子育てのためにクルマが必要。一台あると、行動範囲が大きく広がる。そう思ってクルマを検討する人もいるのではないでしょうか。小さな子どもを持つママに人気のダイハツ「タント」とホンダ「N-BOX」を、特に子育てにおける使いやすさという点で比較してみました。ママの子育てを助けてくれるクルマを、見つけてください。
子育て中のママが注目したいポイント
- クルマのサイズと車内空間
- 手がふさがっている時に便利な機能
- 万が一に備えた安全性
- 価格や燃費など金銭的な負担
軽の中でも屈指の人気2台
2013年にモデルチェンジして5年を迎えるダイハツタント(2018年にモデルチェンジする可能性あり)と2017年にモデルチェンジしたばかりのホンダ「N-BOX」。
どちらも軽自動車の中でも高い人気を誇っており、軽自動車の販売台数ランキングではどちらも上位に名を連ねています。特にN-BOXはモデルチェンジ後、トヨタのプリウスなどを抑え、新車の販売台数総合でトップに躍り出たほどの人気モデルです。
では、上記の観点を踏まえた「子育て中のママにとって」の良いクルマはどちらなのでしょうか。順番に見ていきましょう。
形やサイズはそれほど変わらない
四角いフォルムが特徴のホンダ「N-BOX」とダイハツ「タント」。クルマの鼻に当たるボンネットが短く、車内の空間を限界まで広く確保しています。最近の軽自動車は大人が4人乗っても余裕のある広さを備えているので、快適な空間を担保してくれています。
ボンネットが短いため前後の感覚をつかみやすい
またボンネットが短いと、前後の感覚を掴みやすいというメリットもあります。コンパクトなサイズで小回りが効くことも手伝い、運転しやすいこと間違いなしです。
形はほとんど変わらないこの2台。
具体的なサイズを見てみると、ダイハツ「タント」のサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1750mm。
それに対して、ホンダ「N-BOX」のサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1790mm。
N-BOXの方が4センチ背が高いだけで、ほとんどサイズは変わりません。
N-BOXの方が車内高があり快適
少しだけですが背が高いホンダ「N-BOX」。
その効果は、室内高に表れています。
N-BOXの室内高は140センチと、タントよりも3.5センチ余裕があります。たかが3.5センチと思うかもしれませんが、頭上に3.5センチの余裕が生まれるとかなり広々と感じられます。子どもが車内で立って着替えたりすることも考えると、室内高が確保されているのはうれしいです。
ベビーカーを畳まずに載せられると便利
特にベビーカーをお持ちの方は、そのサイズを測ってみましょう。ベビーカーを畳まずに載せられると、かなり便利です。
「タントだとギリギリ…」という場合は、余裕を持った出し入れを考えるとN-BOXを選ぶことをおすすめします。写真はタントです。
燃費を重視するならタント
ただしサイズが大きいのは一概にメリットばかりとは言えないので注意が必要です。車内が広いのはポイントが高いですが、その分クルマが重くなります。重たいクルマを動かすのには燃料が多く必要なので、タントよりも重いN-BOXの方が少し燃費が悪いです。
手がふさがっている時に便利な機能
子育て中のママは、何かと手がふさがっていることが多いもの。子どもを抱っこしている。子どもと手を握りながら、荷物を持っている。そんな時にカバンからカギを取り出して、ドアやトランクを開けるのはかなりのストレスです。
また自動スライドドアもありがたいです。子どもをチャイルドシートに座らせる時など、通常のドアだとかなり窮屈なもの。その点、スライドドアだと広々としています。また子どもが自分でドアを開けられるようになった時、うっかり隣のクルマを傷つけないためにもスライドドアだと安心です。
モデルチェンジしたばかりのN-BOXが一歩リード
この辺りの便利機能については、各社それぞれ名前が違うのでわかりにくいものです。また上級グレードやオプションを選べば、大体どの機能も付けられるので、「絶対にこちら」とは言えません。ただし、一番ベーシックなグレードでも機能が充実しているという観点では、モデルチェンジしたばかりのN-BOXの方が充実しているのは事実です。
グレードによって機能が異なるので注意
たとえばカギを取り出さなくてもドアを開閉できる機能を、ダイハツでは「キーフリーシステム」と呼んでいますが、一番手ごろな価格である「L」には搭載されていません。ホンダの「スマートキーシステム」はN-BOXの全グレードに搭載されています。
またパワースライドドアの性能もN-BOXの方が上です。N-BOX、タントともにパワースライドドアが一部グレードで標準装備ではない点は共通ですが、N-BOXのパワースライドドアはリモコンでも開閉できる機能も付いています。
N-BOXの一部グレードには助手席のスーパースライド機能も!
