
エンジンオイルの交換は、YouTubeでユーザーによるエンジンオイル交換の実践動画が公開されていたり、作業に必要な道具が気軽に購入できるようになったりしたことで、自分でしてみたいという方も増えています。
ただ、エンジンオイルの交換で気を付けて欲しいことの一つとして廃油(エンジンオイル)処理をどうするかという問題があります。
今回はエンジンオイルの捨て方について現役の整備士が解説していきます。
- エンジンオイルの主な処理方法
- エンジンオイルの処理でしてはいけないこと
- 廃油ボックスを使ってエンジンオイルを処理する手順
- 【補足1】新聞紙を使ってエンジンオイルを捨てる時の注意点
- 【補足2】エンジンオイルの缶の捨て方
- 【補足3】業者でエンジンオイルを交換する場合の費用の目安
- 整備士のまとめ
エンジンオイルの主な処理方法
エンジンオイルはなんの知識もなくむやみに廃棄してはいけません。
エンジンオイルの処理方法には、ケースバイケースでいくつかのパターンがあるので紹介します。
廃油処理ボックスを使用する
DIYでエンジンオイルの交換をおこなう場合には、市販の「廃油(オイル)処理ボックス」を使用するのが便利です。
ボックスの中にはオイルが漏れないように袋があり、その中にコットンなど吸油性の高い素材が詰められています。
エンジンオイルを廃油処理ボックスに吸わせることで、家庭用ゴミとして廃棄できるケースがあります。
ただし、これについては自治体によって対応が異なります。
事前にお住まいの自治体に問い合わせ、廃油処理ボックス使用の可否を確認しておきましょう。
古紙(新聞紙)やボロ布に吸わせる
古紙やボロ布にエンジンオイルを吸わせれば、燃えるゴミとして廃棄のできる自治体があります。 いわゆる、自作の廃油処理ボックスのようなものです。 廃油処理ボックスと同様で、自治体によっては廃棄ができないところもあるので注意しましょう。
整備工場やガソリンスタンドで引き取ってもらう
自動車整備をおこなう工場には廃油タンクがあるはずです。
整備工場やガソリンスタンドにエンジンオイルを持ち込んで引き取ってもらうのもひとつの方法です。わたしたち自動車整備士が働く整備工場で排出される油脂類は、それぞれに合った分別により廃油タンクやドラム缶などに廃棄されます。ある程度溜まると、廃油処理専門の業者さんに回収してもらっています。エンジンオイルもこれに当てはまります。
ただし、どこでも対応してくれるというわけではなく、場合によっては費用が掛かるケースもあります。
また、ガソリンスタンドでもエンジンオイル交換等の整備事業をおこなっていないところだと、そもそも廃油タンクを設置しておらず、引き取り不可の可能性もあります。
都合よく廃油の引き取りだけ依頼してくるような一見さんはお断り、という工場もあるでしょう。
エンジンオイルの処理でしてはいけないこと
エンジンオイルは石油製品であることから、不法投棄が固く禁じられています。
万が一、廃棄するようなことがあれば廃棄物処理法違反となり、懲役刑や罰金刑が科せられる犯罪です(5年以下の懲役、または1,000万円以下の罰金
)。
また、水で分解されにくいオイルの不法投棄は深刻な水質汚染や土壌汚染に繋がるおそれもあるので、エンジンオイルをなにも考えずに排水溝や河川に流したり、空き地や私有地を問わず山林、土の中に埋めたりすることは断じて許されるものではありません。
焼却処分することも、同様に廃棄物処理法違反となるため絶対NGの行為です。
廃油ボックスを使ってエンジンオイルを処理する手順
DIYでエンジンオイルを交換するのであれば、廃油処理ボックスを使うのが、準備も後処理も楽なのでおすすめです。(廃油処理ボックスの廃棄がOKな自治体の場合)
エンジンオイルを処理する手順について2通りの方法を紹介します。
オイルパンのドレンよりオイルを抜く場合
- 必要に応じて車をジャッキアップし、リジッドラックと輪止めを使用のうえで安全に配慮して作業スペースを確保する
- 必要に応じてアンダーカバーを取り外す
- 廃油処理ボックスを開封する
- パーツクリーナー、ウエス、工具を用意する
- オイルパンの下に廃油処理ボックスを置いて、エンジンオイルを受け取る用意をする。ドレンプラグを緩めてエンジンオイルを排出する。
※エンジンオイルが排出の勢いで飛び散るおそれもあるので、廃油処理ボックスの下にブルーシートを敷いたり、廃油処理ボックスの周りにウエスを置いておくことをおすすめします。 - エンジンオイルの排出が終わったらドレンガスケットを交換して、ドレンプラグを規定トルクで締め付ける
- 廃油処理ボックスのビニール袋の口を(付属の)結束バンド等を使用し、しっかりと閉じる
