マツダ ロードスター
ロードスター

フロントマスクさえ見なければ、2代目ロードスターとほとんど同じフォルムであることが良く分かる。

ロードスター

真上から見ると、ステアリングがほとんどクルマ中央にあることがはっきり分かる。これが、人車一体感の源なのである。

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フロントダブルウイッシュボーン、リアマルチリンク、そしてエンジン縦置きのFRというパッケージングに大きな変化はない。

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縦置きで搭載される2.0リッターエンジンはMZR型。ダイレクトなレスポンスが自慢の逸品だ。

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ベースモデルの内装は ブラッククロスとメタリック調のマットシルバーを組み合わせ。 本革シートも選択できる。

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シフトチェンジが気持ちよく決まる6速MTも3代目登場にあわせて新開発となった。

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インテリアの作りこみはRX-8やアテンザにも通じるデザインとなっている。

また、新たなロードスター伝説が誕生!

 89年2月のシカゴオートショーでデビューを飾って以来、自動車業界のイコンとなってしまった感のあるマツダ・ロードスター(輸出名MAZDA・MX-5)。人車一体感を何よりも大切にするFR2シーターのオープンモデルは世界中で大人気。なにしろ、ギネスブックに登録されるほどの人気を世界中で集めているのだから。
 さて、そんなロードスターの次期モデルがついに登場となった。初お披露目となったのは3月1日からスイスはジュネーブで開催されている第75回ジュネーブモーターショーである。

3代目もやはり人車一体感!

 初代も2代目もロードスター最大の売りといえば人車一体感なのである。もちろんそれは,3代目にも受け継がれ,進化している。改良ポイントとしては先代に比べ、運動性能、安全性、快適性、そして実用性を進化させるため、数々の新しい装備や技術を採用しながらも、重量の削減が可能な部位を一つ一つ丹念に見つけ出し、軽量化に取り組むことで、車両総重量の増加を現行モデルと比較して約10kgに抑えている点だ。
 同時に、徹底的な解析と超高張力鋼板などの先進素材を活用し、ボディ剛性を先代モデルに対して曲げ剛性で22%、ねじり剛性で47%向上。 また、エンジンを135mm 後方に移動することにより、前後重量配分の最適化とヨー慣性モーメントの低減を図ったというのだ。
 このへんはまさにロードスターの真骨頂といえるであろう。なにせ、昨今のスポーツカーといったら大馬力戦争に突入し、もてあますようなパワーは各種電子ディバイスで押さえ込むという手段をとっている。F-1やWRカーに端を発する最先端スポーツの考え方もあるだろうが、ブリティッシュ・ライトウェイとスポーツに起源を求める、ロードスターのような成り立ちも、やはりスポーツカーの王道ということなのである。

リアサスペンションはマルチリンクに

 キープコンセプトである3代目ロードスターであるが、実はその中身は大幅に進化しているのだ。初代目・2代目とダブルウイッシュボーンは前後マルチリンクであったが、3代目にして、リアにはマルチリンクを採用したというのである。同時に部品のアルミ化などによりバネ下重量を最小限に抑えるとともに、ラバーブッシュを介さずリアクロスアームをボディに直接マウントしてシャシー剛性を向上させ、ドライバーとクルマの一体感を高めているとのこと。
 これにより、歴代で最大の205/45R17インチというタイヤ性能をフルに発揮できるようになっているのだ。また、ステアリングはラック&ピニオン式のパワーステアリングを採用。あわせてフロントトレッドを75mm、リアトレッドを55mm拡大している。

エンジンは1.8リッターと2.0リッター

 ジュネーブモーターショーで登場した新型ロードスターに搭載されているエンジンは、新たに開発した2.0リッターMZRエンジンである。このユニットはフライホイールの軽量化やドライブシャフトの高剛性化などにより、ダイレクトなレスポンスを実現しているのが大きな特徴。また、吸気抵抗を57%低減するとともに、排気システムの圧力損失を40%低減し、高回転域までほぼフラットなトルク特性を確保しているというのだ。
 この他にも、ヨーロッパ市場にはロードスターの軽快感を骨髄まで堪能できる1.8リッターエンジンも用意されているということである。(日本市場に導入されるロードスターのエンジンスペックに関しては今のところ発表されていない)。
 ちなみに新型エンジンの搭載にあわせて、トランスミッションも新開発。このミッションは日米欧豪の各市場に導入されることが決まっている。この6速MTのほかにも5速MTと、6速アクティブマティックATもラインアップされるということだ。

デザインはファン&モダンスタイリング

 さて、ある意味最大の注目点ともいえるのがデザインである。初代は名車ロータス・エランに影響を受けたリトラクタブルヘッドライトが特徴的であり、2代目は世界中のどんな車にも似ていない切れ長細長のヘッドライトが個性的であった。
 で、3代目である。
 マツダのファミリーフェイスといえば五角形にグリルが型取られたファイブポイントグリルがおなじみである。アテンザにも、アクセラにも、MPVにもこの顔は採用されていた。しかし、新型ロードスターには採用されなかったのである。
 「親しみやすさと楽しさを受け継ぎながら、シンプルな機能性と本格スポーツカーのアスレティックなかたまり感を持つMX-5(ロードスター)のデザインDNAを兼ね備えた、モダンなスタイリングへの刷新を目指した。」とのことであるが、この判断は日本市場に導入されたときにユーザーが正しいかそうでないかを下すので、そのときはっきりすると思われる。
 とにもかくにも、足回りもエンジンも完全に新型へと生まれ変わったロードスター。初お目見えになる2.0リッターエンジンも、マルチリンクのサスペンションも、一体どんなものかは今のところでは分からない。スペック情報に頼れば、正常進化版に思えるクルマだ。きっとそうであることに間違いはないだろう。そして、誰よりもその進化したロードスターを見たいと思っているのは、現行ロードスターのオーナー方だと思われる。

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代表グレード
MAZDA MX-5
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
3,995mm×1,720mm×1,245mm
総排気量[cc]
2000
最高出力[ps(kw)/rpm]
160(118)/6,700(目標値)
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
19.2(188)/5,000rpm(目標値)
ミッション
6MT
定員[人]
2
レポート
神田卓哉(221616.com編集部)
写真
マツダ