便利機能として、助手席を最大57cmスライドできるのがN-BOXの特徴です。後ろにスライドさせれば、後席右側のチャイルドシートに座っている子どもに手が届くため、世話がしやすくなります。また、助手席を前にスライドさせると大きな荷物を載せたり、後席はゆったり広々と座ることができます。
どちらも主要な安全性能を装備
子どもを乗せていると一層大事にしたいのが安全性能。いくら安全運転を心掛けていても、避けられない事故もあります。事故の被害者にも加害者にもならないために、安全性能が気になります。
タントを選ぶなら「スマートアシストIII」がついたものを
タントが搭載しているダイハツの安全装備「ダイハツスマートアシストIII」は、衝突回避支援ブレーキ機能、誤発進抑制制御機能、車線逸脱警報機能などを搭載しています。衝突回避支援ブレーキ機能は、クルマだけでなく歩行者にも対応できるようになっています。ただし、対応車種は一部グレードに限られますので気をつけましょう。
全タイプに標準装備しているのはN-BOX
一方N-BOXが搭載している「ホンダセンシング」も負けていません。衝突軽減ブレーキ、誤発進抑制機能、路外逸脱制御機能など、名前こそ違えどダイハツスマートアシストIIIと同じような機能を備えています。またアダプティブ・クルーズ・コントロールや車線維持支援システムなど、運転の負担を軽減することで事故予防に貢献する機能も備えています。
タントも、ほとんどのグレードに「ダイハツスマートアシストIII」が搭載されています。しかし「ほとんど」であり、全部ではないので注意が必要です。その点、ホンダのN-BOXは全タイプにホンダセンシングを標準装備しています。
ただしダイハツ「タント」は「スマートアシストIII」がないグレードも選べるようにしているとも考えられるため、一概にN-BOXの方が良いと判断するのではなく、価格も参考にしながら選ぶと良いでしょう。
軽自動車を選ぶなら、とにかく安全性が大事!と考えている方は安全装備比較表も抑えているこちらの記事も参考にしてみてください。
家計にやさしいのはタント
何かとお金がかかる子育て。少しでも節約したいという人が多いのではないでしょうか。そこで注目したいのが、クルマにかかるお金。特にグレードごとに差が出てくるのが、車両の代金と、維持費に影響する燃費です。
タントなら「スマートアシストⅢ」がついても120万円台
タントの主なモデルのメーカー希望小売価格は以下の通り。一番ベーシックなグレードなら、「スマートアシストIII」がついていても120万円台で購入できます。(※SA IIIと表記されているのが、スマートアシストIII搭載モデル)
L 2WD | 1,220,400円 |
L 4WD | 1,350,000円 |
L・SA Ⅲ 2WD | 1,285,200円 |
L・SA Ⅲ 4WD | 1,414,800円 |
X 2WD | 1,355,400円 |
X 4WD | 1,479,600円 |
X・SA Ⅲ 2WD | 1,420,200円 |
X・SA Ⅲ 4WD | 1,544,400円 |
X・ホワイトアクセントSA Ⅲ 2WD | 1,485,000円 |
X・ホワイトアクセントSA Ⅲ 4WD | 1,609,200円 |
G・SA Ⅲ 2WD | 1,533,600円 |
G・SA Ⅲ 4WD | 1,657,800円 |
Xターボ・SA Ⅲ 2WD | 1,501,200円 |
Xターボ・SA Ⅲ 4WD | 1,625,400円 |
N-BOXは130万円台後半から
それに対して、ホンダの「N-BOX」の場合は、一番ベーシックなグレードでも130万円台の後半からという展開です。またモデルチェンジされたばかりで、タントに比べると値引き交渉に応じてもらいにくい可能性があります。
G・Honda SENSING FF 2WD | 1,385,640円 |
G・Honda SENSING FF 4WD | 1,516,320円 |
G・L Honda SENSING FF 2WD | 1,499,040円 |
G・L Honda SENSING FF 4WD | 1,629,720円 |
G・L ターボ Honda SENSING FF 2WD | 1,695,600円 |
G・L ターボ Honda SENSING FF 4WD | 1,826,280円 |
G・EX Honda SENSING FF 2WD | 1,596,240円 |
G・EX Honda SENSING FF 4WD | 1,726,920円 |
G・EX ターボ Honda SENSING FF 2WD | 1,749,600円 |
G・EX ターボ Honda SENSING FF 4WD | 1,880,280円 |
燃費性能でもタントに軍配
また毎月の家計に響いてくる燃費という点でも、タントの方に軍配が上がります。タントの場合、最も燃費が良いモデルの場合はJC08モード燃費で28.0 km/Lという数字をマークしています。それもベースグレードではなく、2WDの多くのモデルでこの数値を出しています。
対するN-BOXは、ボディが重いこともあり、27.0km/Lとタントにわずかながら及ばず。ただし実燃費では大差ないともいわれており、よほど長距離を走る人でなければ、あまり気にしなくてもいいかもしれません。
まとめ
多くの点では、それほど大きな差がないダイハツ「タント」とホンダ「N-BOX」。安全性能や便利な機能といった点でN-BOXの方が少しスペックが上ですが、その分、お金がかかるのもN-BOX。少しでも節約をしたいという人はタントでも充分でしょう。
2018年にモデルチェンジが予想されているタントは、現行モデルの中古車も多く出回っています。新型N-BOXの中古車もまだ価格は高いですが徐々に増えてくるはずです。
「子どもの将来のために今は少しでも貯金を」と思う人は、中古のタントも検討の選択肢に入れることをおすすめします。
タントvsN-BOX!クルマ専門家の徹底比較記事はこちら
- Supervised by norico編集長 村田創
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中古車のガリバーに勤務して20年以上のベテランが車の知識をわかりやすく解説します。車のことは、多くのメーカーを横断して取り扱うガリバーにぜひ聞いてください。「車ってたのしい!」を感じてほしいと思っています!