
ジャダー現象は、車に特定の異常が発生しているときに起きる現象です。車に大きな振動が伝わるので、運転していて不安を覚えるほどです。
ジャダー現象はなぜ発生するのか、その対策法やジャダー現象の発生が多く報告されている車種の紹介をします。
ジャダー現象が疑われる車の不具合の例
ジャダー現象が疑われる不具合には「発進時」や「ブレーキ時」といった、パターンがあります。
発進時のジャダー現象
停車状態からアクセルを踏んで発進するときに、ジャダー現象が発生することがあります。
車体全体で「ガガガガッッッ…」「ダダダダッッッ…」と大きく不快な振動を感じます。
ある程度の速度が出るとジャダー現象は消えます。
また、発進時にジャダー現象が発生する速度域と同じ速度での走行でも、一度ジャダーが収まった後や減速時には発生しないことがほとんどです。
ブレーキ時のジャダー現象
ブレーキを踏んで減速するときに、ジャダー現象が発生することがあります。
ステアリングとブレーキペダルに振動が伝わります。
はじめは小刻みな振動ですが、酷くなると不安を感じるほどに大きな振動が発生します。
ブレーキペダルから足を離すとジャダーは止まります。
ジャダー現象が起こる原因
ジャダー現象が起こる原因は「CVT内部の滑り」や「ブレーキローターの歪み」、「クラッチの摩耗」などが挙げられます。不具合の発生シーンごとに考えられる原因は異なるので各シーンに分けて解説します。
発進時にジャダーが起こる原因
駆動系統に原因があるジャダー現象は、発進時にジャダーが起きることが多いですが、いくつかの原因が考えられます。
車によって該当するものとそうでないものがあります。
CVT内部の滑り
発進時のジャダー現象の多くは、CVTの内部にある動力を伝達する役割を持つ部品が、滑りを起こすことで発生しています。
クラッチ板の滑りによるものや、変速機構であるベルトが滑るものなど、車種によって内部構造が異なるのでいくつかのパターンがあります。
クラッチの摩耗(MT車)
MT車のクラッチは消耗品です。クラッチの摩耗状態によっては、発進時にクラッチが繋がるタイミングで、スムーズな動力伝達ができずにジャダーが発生することがあります。
クラッチが極端に摩耗が進んでいるか、偏摩耗していることが考えられます。
タイヤの空転
劣化や摩耗によってグリップ力の落ちたタイヤだと、発進時に強くアクセルを踏み込んだときにタイヤが路面に対して十分グリップできずに空転(滑る)することがあります。
これが振動となってジャダーの発生につながります。
走行中のジャダー
可能性としてはかなり少ないケースですが、デファレンシャルやミッション内部のギヤの損傷が原因でジャダーが発生することがあります。
この場合、発進時に限らず走行中や特定のギヤやポジションのときにジャダーが発生することが考えられます。
またMT車の場合、速度が低速なのに不適切な高速ギヤを使用して走っていると、車体全体が大きく振動します。
適切なギヤを使用して走行するようにしましょう。
ブレーキジャダーの原因
ブレーキ時のジャダー現象は、ブレーキパッドに挟まれたブレーキローター(ディスクローター)の振れに起因します。
振れ幅が大きくなると、その振動がブレーキジャダーにつながります。
ブレーキローターの振れが大きくなる原因としては、以下のようなものが考えられます。
- ブレーキローターの歪み
- ブレーキローターの厚みが不均一
さらに原因の深掘りをします。
ブレーキローターに歪みが発生する原因は、「使用による経年劣化」または「ブレーキシステムに許容限度を超えるような過大な熱が加わる」が考えられます。
ただ、「過大な熱が加わるようなシチュエーション」だと、フェード現象やペーパロック現象と呼ばれるブレーキの効き不良が発生していることも考えられます。そのため、一般的な車の使用方法であればこれに該当するケースは少ないでしょう。
また、ブレーキローターの厚みが不均一になる理由としては以下のようなものがあります。
- ブレーキキャリパーの性能劣化
- ブレーキローターの錆・腐食
これらに起因するブレーキジャダーは、塩害を受ける地域に多く見受けられます。
塩害による過大な錆の発生は、ブレーキローターの錆や腐食の進行を早めるのはもちろんのこと、ブレーキキャリパーの引きずりなどの原因にもなり得ます。
ジャダー現象の対策と直し方
ジャダーが発生したとき、運転の方法でジャダー対策ができるケースがあります。
また原因ごとの直し方について解説します。
CVTが滑ったときの対策と直し方
CVTが滑ってジャダーが発生しているときの対策として、CVTフルードの交換や添加剤の注入をおすすめします。ただし、いずれも長年フルード交換を怠ってきたようなメンテナンス状況が好ましくない車や、過走行車には逆効果となって状況が悪化するリスクがあるので注意が必要です。
また、これらの対策を試してもジャダーが直らない場合、最終的にはCVT本体の修理や交換が必要となります。
ジャダーの出にくい運転を心掛ける
CVT内部の滑りによる発進時のジャダーは、アクセルの踏み加減を優しく少しずつ踏み込んでいくような運転を心掛けることで、ジャダーを出さないようにできるケースがあります。
わたしの友人が乗っていた初代フィットも、まさにこの方法でジャダー対策していました。
CVTフルードの交換とクラッチのすり合わせをおこなう
CVTの滑りはCVTフルードの劣化や汚れ、CVT内部のクラッチ表面のスラッジ蓄積や荒れにより発生します。
