国産SUV編

安全なクルマ ランキング2024

安全なSUV選びのポイント

SUVは車種が多く価格帯も幅が広い。高価格帯になれば、予防安全装備の充実度も比例する。そのため、今回は量販グレードの価格が600万円台以下でピックアップした。

SUVは車体が大きく重い上に、死角も多い。歩行者と衝突すれば重大な事故になりやすいので、予防安全装備をより重視すべき車種のひとつだ。

また、SUVは車種も多い。予防安全装備の開発は日進月歩なので、より直近で開発された車両が優位になる傾向がある。マイナーチェンジなどで予防安全装備がアップデートされている車種もあるので、じっくりと装備を比較したい。

なお、自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)は、現在販売されている多くの車種が標準装備している。

【自動ブレーキ標準装備の義務化タイミング】

国内販売の国産新型乗用車 2021年11月から
継続生産車 2025年12月以降から

安全なSUV TOP5

TOP.1

トヨタクラウンスポーツ

トヨタ クラウンスポーツ

新型のトヨタ クラウンスポーツは、2023年10月に登場した。発売直後から人気を博し、売れ筋のZグレードの納期は1年前後(2024年3月調べ)と非常に長くなっている。人気の理由には、スタイリッシュなデザインや低燃費性能、優れた安全装備が挙げられる。

クラウンスポーツには、最新のトヨタセーフティセンス(予防安全装備)が全車に標準装備されている。自動ブレーキの検知対象は、トップレベルだ。

  • 検知対象…車両、歩行者、自転車、自動二輪
  • 検知シーン…右折時の対向車、右左折時の対向歩行者・自転車

高級車らしく、使用頻度の高い機能も標準装備化されている。ブラインドスポットモニターは、車線変更時に衝突リスクがある場合、警報を発してくれる機能だ。この機能を使った安心降車アシストも安全性を向上している。停車時に開けたドアとの衝突リスクがあると判断すると警報を発してくれる機能だ。

クラウンスポーツは車両が大きいため、死角も多い。こうした死角による衝突リスクを軽減してくれる機能のひとつがパーキングサポートブレーキだ。バックで出庫時に衝突の危険があると警報を発し、それでも後退を続けると自動ブレーキが作動する。さらに、パノラミックビューモニターも標準装備だ。車両に装着されたカメラ映像を、まるで車体を上から見たような映像に変換。車両周辺の死角を無くし、小さな子供や物などにうっかり衝突リスクを軽減してくれる。

ドライバーの疲労軽減効果が高い運転支援機能も充実している。
アドバンストドライブ(渋滞時支援)は、全車標準装備している。高速道路で約40km/h以下の渋滞時一定の条件を満たすとハンズオフが可能となる機能だ。
さらに、PDA(プロアクティブドライビングアシスト)も標準装備している。前方の信号が赤で、アクセルがオフの状態であれば、先行車との安全な車間距離を維持しながら停止直前まで減速する(停止時はブレーキ操作が必要)。アクセルとブレーキの操作回数が激減し疲労軽減が可能だ。またPDAは、衝突リスクを先読みし、リスク軽減に貢献してくれる。路肩に駐車中の車両や、走行中の自転車や歩行者を検知。車両が近付かないようにステアリング操作をアシストするのだ。

トヨタセーフティセンスは、業界トップレベルの優れた予防安全装備といえる。この機能のほぼすべてを標準装備化し、どのグレードでも安心して買えることなどを評価してナンバー1とした。

TOP.2

マツダCX-60

マツダ CX-60

マツダCX-60は、2022年9月に登場した。CX-60は、ユニークな予防安全装備に加え、オプションをフル装備することで、トップレベルの予防安全性能を手に入れることができる。
自動ブレーキの検知対象は以下の通りだ。

  • 検知対象…歩行者、自転車、自動二輪
  • 検知シーン…右折時の対向車、右左折時の対向歩行者・自転車

こうした基本的な予防安全性能に加え、マツダ独自のDEA(ドライバー異常時対応システム)が、ほとんどのグレードで標準装備されている(一部グレードで装備不可、またはオプション)。
DEAは、ドライバーが病気などで突然クルマの運転ができなくなった場合、システムが車両を緊急停止させる機能だ。他社と異なるのは、高速道路でも一般道でも、全車速追従式クルーズコントロールを使っていなくてもDEAが作動する点である。運転中にドライバーが意識を失った際、クルマが暴走するリスクは非常に大きい。特に一般道の場合、暴走から起きる悲惨な巻き込み事故リスクを軽減できるメリットがある。

