プジョー308は2022年4月、9年振りにフルモデルチェンジした。Cセグメントのコンパクトカー、308シリーズの3代目だ。
輸入車のCセグメントで上位の実力を誇るのが、2021年6月デビューのフォルクスワーゲン ゴルフ8である。今回はフランス車の308とドイツ車のゴルフ8を比較・評価した。
- この記事の目次 CONTENTS
- プジョー308の特徴
- フォルクスワーゲン ゴルフ8の特徴
- ほぼ互角の燃費性能だが、電動化車の投入が遅い
- 走行性能視点なら、ゴルフ8のコストパフォーマンスが勝る
- 両車、輸入車ながら値引きの交渉余地あり
- 好対照なデザインのプジョー308とゴルフ8
- 室内スペースは、ボディサイズが大きいプジョー308が有利
- 両車ほぼ互角の予防安全装備
- 誰にでもお勧めできるゴルフ8。ラテン系なプジョー308
- 価格幅が懸念のプジョー308。高値でないが安定感あるゴルフ
- 初めてのフランス車として最適な308。誰にでもお勧めできるゴルフ8
プジョー308の特徴
プジョー308は、2022年4月にフルモデルチェンジした。308シリーズとしては、3世代目のモデルとなる。先代プジョー308は、2014年の欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど高い評価を得た、基幹モデルのひとつだ。
新型308のプラットフォーム(車台)は、最新のEMP2 V3を採用した。ボディサイズは、先代308よりひと回り大きくなっている。
日本に導入された新型308の搭載エンジンには3タイプが用意された。
- 直3 1.2Lガソリンターボ
- 直4 1.5Lディーゼルターボ
- 直4 1.6Lターボ+モーターのPHEV
ガソリン車やディーゼルには、48Vマイルドハイブリッド機能などの電動化技術は投入されていない。
新型308は、予防安全装備や運転支援機能が大幅に向上している。プジョー初となるi- Connect/i-Connect Advancedというインフォテイメントシステムが搭載され、ライバル車と肩を並べる機能をもった。
フォルクスワーゲン ゴルフ8の特徴
初代フォルクスワーゲン ゴルフは、1974年に登場した。長い歴史をもつモデルで、日本では定番と言える輸入車である。
ゴルフは、2021年6月のフルモデルチェンジで8代目となった。販売面では、輸入車販売台数で数えきれないほどナンバー1の座を獲得している。国内フォルクスワーゲンの中核モデルだ。
新型ゴルフ8のプラットフォームは、先代ゴルフ7で初採用されたMQBを改良して引き続き採用している。パワーユニットは刷新され、ガソリン車に48Vマイルドハイブリッドシステムが搭載された。だが、フルハイブリッドやPHEVの設定はまだ無い。
eTSIという48Vマイルドハイブリッドシステムは、日本には1.0L直3ターボと1.5L直4ターボエンジンの2タイプが設定されている。
その後、2.0L直4ディーゼルターボが追加された。
ほぼ互角の燃費性能だが、電動化車の投入が遅い
1.燃費比較
308の評価は 3.5
ゴルフ8の評価は 3.0
フォルクスワーゲン ゴルフ8の燃費は以下の通り(すべてFF、WLTCモード)
- 1.0Lターボ…18.6km/L
- 1.5Lターボ…17.3km/L
- 2.0Lディーゼル…20.0km/L
プジョー308の燃費は以下の通り(FF、WLTCモード)
- 1.2Lターボ…17.9km/L
- 1.5Lディーゼル…21.6km/L
- 1.6LターボPHEV…17.6km/L、64km(EV走行換算距離、WLTCモード)
プジョー308の燃費は、なかなか良好といえる数値となった。フォルクスワーゲン ゴルフ8とは、排気量が異なるものの燃費値はそれほど大きな差がなく、ほぼ互角といえる。ただ、ゴルフ8の1.0Lと1.5Lのガソリン車は48Vマイルドハイブリッドということを踏まえると、308の1.2Lエンジンは純ガソリン車なので、なかなか優秀と言えるだろう。
