スバル インプレッサVSマツダ3ファストバックを徹底比較!どちらがおすすめ?

スバル インプレッサVSマツダ3ファストバックを徹底比較!どちらがおすすめ?

2023年4月に6代目インプレッサが登場した。フルモデルチェンジしたばかりのスバル インプレッサと、ユニークなディーゼルエンジンを搭載するマツダ3ファストバックの違いが気になる人もいるだろう。今回はインプレッサとマツダ3の燃費や走行性能、デザインを徹底比較して評価する。

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グローバルでは、競争が激しいCセグメントのハッチバック

Cセグメントのコンパクトハッチバックは、日本マーケットでは今ひとつパッとしない。しかし、グローバルでは、非常に競争が激しいカテゴリーとして有名である。欧州メーカーでは、フォルクスワーゲン ゴルフを筆頭に、BMW 1シリーズやメルセデス・ベンツAクラス、ルノー メガーヌ、プジョー308といった名車がしのぎを削っている。国内での販売台数こそ少ないものの、国内メーカーもCセグメントのコンパクトハッチバックを用意しているほどだ。

Cセグメントのコンパクトハッチバックの魅力は、実用性と走行性能の高さ、購入しやすい価格など、すべてにおいてバランスが取れていることである。

スバル インプレッサの特徴

インプレッサの全景

※上図:インプレッサの全景

2023年4月に6代目インプレッサが登場した。インプレッサは、Cセグメントのコンパクトハッチバックとして幅広い顧客層を持っている。とくに、4WDシステムにこだわるスバル車ということもあり、4WDモデルのグレードが約半数を占めるほどの人気だ。

今回のフルモデルチェンジでは、先代インプレッサからプラットフォーム(車台)やパワーユニットをキャリーオーバーし、改良したバージョンを採用している。基本的なメカニズムは、5代目インプレッサとほぼ同等だが、細部に渡り改良が加えられている。走行性能は、クラストップレベルで、とても運転しやすい。

また、予防安全装備パッケージ「アイサイト」は、大幅な進化を遂げている。従来のステレオカメラに加え、広角単眼カメラを加えて3つのカメラを搭載したのだ。カメラの視野が大幅に広がったことで、右左折時の対向歩行者や自転車も検知可能となった。見通しの悪い交差点での出会い頭衝突事故リスクを軽減してくれる。

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マツダ3ファストバックの特徴

マツダ3ファストバックの全景

※上図:マツダ3ファストバックの全景

従来、マツダ3は、アクセラと呼ばれていた。2019年5月のフルモデルチェンジを機に4代目アクセラではなく、欧州などで使用されていたマツダ3に統一された。

マツダ3は、かなり個性的なモデルだ。優雅で美しいデザインだけでなく、こだわりのパワーユニットを搭載している。このクラスでは、国産車唯一の1.8Lディーゼルターボを搭載した。

2.0Lガソリンエンジンには、マツダ燃機関技術の集大成ともいえる「e-SKYACTIV X」を採用した。同時に、世界初の燃焼制御技術「SPCCI(火花点火制御圧縮着火)」を搭載している。さらに、マイルドハイブリッドシステム「M HYBRID」も加え、力強いトルク、俊敏なアクセルレスポンス、高回転までスムーズに伸びていく爽快な加速フィールなど、ディーゼルエンジンとガソリンエンジンのメリットを兼ね備えたエンジンを用意した。

その他、1.5Lガソリン、2.0Lマイルドハイブリッドも用意するなど、エンジンの選択肢が豊富だ。

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マツダ3のディーゼル車が燃費、燃料費で圧勝

1.燃費比較

インプレッサの評価は 3.0

マツダ3の評価は 4.0

 

スバル インプレッサの燃費は以下の通りだ(WLTCモード以下同)。

 

FF

4WD

2.0Lガソリン

14.0km/L

13.6km/L

2.0Le-BOXER

(ハイブリッド)

16.6km/L

16.0km/L

マツダ3の燃費は以下の通りだ。

 

FF

4WD

1.5Lガソリン

16.6km/L

2.0Lガソリン

(マイルドハイブリッド)

16.4km/L

15.9km/L

2.0Lガソリン

(e-SKYACTIV X)

