- 目次
- ■ 個性的なエンジンと装備をもつステップワゴン
- ■ 今までのステップワゴンが売れなかった理由とは?
- ■ 売れなかった理由を改善! LEDを多用した迫力系フェイスへ
- ■ ホンダファンの期待に応える燃費と走りを両立したハイブリッド
- ■ 英断! 「ホンダセンシング」全車標準装備でクラストップの安全性
- ■ ホンダ ステップワゴンの選び方
個性的なエンジンと装備をもつステップワゴン
ホンダは、ミニバンのステップワゴン/ステップワゴン スパーダをマイナーチェンジし発売を開始した。
ホンダ ステップワゴンは、現行モデルが5代目。2015年4月に登場した。5代目ステップワゴンは、他のミニバンと異なる手法で開発された気合の入ったモデルとなった。
そのひとつがエンジン。ホンダ初となる新開発の1.5L直噴VTECターボエンジンを搭載した。このエンジンは、150psと203Nmを発揮。こうしたダウンサイジングターボを搭載したモデルは、5ナンバーミニバンではステップワゴンが初となる。
この1.5Lターボエンジンを搭載したことで、ステップワゴンの燃費は15.4~17.0㎞/Lとクラストップレベルとなった。1.5Lターボエンジンを搭載するメリットは、燃費だけではない。エンジンが1.5Lとなったことで、自動車税もランクが下がり、年間5,000円の節税となるメリットを顧客に提示した。
ミニバンの悩みを解消する「わくわくゲート」
そして、新発想の装備として、リヤゲートにわくわくゲートが加わった。このわくわくゲートは、ミニバンの大きく重いリヤゲートの欠点を補うものだ。駐車場では、後方に一定のスペースが無いと開けることができないなどのデメリットがある。
そこで、ホンダは横開きできる仕組みをリヤゲートに追加した。後方が狭いスペースでも、荷物の出し入れを容易にした。そして、この機能と3列目シートをフロア下に収納できるマジックシートの機能を合わせて使うことで、リヤゲートから室内にアクセスできるようにした。このわくわくゲートにより、利便性は大幅に向上。いかにもホンダらしい独創的な装備だ。
今までのステップワゴンが売れなかった理由とは?
魅力的なエンジンと新機能を得たホンダ ステップワゴンだったが、発売直後から販売不振となった。デビュー年度の2015年には、63,645台販売。しかし、モデル末期の日産セレナが60,056台を売った。ステップワゴンは、新型車なのにモデル末期のセレナとほぼ同じような販売台数という屈辱的な数字となったのだ。
2016年度になると、ステップワゴンは48,110台と大きく販売台数を落とす。対して日産セレナはフルモデルチェンジし、90,369台を売りステップワゴンの倍近い販売台数を売り、大きな差を付けられてしまったのだ。
売れなかった理由は明確だった。まず、デザイン。販売の主力となるスパーダのデザインがマーケットニーズに合っていなかった。5ナンバーミニバンに求められるデザインは、トヨタのように押し出し感のある迫力系顔が好まれる。ホンダは、トヨタと同じようなデザインになることを嫌いスパーダのデザインに独自性を持たせた。しかし、マーケットには支持されなかった。
ハイブリッドがなかったのも失敗理由の一つ
そして売れなかった理由のもうひとつが、ハイブリッド車を用意しなかったことだ。ホンダは、ハイブリッド化すると、価格が高くなり売れないという判断をしていた。ところがホンダファンは、ハイブリッドに期待していたようだ。
こうしたミスをホンダは、オデッセイでも犯していた。2013年にオデッセイが登場したとき、ハイブリッド車高価になるから売れないという理由もあり、当初、ガソリン車だけだった。当然、オデッセイの販売台数は伸び悩む。その数年後、2016年にハイブリッド車が投入された。ハイブリッド車が投入されると、オデッセイの販売台数は急激に伸びたのだ。
こうした傾向から、やはり多くの顧客がホンダに期待していたのはハイブリッド車だったということが分かる。ホンダは、ステップワゴンでも同じミスを繰り返してしまった。商品企画上のミスでもある。
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売れなかった理由を改善! LEDを多用した迫力系フェイスへ
