フロントガラスの油膜は、運転時に前方の視界を妨げる要因のひとつです。
「油膜ってそもそもそも何?」「取れるの?対策はあるの?」そんな疑問点について、現役整備士がわかりやすく解説します。
フロントガラスの油膜と影響について
フロントガラスに油膜がつくことで、安全運転に支障をきたすことがあります。
くわしく解説しましょう。
油膜とは
油膜はその名のとおり、油分がガラス表面に付着することです。
ガラスに油分のあるものをわざわざこぼしたりしなくても、付着することがあります。
空気中の油分が社内に入り込んだりすると経年によってフロントガラスの内側にも油膜が生じます。
油膜がつくとどうなる?
油分は光が当たるとメラメラとギラついたりします。
特に夜間の雨の日は顕著に影響を受けます。
対向車のヘッドライトや街の灯りが油膜により乱反射により、著しく視界が悪化し、安全運転に支障をきたす恐れがあります。
また、ワイパーゴムの早期劣化やビビり等にもつながることがあります。
油膜がつく原因
身に覚えがないのに、気付くと付着しているフロントガラス外側の油膜。その原因は大きく2つ考えられます。
大気中の油分のある空気、水による付着
大気中には目に見えないさまざまな成分が含まれています。
分かりやすいものだと、車の排気ガスや工場から出る煙などが挙げられます。
また、路面の水溜りの水を跳ねてガラスに付着するといったことも考えられます。
このように車の使用環境によって、日常的に自然とフロントガラスに油分が付着する要因がたくさんあります。
ボディのワックスによるもの
ボディ(ルーフ)に施工したワックスの成分が、雨で一緒に流れ出してフロントガラスに付着することで、油膜が付着することがあります。
また、ガラスの撥水・親水コーティング剤を過度に塗り込んだり、劣化することで油膜の原因になることもあります。
フロントガラスの油膜取りおすすめグッズ3選
自分で油膜取りをしたいと考えている方におすすめの油膜取りグッズを、いくつか紹介します。
セルフで出来るおすすめ3選
- 【手軽に油膜取り】クロスで拭き取り
クロスで拭きあげるだけで油膜が取れる商品があります。
素人でも手軽に油膜除去できるので、おすすめです。
クロスにはあらかじめ、油膜を浮かす成分と研磨剤が含まれています。 - 【洗車ついでに施工がおすすめ】液体コンパウンドを塗り込む
ガラスの汚れを水で洗い流したのちに、スポンジにつけた液体コンパウンドを塗り込むことで油膜を除去します。
弾いていたガラス表面の水が、弾かなくなるまでしっかり塗り込むのがポイント。
目視で油膜除去できたか否か確認しやすいので、確実にしっかり除去したい方におすすめです。
以下の商品は、車系SNSの中で人気ランキング1位を獲得するなど、多くのユーザーに支持されているものです。 - 【プロ向け】業者も愛用する液体コンパウンド
油膜除去剤は一般的に、液体コンパウンドが多いですが、非常に多くの商品があるので選ぶのが難しいでしょう。
なかには、「ガラスよりも硬いコンパウンド」を謳った除去剤もあります。
かなり強力なので、知識がないままにやみくもに施工すると、逆にガラスに傷を付けてしまうこともあります。
こうした特徴を理解し、スキルのある人が使えば非常に効果的な油膜除去剤です。
【補足】ウーロン茶や食器用洗剤の代用でもいいの?
一部で話題のウーロン茶や食器用洗剤といった、代用品での油膜除去はどうなのでしょうか。
さまざまな検証動画やコラムがあり、その内容や結果もさまざまです。
なかには、多少なりとも効果の感じるものがあるかもしれません。
しかし、あくまで出先で応急での使用に限り「油膜がマシになればラッキー」程度で考えておくのがよいでしょう。
きちんと、油膜を対処したい場合はカー用品店で油膜除去剤が数百円で購入できます。
大きな負担ではないので、確実に専用品を使用することをおすすめします。
油膜の取り方
油膜の取り方や確認の手順を簡単に解説します。
ここでは油膜除去剤に使われることの多い「液体コンパウンドタイプ」の使用を前提にします。
油膜の落とし方
- まずは普段、洗車する時と同じ手順で構わないので、フロントガラスの汚れを洗い流します。
水分を拭き取るか、ある程度そのままで良いのかは使用する除去剤の施工方法を参考にします。 - 油膜除去剤は付けすぎる必要はありません。適量をスポンジに取って、塗り伸ばします。より丁寧に施工する場合、ガラスの周囲をマスキングテープを使用して養生します。
- 油膜が付着している状態だと、ガラス表面の水分が弾きます。水分が弾かなくなるまで油膜除去剤を塗り込みます。
- 水でしっかりと洗い流します。必要に応じて油分の入っていない綺麗なタオルやウエスを使用して、ガラスに残った油膜除去剤を洗い流します。
- ボディやカウルグリルの樹脂に油膜除去剤が付着したままだと、乾いた後にシミになるのでたっぷり水をかけてガラス以外の部分もしっかりと洗い流します。
フロントガラスの内側も忘れずに清掃しよう
油膜取りがしっかりとできたか確認するうえでとても重要なのが、フロントガラス内側も清掃してきれいになっているかです。
いくらフロントガラスの油膜をきれいにしても、雨の日のギラつきが直らない…という声は割と聞かれます。
その場合に車を点検すると、内窓が汚れていることが意外と多いです。
内窓は乾いたきれいなタオルで拭きあげます。
汚れがしつこい場合は、ガラスクリーナーを使用したり濡らして硬く絞ったタオルを使って拭きます。
しかし、その場合も最終的には乾いたきれいなタオルでムラなく拭きあげるのがポイントです。
油膜をつきにくくする方法
自然に付着するフロントガラスの油膜をつきにくくする方法として、フロントガラス用の撥水コーティングを施工することが最も有効な手段です。
撥水コーティングをするための商品がカー用品店で多く販売されていますが、ガラス面の下処理の精度が9割と言っても過言ではありません。
DIYで実施するときは注意しましょう。
また、車はガレージの中に駐車する、工業地帯や線路の近くといった、大気の汚れているところに長時間車を停めないことも予防策のひとつです。
ウロコと油膜の見分け方
ウロコは、窓ガラスをきれいに拭いて汚れが付着していない乾いた状態でも、目で見てはっきりと分かります。
文字通り魚のウロコのような見た目でガラス表面に付着していて、白っぽくなっており目立つことが多いです。
一方で油膜は、乾いた状態で付着の有無を判断するのは困難です。
水に濡らすとギラついた状態になるのが油膜です。
油膜よりガンコなウロコの取り方
ウロコの除去は非常に難しいです。
一般ユーザーが手持ちの洗車用品などを使って取ることは困難です。
タオルなどで力強くこすっても取れません。
整備士としては、ウロコをしっかり取りたい場合は行きつけの整備工場に相談したり、専門の業者にウロコ除去を依頼することをおすすめします。
油膜取りについて整備士のまとめ
日頃から目に付くフロントガラスに油膜が付着していると非常に気になります。
ただでさえ視界の悪い雨の日の夜に、視界を妨げられるとなると危険も伴うので、早めに確実な対処をすることをおすすめします。
油膜はもちろんのこと、ウロコも付着していると素人が簡単に除去するのは難しいです。
施工後の効果の持続も踏まえて、しつこい汚れは専門業者や整備工場に依頼するとよいでしょう。
- Supervised by 整備士 ヒロ
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保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。