなものである。X1は全高こそ少し高くしていても全体的な重心を低くすることでSUV初心者でも安心して乗れる構造になっている。

燃費の良さと家計への影響は同じぐらいか

燃費については一見GLAが勝利しているように見える。しかし、ベンツはどのモデルも無鉛プレミアムガソリン(いわゆるハイオク)を使用している点について注意したい。燃費が良ければ家計に優しいと思いがちだが、ハイオクはレギュラーに比べてやや高価なので注意が必要だ。

ただし、無鉛プレミアムガソリンは環境に優しいというメリットもある。家計以上に環境への負担を考えるのであれば、GLAという選択肢も良いだろう。

なお、X1には無鉛プレミアムガソリンという選択肢がないものの、ディーゼルエンジンモデルを販売している。こちらもまだ日本において普及率が高くないものの、「環境にも財布にも優しい」といわれるディーゼルにここで切り替えるのも一手だ。

ベースモデルでパワーと走りを比較するならX1の勝利

ベースモデルで比較した場合、X1は直列3気筒エンジン、GLAは直列4気筒ターボチャージャー付きエンジンを搭載している。しかし、BMWのエンジン効率は優れており、最高出力や最大トルクを比較してもパワーはX1の方が勝っている。

走りについてもSUVらしい「ワクワク」を求めるならば、X1が良いだろう。X1はフルモデルチェンジを機に前輪駆動方式となり、先代に比べればわずかにアグレッシブさを欠いた。しかし、直進安定性を向上させながらもX1は一定の操舵性を兼ね備えている。

GLAのハンドリングもキレがあり、滑らかな走りをするのでこちらも満足度が高い。上位モデルでパワーを比較すればGLAが勝るが、価格も跳ね上がるので悩みどころだろう。

安全性能はオプションをつけるならGLAの勝ち

X1もGLAも安全性能についてはどちらもほとんど同じようなものを標準装備している。細かな違いでいえば、車線逸脱警告システムをX1は標準装備しており、GLAはオプションとなる。一方で、駐車に関係する機能はGLAの方が充実している。

しかし、GLAの場合はレーダーセーフティパッケージのメリットが大きい。色々とオプション装備がつくことになるので20万円以上かかってしまうものの、自動走行機能やGLAで標準装備されていない車線逸脱警告システムをはじめ、計4種類の装備がついてくる。

寄り添ってくれる安心感ではBMWも魅力的か

X1の標準装備で一つ魅力的な安全性能として挙げられるのが、SOSコールだ。これは、万が一エアバッグが作動するような事故が起こってしまった場合に自動でBMWにSOSを発信することができるシステムだ。

近年、各自動車メーカーは事故予防に重点をおいた安全装備を充実させている。事故を予防するのはもちろん大切なことだ。しかし、事故になった時こそパニックに陥りやすく、誰かに助けを求めたくなるものだ。GLAにはないこの装備は、X1の大きな強みの一つといえるだろう。

上位モデルも視野に、中古でも検討を

X1とGLAを比較すると、よりSUVらしさを求めるのであればX1、上品な見た目と安全性能を求めるのであればGLAがおすすめだろう。総合力の高さとブランド価値から高い人気を誇るベンツだが、スポーティなクルマについてはBMWに軍配が上がりそうだ。

とはいえ、どちらも上位モデルになるとかなり走りの傾向や勢いが変わる。価格の上がり方も大きいので、ここは一度、中古での購入を検討してみてもらいたい。オプションも含めてあなたにぴったりの一台が見つかるかもしれない。