- 廃油処理ボックスの箱の蓋もしっかりと閉じる
- 廃油処理ボックスを各自治体の指示・ルールに従って廃棄する
市販のオイルチェンジャーを使用してオイル交換する場合
※オイルチェンジャーによる上抜きに対応していないエンジンもあるので注意が必要です
- 取扱説明書の手順に従い、オイルチェンジャーを使用してエンジンオイルを上抜きする
- 用意したオイル処理ボックスに抜いたエンジンオイルを移す
- 廃油処理ボックスのビニール袋の口を(付属の)結束バンド等を使用し、しっかりと閉じる
- 廃油処理ボックスの箱の蓋もしっかりと閉じる
- 廃油処理ボックスを各自治体の指示・ルールに従って廃棄する
【補足1】新聞紙を使ってエンジンオイルを捨てる時の注意点
新聞紙を使ってエンジンオイルを捨てる人もいますが、新聞紙はエンジンオイルを吸うというよりは表面に付着するという表現のほうが適切です。
よって、車のエンジンオイルの廃油を捨てるときに使うとなると、大量の新聞紙が必要になります。新聞紙よりもキッチンペーパーや料理用の油吸着材などで代用するほうが現実的でしょう。
それらも含めて、新聞紙にエンジンオイルを吸わせて廃棄する場合には以下の点に注意しましょう。
- オイルを吸わせた新聞紙などは大きくて丈夫なビニール袋に入れる
- 汚れ対策のため、及び大量の新聞紙を廃棄することになるのを考慮して、最低でも45L〜のビニール袋を複数枚用意するのがおすすめ
- 場合によってはビニール袋を二重三重にして、破れないように万が一に備える
- 廃棄後は結束バンドなどを使用して、ビニール袋の口を確実に閉じる
- エンジンオイルを抜き取るときに、廃油処理ボックスと同じように直接受け止って吸わせたい場合には、大量の新聞紙やキッチンペーパー等を投入したビニール袋をかならず、別売のオイル受け皿やトレーなどの頑丈なものに設置したうえで作業する
これらの購入の手間や準備、費用を考慮すると廃油処理ボックスを用意するほうが手軽で確実です。
【補足2】エンジンオイルの缶の捨て方
エンジンオイルが入っていた容器の捨て方もエンジンオイルと同様に自治体によって異なります。
間違わずに確実に廃棄する場合には、まずお住まいの自治体に問い合わせすることをおすすめします。
容器が金属製の缶タイプは「燃えないゴミ」、プラスチック製のタイプは「燃えるゴミ」として捨てるのが一般的でしょう。(わたしの住んでいる自治体⦅政令指定都市⦆もこのケース)
ただし、パーツクリーナーなどを使用して缶に付着したエンジンオイルを確実に洗浄して綺麗にできる場合は、金属製の容器は資源ゴミや金属ゴミ、プラスチック製の容器はプラスチックゴミとして廃棄できる可能性もあります。
洗浄の際、オイルを含んだパーツクリーナーの洗浄液はエンジンオイルと同様として扱い、適切に廃棄してください。
また、どうしてもお住まいの自治体での回収・廃棄が困難な場合には、整備工場に相談してみましょう。
【補足3】業者でエンジンオイルを交換する場合の費用の目安
エンジンオイルの交換は、ほとんどのひとがディーラーや町の整備工場、整備工場併設のカー用品店やガソリンスタンドなどの業者に依頼しておこなっています。
その場合にかかる費用は以下の要素により大きく異なります。
- 車種
- 搭載しているエンジンの種類
- 使用するエンジンオイルの種類
- 交換工賃
軽自動車であれば費用の目安は4,000円〜10,000円程度です。(※オイルフィルター交換を含まない)
普通乗用車だと価格帯はかなり幅広くなりますが、一般的な国産の大衆車・コンパクトカークラスであれば5,000円〜15,000円程度がボリュームゾーンでしょう。(※オイルフィルター交換を含まない)
整備士のまとめ
昨今の物価高の影響もあり、エンジンオイルの交換を自分でやってみたいと考える方も少なくありません。
もっとも頭を悩ませることのひとつが、抜き取ったオイルの処分問題でしょう。
エンジンオイルは産業廃棄物となるので、扱いと廃棄方法には注意点が多くあります。
その点をしっかりと理解しつつ、自治体によって処分できるか否か対応が異なるので確実に事前確認しておきましょう。
廃油処理ボックスが家庭用ゴミで廃棄できない場合には一度、普段お世話になっている整備工場やガソリンスタンドなどに相談してみてもよいでしょう。
- Supervised by 整備士 ヒロ
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保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。