16.7km/L

1.8Lディーゼル

21.2km/L

20.0km/L

燃費は、マツダ3の1.8Lディーゼル車が圧倒する結果となった。ディーゼル車は、軽油を使うため、レギュラーガソリンより約20円/Lも安価だ。そのため、燃料費という視点では、想像以上の節約が可能である。

最も燃費のよいマツダ3のディーゼル車と、最も燃費が悪いインプレッサ2.0Lガソリン車のFF同士を比較してみる。両車FFで1,000km走行、カタログ燃費値、レギュラーガソリン価格@180円/L、軽油価格@160円/Lで計算した燃料費は下記の結果となった。

  • マツダ3ディーゼル車 約7,500円
  • インプレッサ0Lガソリン車 約12,900円

燃料費差は、約5,400円にもなった。燃料費視点では、マツダ3のディーゼル車がお勧めだ。ただし、ディーゼル車は車両価格が高いため注意が必要だ。走行距離が多くなる人でないと車両価格代が回収できない可能性がある。

一方、マツダ3の2.0Lガソリン(e-SKYACTIV X)の使用燃料はハイオクだ。マツダ3のマイルドハイブリッド車の燃費は、インプレッサのe-BOXERより少しよい程度だ。マツダ3の2.0Lガソリン(e-SKYACTIV X)とインプレッサe-BOXERの燃料費を同条件で計算したところ、下記の結果となった。

  • インプレッサe-BOXER 約11,300円
  • マツダ3 e-SKYACTIV X 約11,400円

燃料費差は、ほぼ互角となった。しかし、マツダ3 e-SKYACTIV Xは、車両価格がかなり高価だ。そのため、実用性というより世界初の燃焼制御技術「SPCCI」を楽しみたいファン向けといえる。

機能や装備面で高価なインプレッサだが、コストパフォーマンスはほぼ同等

2.価格比較

インプレッサの評価は 3.5

マツダ3の評価は 3.5

 

スバル インプレッサとマツダ3は、まったく同じタイプのパワーユニットが無いため、価格比較は難しい。そこで、なるべく近いタイプのパワーユニットであるインプレッサのe-BOXERと、マツダ3のマイルドハイブリッド車を比較した。どちらも最上級グレードをピックアップしている。

 

FF

4WD

スバル インプレッサ ST-H

2,992,000円

3,212,000円

マツダ3 20Sプロアクティブ ツーリングセレクション

2,907,300円

3,066,800円

FF(前輪駆動)車の価格は、マツダ3よりインプレッサが約8.5万円高い結果となった。4WDは、さらに差が開き約14.5万円高い結果となっている。

インプレッサが高価になる要因は、リヤサスペンションだ。マツダ3は、トーションビーム式なのに対して、よりコスト高になるマルチリンク式を採用している。さらに、予防安全装備も要因の一つだ。マツダ3の単眼カメラに対して、予防安全装備パッケージ「アイサイト」には3眼カメラが装備されている。また、マツダ3が10.25インチのディスプレイに対し、インプレッサは11.6インチセンターインフォメーションディスプレイを装備している。インプレッサには、歩行者エアバッグが装備されているなど、機能や装備でやや上回っているため、マツダ3より高価な価格になるのは仕方がないところだ。

その他、若干の装備差はあるものの、機能や装備差を考慮すると同等程度のコストパフォーマンスといえる。

値引きの秘訣はライバル車と競合させること

3.購入時の値引き術

インプレッサの評価は 3.0

マツダ3の評価は 3.5

 

スバル インプレッサは、フルモデルチェンジ直後のモデルということもあり、しばらくの間は値引きが難しいだろう。しかし、まったくゼロではなく、見積り上にある数万円程度の端数分が値引きされる可能性が高い。

値引きを引き出したいのであれば、ライバル車と競合させることが重要である。先にライバル車の見積りを取ることで、スバルの営業マンに本命はライバル車と思わせ値引きを引き出したい。ライバル車は、マツダ3の他にトヨタ カローラスポーツがある。カローラスポーツは、モデル後期に入っているため、大幅値引きが期待できる。大幅値引きされたカローラスポーツの見積書を見せ、インプレッサも同等程度の値引きがあるなら購入を考えるとアピールしたい。いきなり大幅値引きは提示されないが、時間をかけて値引き額をアップさせていきたい。

マツダは、あまり値引きをしない戦略を取っている。しかし、すでにマツダ3はモデル後期に入っているため、タイミングが合えば大幅値引きも期待できるだろう。2~3月の決算期や6~7月の繁忙期などが、大幅値引きの期待できるタイミングだ。

