ブレーキクリーニングは必要?費用や頻度について整備士が解説

ブレーキクリーニングは必要?費用や頻度について整備士が解説

ブレーキクリーニングは、車のブレーキに関連するメンテナンスのひとつです。
具体的にどんなことをしているのか、その必要性やメリットについてよく分からないという方も多いでしょう。
ブレーキクリーニングに関する疑問について現役の整備士が解説します。

ブレーキクリーニングとは?

ブレーキクリーニングは、「ブレーキキャリパー」「ブレーキパッド」「ドラムブレーキ」を洗浄・清掃、必要に応じて給油することです。
基本的には、車検や12ヶ月点検に際して実施するブレーキメンテナンスのひとつです。

ブレーキキャリパーのクリーニング

ブレーキキャリパーのクリーニングは主に以下のことをおこないます。

  • ブレーキダストの清掃
  • スライドピンの清掃、グリス塗布(浮動式キャリパーの場合)
  • 金具の清掃、状況に応じてグリス塗布(キャリパーによってあるものと無いものがある)

ブレーキは使用に伴ってパッドとローターが摩耗するので、ブレーキダストが発生します。
キャリパーに付着したブレーキダストの清掃をおこないます。
浮動式キャリパーの場合は、キャリパーが左右に動くためにスライドピンと呼ばれる部品があります。スライドピンはブーツによって保護されており、グリスが塗布されています。
古いグリスを清掃した後に、新しいラバーグリス(シリコングリス)を塗布します。
また、キャリパーに取り付けられている各金具類に付着したブレーキダストやグリス類も清掃し,必要な場合はグリスを塗布します。

ブレーキパッドのクリーニング

ブレーキパッドのクリーニングは主に以下のことをおこないます。

  • ブレーキダストの清掃
  • シムの清掃、グリス塗布(パッドによってシムの有無あり)
  • 必要に応じてパッドの面取り

ブレーキキャリパーのクリーニングに合わせて、ブレーキパッドに付着したブレーキダストの清掃もおこないます。
パッドに(鳴き止め用)シムが取り付けられている場合は、シムに付着したブレーキダストやグリスを清掃して、必要な箇所に新しいグリスを塗布します。(高粘度シリコン系グリス推奨)
シムやパッドの種類によっては、グリスの塗布は不要と指定されているものもあるので注意しましょう。
パッドの当たりが悪かったり、ブレーキ鳴きがあるときは、必要に応じてパッドの面取りもおこないます。

ドラムブレーキのクリーニング

ドラムブレーキのクリーニングは主に以下のことをおこないます。

  • ブレーキダストの清掃
  • バックプレート等、各所に塗布した古いグリスの清掃
  • シューとドラムの隙間調整

ドラムブレーキの場合、まずドラムカバーを取り外します。
分解を伴うため、この整備は「特定整備」にあたります。
外したドラムカバー側と、車体側のブレーキシステム側に付着したブレーキダストおよび、各所に塗布された古いグリスを洗浄・清掃します。
その後、ブレーキシューとバックプレートが接触する部分や、そのほか摺動部分に専用のグリスを塗布します。
必要に応じてブレーキシューの調整をおこなうことで、適切なブレーキ調整も実施します。

ブレーキクリーニングをするメリット

ブレーキクリーニングをするメリットをまとめました。

  • ブレーキ各所の状態を確認できる(良否判定できる)
  • ブレーキパッド、ブレーキシューの残量の確認ができる
  • 清掃するのでブレーキ部品がきれいになる
  • ブレーキ鳴きを軽減できることがある

ブレーキ各所の状態や残量の確認ができる点はブレーキクリーニングをする大きなメリットです。
たとえば、キャリパーピストンやドラムブレーキのホイールシリンダからフルード漏れはないか、ピストンブーツやスライドピンブーツに破れはないか、また各所に固着や錆の発生がないか…等は、ブレーキが正常作動するために見ておくべき重要な点検項目です。
ブレーキクリーニングの作業をおこなうことで、異常があった場合には早期発見につながります。

また、ブレーキ鳴きの原因対策をすることもできます。
ただし、ブレーキパッドやローターの材質、性能、種類によってはブレーキ鳴きの発生は正常作動範囲のこともあります。

ブレーキクリーニングは車検時に必要?

ブレーキクリーニングは車検時に必須ではないので、仮にやらなくてもブレーキが正常に作動していれば車検に合格できます。
車検時にブレーキクリーニングが必要かどうかというより、車検整備の点検項目に従って作業を行うなかで、ブレーキクリーニングは必ずおこなう作業です。
多くのユーザーは車検時に整備工場で車検整備を伴う検査を受けることがほとんどでしょう。
その場合、普段あまりメンテナンスに気を配っていなくても、2年に一度の車検時には車をメンテナンスするタイミングが訪れます。
今後も引き続き長く安心して車に乗り続けるためにも、ブレーキクリーニングは必要な整備作業のひとつです。
また、ブレーキクリーニングの整備はほとんどの場合で「特定整備」に該当します。
ブレーキクリーニングに関連する特定整備は、安全性に関わる重要な箇所の整備を行うことを指します。
特定整備は国からの認証を受けた整備工場でのみ作業が可能です。

ブレーキクリーニングにかかる費用の目安

車検や法定12ヶ月点検であれば、ブレーキクリーニングにかかる費用は点検費用に含まれていることがあります。
一方で別途、費用がかかる場合は5,000円〜10,000円程度が目安です。(四輪すべて実施した場合の費用)
費用は四輪まとめたものであったり、一輪ごとに細分化されて料金設定されていることもあります。
くわしくは、整備工場に問い合わせるのがよいでしょう。

ブレーキクリーニングをする場合の頻度の目安

ブレーキクリーニングをおこなう頻度の目安は2年に1回程度で十分です。
車検ごとを実施の目安にすると管理しやすいでしょう。
また、年間の走行距離が多い(2万km〜/年少 )場合には1年に1回程度がおすすめです。

整備士のまとめ

ブレーキクリーニングは車のメンテナンス項目のひとつで、安全安心に車に乗り続けるためにも大切な整備のひとつです。
万が一のときには不具合の早期発見にもつながります。
車検や点検にブレーキクリーニングが含まれているかどうかは整備を依頼する整備工場に確認し、おおむね2年に1回の車検時に実施することをおすすめします。

Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。