トヨタの「クラウン」と「カムリ」は、価格帯こそやや異なるものの、ハイブリッドを中心に打ち出しているということもあり、何かと比較されることも多い2台。性能は似ているところも多そうだが、違いはどこにあるのか。どちらを購入すべきなのか。サイズや性能を比較してみた。

この記事の目次 CONTENTS
比較するモデル
カムリ ~車内の広さは屈指
クラウンアスリートハイブリッド ~インテリアの高級感は流石
クラウンとカムリ、どちらを選ぶべき?

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

比較するモデル

今回は、ハイブリッド対決ということで、クラウンアスリートもハイブリッドモデルを選択した。カムリもクラウンアスリートも、比較しやすいように中間クラスのモデルを選んでいる。

トヨタ カムリ ハイブリッドGパッケージ

トヨタ クラウン ハイブリッドアスリートS

カムリ ~車内の広さは屈指

  • サイズ:全長4850(mm)×全幅1825(mm)×全高1470(mm)
  • 価格:320万7600円~401万4655円(ハイブリッドGパッケージは341万3782円)

クラウンというと何となく大きいイメージだが、全高と全幅は実はカムリのほうが大きい。それだけが原因ではないが、カムリの最大の魅力は車内空間の広さだろう。このサイズのセダンとしては、今のところトップだといっても過言ではない。

広々とした室内で長時間でも疲れにくい

シートのサポート感やホールド感はそれほど強くないが、足元も頭上も広々としており、長時間乗っても疲れにくい印象だった。ただし、インテリアの高級感という点では、ぱっと見の印象はだいぶ改善されているものの、細かいパーツにはプラスティック感がある。

加速は軽く、燃費の数値も高い

エンジンは2.5L。最大トルク数はクラウンアスリートには及ばないが、しかし走っていて不足は感じなかった。特に最初の加速は非常に軽く、スムーズなのはハイブリッドならではのメリットだろう。

燃費はハイブリッド車としても秀逸な25.4km/Lと、クラウンアスリートよりも高い数値をたたき出している。

クラウンアスリートハイブリッド ~インテリアの高級感は流石

  • サイズ:全長4895(mm)×全幅1800(mm)×全高1450(mm)
  • 価格:421万7143円~591万4285円(アスリートSは482万4000円)

クラウンアスリートは、クラウンファミリーの中では「走り」を重視したモデルであり、実はエンジンも後述のカムリをベースにパワーアップしたものが使われている。

クラウンならではの高級感あふれるインテリア

クラウンの魅力である高級感は、アスリートでも充分に感じられる。インテリアに使われている素材は、カムリとは大きな差。またシートの沈みこむようなサポート感は、クラウンならではだといえよう。

パワーは十分だが、燃費はカムリに劣る

エンジンは2.5Lとカムリと同じだが、モーターやエンジンの出力はカムリよりも大きい。以前のクラウンハイブリッドのような強力さはないものの、普段走るのには充分なパワーがある。特にコーナーでは、トルクの大きさを感じられる。ただし燃費という点では、カムリには若干劣る。

クラウンとカムリ、どちらを選ぶべき?

実用性を追求する人には、間違いなくカムリをおすすめしたい。車内空間の広さや燃費は、クラウンを大きく上回っている。

だがそもそも、そんな人はクラウンを検討しないだろう。なので選択のポイントはパワー、インテリアの上質さ、価格のバランスだろう。ぱっと見の高級感だけで良いなら、100万円以上高いクラウンを購入する必要はない。カムリで充分だろう。

必要十分より少し上の性能を求めるならクラウンも有

しかし、インテリアのディテールにまでこだわりたい、シートの快適さも重視、必要十分よりちょっと上のパワーも欲しい、ということであれば、クラウンアスリートの400万円台のモデルなら充分に払う価値があるだろう。ただし、本気でパワーを求めるのであれば、クラウン以外の車種も検討して欲しい。