DEAが作動するまでの流れは以下の通りだ。

  1. ドライバー・モニタリングでドライバーを監視
  2. ドライバーの異常を検知
  3. ハザードの点滅を開始
  4. 乗員に、まもなく緊急停止することを知らせる
  5. 周囲に異常を知らせる(ハザード・ブレーキランプの点滅、ホーンを鳴らす)
  6. 車両を減速・停止
  7. ヘルプネットに自動接続し、救急・警察へ通報

特に高齢ドライバーには頼りになる安全装備といえるだろう。

使用頻度の高い、後側方車両接近警報や、後退時車両接近警報は全車標準装備されているので安心だ。

ただ、その他の安全装備に関しては、価格帯が約320~650万円とかなり幅が広いため、グレードによりオプション設定・装着不可であるケースが多い。XDハイブリッドとPHEVは、オプション装備の設定もなく十分な仕様となっているのでお勧めだ。

CX-60は、クラウンスポーツと同等レベルの優れた予防安全装備を持つ。しかし、一部グレードでオプション選択や装備不可があるため2位とした。

TOP.3

スバル
レヴォーグ レイバック&レガシィ アウトバック

スバル レヴォーグ レイバック&レガシィ アウトバック

スバル レヴォーグレイバックは、2023年10月に登場した。レヴォーグをベースとしたクラウンクロスオーバーモデルだ。レガシィ アウトバックは、2021年に登場している。この2台は、従来のステレオカメラに広角単眼カメラを加えた予防安全装備パッケージ「次世代アイサイト」を標準装備している。その他の安全装備も同等レベルだ。

自動ブレーキの検知対象は以下の通りだ。

  • 検知対象…車両、歩行者、自転車、自動二輪
  • 検知シーン…右折時の対向車両、右左折時の対向歩行者車・自転車

交差点での車両との出会いでの衝突なども含め、色々なシーンで衝突回避・被害軽減が可能になっている。

さらに、以下の機能は全車標準装備している。

  • 緊急時プリクラッシュステアリング・ドライバー異常時対応システム…衝突が避けられない状態で、周囲に回避スペースがある場合、回避方向にステアリング操作をサポート
  • 後側方警戒支援システム…車線変更時に隣接する車線にいる車両と衝突の危険がある場合、警報を発する
  • 後退時支援…バックで出庫時に、後方左右から接近する車両を検知し、衝突の危険がある場合警報を発する

衝突安全装備も標準装備化されているのが、レイバックとアウトバックの特徴だ。

  • 運転席ニーエアバッグ
  • 助手席シートクッションエアバッグ
  • 歩行者エアバッグ…万が一歩行者と衝突した場合、被害を軽減する

また、アイサイトXという運転支援機能を標準装備しており、高いレベルにある。高速道路で約50km/h以下になり一定条件を満たすと、ハンズオフでの走行が可能だ。実際に5分ほど使ってみると、かなり疲労軽減出来ることを実感するだろう。とくに、肩や腕周辺の緊張がなくなる印象だ。

多くの予防安全装備が標準装備化され、どのグレードを買っても安心できる部分を評価し3位とした。

TOP.4

トヨタクラウンクロスオーバー

トヨタ クラウンクロスオーバー

トヨタ クラウンクロスオーバーは、2022年9月にデビューした。予防安全装備は、最新世代「トヨタセーフティセンス」を全車標準装備している。

自動ブレーキの検知対象は多く、トップレベルの実力をもつ。

  • 検知対象…車両、歩行者、自転車、自動二輪

ブラインドスポットモニターは、車線変更時に隣接する車両を検知し、衝突の危険がある場合、警報を発する機能だ。7グレード中5グレードが標準装備。2グレードがオプション設定と、高級車としては少々物足りなさを感じる。
ブラインドスポットモニターの機能を使い、降車時に接近する車両や自転車などを検知し衝突の危険がある場合、警報を発する安心降車アシストも用意されている。

以下の機能は、最上級グレードのRSとRSアドバンストのみオプション装備が可能。他のグレードには装備ができない。

  • 緊急時操舵支援
  • フロントクロストラフィックアラート
  • レーンチェンジアシスト
  • アドバンスト ドライブ(渋滞時支援)…高速道路上などでの渋滞時(約40km/h以下)で、ハンズオフが可能となる

クラウンクロスオーバーは、グレードやオプション選択により安全性能が異なるのが惜しい。ブラインドスポットモニターなど、ベーシックな予防安全装備がオプションになっているグレードは、オプション選択が必須だ。

予防安全性能面では高いレベルにあるが、ベーシックな装備がオプション設定になっていることもあり4位とした。

TOP.5

スバルクロストレック

スバル クロストレック

スバル クロストレックは、2022年9月に登場した新型車だ。XVの後継モデルで、車名を北米などで使われている名称と統一した。

従来、スバルはステレオカメラを使った予防安全装備「アイサイト」を採用していた。しかしクロストレックにはさらなる進化のため、ステレオカメラに単眼広角カメラをプラスし、大幅に予防安全性能を高めている。

