車にワックスは良くない?かけた方が良い?整備士が解説

大切な愛車を長く綺麗に保つためには、洗車が不可欠です。
最近ではボディコーティングの施工が主流ですが、当然ながらワックス派もいます。
車のワックスがけは必要なのか?整備士目線で解説します。

洗車後にワックスは必要?

ボディコーティング未施工の車の洗車後にワックスが必要かは、本人の好み次第です。
絶対に必要ではありません。
また、ワックスをかけるとなると、気付いたら1時間、2時間…と経っていることはザラです。洗車も合わせるとワックスがけにはかなり時間を要します。
洗車のために数時間を割くことが厳しいのであれば、なおさら無理にワックスがけをする必要はありません。

今の車はワックスがけは必要?

ワックスがけが必要かどうかは、今の車か昔の車かによって大きく関係することはありません。基本的にコーティングをした車であればワックスがけは不要です。

コーティング施工車には基本的にワックスがけは不要

最近は新車時購入時に、メーカーやディーラーのボディコーティグをつけていることが多いです。
ボディコーティング施工車には、ワックスがけは不要です。理由は、ワックスを塗り込むことで、コーティング本来の効果や耐久性が落ちてしまうおそれがあるからです。
コンパウンドの入っていないワックスであっても同様に注意が必要です。
もちろん、ワックスがけが絶対にダメというわけではありませんが、必要性がないのでおすすめしません
コーティング証明書の注意書きや取扱書を参考に、ワックスがけがOKかNGか確認するのがベストです。

コーティング未施工であればワックスがけは可能

一方で、コーティングを施行していない車であれば、今の車でもこれまでと同様にワックスがけをすること自体は問題ありません。

塗装技術向上で昔よりもボディが綺麗になった

メーカーの塗装技術は昔に比べると向上しており、艶感も向上しています。
そのため昔と比較すると、近年の車はボディに艶を出すためにワックスがけをする必要性がそこまで高くありません。ワックスをかけるかどうかはメリット・デメリットを理解して判断しましょう。

車にワックスは良くない?

イオンデポジットが車のボディに出来ている画像

ワックスが車にとってデメリットをもたらすことがあります。塗りムラがあったり、拭き上げが不十分であると、ガラスの油膜や樹脂パーツの白ボケの要因となるので注意が必要です。

こんなワックスがけは逆効果

以下のようなワックスがけは、艶感にムラが出たり、ボディを痛める一因になったりして、むしろ車のボディの状態が悪くなる可能性があります。

  • 十分にボディの汚れを落とさずにワックスがけをする
  • ムラのある塗り方をする
  • ワックス塗布後に、十分な拭き上げをしない

ワックスは、ロウ(カルバナ蝋)と呼ばれる油分が主成分です。
ボディに付着した汚れを十分に落とさないでワックスがけをすると、汚れをそのままワックスで封じ込めてしまうことになります。
また、塗り方にムラがあると、仕上がりにもそのままムラが出てしまいます。
ワックスがけは「薄く均一に塗る」ことが大切です。
ワックスを拭き上げるときも同様に、ムラにならないよう確実かつ丁寧にしないと、仕上がりの見た目にムラができ、ワックスが十分にかかっているところと、そうでないところができてしまいます。

ガラスに油膜が付着する原因になる

ワックスは油分そのものです。
ワックスの種類によっては、ワックスがけの時の拭き取りが十分でない場合や、時間の経過と共に、雨などでワックスの油分が流れてしまいます。
その油分が窓ガラスに付着すると、油膜となって雨の日のガラスのギラつきの原因になってしまいます。

【関連記事】フロントガラスの油膜取りの方法とおすすめグッズ

樹脂パーツにワックスは厳禁!