もちろん、ライバル車との競合が前提である。インプレッサだけでなく、必ずカローラスポーツとも競合させることが重要だ。インプレッサ同様、大幅値引きされたカローラスポーツの見積り書は、大きな武器になる。

また、下取り車の価格にも注意したい。スバル、マツダ共に異なる下取り価格となる可能性が高いだけでなく、下取り価格が適正かどうかチェックする必要がある。そのため、商談後に買い取り店で査定することをお勧めする。その上で、最も高値を付けたところに売却したい。

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スピード感あるデザインのインプレッサ。優美さが際立つマツダ3

4.デザイン比較

インプレッサの評価は 4.0

マツダ3の評価は 4.5

全体のシルエットは、先代インプレッサ似

インプレッサの全景

※上図:インプレッサの全景

インプレッサのリヤエンド

※上図:インプレッサのリヤエンド

スバル インプレッサの開発コンセプトは「行動的なライフスタイルへといざなうユーティリティ・スポーティカー」だ。コンセプトに合わせ、FUN to Driveな気持ちになる運動性能とスポーティな外観デザインを表現している。

インプレッサのフロントフェイス

※上図:インプレッサのフロントフェイス

プラットフォームは、先代モデルの改良版ということもあり、全体のシルエットは先代インプレッサによく似ている。しかし、エッジの効いたキャラクターラインや彫の深い顔など、よりスピード感があるスポーティなスタイルにまとめられている。

ユニークな美しい流麗フォルムのマツダ3

マツダ3ファストバックの全景

※上図:マツダ3ファストバックの全景

マツダ3ファストバックのリヤエンド

※上図:マツダ3ファストバックのリヤエンド

マツダ3のデザインテーマは、「誰もが羨望するクルマ」だ。マツダのデザイン哲学である「魂動デザイン」がさらに進化している。日本の美意識を礎とした「新たなエレガンス」を表現した。シルエットは、「引き算の美学」を考え方のベースとして、色々な要素を削ぎ落し、シンプルにまとめられている。強烈なキャラクターラインなどは無いものの、滑らかで流れるような美しいフォルムとなった。光の当たり方次第で、色々な表情を見せるように計算されているため、飽きのこないデザインとなっている。

マツダ3ファストバックのフロントフェイス

※上図:マツダ3ファストバックのフロントフェイス

インプレッサとマツダ3のデザインは、大きく異なる。マツダ3のデザインは、従来のクルマには無い手法でデザインされているため、ユニークさではインプレッサをやや上回る印象だ。

乗り降りしやすいインプレッサ。荷室が広いマツダ3

5.室内空間と使い勝手

インプレッサの評価は 3.5

マツダ3の評価は 3.5

 

スバル インプレッサST-H(4WD)とマツダ3 XDプロアクティブ(FF)のボディサイズ、ホイールベース、荷室容量は以下の通りだ。

 

全長×全幅×全高

ホイールベース

荷室容量

インプレッサ

4,475mm×1,780mm×1,515mm

2,670mm

315L

マツダ

4,460mm×1,795mm×1,440mm

2,725mm

334L

インプレッサの運転席

※上図:インプレッサの運転席

インプレッサの後席

※上図:インプレッサの後席

マツダ3ファストバックの運転席

※上図:マツダ3ファストバックの運転席

マツダ3ファストバックの後席

※上図:マツダ3ファストバックの後席

マツダ3とインプレッサの全長と全幅は、ほぼ同等となった。全高は、インプレッサの方が75mmも高くなっている。そのため、インプレッサの方が乗り降りしやすい。後席の広さは同等程度だ。ただし、後席に座るとマツダ3では頭上周辺が狭く感じる。後席の開放感という点では、インプレッサがやや上回る結果となった。

前席の座り心地は両車共に高レベルだ。しっかりと腰回りを支えてくれるので、上体がブレないため、運転しやすく疲れにくい。

https://cdn.blog.st-hatena.com/files/13574176438097594750/820878482968940053※上図:インプレッサの荷室https://cdn.blog.st-hatena.com/files/13574176438097594750/820878482968940032

※上図:マツダ3ファストバックの荷室

驚いたのは荷室だ。インプレッサよりマツダ3の方が、全高が低いため荷室が小さく見える。しかし、荷室容量は、マツダ3の方が大きい。あくまで数値なので、頻繁に積むような荷物を載せて判断したい。

