ベースモデル300万円台のミニバン

日本では数多く販売されているミニバン。価格帯は200万円台のものと300万円台のものが多く、300万円台のミニバンは「ちょっと贅沢な」一台に仕上げられている。

今回はトヨタがプレミアム感を加えてフルモデルチェンジさせたアルファードと、BMWが初めて販売に踏み切った3列シート7人乗りのグランツアラーを比較してみたい。

価格も抑えめでファミリー層に優しいグランツアラー

グランツアラーは2015年から日本で販売が開始されたミニバンである。BMWの7人乗りもなれば販売価格も高そうだが、実は300万円台から手に入る、比較的お手頃なクルマだ。

小ぶりで高さの抑えられたボディは見栄えも良く、道幅や駐車スペースが広くない日本においては使い勝手も良い。

●サイズ:全長4,565mm×全幅1,800mm×全高1,645mm
●燃費:16.9km/L(ベースモデル218i Gran Tourerの場合)
●新車価格:393万円~

贅沢感に安心感をのせたアルファード

アルファードは2002年に販売開始となり、現在は3代目にあたる。2015年のフルモデルチェンジで高級化をはかり、現在はヴェルファイアと並んでトヨタの最上位ミニバンとして人気を集めている。

2018年1月よりマイナーチェンジした新型アルファードが販売されるが、今回のマイナーチェンジではトヨタの最新安全システム「セーフティセンス」が標準装備され、安全性も高まっている。

●サイズ:全長4,945-4,950mm×全幅1,850mm×全高1,935-1,950mm
 ※全長や全高はモデルによって異なる。
●燃費:11.6-12.8km/L(ベースモデルXの場合)
      18.4-19.4km/L(ハイブリッドモデルの場合)
●新車価格:335万4,480円~(ガソリンエンジン)
436万円3,200円~(ハイブリッドモデル)

エクステリアは爽やかさと華やかさで対極的

グランツアラーは無駄のない、スポーティなエクステリアに仕上げられている。贅沢な印象を求めている人には物足りないかもしれないが、走っている姿にも爽やかさがある。アウトドアも意識して造られており、車両の上に自転車などを積載しても見映えが良い。

アルファードはモデルチェンジをする毎に華やかさが増している。今回のマイナーチェンジでもフロントグリルをより強調したデザインとなっており、豪華さを全面に出した。アウトドアよりも高級サルーンとしての存在感を強調している。

対照的なインテリア戦略

BMWはオプション装備の選択肢が豊富といわれるが、今回はグレード別の装備があまりない。多少の違いこそあれ、どのモデルを手に入れても大きな違いはない。そのため、各モデルの販売価格の差は100万円以内に収まっている。

一方、アルファードはグレードに応じてかなり異なる装備を用意している。アルファードの一つの目玉として打ち出された「エグゼクティブラウンジシート」は、実はハイブリッドモデルの中でも上位2つのグレードにしか装備がない。

車内空間の満足度はアルファードが上

アルファードはグレードによって8人乗りと7人乗りが存在する。ベースモデル及びハイブリッドのベースモデルのみ8人乗りが可能であり、より大人数での乗車が可能である。他のモデルについては全て7人乗りであり、グランツアラーと変わらない。

アルファードの車内空間は十分に広い。特に、2列目の広さはゆとりが大きい。3列目も他のミニバンに比べて広く、リクライニングやスライド機能もついている。ラゲッジスペースを潰してしまえば相当な広さが確保できるので満足度が高い。

グランツアラーの3列目は緊急時用程度

グランツアラーの場合は、小ぶりなボディが仇となって広さがない。3列目に関しては大人が座れるような広さもなく、小さな子どもが乗るか、緊急時に短時間で使うといった程度にしか使えない。基本的には5人乗りと考えた方が良いだろう。

しかし、元々が5人乗りだと割り切ってしまえば3列目は有能なラゲッジスペースとして活用できる。3列目を展開した場合におけるグランツアラーのラゲッジスペースはわずか145Lだが、3列目を活用すれば560Lまで広がる。

パワー不足が気になるアルファード

アルファードのパワーユニットはガソリンエンジンとハイブリッドエンジンに大別され、ガソリンエンジンモデルの中にも無鉛レギュラーガソリンとよりクリーンな無鉛プレミアムガソリンのモデルが存在する。搭載エンジンも2.5L直列4気筒エンジンと3.5LV型6気筒エンジンに分かれる。

大きい分だけパワーがあるかと思いきや、アルファードの走りは力強さに欠ける。また、燃費があまり良くないという点でガソリンエンジンモデルはあまり人気が高くない。

程良い操舵性はグランツアラーの方が人気

グランツアラーは、アルファードよりさらにパワーが大きくないものの、小ぶりなボディを生かしてしなやかな走りをする。BMWがこだわってきた後輪駆動方式を捨てて前輪駆動方式を採用しているが、それでも一定の操舵性があるのは「さすが」の一言である。

アルファードの場合は曲がった時のロールが大きいという欠点もあるが、グランツアラーにはそんな心配もない。ドライビングのパフォーマンスを大きく損ねず、しかしファミリー層が安心できる走りを生み出している。

パワーユニットも2種類のガソリンエンジン、1種類のディーゼルエンジンから選べるので、こちらも選択肢が広い。

安全性能はアルファードが一歩リード

これまで安全性能が頼りないとされてきたアルファードだが、マイナーチェンジで「セーフティセンス」を標準装備したことによって大きく進歩した。セーフティセンスは日本での死亡事故の傾向を考えて生み出されたシステムであることから、グランツアラーよりも安心感があるだろう。

ただし、ここでもアルファードはグレード別に装備の内容を変えているので、どのモデルにも同じような安全性能を搭載しているという点でグランツアラーには買い手への優しさが感じられる。

グランツアラーもオプション装備で安心感を得られる

グランツアラーの場合は近年高級車によく装備されている自動追従機能が標準装備されていないが、オプションでアクティブ・クルーズ・コントロールが手に入る。

アルファードで上級グレードを買わない代わりにオプション付きで安心感も備えたグランツアラーにするというのも一手だろう。販売価格そのものを抑えて燃費も程々に良いクルマが手に入ると思えば、お得に感じられるかもしれない。

両者とも、まずは中古でも検討を

アルファードは大人数を乗せるという点で満足度の高いクルマだが、上位モデルを選んだ方がその真価を感じられる。ただし、「エグゼクティブラウンジシート」を搭載したモデルは700万円以上と「ちょっと」どころではない贅沢になる。発売から年数の浅い新型は、中古での購入も検討してもらいたい。

グランツアラーは程々の価格で程々の贅沢感を味わえる一台となっており、ファミリー層には優しいクルマとなっているが、こちらも近々改良型が販売されると噂されている。両者とも、ぜひ一度中古で見積もりをとってみてもらいたい。