1. 目次
  2. ■ 国内唯一売れているセダンがクラウン
  3. ■ 現行クラウンより大きくなったボディサイズ
  4. ■ 輸入車に負けない! ニュルブルクリンクでの走行テストを実施!
  5. ■ クーペのような流麗なルーフライン。実用性は?

国内唯一売れているセダンがクラウン


トヨタ クラウンコンセプト2017年(平成29年)10月27日(金)~11月5日(日)に開催される東京モーターショーで、 トヨタは「クラウン コンセプト(CROWN Concept)」を初公開する。

このクラウン コンセプトは、15代目新型クラウンとなる予定のコンセプトカーだ。実際の15代目新型トヨタ クラウンは、2018年夏頃発売を予定している。

クラウンというモデルは、トヨタの中でも長い歴史をもつ。初代クラウンは、1955年にデビューした。最近の国内マーケットで、セダンは売れないジャンルで多くの顧客が輸入車セダンに奪われた。そんな中、クラウンは唯一売れているセダンと言っていい。

クラウンだけが売れている理由は?

なぜ、クラウンだけが売れているのか? それは、クラウンがほぼ国内専用車だからだ。

最近のクルマは、グローバル化が進み同じクルマを世界中で売っている。こうすることで、開発や生産、調達コストを下げ利益を上げている。

ただ、こうした開発方法は、必ずしも良いことばかりではない。とくに、日本マーケットにおいてはマイナス面が大きい。その大きな理由は、グローバルモデルはざっくり言うと最大公約数で開発されるということだ。つまり、販売台数の大きい国の要望が多く取り入れられ、世界各国共通のニーズが優先される。こうなると、日本のように販売台数が少なく、日本独特のニーズは反映されにくいのだ。

その結果、日本では扱いにくいクルマになり、デザインなども日本人好みに反したものになり売れなくなるのだ。

日産には、その昔、たくさんのセダンモデルがあったが、セダンが売れないこと、効率が悪いことを理由に、国内セダンモデルをいっきに整理した。日産の伝統的な車種であるスカイラインさえ、北米でインフィニティQ50として売られているモデルをスカイラインとして日本に導入しているほどだ。このスカイラインも、やはり日本マーケットでは支持されずあまり売れていない。

日本人のためのセダンであり続けた

まさに、こうしたグローバル化の波に逆らい、頑なに日本人のためのセダンとして専用開発されてきたのがクラウンなのだ。だからこそ、多くの輸入セダンに顧客を奪われずに売れている。

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現行クラウンより大きくなったボディサイズ


公開されたクラウン コンセプトの詳細は、ボディサイズ程度。全長4,910×全幅1,800×全高1,455㎜、ホイールベース:2,920㎜となっている。現行の14代目クラウンのボディサイズと比較すると、全長が+15㎜、全幅は同じ、全高が-5㎜、ホイールベースが+70㎜となった。さすが国内専用セダンだけあり、今回も全幅1,800㎜は死守している。

注目はホイールベースがかなり伸びたこと。これにより、室内スペースがさらに広くなっていることが予想できる。

輸入車に負けない! ニュルブルクリンクでの走行テストを実施!


クラウン コンセプトのプラットフォームは、TNGA化されている。今まで長い間改良を加えながら使い続けてきたプラットフォームがTNGA化されたことで、クラウン コンセプトの走りの質は大幅に向上することが予想できる。

それを裏付けるように、トヨタはドイツのニュルブルクリンクでの走行テストを実施している。これは、意のままに操れるハンドリング性能に加え、低速域から高速域かつスムーズな路面から荒れた路面など、あらゆる状況において目線のぶれない圧倒的な走行安定性を実現し、ドライバーに“走る歓び”と“安心”を提供するというコンセプトの元に行われている。

国内専用車なのにここまでやるのには意味がある。欧州セダンばかりになった国内マーケットで、クラウンが再び存在感をアピールするためだ。走りの優れた欧州セダンを超えるパフォーマンスを得ることで、欧州車セダンに流れた顧客を再び引き戻したいという想いがあるのだろう。

クーペのような流麗なルーフライン。実用性は?


クラウン コンセプトのデザインは、この秋発売されるレクサスLSのように、Cピラーの傾斜が強く、クーペのようなルーフラインが特徴だ。そのため、サイドビューは美しい。4ドアクーペなどと呼ばれるスタイルになっている。

ただ、こうしたデザイン手法は、実用性面でマイナスになるケースが多い。まず、後席の頭上スペースが少なくなり窮屈に感じる。また、トランクが小さくなる。クラウンは、キャディーバッグ4つを楽々積み込める実用性が評価されている。こうした実用性がしっかりと保たれているのかというのも注目ポイントだ。

そして、フロントフェイスは現行モデルに比べグリルが小さくなっているように見える。グリルの大きさでアピールした現行クラウンとは異なるデザイン手法だ。クラウン コンセプトのフロントフェイスは、彫りの深い顔つきになり、引き締まった顔になった。現行クラウンより洗練された存在感が魅力的だ。

このクラウン コンセプトをベースとした15代目新型トヨタ クラウンの発売予定は、2018年夏頃。新型クラウンが、欧州セダンを超える国内専用セダンとして登場するのか注目だ。

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執筆者プロフィール
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。


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