自動ブレーキの検知対象は以下の通りだ。衝突の回避・被害軽減が可能となっている。

  • 検知対象…車両、歩行者、自転車、自動二輪
  • 検知シーン…右折時の対向車両、右左折時の対向歩行者、自転車

その他、標準装備されている機能は以下の通りだ。

  • 緊急時プリクラッシュステアリング、ドライバー異常時対応システム…衝突が避けられない状態で、周囲に回避スペースがある場合、回避方向にステアリング操作をサポート
  • 後側方警戒支援システム…隣接する車線にいる車両と衝突リスクが高い場合、警報を発する
  • 後退時支援…バックで出庫時に、後方左右から接近する車両を検知し、衝突の危険がある場合警報を発する

ただし、エントリーグレードでは、以下の機能がオプション設定になっている。

  • デジタルマルチビューモニター…カメラの映像で死角を無くしうっかり衝突リスクを下げる
  • アイサイトX…エアバッグが展開するような事故の場合、コールセンターへ自動接続し警察や救急に通報してくれるまた、高速道路などでの渋滞時にハンズオフが可能になる

衝突安全面も充実しており、以下の機能が標準装備されている。

  • 運転席ニーエアバッグ
  • 助手席シートクッションエアバッグ
  • 歩行者エアバッグ…衝突した歩行者の被害を軽減する

クロストレックは、高機能からベーシックな予防安全装備が、ほぼ標準装備されている点が高評価のポイントだ。価格が重視されるコンパクトクラスにおいて、充実した予防安全装備が標準装備化されていることを評価し5位とした。

まとめ

空前のSUVブームということもあり、新しくデビューしたモデルは非常に高いレベルの予防安全装備を有する。他のカテゴリーでランクインしたのは、最新のトヨタセーフティセンスを装備したトヨタ車ばかりだった。しかしSUVカテゴリーではスバルやマツダが大躍進を遂げている。マツダとスバルは、SUV系の車種が多いメーカーだ。予防安全技術が他のモデルへと展開されれば、トヨタも予断を許さない状況になり、国産車全体のの予防安全技術がさらに進化するだろう。

トヨタも数多くのSUVを有しているが、人気のハリアーやRAV4といったモデルが安全なクルマランキングの上位に入らないのには訳がある。最新のトヨタセーフティセンスが登場する前にデビューしたモデルなので、現在は1世代前のトヨタセーフティセンスが装備されているからだ。こうしたモデルが最新のトヨタセーフティセンスにアップデートされれば、確実に上位にランクインするだろう。

SUVで必ず装備したい予防安全装備は以下の通りだ。

  • カメラの映像を加工し死角を無くす機能(パノラミックビューモニターなど)
  • 後側方車両接近警報
  • 後退時車両接近警報

メーカーによって呼び名は変わるが、車体が大きく死角が多いSUVには必須装備といえる。

安全装備比較表

  • …全車標準装備
  • …一部標準装備または一部オプション
  • ×…標準装備なし
トヨタクラウンスポーツ マツダCX-60 スバルレヴォーグレイバック&レガシィアウトバック トヨタクラウンクロスオーバー スバルクロストレック
衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)検知対象

車両、歩行者、自転車、自動二輪車

車両、歩行者、自転車、自動二輪車

車両、歩行者、自転車、自動二輪車

車両、歩行者、自転車、自動二輪車

車両、歩行者、自転車、自動二輪車

踏み間違い衝突防止アシスト

サイドエアバック


*運転席ニーエアバッグ


*運転席ニーエアバッグ


*運転席ニーエアバッグ+助手席シートクッションエアバッグ


*運転席ニーエアバッグ


*運転席ニーエアバッグ+助手席シートクッションエアバッグ
カーテンエアバッグ


*歩行者エアバッグもあり


*歩行者エアバッグもあり
車線逸脱警報

車線維持支援

後側方車両検知警報


*安心降車アシスト付き


*一部グレードを除き降車時警告機能付き


*安心降車アシスト付き。一部グレードオプション

後退時後方車両接近警報


*ブレーキ制御付き

オートマチックハイビーム

ドライバー異常時警報システム

SOSコール(ヘルプネットなど)


*一部グレードオプション
JNCAP

★★★★★


(2023年)

★★★★★


(2023年)

★★★★★


(2021年アウトバック)

★★★★★


(2023年)

★★★★★


(2023年)

※安全装備の詳細は各車メーカー公式サイトをご確認ください。

その他のボディタイプ別安全なクルマランキング

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