この記事の目次 CONTENTS
デミオからマツダ2へ改名
高いレベルにある安全性能
クラス唯一の1.5Lディーゼルエンジンを搭載
内装にこだわった特別仕様車を多くリリースしてきたマツダ2
コンパクトカーに贅沢な白本革を採用した特別仕様車「White Comfort」
マツダ2 特別仕様車 「White Comfort」価格

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

デミオからマツダ2へ改名

マツダは、コンパクトカーのマツダ2に特別仕様車「White Comfort(ホワイト コンフォート)」と新ボディカラーであるポリメタルグレーメタリックを追加し発売を開始した。

マツダ2は、従来デミオと呼ばれていたモデル。2019年に車名を変更している。一クラス上のアクセラをフルモデルチェンジしたタイミングでマツダ3と変更したことを受け、デミオをマツダ2とした。欧州など、海外で発売されている車名と共通化している。

車名変更前となる4代目デミオは、2014年に登場したBセグメントのコンパクトカー。国内のライバルは、トヨタ ヤリスやアクア、ホンダ フィットなどだ。

マツダ2のボディサイズは、全長4,060×全幅1,695×全高1,500mm。5ナンバー枠に収まっていて、で、3代目デミオの全長が3,900mmだったので、160mm大きくなった。全幅は、1,695mmで5ナンバーサイズを維持している。日本でも扱いやすいボディサイズになっている。

高いレベルにある安全性能

マツダ2は、2014年に登場したモデルで、モデル後期に入っている。だが、何度も改良を繰り返し熟成されてきたこともあり、やや古いモデルながら予防安全性能面も最新コンパクトカーと大差ないレベルにある。

重要な自動ブレーキは、夜間の歩行者にも対応する高性能タイプ。車線変更時に後側方から接近する車両を検知・警報を発するブラインド・スポット・モニタリングなども標準装備化されている。コンパクトカーの多くは、ブラインド・スポット・モニタリングが装備されていないモデルが多い。

ブラインド・スポット・モニタリングは、夜間や暗いトンネルなどで、とくに頼りになる装備。運転が苦手な人や、高齢者などには安全運転をアシストしてくれる。こうした装備を積極的に全車標準装備化を進めているマツダの安全への姿勢は高く評価できる。マツダ2は、どのグレードを買っても一定水準以上の安全性能を誇る。

もちろん、経済産業省、国土交通省などが普及啓発を推進する「安全運転サポート車」の「サポカーS・ワイド」に全機種が該当。サポカー補助金の対象となっている。

クラス唯一の1.5Lディーゼルエンジンを搭載

マツダ2の大きな特徴は、クラス唯一の1.5Lディーゼルエンジンを搭載していること。最大トルクは250Nmと大きく、とても力強い走りが可能。250Nmというトルクは、自然吸気2.5Lガソリンエンジン相当だ。そのため、マツダ2のディーゼル車は、高速道路などでも余裕ある走りができ、ロングツーリングも得意だ。

非常に力強い走りを披露しながら、低燃費なのも魅力のひとつ。燃費は21.8km/L(WLTCモード・FF・AT車)と良好。ディーゼルエンジンは、燃料に軽油を使用する。軽油は、レギュラーガソリンより20円/L程度安価なので、燃料費という視点では、ハイブリッド車に近くなりとても経済的だ。マツダ2のお勧めパワーユニットになるが、やや高価になる。

そして、もうひとつ設定されているのが1.5Lガソリンエンジン。燃費は19.0km/L(WLTCモード・FF・AT車)と、設計が古いこともあり、性能的には少々物足りない状況だ。

内装にこだわった特別仕様車を多くリリースしてきたマツダ2

マツダ2は、内外装デザインも特徴のひとつ。外観デザインは、マツダのデザインテーマである魂動デザインを採用。いかにもキビキビと走りそうな躍動感あふれるデザインとなった。また、インテリアはクラスを超えた上質感ある空間となっている。

そんなインテリアには、こだわりの素材やカラーが施された特別仕様車を多く設定。独自の世界観で、色や質感にこだわる顧客を虜にしてきた。

コンパクトカーに贅沢な白本革を採用した特別仕様車「White Comfort」

そんなインテリアにこだわるマツダ2に、今回、新投入されたのが特別仕様車「White Comfort」。「白」をテーマにした特別仕様車だ。

ベースグレードは、上級グレードの「L Package」。白本革とグランリュクス(スエード調人工皮革)、メランジ調クロス素材を組み合わせたシートを採用した。異なる印象を持つ色や素材を組み合わせ、モダンで心地良いインテリア空間を演出している。

その他、新外板色としてポリメタルグレーメタリックを設定。「White Comfort」が持つ、個性的な世界観をさらに際立たせているボディカラーとなる。

売れない白内装を設定した理由とは?

特別仕様車「White Comfort」は、非常に希少な存在となる。国産コンパクトカーでは、ほとんど白本革を基調とたモデルが設定されないからだ。それは、コンパクトカーは実用性が重視され、多くの顧客が汚れを気にするからだ。ベージュでさえ、汚れを気にして選択されないことが多い。

そんな売れないはずの白本革仕様を、マツダはなぜ設定するのか? それは、マツダ2がクラスを超えた小さな高級車を目指していること。そして、そんなクルマを手に入れたいという顧客へ向けて、満足度の高いモデルを提供することにある。

ある意味、ニッチビジネス狙いでもある。足元の販売台数を見ると、マツダ2の2020年6月の販売台数は1,920台。対して、同じくモデル後期の日産ノートは6,010台。新型トヨタ ヤリスは、なんと10,967台だ。ノートの3分の1以下も売れていない。マツダから見れば、普通に売っていては勝負にならない状態が続いている。

こうしたニッチな特別仕様車「White Comfort」を投入することで、マツダへのロイヤリティが高い顧客に対して、確実に一定数売ることができるだろう。しかも、個性的で指名買いになれば、値引きも抑制でき利益もアップする。

そして、こうした個性派特別仕様車に共感し、新たなマツダファンが増えれば、長期的にはマツダのブランド力も向上するはずだ。

特別仕様車「White Comfort」の価格は、15S White Comfortで2,167,000円となった。ベース車である15S L Packageの価格が2,090,000円なので、約18万円アップとなった。

特別装備や追加装備分を加味すると、お買い得感はない。コンパクトカーに、より上質さや白本革がもつ独特な世界観を求め、実用車であるものの普段使うモノこそ良いモノを使いたいというこだわり派のための1台といえる。

マツダ2 特別仕様車 「White Comfort」価格

2WD(FF) 4WD
マツダ2 15S White Comfort 2,167,000円 2,376,000円
マツダ2 XD White Comfort 2,491,500円 2,700,500円