最近の車は外観に多くの樹脂パーツが採用されています。
特に人気のSUVでは、フェンダーラインが樹脂になってる車も多く、ボディに対して樹脂パーツの占める面積は大きいです。
ボディ用のワックスがそういった樹脂パーツに付着してしまうと、白っぽくなって見映えが悪くなってしまいます。
樹脂パーツは表面が細かい凹凸になっているこで、この凹部分にワックスが入り込んでしまい、クロスで拭き上げるだけでは除去が困難になってしまうことが原因です。
(※対策として、メラニンスポンジ等で擦れば、樹脂パーツの白ボケが綺麗になることもあります)

ボディの縁やエンブレム廻りにワックスが残ってしまう

ボディに塗り込んだワックスを綺麗に拭き取ることは意外と難しいです。
特にボディラインやエンブレムの縁の部分は凹凸があるので、拭き残しやすい場所です。
しかし、直後に拭き残しを見つけることは簡単ではありません。
拭き残したワックスに付着した汚れが蓄積することで目立ってきたときに、初めて気付くことが多いです。
遠目では分かりにくいですが、近くで見ると意外と目立つので、ワックスがけをするようなマメな人であれば、気になる人も多いでしょう。

ワックスをかけたほうが良い場合

ワックスをかけた方が良い場合は、以下に当てはまるときです。

  • ボディコーティングを施工していない
  • カーワックスが好き
  • 洗車にやりがいを感じたい
  • ワックス施工後のボディの艶感と撥水力が好き
  • 週に一回程度のマメな洗車ができる
  • 一度の洗車に数時間かけることができる
  • 愛車に対して几帳面な性格

ワックスは効果の持続力が弱いので、ワックスによるボディの艶と撥水を保つためには、少なくとも月に1回以上のワックスがけが望ましいです。(車の保管状態による)
よって、マメな洗車が必須となります。
「趣味が洗車をすること」というようなカーオーナーさんにとって、ワックスがけをした後の艶感のあるボディを眺めることは、洗車の達成感を大きく感じることができるポイントです。
車を綺麗にすることの過程を楽しみたい方は、ワックスによるボディメンテナンスを選択肢のひとつに入れても良いのではないでしょうか。

ワックスとコーティングはどっちが良い?

ワックスにはメリットもデメリットもあります。
ボディのメンテナンスに、これという100%の正解はありません。
むしろ、オーナー個人の好みによるチョイスの要素が大きいジャンルが、洗車やボディメンテナンスです。

ワックスの良さ

ワックスの良さはすでに解説したとおりです。
コーティング主流の時代においても、自分の手でこまめにボディメンテナンスをしたいひとにおすすめです。

コーティングの良さ

ボディコーティングの施工費は数万円から、高いものだと10万円オーバーのものまであり、ワックスがけに比べると非常に高額です。
しかし、コーティングのメリットはなんといっても効果が長持ちする点です。
短いものだと1年、長いものだと3〜5年効果が持続するものもあります。
また、コーティング性能を維持するには、専用のシャンプーを使った定期的な洗車のみでOKなど、メンテナンスが比較的楽なのもメリットです。
また、撥水のみならず「親水」「滑水」「疎水」といった種類のコーティングにより、水の弾き方を好みによって選べるところもコーティングの良さです。
しかし、ただコーティング施工してそれでお終いではなく、定期的な洗車は必要です。
「コーティングしているから大丈夫」と洗車怠っていると、イオンデポジットができたり、コーティングを早期に劣化させてしまう要因になります。

整備士のまとめ

最後にコーティングの良さについても触れましたが、コーティング主流の現代においてもワックスがけは過去のものでは決してありません。
もちろん、メリットだけではなくデメリットも少なくないワックスですが、それらを理解し使用方法を守ることで、こだわりのある愛車とのカーライフの相棒になってくれるはずです。
ワックスがけのやりがいや、施工後の輝きを楽しむのは車好きにとっては幸せな瞬間のひとつです。
自分に合ったボディのメンテナンス方法を選ぶのが1番ですね。

 

車の維持には消耗品がつきものです。以下の記事では代表的な消耗品の交換時期や費用について一覧で紹介しているので、メンテナンスの参考にしてみてください。

Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。