 

マツダ3とインプレッサのインパネデザインは、水平基調のワイド感を強調したものとなっている。しかし、デザインテイストはまったく異なる。マツダ3は、質感や高級感があり、インプレッサは、機能美重視といった印象だ。

インプレッサには、大型11.6インチセンターインフォメーションディスプレイが設置されている。大迫力で、アイコンも大きいため使い勝手が良い。しかし、視認性はよいが、視線移動が少し多いのが悩ましい所だ。

マツダ3は、ダッシュボード上にあるため、視線移動が少なく安全面ではよい。しかし、モニターが小さいため文字も小さく、老眼の中高年には辛い仕様である。ただし、質感の高さや、オシャレな雰囲気などはマツダ3の美点だ。

予防安全装備はクラストップレベルのインプレッサと標準レベルのマツダ3

6.安全装備&運転支援機能の比較

インプレッサの評価は 4.5

マツダ3の評価は 3.5

 

自動ブレーキを含む予防安全装備は、デビューが新しいモデルほど高性能化する。2023年に登場したスバル インプレッサに対し、マツダ3は2019年にデビューした。約4年の差は大きい。そのため、予防安全装備の性能面は、インプレッサが上回る結果となった。

インプレッサのインパネデザイン

※上図:インプレッサのインパネデザイン

インプレッサのメーター

※上図:インプレッサのメーター

インプレッサの予防安全装備パッケージ「アイサイト」は、従来ステレオカメラがベースだった。しかし、新型である6代目GU系インプレッサからは、広角の単眼カメラがプラスされた。合計3つのカメラで、前方を監視し、衝突リスクを回避・軽減する。

広角カメラが追加されたことで、今まで横方向の見えなかった部分が見えるようになった。そのため、検知対象や検知シーンは大幅に広がっている。重要な自動ブレーキの検知対象は、下記の通りだ。

  • 歩行者と自転車、自動二輪
  • 交差点内で右左折時の対向歩行者や自転車、バイク
  • 右折時の対向車
  • 見通しの悪い交差点で左右から来る車両

交差点内は、衝突リスクがとくに高い場所だ。危険な場所での衝突リスク回避・軽減ができるため、より安全なクルマになった。こうした予防安全性能は、クラストップレベルだ。さらに、歩行者エアバッグも全車に標準装備している。突然の衝突時にも、最大限歩行者などを守る装備が用意されている。

マツダ3ファストバックのインパネデザイン

※上図:マツダ3ファストバックのインパネデザイン

マツダ3ファストバックのメーター

※上図:マツダ3ファストバックのメーター

マツダ3の自動ブレーキ検知対象は、歩行者(昼間/夜間)、自転車(昼間)だ。単眼カメラは、広角化されていないため、インプレッサのように、交差点内などでの衝突・回避リスクを軽減することができない。自動ブレーキ性能は、クラス平均点レベルといったところだ。しかし、マツダ3には、後側方車両接近警報や後退時車両接近警報などの予防安全装備が標準装備化されている。後側方車両接近警報は、車線変更時など後側方から接近する車両を検知する。後退時車両接近警報は、バックで出庫時に後側方から接近する車両を検知し警報を発する。このクラスでは、オプションとなる車両も多いので、標準装備化は高く評価できる。

走行性能は設計の新しいインプレッサが一歩リード

7.走行性能の比較

インプレッサの評価は 4.5

マツダ3の評価は 3.5

 

スバル インプレッサのエンジン出力、車重は以下の通りだ。(4WD)

 

エンジン

最高出力

最大トルク

車重

インプレッサ

2.0Lガソリン

154ps

193Nm

1,420kg

インプレッサST-H

2.0L e-BOXER

145ps+13.6ps(モーター)

188Nm+65Nm(モーター)

1,580kg

マツダ3のエンジン出力、車重は以下の通りだ。

 

最高出力

最大トルク

車重

1.5Lガソリン(FF)

111ps

146Nm

1,340kg

2.0Lガソリンマイルドハイブリッド(4WD)

156ps+6.9ps

(モーター)

199Nm+49Nm

(モーター)

1,420kg

2.0Lガソリンe-SKYACTIV X(4WD)

190ps+6.5ps

(モーター)

240Nm+61Nm

(モーター)