ただし、カーボンニュートラルが叫ばれる中、純ガソリン車を導入するのか? という点ではマイナス評価になる。308にはPHEVの設定もあるが、ガソリン車に対して約190万円も高価だ。さらに、ハイブリッド燃費は1.2L並みと微妙なのも惜しい。
308とゴルフ8のガソリン車は、両車共にハイオクガソリン仕様だ。多少燃費が良くても、燃料費は高めになるので、低燃費でもメリットは低い。
こうなると、両車共にディーゼル車がベストな選択になる。
走行性能視点なら、ゴルフ8のコストパフォーマンスが勝る
2.価格比較
308の評価は 2.5
ゴルフ8の評価は 3.0
プジョー308の価格は以下の通り。
プジョー308グレード名 | エンジン | 価格 |
---|---|---|
308 Allure | 1.2L | 3,053,000円 |
308 Allure BlueHDi | 1.5Lディーゼル | 3,277,000円 |
308 GT BlueHDi | 1.5Lディーゼル | 3,969,000円 |
308 GT HYBRID | 1.6L PHEV | 4,906,000円 |
フォルクスワーゲン ゴルフ8の価格は以下の通り。
ゴルフ8グレード名 | エンジン | 価格 |
---|---|---|
e TSIアクティブベーシック | 1.0L | 3,017,000円 |
e TSIアクティブ | 1.0L | 3,238,000円 |
e TSIスタイル | 1.5L | 3,838,000円 |
e TSI Rライン | 1.5L | 3,888,000円 |
TDIアクティブベーシック | 2.0Lディーゼル | 3,444,000円 |
TDIアクティブアドバンス | 2.0Lディーゼル | 3,989,000円 |
TDIスタイル | 2.0Lディーゼル | 4,038,000円 |
TDI Rライン | 2.0Lディーゼル | 4,088,000円 |
単純な価格比較であれば、プジョー308PHEVを除くとほぼ同等レベルになっている。装備も微妙に異なるものの、基本的に大きな違いはない。強いて言えば、ゴルフ8にはパワーシートが無いが、308GT系には標準装備になっている。
走行性能ではゴルフ8に軍配が上がる。
308のリヤサスペンションは、全車トーションビーム式だ。対するゴルフ8は1.0L車を除き4リンク式である。トーションビーム式よりコストアップするが、上質な走りと操縦安定性を得ている。
ガソリン車で比較すると、ゴルフ8は全車48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載している。308の1.2Lは純ガソリン車なので、ゴルフ8のほうがコスト高になる。
次にディーゼル車を比較する。
ゴルフ8は2.0Lだが、308のディーゼル車は1.5Lだ。一般的に排気量が大きい方がよりパワフルで高めの価格設定になるケースが多い。しかし、Allure BlueHDiは安価だが、GT系はゴルフ8のTDIアクティブアドバンスと同等の価格で、やや高めの価格設定となっている。
走行性能では、ゴルフ8が上回り、コストパフォーマンスに勝る。
両車、輸入車ながら値引きの交渉余地あり
3.購入時の値引き術
308の評価は 3.0
ゴルフ8の評価は 3.0
輸入車は、国産車のように値引きはしてくれないのでは? と、思うかもしれない。だが、国産車並みの値引きが引き出せるのだ。
さらに長期の在庫車や、マイナーチェンジ直後に余ったマイナーチェンジ前モデルだったりすると、三桁万円の値引きがでることもある。タイミング次第では大幅値引きが見込めるので、しっかりと商談することが大切だ。
プジョー308はフルモデルチェンジ直後なので、しばらくの間は値引きゼロベースだ。ただし、ゴルフ8やカローラスポーツハイブリッドなどと競合させれば、10万円前後の値引きは十分に引き出せる可能性が高い。