それらの要因を取り除くためにも、まずは根本となるCVTフルードを交換することでジャダーが大きく低減されることがあります。
なおかつ、クラッチのすり合わせ(学習)をおこなうことで、より確実なジャダー対策ができます。
CVTフルードに添加剤を注入する
CVTフルードの交換とクラッチのすり合わせをしたのにジャダーが解消しないときは、専用の添加剤を注入することで、CVT内部に溜まったスラッジ等の洗浄効果を高めることができます。
添加剤には、クラッチ摩耗防止の効果もあるので、不具合が発生していない車のメンテナンスにも有効です。
CVTのコントロールバルブボデーを交換する
日産のCVT車の不具合の場合、ジャダーの対策済ソフトウェアにコンピューターを書き換える方法が取られることがありますが、それでも改善しない場合にはCVTの油圧制御をおこなっている「コントロールバルブボデー」と呼ばれる部品を交換することで、ジャダーの解消が見込まれます。
クラッチが滑ったときの対策と直し方(MT車)
MT車で正しい運転操作をしているのにジャダーが発生している場合には、まずクラッチのオーバーホールが必要と考えられます。
基本的には以下の部品を交換します。
- クラッチディスク
- クラッチカバー
- クラッチレリーズベアリグ
ほとんどの場合でこの作業を実施すればジャダーの解消が見込めますが、稀にクラッチレリーズシリンダーやクラッチフォークの不良といった、そのほかの場所が原因のこともあるので、クラッチオーバーホール作業と合わせて点検をしてもらいましよう。
タイヤの空転によるジャダーの直し方と対策
タイヤの摩耗状態や劣化具合を点検します。残り溝が少ないとグリップ力が低下するのはもちろんですが、製造年の古いタイヤはゴムが経年劣化により硬化することで、残り溝が十分にあってもグリップ力が大きく低下している可能性もあります。
よって、タイヤを新しいものに交換することでジャダーが解消するはずです。
タイヤに問題がなくても、発進時に急なアクセル操作をするとタイヤが空転してしまう車種もあるので、その場合は対策として丁寧な運転を心掛けるようにしましょう。
ブレーキジャダーの直し方と対策
ブレーキジャダーの原因のほとんどがブレーキローターの振れによるものです。そのため、ブレーキローターの研磨または交換が必要です。
ローターの摩耗が多い場合は研磨が不可能なので、交換が必須となります。
ブレーキの引きずりが原因の一つとなる場合には、ブレーキキャリパーの交換またはオーバーホールが必要です。
ブレーキジャダーを直すときは、影響を受けているブレーキパッドの交換もセットでおこなうことが望ましいです。
ブレーキジャダーを予防する対策として、特に塩害地域では錆の発生を防ぐために、こまめにブレーキ廻りを洗い流すことが大切です。
高圧洗浄機があれば好ましいですが、無ければホースを使って水で洗い流すだけでも一定の効果はあります。
CVT車などジャダー現象が起こりやすい車はある?
ジャダー現象が起こりやすい車はあります。特にすこし古いホンダ車や日産の特定車種に多く見られ、いずれもトランスミッションがCVTのものです。(フィット、エアウェイブ、モビリオ、インサイト、セレナなど…)
中には、ほぼ確実にジャダーが発生すると言われている車種もあります。
メーカーも当然ながら状況を把握しており、対策のためのリコールを実施したこともありますが、車の根本の設計上の問題もあるため結果的に完治に至らないケースもあります。
実際にわたしの友人が乗っていた初代フィットも、CVTに関わるリコールや修理を実施して、その直後はジャダーが収まっていたものの再発…というのを何度か繰り返していました。
ジャダー現象が報告されている車は、旧型モデルの車で発売なら年数の経った車が中心なので、中古車購入を検討している方は注意が必要です。
また、スズキ ジムニーについて調べるとジャダー現象が合わせて出てくることがありますが、この後解説するシミー現象と混同されて解説されているケースがほとんどです。
【補足】ジャダー現象とシミー現象の違い
ジャダー現象とシミー現象はいずれも車体やステアリングの振動を伴うことから混同されがちですが、そもそも現象の発生原因が異なります。
特にシミー現象をジャダー現象と誤った解釈をするケースが多いです。
ジャダー現象は駆動の伝達がうまくできない場合や、ブレーキング時に発生します。
一方でシミー現象は、特にサスペンションの構造上の問題などから、走行中に受けた振動や衝撃をきっかけにタイヤの回転がアンバランスを起こして振動が発生します。
整備士のまとめ
不具合を伴うジャダー現象の原因は「CVT内部の滑り」「ブレーキローターの振れ」の大きく2つのいずれかに分けられることがほとんどです。
CVTに起因する不具合は修理費用が高額になるケースもあるので、場合によっては乗り換えを検討することもおすすめします。
CVTジャダーを起こしやすい車はたしかにありますが、軽自動車やトヨタの車でも発生事例はあるので、どんな車にも起こりうる不具合です。
ジャダーが気になる方は早めに整備工場で診断のうえ原因の特定、修理をしてもらいましょう。
- Supervised by 整備士 ヒロ
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保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。