1,520kg

1.8Lディーゼルターボ(4WD)

130ps

270Nm

1,480kg

【インプレッサのエンジン】アクセルレスポンスがよく、気持ちいい走りのe-BOXER

インプレッサのエンジンルーム

※上図:インプレッサのエンジンルーム

スバル インプレッサの2.0Lガソリンエンジンの車重は、2.0L e-BOXERよりやや軽い。その分、ガソリンの方がやや力強い印象だ。e-BOXERは、小さな出力のモーターだが、わずかにモーターアシストが効く分、アクセルレスポンスがよい。そのため、気持ちよく走ることが可能だ。燃費は気にならないが、価格重視というのであれば、2.0Lガソリン車というのもよい選択だ。

【マツダ3のエンジン】それぞれキャラが立つ4つのパワーユニット

マツダ3ファストバックのエンジンルーム

※上図:マツダ3ファストバックのエンジンルーム

マツダ3のエンジン選択肢は、4つある。最もベーシックなのは、1.5Lのガソリンエンジンだ。街中では、十分といえるレベルでストレス無く走れる。しかし、高速道路などを走る時は、もう少しパワーが欲しいと感じることが多い。

2.0Lのマイルドハイブリッド車は、バランスの取れたエンジンだ。マイルドハイブリッドのため、インプレッサのe-BOXERほどハッキリと分かるモーターアシストは無いが、スムーズで扱いやすいエンジンだ。

2.0Lガソリンe-SKYACTIV Xは、自然吸気2.4Lガソリンエンジン級の大トルクを誇る。モーターアシストもあり、レスポンスがよくパワフルだ。やや車重が重い点が悩ましいが、インプレッサを含め、最もパワフルなエンジンである。

1.8Lディーゼルターボエンジンは、お勧めのパワーユニットだ。わずか16,000回転で、270Nmという大トルクをアウトプットするため、街中や高速道路を力強く走る。高回転域でのパンチある加速力は、ガソリンエンジンに一歩譲るが、燃費を含め実用面ではベストだ。国産車で、このクラスのディーゼルエンジンを搭載しているのは、マツダ3のみとなる。

【インプレッサのハンドリング】コントローラブルで機敏な走りが美点

インプレッサのプラットフォームや足回りなどは、先代と共通だ。しかし、先代よりもかなり進化させている。ボディ剛性をさらに高め、サスペンションの支持剛性をアップ、2ピニオン電動パワーステアリングを採用したのだ。その結果、応答遅れの少ないスポーティなハンドリングで、狙ったラインを簡単にトレースする。

非常にコントローラブルなのも美点である。クルマの挙動がとても分かりやすいため、慌てることなくコントロールできる。4WDは、状況に合わせて積極的に後輪にトラクションをかけるため、より安定方向へ車体を導いてくれる。そのため、びっくりするほど安定感があり、気持ちよく走ることが可能だ。FF(前輪駆動)も基本的に同じだ。前輪のグリップに頼るしかないため、タイヤが滑り出すと横滑り防止装置を駆使して、曲がりたい方向へ車体を導いてくれる。意外なほど制御は自然で、むしろ自分の運転が上手くなったような気がするほどだ。

【マツダ3のハンドリング】切れ味鋭いシャープな印象

マツダ3のハンドリングは、インプレッサよりシャープな印象だ。わずかなステアリング操作に対して、車体は機敏に反応する。タイトターンの多い山道では、軽快にカーブを抜けていくのだ。

マツダ3には、マツダ独自の姿勢安定化制御GVCプラス(Gベクタリング・コントロール・プラス)が装備されている。GVCは、タイヤにかかる接地荷重に着目。ドライバーがハンドルを切り始めた瞬間、エンジンの駆動トルクを制御して減速Gを発生させる。前輪のタイヤグリップを増加することで、車両の応答性を高めているのだ。

GVCプラスは、ドライバーのハンドル戻し操作に応じて、外輪にわずかに制動をかける。これにより、車両を直進状態へ戻すための復元モーメントが発生する。その結果、車体の安定性を向上させるのだ。高速道路上などでの、ステアリング操作による緊急回避や、高速レーンチェンジ、雪道など滑りやすい道でその効果を体感できる。こうしたシーンでは、車体の揺れ戻りなどで、スピン状態に陥ることがある。しかし、GVCプラスでは、すぐに元の直進状態に戻してくれるので、誰もが安全・安定した走りが可能になる。

【インプレッサの乗り心地】ルーフの接着剤で乗り心地アップ?