プジョー車を選ぶというのは、かなりマニアックで、指名買いが多い。指名買いなら値引きはしなくても買う、と多くの営業マンが思っているはずだ。そうした状況下で値引きを引き出すためには、ライバル車と308か本当に悩んでいるという体で商談する必要がある。「性能や個性も重要だが、支払金額も大切」と伝え、暗に値引きを要求するのもよい。
ゴルフ8の商談でも同様だ。
ゴルフ8の場合、デビューから約1年が経過していて、そろそろ新車効果も無くなってくる時期になる。値引き拡大するタイミングだ。
ゴルフ8の場合は、国産ハイブリッド車と競合させてみるのもよい。カローラスポーツハイブリッドやマツダ3ディーゼル、1クラス下になるが、日産ノートオーラなども効果的だろう。
ただ、コロナ禍なので、輸入車も納期が長く、クルマが足りない状況が続いている。
そうなると、なかなか値引きに応じないケースもあるので、長期的に商談することや、こまめに連絡を取り在庫車や受注キャンセル車などの情報を手に入れることも大切だ。すぐに登録できる車両があれば、一定の値引きに応じてくれる可能性が高い。
好対照なデザインのプジョー308とゴルフ8
4.デザイン比較
308の評価は 4.0
ゴルフ8の評価は 4.0
今回の2車種は、フランス車とドイツ車を代表するモデルだ。それだけに、デザインはまったく異なり、それぞれ非常にユニークなものとなっている。
プジョー308のデザインは、エモーショナルだ。
フロントフェイスは、最新世代のプジョー車らしさをアピールするアグレッシブなデザインである。プジョー初の超薄型マトリックスLEDヘッドライトを上部に設置し、大型のグリルと組み合わされている。
こうしたデザイン手法は、最新のデザイントレンドで、オリジナリティはない。しかし、プジョーのエンブレムでお馴染みのライオンの牙をイメージした縦型のデイタイムランニングライトが加わることで、ひと目でプジョーと分かるデザインにまとめている。
リヤビューには、ワイドな細型のコンビネーションランプを設置した。ブラックアウトされ引き締まった印象を与えながら、独特のグラフィックが浮かび上がるようにまとめ、なかなかスポーティな印象を与える。
フェンダーは力強く広がり、ルーフを上部に向かい絞ることで、安定感あるリヤビューを生み出した。
308のボディサイズは、全長4,420mm×全幅1,850mm×全高1,475mm、ホイールベース2,680mmだ。Cセグメントのコンパクトカーとしては、かなりワイドである。先代比で全長+145mm、全幅+45mm、全高+5mm、ホイールベース+60mmと、ひと回り大きくなっている。
対するフォルクスワーゲン ゴルフ8は、先代のゴルフ7と同じプラットフォームであるMQBを改良して使っている。全体的なシルエットはゴルフ7と似たものとなった。
ゴルフ8のデザインは、まさに質実剛健的だ。エモーショナルなデザインの308とは、まったく逆ともいえるテイストだ。だからと言って、ゴルフ8のデザインがダメということはない。むしろ、完成度が高く隙がない。長期に渡って飽きのこないデザインが特徴だ。先代ゴルフ7でも、古さを感じさせないほどである。徹底して、ゴルフらしさにこだわり続けている。
その象徴ともいえるのが太い「く」の字型になったCピラーだ。歴代ゴルフのデザインアイコンを継承している。
フロントフェイスは、大きな顔の308に対して、ゴルフ8はとにかく薄い顔となっている。これは、デザイントレンドとは逆の手法だ。細くワイドなグリルで、精悍でスポーティな顔を作り出した。
このデザインは、空気抵抗低を減らす役割をもつ。前面投影面積は 2.21㎡で、空気抵抗係数(Cd値)は0.3から0.275へと低減された。空気抵抗の低減は、とくに高速域での燃費値悪化を抑制する効果が期待できる。デザインにも機能的意味があるところが、まさにゴルフデザインといったところだ。
308とゴルフ8のデザインは、まさに好対照といえる。感性に訴えるデザインの308と、機能をもつデザインのゴルフ8。甲乙つけ難く、デザイン性というより、好みでの選択になる。
室内スペースは、ボディサイズが大きいプジョー308が有利