今回のマイナーチェンジでは、こうした売れなかった理由を改善して投入した。
まず、デザインでは、ステップワゴン スパーダのフェイスを大幅に変更。ミニバンマーケットで人気が高い押し出し感のある迫力系フェイスに変更された。
単に迫力系フェイスにしただけでなく、LEDを駆使し夜間での存在感も強烈にアピール。まず、ヘッドライトを2分割するようなメッキのグリルバーが入り、LEDヘッドライトを標準装備化した。LEDのギラギラ感を駆使し、とにかく目立つことをメインにデザインされている。
リヤまわりのデザインに大きな変更点はないが、迫力系フェイスにしたことを受け、テールゲートスポイラーも大型化され迫力を増した。是が非でも売る! と、いった意思を感じるデザインで、とにかく売れるミニバンの要素を詰め込んだ感がある。
ファンの期待に応える燃費と走りを両立したハイブリッド
売れなかった理由のひとつでもあるハイブリッド車も、ようやくステップワゴン スパーダに搭載された。このハイブリッドシステムは、オデッセイなどと同じ2モーターハイブリッドシステムだ。
このハイブリッドシステムにより、ステップワゴン スパーダの燃費は、クラストップとなる25.0㎞/Lを達成。トヨタのノア/ヴォクシーハイブリッドの燃費が23.8㎞/Lなので、大幅な燃費差となった。
「SPORT HYBRID i-MMD」の搭載によるメリットは、低燃費性能だけではない。
ノア/ヴォクシー系は燃費志向で、走行性能面では物足りないものだった。1.8Lのハイブリッドシステムを使うノア/ヴォクシーに対して、ステップワゴン スパーダは2.0Lのハイブリッドを搭載。さらに、エンジン出力は145ps、モーターのトルクは315Nm。ノア/ヴォクシーは、エンジン出力99psでモータートルクは207Nmだ。これだけ出力の異なるエンジンとモーターにより、スパーダの走りは、ノア/ヴォクシーに比べ、かなり力強いものになっている。
燃費は25.0㎞/Lでクラスナンバー1で、走りの力強さもクラストップとなる。走りの良さと燃費を両立したスパーダ。ホンダファンは、こんなハイブリッド車を待ち望んでいたに違いない。また、ハイブリッド車の利点でもある静粛性を生かすために、ハイブリッド車は吸遮音材も追加され車内の静粛性を大幅に向上させている。
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英断! 「ホンダセンシング」全車標準装備でクラストップの安全性
ステップワゴンには、先進予防安全装備である「ホンダセンシング」が全車に標準装備化された。これは英断だ。すべてのグレードが一定以上の安全性能をもったことになる。
サイド&カーテンエアバッグの標準装備化されたグレードは、9グレード中4グレードとなった。ほとんどのライバル車が、オプション設定なので、高い標準装備化率といえる。
多人数乗車のミニバンは、家族など大切な人を乗せるケースが多い。大きく重いクルマでもあり、歩行者との衝突では大きな事故になりやすい。本来ならば安全装備を充実させることが重要な車種だ。
しかし、ノア/ヴォクシーなどは歩行者が検知できない旧タイプの自動ブレーキしかない。セレナは自動ブレーキと一部の機能以外はオプション設定。また、ノア/ヴォクシー、セレナ共にサイド&カーテンエアバッグに関しては、標準装備化されたグレードが無いというお粗末な状況。こうした設定であることを考えると、ステップワゴンは5ナンバーミニバンで最も安全なモデルであるといえる。
ホンダセンシングには、衝突軽減ブレーキ(CMBS)、誤発進抑制機能、歩行者事故低減ステアリング、路外逸脱抑制機能、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)、LKAS(車線維持支援システム)、先行車発信お知らせ機能、標識認識機能の8機能が用意されている。
ホンダ ステップワゴンの選び方
ホンダ ステップワゴンの選び方は、まず標準車かスパーダかという選択になる。標準車には、ハイブリッドの設定がない。また、リセールバリューを考えるとスパーダがお勧めとなる。