インプレッサの乗り心地は、しなやかさが増して快適になった。ボディの高剛性化やサスペンション取り付け部の剛性をアップしたからだ。大きな凸凹も軽くいなし、大きな衝撃やゴツゴツ感を乗員に伝えないようになっている。

また、ルーフには高減衰マスチック接着剤を採用した。ルーフの共振を止め、音の収束性を向上させることで、乗り心地の良さに貢献している。高減衰マスチック接着剤の恩恵により、ルーフに当たる雨の打音を抑えた。室内の静粛性も高いレベルになっている。

【マツダ3の乗り心地】マツダ車らしい、硬めの乗り味

マツダ3の乗り心地は、やや硬めだ。マツダ3では、先代アクセラに採用していたマルチリンク式リヤサスペンションが、トーションビーム式にグレードダウンされている。その結果、リヤサスペンションの突き上げやゴトゴト感が伝わりやすくなっている。しかし、改良が施されるたびに、乗り心地はよくなっているため、中古車を買う場合は、なるべく新しいモデルをお勧めする。

マツダ3の静粛性は、全般的に高いレベルにある。1.8Lディーゼルターボ車は、ディーゼルエンジンのガラガラとしたエンジン音も抑えられているため、走行中はほとんど気にならなかった。ただし、目の粗い路面では、少々ロードノイズが気になる。

ほぼすべての面で、設計の新しいインプレッサが優位に立つ

2023年に登場したインプレッサに対し、マツダ3は2019年に登場している。約4年もの差があるため、乗り心地や静粛性などの走行性能面は、インプレッサがマツダ3をやや上回る。

走行性能面の大きな差は、リヤサスペンションの違いだ。インプレッサのリヤサスペンションは、ダブルウィッシュボーン式だが、マツダ3はトーションビーム式を使っている。トーションビーム式は、低コストや省スペースというメリットがあるものの、左右のサスペンションが互いに影響し合うため、乗り心地や操縦安定性という面では不利になる。

両車、ほぼ互角のリセールバリュー

8.リセールバリュー比較

インプレッサの評価は 3.5

マツダ3の評価は 3.5

*中古車相場は、2023年9月調べ

 

2020年式の先代GT系スバル インプレッサスポーツと、2020年式のマツダ3ファストバックの中古車相場下記の通りだ。

 

価格

先代GT系スバル インプレッサスポーツ

約140~200万円

マツダ3ファストバック

約170~240万円

新型インプレッサは、中古車が流通していない。そこで、2020年式の先代GT系スバル インプレッサスポーツの中古車相場で比較する。

先代インプレッサの中古車相場は、約140~200万円で、当時の新車価格の68~70%程度となった。Cセグメントのコンパクトハッチバックとしては、高値を維持している。インプレッサの中古が高値を維持している要因は下記と考えられる。

  • 根強いファンが多い
  • 降雪地域でスバルの4WD性能が高く評価されている
  • 中古車流通量が少ないこと

より高いリセールバリューが期待できるグレードは、4WD車が前提でSTIスポーツとe-BOXERを搭載したアドバンスだ。下記のオプションがプラス査定の対象になるだろう。

  • 純正ナビ
  • レザーシート
  • アイサイトセーフティプラス

マツダ3ファストバックの2020年式中古車相場は、約170~240万円で、新車価格の68~77%程度となった。この年式は、100周年特別記念車と呼ばれる期間限定車が投入されたこともあり、リセールバリューを引き上げている。100周年特別記念車を除いた高リセールバリューが期待できる人気グレードは、XD Lパッケージ、20S Lパッケージだ。下記のオプションがプラス査定の対象になるだろう。

  • 360°セーフティパッケージ
  • ボーズサウンドシステム

高リセールバリューとなっているマツダ3ファストバックの100周年特別記念車を除くと、先代インプレッサ スポーツとマツダ3ファストバックのリセールバリューは、ほぼ互角といったところだ。しかし、マツダ3はモデル末期ということで、リセールバリューは徐々に下がる傾向にあるだろう。また、フルモデルチェンジが近くなれば、さらに値下がり傾向になる。そのため、マツダ3の売却を考えているのであれば早めをお勧めする。