5.室内空間と使い勝手
308の評価は 3.5
ゴルフ8の評価は 3.5
ボディサイズは以下の通り。
車種 | 全長×全幅×全高 | ホイールベース | 荷室 | 最小回転半径 |
---|---|---|---|---|
プジョー308 | 4,420mm×1,850mm×1,475mm | 2,680mm | 412L | 5.3m |
フォルクスワーゲン ゴルフ8 | 4,295mm×1,790mm×1,475mm | 2,620mm | 380L | 5.1m |
全高を除き308の方がゴルフ8よりひと回り大きいため、室内スペースは308の方がやや広い。
運転席では、実際には横方向以外大差はない。だが、水平基調のインパネデザインのゴルフ8より、緩やかに弧を描くようなインパネデザインの308の方が、開放感がある。また、308では全幅がかなりワイドになったため、横方向の広さではゴルフ8より上をいく。後席のスペースも同様で、308の方がやや広い印象だ。
荷室もボディサイズに比例して308の方が広い。
最小回転半径はゴルフ8のほうが小さい。さらにゴルフ8は全幅も狭いため、狭い場所での実際の扱いやすさはゴルフ8の圧勝といえる。
308は小径のステアリングとエッジの効いたインパネデザインをもつ。好みにもよるが、未来的なデザインであり、やや落ち着かなさも抱く。対するゴルフ8は、水平基調で完成度の高いオーソドックスなデザインだ。
308とゴルフ8のインパネ操作は、両車共にタッチパネルを使った。
ただ、右ハンドルだと多くの人が利き手ではない左手でタッチパネルを操作することになる。どうしても走行中に、つい指先を注視してしまい前方監視が疎かになりやすいのだ。安全運転という点では少し微妙な使い勝手になってしまう。
使用頻度の高い操作系は、ブラインドタッチで操作可能な物理的スイッチやダイヤルを用意するなど、2系統あると便利だ。
両車共にスイッチ類はかなり小さい。操作感に欠け、やや使いにくさを感じる。近未来感を出そうとすると、どうしてもこうした傾向になるところが悩ましい。
両車ほぼ互角の予防安全装備
6.安全装備の比較
308の評価は 3.0
ゴルフ8の評価は 3.5
プジョー308の予防安全装備は、先代から大幅に進化した。自動ブレーキは昼夜の歩行者、昼間の二輪車を検知し、衝突防止、被害軽減が可能だ。
また、GT系グレードには360°ビジョン/4カメラが装備された。カメラの映像を加工して、車両を俯瞰から見た映像に変換し死角にある物や人がひと目で分かる機能だ。その他、前方、後方、右側、左側、前方ワイド、後方ワイドといった映像の選択も可能である。
さらに以下の機能も装備された。
- ブラインドスポットモニター(後側方から接近する車両を検知し警報を発する)
- リヤトラフィックアラート(駐車場などで後退時に接近する車両や自転車、歩行者を検知し警報を発する)
運転支援機能である、アクティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付き)はドライバーの疲労軽減に役立つ。
フォルクスワーゲン ゴルフ8の自動ブレーキは、歩行者と自転車に対応している。
以下の予防安全機能は標準装備されている。
- トラベルアシスト(車線を維持しながら先行車に追従。渋滞時などで、ドライバーの疲労軽減が可能)
- 緊急時停車支援システム(ドライバーが意識を失っているときなどに、自らの車両と周囲の安全を確保。ハザードやホーンで周囲に注意喚起しながら、同一車線上に停車)
パークディスタンスコントロール(前進・後退時衝突被害軽減ブレーキ)は、エントリーグレードに装備不可で、その他のグレードでは、オプションまたは標準装備となった。
予防安全装備は、ややゴルフ8の機能が上回る。緊急時停車支援システムや自動ブレーキ機能があるリヤトラフィックアラートなどで差が付いた。
それでも国産車の平均的なレベルに追いついた程度だ。たとえば最新のトヨタセーフティセンスの自動ブレーキは右左折時の歩行者や対向車などにも対応しており、このレベルには届いていない。
