今年度に日本で発売されたクルマの中から、ナンバー1を決める2014-2015日本カー・オブ・ザ・イヤー は「マツダ デミオ」 が受賞した。

メルセデス・ベンツCクラスを僅差で抑え、激戦を勝ち抜いたマツダ デミオ


メルセデス・ベンツCクラス インポート・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したメルセデス・ベンツCクラス

日本カー・オブ・ザ・イヤーの開票式は、10月13日(祝)にお台場の日本科学未来館で行われた。例年より1ヶ月以上早めの開催だ。これは、10月11日(土)から13日(祝)にかけてお台場で行われる「東京モーターフェス2014」に合わせて表彰式を行い、クルマ好きにもっと楽しんでもらおうという狙いだったが、残念ながら台風直撃の影響で東京モーターフェスが13日(祝)の開催を中止したことにより、表彰式は東京モーターフェス会場で行うことができなかった。

開票式はとにかく盛り上がった。今年は、マツダ デミオとメルセデス・ベンツCクラス、BMW i3が三つ巴の大接戦が行われたからだ。

BMWi3 イノベーション部門賞を受賞したBMW i3

日本カー・オブ・ザ・イヤーの投票は、選考委員の名前が呼ばれ採点が発表されていく。20人目の投票が済んだ時点で、1回目の中間発表。この時点で、Cクラスセダン153点、デミオ148点とわずか5点差。BMW i3も106点と47点差で上位を狙う。i3がやや離されたことで、デミオVSCクラスの2強に絞られてきた。

そして40人目の投票が発表され、2回目の中間発表。この時点で、Cクラス301点、デミオ291点とCクラスセダンがわずかながらリードを広げた。i3は228点と少し離され、ほぼ日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞の可能性は低くなった。今年の選考委員は59名なので残りの投票は19人。点差はわずか10点。わずかだが、得点差を広げたことから、Cクラスが逃げ切るかのような雰囲気に会場がつつまれた。

ホンダNワゴン スモールモビリティ部門賞を受賞したホンダNワゴン

しかし、これから先が劇的。なんと48人目が、Cクラスに初の0点を付けた!  デミオに4点と低めだったが、デミオがやや点数を縮めた。しかし、まだ点数差はある。そして、まさかの54人目はCクラスに2人目となる0点が入り、会場がどよめく。なんと、Cクラス0点でデミオが10点! この時点で、デミオが逆転。その後の残り5人中4人がデミオに10点を入れ、デミオはラストスパート! 59名の投票すべてが終了した結果は、デミオ423点、Cクラスセダン404点、BMW i3 340点とデミオが大逆転! 昨年初めて輸入車(VWゴルフ)に奪われた日本カー・オブ・ザ・イヤーの栄冠を日本勢が再び取り戻しました。

4位はスバル・レヴォーグ、5位はスズキ・ハスラー。以下日産・スカイラインとプジョー308(同点)、ジープ・チェロキー、ホンダ N-WGN/N-WGNカスタム、トヨタ・ヴォクシー/ノアという結果となった。

トヨタの燃料電池車への取り組みが評価され特別賞を受賞 トヨタの燃料電池車への取り組みが評価され特別賞を受賞

予想外の逆転劇で、2位となったメルセデス・ベンツCクラスは、インポート・カー・オブ・ザ・イヤー受賞。そして、イノベーション部門賞は、電気自動車であるBMW i3。スモールモビリティ部門賞は、ホンダNワゴンがそれぞれ受賞。エモーショナル部門賞は該当なし。特別賞は、今年度中に燃料電池車FCVを市販化するなど、トヨタの燃料電池車への取り組みが評価され受賞となった。

受賞理由は、以下の通り

マツダデミオ

国産コンパクトカーの常識を打ち破るデザインとクオリティ、そしてテクノロジーをリーズナブルな価格で実現したこと。低燃費技術を追求するなかで、新しい選択肢として小型クリーンディーゼルを採用する一方、MTモデルをリリースするなど多彩なニーズに配慮している点も好印象で、軽快なフットワークと相まってクルマの楽しさを再認識させてくれた。独自の魅力にあふれ、日本から世界に向けてアピールできる実力を持ったコンパクトカーである。

メルセデス・ベンツCクラス

セグメントにとらわれることなく、メルセデス・ベンツが現在持つ技術をあますことなく投入し、全力でユーザーにいいクルマを届けようとした力作。世界最高水準の衝突回避システムや運転支援機能、時代が求める環境性能を備えながら、走りの良さと快適性を高次元でバランスさせている。

BMW i3

単に電気自動車というだけでなく、生産から使用、そして廃棄といった、車両を生産する過程すべてに徹底的なエコ思想を貫き、自動車が直面している課題に真正面から取り組んだ姿勢を高く評価。軽量化技術の最先端であるCFRP(カーボンファイバー)を量産した意義も大きい。

ホンダ Nワゴン

軽自動車という枠をはるかに越えた安全性への取り組みによって、 JNCAP5つ星という快挙を成し遂げた。その驚きの衝突安全性能に加えて走行安定性能の高さも際立つ。ハード面でのクオリティの高さが徹底的に追及されており、軽自動車全体の底上げに貢献すると期待できる。

トヨタの燃料電池車への取り組み

次世代エネルギーの水素を使った燃料電池車として、トヨタFCVは世界でいち早く量販化を決定して、価格のメドを発表。インフラ整備が課題であることはもちろんだが、実用化のハードルとして懸念されていた水素充填機を共同開発し展開することなどに加え、一般販売を実現したことの意義は大きく、日本が世界市場を牽引する分野としても、大いに期待できる。