インプレッサは、フルモデルチェンジしたばかりのため、しばらく高値を維持するだろう。一方で、先代GT系インプレッサがこれから中古車での買い時となる。新型が登場したことで、中古車価格が下がるからだ。

インプレッサのリセールバリューをチェックする>

マツダ3ファストバックのリセールバリューをチェックする>

予備安全装備や乗り心地重視ならインプレッサ、燃費重視ならマツダ3がおすすめ

9.まとめ・総合評価

スバル インプレッサとマツダ3は、優れている部分が異なる。そのため、こんな人にお勧めといったポイントを整理した。

■インプレッサが合う人

  • とにかく予防安全装備の性能が重要
  • 燃費は気にならない
  • スポーティでコントローラブルなクルマが好き
  • 乗り心地のよいクルマが好き
  • 大型ディスプレイと最新のコネクティビティを楽しみたい

インプレッサの中古車情報をチェックする>

■マツダ3が合う人

  • 美しいクルマに乗りたい
  • インテリアの質感やデザインを重視
  • 優れた燃費と力強い走りを両方手に入れたい(8Lディーゼル車)

上記が両車の優れたポイントでもある。何を重要視するかで、選択が変わる。自分がクルマに求めるものを整理することが大切だ。

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インプレッサ

マツダ3

総合得点(40点満点)

29.5

29.5

1.燃費

3.0

4.0

2.価格

3.5

3.5

3.購入時の値引きしやすさ

3.0

3.5

4.デザイン

4.0

4.5

5.室内空間と使い勝手

3.5

3.5

6.安全装備

4.5

3.5

7.走行性能

4.5

3.5

8.リセールバリュー

3.5

3.5

スバル インプレッサ価格

 

FF

4WD

インプレッサST

2,299,000円

2,519,000円

インプレッサST-G

2,783,000円

3,003,000円

インプレッサST-H

2,992,000円

3,212,000円

スバル インプレッサの燃費、ボディサイズなどスペック

代表グレード

インプレッサST-H(4WD)

ボディサイズ

全長4,475mm×全幅1,780mm×全高1,515mm

ホイールベース

2,670mm

車両重量

1,580kg

最小回転半径

5.3m

エンジン型式

FB20型水平対向4気筒 DOHC16バルブ

排気量

1,995cc

エンジン最高出力

145PS(107kW)/6000rpm

エンジン最大トルク

188N・m(19.2kgf・m)/4,000rpm

モーター型式

MA1

モーター最高出力

13.6PS(10kW)

WLTCモード燃費

16.0km/L

トランスミッション

CVT

動力用主電池種類

リチウムイオン電池

サスペンション前/後

ストラット/ダブルウィッシュボーン

タイヤ前後

215/50R17

マツダ3ファストバック価格

■1.5L車

 

駆動方式

価格

15S

FF

2,288,000円

15S ブラックトーンエディション

FF

2,596,000円

■2.0Lガソリンマイルドハイブリッド

 

駆動方式

価格

20S プロアクティブ

FF

2,593,800円

20Sプロアクティブツーリングセレクション

4WD

3,066,800円

■2.0Lガソリンe-SKYACTIV X 

 

駆動方式

価格

Xスマートエディション

4WD

3,149,300円

Xプロアクティブツーリングセレクション

4WD

3,825,800円

■1.8Lディーゼルターボ

 

駆動方式

価格

XD プロアクティブ

FF

2,868,800円

XDプロアクティブツーリングセレクション

4WD

3,341,800円

マツダ3  ファストバックの燃費、ボディサイズなどスペック

代表グレード

XDプロアクティブツーリングセレクション(4WD)

ボディサイズ

全長4,460mm×全幅1,795mm×全高1,440mm

ホイールベース

2,725mm

車両重量

1,480kg

最小回転半径

5.3m

エンジン型式

S8-DPTS型直列4気筒DOHC16バルブ直噴ターボ

排気量

1,756cc

エンジン最高出力

130PS(95kW)/4000rpm

エンジン最大トルク

270N・m(27.5kgf・m)/1,600~2,600rpm

WLTCモード燃費

20.0km/L

トランスミッション

6速AT

サスペンション前/後

ストラット/トーションビーム

タイヤ前後

215/45R18

インプレッサのカタログ情報

現行モデル
令和5年4月(2023年4月)〜現在
新車時価格
229.9万円〜321.2万円

インプレッサの在庫が現在20件あります

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ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員