最新モデルであることを考えると、両車とも少々物足りない予防安全装備といえる。
誰にでもお勧めできるゴルフ8。ラテン系なプジョー308
7.走行性能の比較
プジョー308の評価は 4.0
ゴルフ8の評価は 4.0
プジョー308に用意されたパワーユニットは3つだ。(PHEVには試乗できていないので評価の対象外とした)
- 1.2Lターボ…130ps&230Nm
- 1.5Lディーゼル…130ps&300Nm
- 1.6LターボPHEV…システム出力225ps(エンジン180ps&250Nm+モーター110ps&320Nm)
1.2Lターボと1.5Lディーゼルはどちらも実用性や燃費を重視したエンジンだ。低速域からのトルクはあるが、高回転域でのパンチはそれほどない。
絶対的な排気量が小さいので、ストップ&ゴーの多い市街地では、停止時からのスタートでアクセルレスポンスに少々物足りなさを感じる。ターボラグがわずかにあり、自分のアクセル操作に対し少し間を感じることがストレスだった。ただ、一旦走り出してしまうと、こうしたレスポンスの物足りなさは感じない。
ハンドリングや乗り心地は、プジョーらしさが凝縮されていた。1クラス下の208は、硬いサスペンションで締め上げられた乗り味で、速度が上がらないとしなやかに欠けていた。308もややサスペンションは硬めだが、低速域でも十分しなやかさを感じる。プジョー伝統のネコ足は健在だ。
カーブの小径ステアリングとややクイックなハンドリング、そしてネコ足の組み合わせは最高だ。ステアリング操作通り、308はクルクルと向きを変えフラットライド感を維持しながら軽快にカーブを駆け抜ける。多少走行ラインを外したりブレーキングでミスしたりしても、なぜか気にならないしイラっともしない。鼻歌交じりのテンションアゲアゲで走れるのはとても大らかで、さすがラテン系と妙に納得できる。軽快感という点では、1.2Lターボの方がフロントが軽く、1.5Lディーゼルに勝る。
フォルクスワーゲン ゴルフ8のエンジンは3タイプだ。
- 1.0L eTSI…110ps&200Nm
- 1.5L eTSI…150ps&250Nm
- 2.0Lディーゼル TDI…150ps&360Nm
1.0Lは少し非力感がある。市街地でのストップ&ゴーでは、排気量が小さいのでスタート時にトルクが細い。さらにターボラグも加わり、アクセルレスポンスが物足りなくストレスを感じた。走りだすとそれほど気にならないが、上り急勾配の山道ではアンダーパワーな印象を受けた。
乗り心地は、ゴルフなのにソフトな乗り味で快適だ。従来のやや硬めで引き締まった乗り心地のゴルフらしさが無いが、街中を走るなら十分なレベルだ。
1.0L車は、リヤサスペンションがトレーリングアームとなる。4リンク式の1.5Lと2.0Lディーゼルと比べると、速度が上がった状態で大きく連続した凸凹道を通過すると、ややドタバタした乗り味になる。
ゴルフ8の1.0Lと308の1.2Lを比べるなら、しなやかな乗り心地とパワフルさで308の1.2Lがやや勝る印象だ。
1.5Lはバランスが良い。308の1.2Lよりも排気量が大きく、より低回転域から最大トルクを発揮する。さらに、わずかだがモーターのアシストもプラスされるので、常に余裕のある走りが可能だ。308とゴルフ8のガソリン車比較では、もっともバランスがよい。
1.5Lのリヤサスペンションは4リンク式だ。トーションビーム式の308と比べても、リヤのゴトゴト感が少なく乗り心地もよい。また、高い速度域での操縦安定性も4リンク式を使うゴルフ8が少し上回る。
さらに、1.5LのスポーティグレードであるRラインには専用スポーツサスペンションが装備されている。このグレードには、往年のゴルフらしさが詰まっている。やや高めの乗り味で、フラットライドだ。ステアリング操作に対するフィードバックもしっかりとドライバーに伝わり、クルマを操っている感がある。緻密で正確なのだ。308のような大らかさは無いが、曖昧さは微塵も感じられない。この2車種はデザイン同様、走りも対照的だ。
