この記事の目次 CONTENTS
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イグニッションコイルとは
イグニッションコイル故障後も走行して大丈夫?
イグニッションコイル故障の前兆について
イグニッションコイルの寿命について
イグニッションコイルの交換時期と費用の目安
イグニッションコイルの故障は買い替えの一つの目安

ライター紹介

2級整備士

ヒロ 現役整備士 氏

国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。 整備士ヒロのtwitter

ガソリンエンジンを搭載した車に、かならず使われているイグニッションコイル。それゆえにメンテナンスに関することが気になりなります。この記事では現役の整備士が分かりやすく簡潔に、イグニッションコイルについて解説します。

イグニッションコイルとは

イグニッションコイルは、エンジンが動くために必要不可欠な重要な部品です。
イグニッションコイルは、現行の車では気筒ごとに設置されているのが一般的です。
乗用車(軽自動車を含む)であれば、3〜6気筒エンジンを搭載している場合が多いので、イグニッションコイルもその気筒数分だけ設置されています。

役割について

エンジンが健康に働くためには、「良い圧縮」「良い混合気」「良い火花」の3つの要素が必要です。
このうちの「良い火花」を担うのがイグニッションコイルです。
イグニッションコイルにはエンジンコンピュータからの配線が接続されています。
イグニッションコイルの先には、燃焼室内に点火するための火花を飛ばす「スパークプラグ」が装着されています。
スパークプラグは20,000〜35,000Vもの高電圧で放電されます。
車に使われている電気(バッテリー)は12Vですが、この12Vの電気を上記の高電圧に変換するための変圧器の役割を担っているのがイグニッションコイルです。

イグニッションコイル故障後も走行して大丈夫?

イグニッションコイルの故障後は、問題なく走行して良いのでしょうか。
その可否はシチュエーションによって異なります。
ただし、故障を分かったうえで放置し続けて乗るのはNGです。
これは、例えばイグニッションコイルの故障により、失火した気筒の未燃焼ガスの影響で、触媒と呼ばれる排気管に備わる部品を傷めてしまうような、二次被害を招く恐れもあるからです。
あくまで走行して大丈夫か?という問いは、修理入庫するまでの短期間の走行に限ります。

走行の安全性について

3気筒エンジンのイグニッションコイルの3つのうちの1つが故障するのと、6気筒エンジンの6つのうちの1つが故障するのとでは、症状の感じ方は異なります。
3つのうちの1つが故障する方がエンジンへの負担が大きく、ガタガタとエンジンが振動したり加速不良やアイドリング不調のような不具合を感じやすいです。
逆に6つのうちの1つの故障であれば、一般ユーザーであれば気付かないこともあるほど、症状の感じ方は小さいです。

前者であれば、最悪の場合エンストに至ることもあり、走行の安全性を確保することが難しいことも考えられるので、速やかに安全な場所に停車して、整備工場へはレッカー搬入することを検討したほうがよいでしょう。
後者で、走行に大きく問題を感じないレベルであれば、自走で整備工場へ入庫する選択肢もあります。
しかし、車が異常な状態になっていることに違いはありません。
走行中にエンストしてしまう可能性もあるので注意が必要です。
まずは安全な場所に停車したうえで、整備工場の指示に従うようにしましょう。

イグニッションコイル故障の前兆について

イグニッションコイルに故障の前兆はあるのでしょうか?
古い車(2000年代初頭くらいまで)であれば、加速不良やアイドリングが不安定といったことがイグニッションコイルの寿命の判断基準になることもありました。
しかし、コンピュータによる制御が緻密になった今の車では、そういった症状が出る前にイグニッションコイルの異常をコンピュータ側が検知して、チェックランプでドライバーに知らせてくれます。
よって、いわゆる故障の前兆というものはありません。
イグニッションコイルが故障した場合は、主に以下の2つのパターンに分けられるでしょう。

  • 感じる不具合はないがチェックランプが点灯する
  • チェックランプ点灯と同時に、エンジン不調や加速不良などの不具合が体感できる

イグニッションコイルの寿命について

最近の車の場合は部品の精度や信頼性向上により、交換が必要となることはほとんどありません。そのため、予防整備として交換を提案されることも少なくなってきています。
エンジンの不調が出たり、チェックランプ点灯の原因がイグニッションコイルだった場合に、初めて交換する程度でしょう。
車を所有している間に、一度もイグニッションコイルを交換することがなかったというのが、多くのユーザーにとっては一般的です。

一方で、イグニッションコイルは、2000年前後の古い車であれば10万km前後を寿命と捉えて、消耗品として割り切って交換するのもひとつです。

【補足】故障した場合の対処法はあるの?

イグニッションコイルが故障した時にできる対処法や応急処置はありません。
内部を分解して修理できるようなものでもないので、部品の交換が必須です。

イグニッションコイルの交換時期と費用の目安

基本的に、今の車では不具合が出ない限りは交換の必要はありません。
あえて予防整備の観点から交換するとして、その時期の目安を現役整備士の目線から解説します。

交換時期の目安

交換時期の目安は、10年または10万kmのいずれか早い方です。
交換後の車の寿命(乗りつぶす…というような感覚)なども考慮したうえで、その折り返し地点にあたる時期を、交換の目安とします。

交換費用の目安

イグニッションコイル1つあたりの値段は、社外品や純正品などによって幅広いです。
おおまかに1本あたり10,000〜15,000円程度と考えておけば良いでしょう。(古い車に多い、1つのイグニッションコイルにプラグコードが装着され、それぞれの気筒に接続されているタイプは除く)
そこに、交換工賃がプラスされます。
後述しますが、工賃も交換の難易度により車種・エンジンごとに幅広く設定されています。
1本あたりの部品代と工賃を含めた合計金額の目安は、10,000円〜25,000円程度です。
症状や車の状況によっては、1本のみの交換の場合もあれば、すべてのイグニッションコイルを交換する場合もあります。
その場合、工賃が本数分そのままプラスされることもあれば、複数本でも1本でも工賃がほとんど変わらないこともあります。
そのため、正確なイグニッションコイルの交換費用は修理先の整備工場に確認するようにしましょう。

【補足】イグニッションコイルは自分で交換できる?

工賃の設定が難易度によって幅広いことに先ほど触れました。
これは、エンジンルームを開けてボルト1本外して10分程度で交換できるものから、様々な部品(大きいものだとインレットマニホールドと呼ばれる吸気部品など)を外してアクセスする必要があり、交換に1〜2時間要するものまでさまざまなエンジンがあるためです。
エンジンルームを開けてすぐに交換できるものであれば、カプラーの外し方や適切な工具の使用と、ボルトの締め付けトルクを理解している方であれば、比較的難易度の低い整備なので自分で交換することも可能です。
一方で、そういった場合でも整備に自信がない、心配がある場合は、車の部品を損傷させる危険性もあるので無理に交換しないようにしてください。
また、イグニッションコイルへのアクセスが簡単でない車の場合も、当然ながら整備慣れてしていないひとがやるには、多くのリスクを伴います。
すこし調べて簡単に理解できない作業と感じるのであれば、プロの整備士に任せるようにしましょう。

イグニッションコイルの故障は買い替えの一つの目安

イグニッションコイルの故障は、車を維持する上でのトラブルの中ではレアなケースです。
イグニッションコイルが故障したときに、年数も古くなり走行距離が多くなっているのであれば、ほかの部品の劣化や今後の不具合発生も頭をよぎります。
これを機に、車の乗り換えを検討してみるのも良いかもしれませんね。