ライター紹介

CAR-TOPICS編集長

村田 創 氏

大学卒業後新車ディーラーにて5年勤務。その後、中古車のガリバーへ入社。車一筋20年以上のベテランが新車から中古車まで幅広く解説します。

日本の市場も意識した優等生

2014年に2シリーズアクティブツアラーが発売されてから、1年後の2015年6月より日本仕様の2シリーズグランツアラーの販売を開始。7人が乗車できる3列シートモデルとしては、X5に次いで2例目となり、BMWとしては初となる7シーターのFFミニバンとして大きな注目を集めた。

ただし、本格的な箱型のミニバンモデルではなく、コンパクトミニバンとしての潔さも2シリーズグランツアラーの大きな特徴。また、プレミアムカーブランドとしての魅力をうまく残しつつ、日本市場を強く意識したことを伺うことができ、結果、日本においても好調な売れ行きを見せている。

利便性の高い程よい大きさ

BMW 2シリーズ 外観

先に販売されていた2シリーズアクティブツアラーをベースに、全長で215mm、全高は55mm大きくなり、ホイールベースは110mmストレッチされ2,780mmとなっている。その結果、全長4565mm x 全幅1800mm x 全高1645mmとなり、全長は国産車で言えば、ウィッシュやストリームなどと同じような長さである。

大人7人が長距離移動できる本格的なミニバンではなく、あくまでエマージェンシー的な3列目を持つコンパクトミニバンに分類されるだろう。だが、最初からきちんと割り切って向き合えば、国土が狭い日本では取り回しやすいサイズと言うこともできる。

ミニバンでも魅力的なエクステリア

ルーフがリヤに向って傾斜していくグランツアラーに比べ、ほぼ水平にルーフを延長。さらにDピラー(リヤドア後部の柱)の角度が立てられており、3列目へのアクセスにも配慮されているあたりが、プレミアムカーブランドらしく、コストばかりを優先せず妥協のない造り。

キドニーグリルやL型テールランプなどがいかにもBMWであることを主張。また、僅かに膨らんだリヤクオーターと幅広のL型テールランプの効果で、ワイドで力強い印象となり、2シリーズアクティブツアラーの派生車というよりも、車高の低いX3と言っても良い迫力のリヤビューになっている。

ドライバーが主役の7シーター

BMW 2シリーズ 外観

ミニバンである以上、広く開放的な室内は当然としながら、やはりそこはBMW。センターコンソールは僅かにドライバー側に角度が付けられ、ドライバーを中心としたインテリアになっている。そして注目のサードシートだが、冒頭でも触れた通り、大人が長時間座るには少々役不足で、あくまで子供や緊急用のシートと捉えた方が良いだろう。

最新のモジュラーエンジンを採用

エンジンのラインナップは大きく分けて、ガソリン2機種とディーゼル1種類の計3種類。218iには1.5Lの3気筒ターボ(136ps/22.4kgm)、220iには2.0Lの4気筒ターボ(192ps/28.6kgm)、そして、218dには2.0L4気筒ターボディーゼル(150ps/33.7kgm)が搭載される。どのエンジンも、最新のモジュラーエンジンとなっている。

一番のおすすめはディーゼルエンジン

BMW 2シリーズ 外観

2シリーズアクティブツアラーとは違い、PHVをラインナップしない2シリーズグランツアラーだが、このモデルの主力エンジンは間違いなくディーゼルと言って良いだろう。2シリーズグランツアラーは、高回転を回して、飛ばすのではなく、ディーゼル特有の豊かなトルクを使い、大人の余裕を見せながらゆったりと走る姿が良く似合う。

新しいBMW流ハンドリング

BMWと言えばシャープなハンドリングというイメージがあるかもしれないが、背の高いFFミニバンである2シリーズグランツアラーでは、3シリーズのような軽快さを求めてはいけない。しかし、2シリーズアクティブツアラーよりも長いホイールベースと重たい車重のお陰で、背の高さを感じさせない安定感のある走りになっている。

高いボディ剛性で質感アップ

BMW 2シリーズ 内装

2シリーズグランツアラーのように、室内空間が広い車種の場合、広さと引き換えにボディ全体が撓む(タワム)ような感覚を覚えることがある。ところが、ボディ剛性が高く、ルーフなどの部材が軽量化されているため、嫌な撓みを感じることが全くない。このあたりの質感の良さが、1ランク上のプレミアブランドであると再認識できるポイントなのだろう。

長距離移動の負担を軽減

家族や友人を乗せることが多いミニバンらしく、自動ブレーキや前車接近警告などの基本的な安全装備は標準化。さらにオプションのアクティブ・クルーズ・コントロールを選択すれば、渋滞などの低速走行時には、減速はもちろん、停止から再発進までをサポートしてくれ、長距離の移動でも、ドライバーの疲労を大きく軽減してくれるだろう。

大きなラゲッジも魅力的

BMW 2シリーズ 内装

少々窮屈な3列目だが、必要が無いときにはすっきりと床下に収納できるようになっており、しかもその操作はワンタッチ。3列目を収納した状態でのラゲッジ容量は560L、さらにセカンドシートを畳めば、最大1820Lにもなる。普段3列は必要が無い場合でも、よりラゲッジルームの広い2シリーズグランツアラーを選ぶというのもアリである。

BMW2シリーズグランツアラーの価格・グレード情報

・218i グランツアラー 393万円
・218i グランツアラー Luxury 443万円
・218i グランツアラー M Sport 439万円
・218d グランツアラー 414万円
・218d グランツアラー Luxury 464万円
・218d グランツアラー M Sport 462万円
・218d xDrive グランツアラー 437万円
・218d xDrive グランツアラー Luxury 487万円
・218d xDrive グラン ツアラー M Sport 485万円
・220i グランツアラー Sport 464万円
・220i グランツアラー Luxury 484万円
・220i グランツアラー M Sport 494万円

2015年に登場した2シリーズグランツアラーは、それほど中古車市場に流れてはいないが、BMWに限らず、欧州車は中古車になるとグッとお買い得感が増す傾向が強い。まだまだ新しいモデルであるため、新車と中古車での性能差は無く、ボディカラーやグレード、装備内容で気に入った車両が見つかれば、中古車の方が新車に比べて、かなりお得に購入することができ