その後は、1.5Lターボか2.0Lハイブリッドという選択になる。ターボとハイブリッドの価格差は大きく、ざっくり50万円くらい高価になっている。予算次第ではあるものの、多少無理をしてでも積極的にハイブリッドを選びたい。実際の購入時には、ハイブリッド車のエコカー減税など節税分が大きいので、若干価格差は縮まる。
また、ライバル車のノア/ヴォクシーハイブリッドと比べると、やや価格が安く買い得感がある設定になっている。価格設定は同程度といえるものだが、力強いハイブリッドシステムと低燃費性能、安全性能を含めると、クルマとしての性能はスパーダが圧倒する。それでいて、かかっくが同程度なので、スパーダのコストパフォーマンスに優れるといえる。今、このクラスのミニバンでは、最もお勧めなモデルになっている
ステップワゴンのグレード選びは、標準車やガソリン車、ハイブリッド車含めBは外しておきたい。サイド&カーテンエアバッグがオプションでも装備できないグレード。また、装備面も簡素化されているため、どちらかというとビジネス用といったグレードになっている。
スパーダのハイブリッド車のグレード選びでは、G・EXかGの2グレードからの選択となる。この2台の価格差は約21万円と意外と小さい。G・EXには、サイド&カーテンエアバッグや運転席&助手席シートヒーター、トリプルゾーンコントロール・フルオートエアコンディショナー、LEDルームランプ、パフォーマンスダンパーなどがプラス装備されている。
高い走行性能を求めるならG・EX
その上で、より質の高い走行性能を求めるのならパフォーマンスダンパー付きのG・EXがお勧めとなる。また、Gにオプションのサイド&カーテンエアバッグを装備すると、それほどG・EXと価格差が小さくなる。ならば、G・EXを選んだほうが最終的に満足度は高い。
G・EXにしか用意されていないオプション装備で、100V AC電源(1500W)がある。このオプションは、ハイブリッド車の大容量電池を使い家電製品などに給電できるようにするものだ。アウトドアレジャーなどで、電源車として使えるので遊びの幅も広がる。また、災害時にも電源車として使えるなどのメリットもある。安全装備面では、マルチビューカメラシステムやHondaスマートパーキングアシストシステム、後退出庫サポートなどがあれば、うっかり衝突なども抑制できるのでお勧めだ。
■ホンダ ステップワゴン/ステップワゴンスパーダ価格
●1.5Lターボ車
・B・Honda SENSING FF 2,455,920円/4WD 2,715,120円
・G・Honda SENSING FF 2,661,120円/4WD 2,898,720円
・G・EX Honda SENSING FF 2,862,000円/4WD 3,078,000円
・SPADA・Honda SENSING FF 2,852,280円/4WD 3,089,880円
・SPADA・Cool Spirit Honda SENSING FF 3,051,000円/4WD 3,245,400円
・Modulo X Honda SENSING FF 3,665,000円
●ハイブリッド車
・SPADA HYBRID B Honda SENSING FF 3,300,480円
・SPADA HYBRID G Honda SENSING FF 3,350,160円
・SPADA HYBRID G・EX Honda SENSING FF 3,559,680円
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執筆者プロフィール
クルマ評論家 CORISM代表 大岡 智彦 氏CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。
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ステップワゴンのカタログ情報
- 現行モデル
- 令和4年5月(2022年5月)〜現在
- 新車時価格
- 299.9万円〜391.3万円
ステップワゴンの在庫が現在112件あります
以下車両の保証内容詳細は画像をクリックした遷移先をご確認ください。