オルタネーターの交換費用の目安!安くする際の注意点も整備士が解説

オルタネーターの交換費用の目安!安くする際の注意点も整備士が解説

オルタネーターが故障すると、最終的に走行不能になってしまうので、不具合が見つかったときには早急な交換が必須です。しかし、急な出費に不安を感じる方も多いでしょう。
そこで現役の整備士が、オルタネーターの交換費用の目安や、安くする方法と注意点について解説します。

オルタネーターとは

オルタネーターは車になくてはならない、充電装置です。オルタネーターはベルト駆動されており、エンジンの回転によってオルタネーターも回転して発電します。発電した電気は、車に必要なあらゆる電気を使うシステムに供給され、さらに12Vバッテリーに充電されます。

ハイブリッド車にはオルタネーターがない

ハイブリッド車は、通常のガソリン車やディーゼル車とは充電システムが異なることから、基本的にはオルタネーターを必要としません。(例:プリウスなど)
ただし、マイルドハイブリッド車や一部のハイブリッド車にはオルタネーターが使われている例があります。

不具合があると走行できない可能性が高い

オルタネーターの不具合は具体的に大きく分けると以下の3つのパターンがあります。

  • 発電不良
  • プーリーの脱落
  • ベアリングからの異音
発電不良時はただちに走行を控える

発電不良が起きると、さまざまな警告灯が点灯したり、ヘッドライトが暗くなったり、ナビが起動しなくなったり、メーターがチラつくなど、電力の供給不足により多くの不具合を誘発します。
分かりやすいものだと、メーター内のバッテリーの形をした赤い警告灯が点灯します。
この場合、安全な走行が不可能となるのでただちに安全な場所に停車して、レッカーサービスを呼びましょう。
また、発電はしているものの正常時と比べると発電の力が弱っているケースもあり、その場合は徐々にバッテリーが弱っていくことがあります。

プーリーの脱落は他の不具合にもつながる恐れ

オルタネーターを駆動させるためのベルトが掛かっているプーリーが、経年劣化によって脱落することがあります。
脱落してしまうと発電できないので、発電不良時と同じ不具合が発生します。
プーリーが脱落すると掛かっているベルトが外れてしまうので、このベルトがほかの部品を巻き込んだり部品を叩いたりしてしまって、ほかの部品を損傷させてしまうことがあります。
(経験談:外れたベルトがエンジン回転数を検出するセンサーに当たって壊れてしまい、エンジンが掛からなくなってしまった)
脱落前に異音を伴うこともあるので、こういった最悪のケースに至る前に対応できることもあります。
違和感を感じたら、安全な場所に車を停車させてレッカーサービスを利用することをおすすめします。

ベアリングからの異音は大事に至る合図

ベアリングからの異音の場合、はじめは異音だけでも後々に先ほど解説した2つの不具合につながる可能性が高いです。
オルタネーターは常に回転していますが、円滑な回転のためにベアリングの存在は欠かせません。
すぐに走行不能となることは考えにくいですが、やはり早急な修理が必要と言えます。

オルタネーター交換費用の目安

オルタネーターの交換にかかる工賃は、一般的な車の場合で1万円〜3万円程度です。工賃に幅があるのは車種やエンジンによってその難易度や作業にかかる時間が異なるからです。エンジンルームの上から交換するケースもあれば、下から交換するケースもあります。また、ドライブシャフトの脱着を伴うこともあるので、こういった手間の掛かる場合には工賃が高くなります。

部品代、工賃を合わせたオルタネーターの交換費用は2万円〜15万円程度と幅があります。これは、交換するオルタネーターを新品や中古、リビルト品にするかによっても変わってきます。

新品の場合

新品のオルタネーターを使用して交換する場合の費用相場は3万円〜15万円です。車種によっては10万円を超えるケースも珍しくはありません。新品のオルタネーターで交換する場合は、もっとも高額な修理となります。
マイルドハイブリッド車に搭載されている駆動アシスト付きのオルタネーターは、通常のオルタネーターよりも複雑な機構なため、部品代が高額です。

中古品の場合

中古品は販売価格がピンキリです。交換費用は2万円〜です。
もっとも修理費用を安く済ませることができますが、あくまで中古品ということで交換したものの直らない、交換後すぐにまた壊れた…といったリスクが高いことを理解しておく必要があります。

リビルト品の場合

リビルト品のオルタネーター交換費用の相場は2万円〜10万円です。
新品よりも数万円、安く済ませられるイメージです。
リビルトメーカーにも様々あります。車種によって豊富な在庫があるものもあれば、場合によってはリビルト品が見つからないこともあります。

オルタネーターの交換費用を安くしたい場合

オルタネーターの交換は決して安くありません。そこで、すこしでも安くなる方法としてリビルト品を使ったオルタネーター交換があります。
すでに触れたように、リビルト品での交換は新品と比べて最大で数万円節約できることもあります。
リビルト品は中古品を分解して綿密に部品の中身を点検したうえで、修理・清掃・給油・交換等をおこなったオーバーホール品です。
摩耗・劣化している部品は新品に交換しているので、ほとんど新品に近い状態の部品と言っても差し支えありません。
よってただの中古品とは異なり、品質面でも安心と言え、ディーラーでも取り扱うことが多い身近な部品です。
わたし自身も、もし自分の車のオルタネーターを交換しなければいけないとなれば、リビルト品を使うでしょう。

オルタネーターのリビルト品への交換で気を付けたい点

リビルト品を販売しているメーカーはたくさんあります。その中で選ぶときに気を付けるべき点を解説します。

安すぎるのは注意!保証の有無の確認を

たくさんあるリビルト品メーカーの中でも、あまりに相場よりも価格が安い場合には、オーバーホールの内容や品質が十分でないことがあり得るかもしれません。
また、きちんとしたメーカーであればオーバーホールの証明書を発行していたり、独自の保証を設けているパターンもあります。
あまりに安すぎるリビルト品は避けて、万が一に備えて保証がしっかりとついたリビルト品を選ぶように気を付けましょう。
わたし自身も業務において、リビルト品を使った部品の交換直後に不具合が発生したものの、メーカーの保証があったので再度部品を送ってもらって交換したケースが何度かあります。

車屋さん任せでOK!車種によってはリビルト品が見つからないことも

基本的には車のメンテナンスにおいて、ユーザーが自分自身でリビルト品を探すようなシチュエーションはありません。
オルタネーターは同じ車種でもエンジンの違いや年式の違いなどで、部品が異なることがあります。
現物での品番確認が必要なケースもあるので、思った以上にややこしくて専門知識が必要となることもあります。
整備工場側が経験に則って手配してくれるはずなので、お任せするのがベストです。
また、リビルト品は中古品や下取り品が無ければ作ることができません。新型モデルの車や、極端に古い車、希少な車等ではリビルト品のオルタネーターがラインナップされていないケースもあります。

整備士のまとめ

オルタネーターの交換は修理費用が高額です。
もし修理見積もりで部品が新品で提案された場合には一度、リビルト品での対応ができないか整備工場側に聞いてみてもよいでしょう。
メジャーなリビルト品メーカーのものであれば、品質も新品同等で安心して使える上で修理費用も安く抑えることができます。
技術のある整備工場では、オルタネーターの分解修理をしてくれるところもあり、悪い部品だけを交換することで修理費用をさらに安く抑えられることもありますが、年式が古かったり走行距離の多い車だと、他の部品の劣化も考えられます。
長い目で見ると、リビルト品または新品での交換が後々のトラブルに繋がりにくいのでおすすめです。

Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。