2.0LディーゼルのTDIは、豪快である。低回転から360Nmもの大トルクを発生するので、全域でパワフルだ。308の1.5Lディーゼルと比べると、ゴルフ8のディーゼルの方が扱いやすくて力強い。500ccの排気量差は伊達ではない。
カーブなどでの軽快感では、やや308が上回る印象だ。
価格幅が懸念のプジョー308。高値でないが安定感あるゴルフ
8.リセールバリュー比較
308の評価は 2.5
ゴルフ8の評価は 3.0
輸入車のリセールバリューは、一部のスポーツカーとSUVを除き平均的なレベルとなっている。
ゴルフはリセールバリューが安定しているのが特徴である。歴史があるモデルなので一定の人気があり、中古車流通量が多いからだ。
先代モデルとなるフォルクスワーゲン ゴルフ7の2017年式中古車相場は、おおよそ120~190万円だ。新車価格が250~330万円程度だったので、新車価格の48~58%にまで落ちてきている。高価な価格帯は少し高値がついているが、中古車として買い得感のある価格帯に入ってきている。
対するプジョー308は、新車販売台数が少ないため、中古車流通量も少ない。リセールバリューはやや不安定だ。
先代308の中古車価格は、2017年式80~170万円とかなり幅が広い。中古車流通量が少ないからだ。新車価格は、約280~350万円だったので新車価格の29~49%にまで落ちている。よいクルマなのに、かなり買い得感があり狙い目だ。
先代308を参考にすると、ゴルフに比べリセールバリューが低く、売却先によってかなり価格差がつく可能性が高い。新型308も同様になる可能性が高く、リセールバリュー面では注意が必要だ。
308、ゴルフ8共に、高リセールバリューが期待できるのは、人気のあるディーゼルエンジン搭載車だ。308であれば、上級グレードのGT BlueHDiがお勧めだ。
ゴルフ8も同様、ディーゼル搭載のTDIのスポーティグレードであるRラインがよい。これに、電動パノラマスライディングルーフがオプション装着されていれば、さらにプラス査定になる可能性が高い。
初めてのフランス車として最適な308。誰にでもお勧めできるゴルフ8
9.まとめ・総合評価
プジョー308、フォルクスワーゲン ゴルフ8は共に、走行性能面の味に大きな違いがあるものの、非常に完成度の高い仕上がりとなっている。どちらが優れているかという判断は難しい。
308の美点は室内の広さだ。対するゴルフ8の優位点は狭い駐車場などでの取り回しの良さとリセールバリューの安定感にある。あとは、好みの問題なので、悩んだら徹底的に乗り比べてみるとよい。
308のお勧めグレードは、1.5Lディーゼルを搭載したGT BlueHDiだ。運転席パワーシートやシートヒーター、純正ナビも標準装備され充実している。
ゴルフ8のお勧めは2.0LディーゼルのTDI Rラインである。専用のスポーティな内外装やスポーツサスペンションを装備している。スタイリッシュで、ゴルフらしいカッチリとした走りが楽しめる。
プジョー308 | ゴルフ8 | |
---|---|---|
総合得点(40点満点) | 26.0 | 27.0 |
1.燃費 | 3.5 | 3.0 |
2.価格 | 2.5 | 3.0 |
3.購入時の値引きしやすさ | 3.0 | 3.0 |
4.デザイン | 4.0 | 4.0 |
5.室内空間と使い勝手 | 3.5 | 3.5 |
6.安全装備 | 3.0 | 3.5 |
7.走行性能 | 4.0 | 4.0 |
8.リセールバリュー | 2.5 | 3.0 |
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308のカタログ情報
- 現行モデル
- 令和4年4月(2022年4月)〜現在
- 新車時価格
- 305.3万円〜611.5万円
308の在庫が現在8件あります
以下車両の保証内容詳細は画像をクリックした遷移先をご確認ください。