豊富な車種をもつマツダのSUV
マツダはSUVに力を入れており、デザインや走りにこだわっている。CセグメントのコンパクトSUVには2車種も投入するほどだ。加えてマツダ車は毎年のように改良が行われ、クルマの完成度は向上している。それだけに購入タイミングは悩ましい。
そこで今回は2022年2月現在のマツダのSUVを全車種、比較評価する。
マツダCX-8「国内マツダのフラッグシップSUV」
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ボディサイズ
全長4,900mm×全幅1,840mm×全高1,730mm
6/7人乗り
燃費(WLTCモード)
FF | 4WD | |
---|---|---|
2.2Lディーゼル(AT) | 15.8km/L | 15.4km/L |
2.5Lターボ(AT) | 12.0km/L | 11.6km/L |
2.5L(AT) | 12.4km/L | 12.2km/L |
価格
25S(FF) | 2,994,200円 |
XDエクスクルーシブモード(4WD) | 4,834,500円 |
特徴
マツダCX-8は、2017年に登場した3列シートをもつ大型のSUVだ。2列目シートはキャプテンシートが選べ、6/7人乗りとなる。
国内マツダのフラッグシップSUVであり、非常に上質でラグジュアリーな仕様となっている。
長所
CX-8の全長は4,900mm、ホイールベースは2,930mmと長い。直進安定性も高くロング⁻ツーリングに最適だ。特に2.2Lディーゼルエンジンとの相性がよい。低回転から450Nmもの大トルクで、大きく重いボディをグイグイと加速させる。この余裕あるトルク特性は、まさにロングツーリングにピッタリだ。
2.2Lディーゼルエンジンの燃料は軽油を使う。レギュラーガソリンより20円/L前後も安価だ。燃料費はハイブリッド車に近く、ガソリン価格高騰時代にはピッタリだ。
短所
CX-8の3列シートは、あくまで短距離移動用と割り切りが必要だ。トヨタ アルファードなどのようなミニバンと比べると、かなり狭い。背が高い人は、頭上部のスペースがかなり窮屈に感じるだろう。
機能面では、ミッションが6速ATだ。世界的にはATも8~10速といった多段化が進み、より洗練されたスムースさと燃費向上が図られていることもあり、やや古さを感じさせる。これは、CX-5も同様だ。
おすすめグレード
マツダCX-8は、国内マツダのフラッグシップSUVだ。その魅力を十分に味わうには、最上級グレードの「エクスクルーシブモード」がおすすめだ。パワーウォークイン機能やパワーシート、シートベンチレーション、より上質なナッパレザーを装備している。快適で心地よい移動が楽しめる仕様といえる。
中古車相場
CX-8の中古車相場は、2018年式で約250~320万円だ。人気のディーゼル車が中心で、バランスのよい装備で売れ筋グレードのプロアクティブが多い。
マツダCX-5「完成度極まった2代目」
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ボディサイズ
全長4,575mm×全幅1,845mm×全高1,690mm
5人乗り
燃費(WLTCモード)
FF | 4WD | |
---|---|---|
2.0L(AT) | 14.6km/L | 14.0km/L |
2.5L(AT) | 13.8km/L | 13.0km/L |
2.2Lディーゼル(AT) | 17.4km/L~17.6km/L | 16.6km/L~16.8km/L |
価格
20スマートエディション(FF) | 2,678,500円 |
XDエクスクルーシブモード(4WD) | 4,075,500円 |
特徴
2代目マツダCX-5は、2017年にフルモデルチェンジした。
初代CX-5は、カジュアルなSUV的だったが、2代目CX-5はラグジュアリーSUVへと大きく舵を切った。そのため、内外装の質感はさらに向上している。クラストップレベルの上質感を手に入れた。また、初代と同じプラットフォーム(車台)を継続採用しながらも、乗り心地や静粛性も向上した。
2021年11月の大幅改良では、ラグジュアリーSUVとしての価値だけでなく、よりアウトドア的なルックスやカラーとなったフィールドジャーニーを追加した。さらに、スポーティ仕様のスポーツアピアランス、ラグジュアリー志向のエクスクルーシブモードと選択肢の幅を広げている。
長所
2021年11月に行われた改良で追加されたアウトドア志向のフィールドジャーニーには、Mi-Driveという機能にオフロードモードが、スポーツアピアランスには、スポーツモードが設定されている。クルマのキャラクターや走行シーンに合った走行モードが選べるようになり、より走りの楽しさがアップした。
CX-5は全体的に都会派のラグジュアリーSUV的であるが、最低地上高は210mmと十分な数値で、見た目の雰囲気とは裏腹にオフロードでもよく走る。
2.2Lディーゼルエンジンの燃料は、CX-8と同様に軽油だ。レギュラーガソリンより20円/L前後も安価である。燃料費はハイブリッド車に近く、優れた経済性を誇る。ガソリン価格が高騰している時などには、ランニングコストを抑えるメリットもある。
短所
CX-5の2.0Lガソリンエンジンは、価格が安価なのは魅力だが、やや非力なのが悩みどころだ。街中ではそれほど気にならないが、高速道路や山道などでは少々アンダーパワーな印象が強くなる。4WDを選択すると、その傾向がより顕著に現れる。
2017年デビューなので、2022年2月現在、モデル末期に入っている。最新のライバル車は、デジタルメーター化やモニターの大型化など、インターフェイスがより進化している。そうしたライバル車と比べると、やや古さを感じさせる。
おすすめグレード
マツダCX-5の場合、とにかく2.2Lディーゼルエンジンがおすすめだ。450Nmという大トルクは非常に力強く、まるでちょっとしたスポーツカーのような加速力を誇る。それでいて低燃費だから、非常に魅力的だ。
おすすめは2.2LディーゼルのXDグレードだ。その上で、スポーティな仕様が好みならスポーツアピアランス、アクティブなスタイルならフィールドジャーニーを選択する。
CX-5のラグジュアリーSUV的なキャラクターを考えると、ゆったり上質なインテリアのエクスクルーシブモードも良いだろう。
中古車相場
CX-5の中古車相場は、2017年式で約180~260万円程度だ。ただし、ディーゼルのXD系はやや価格帯の幅が広く、180~280万円位だ。XD系は、200万円以下の価格帯は程度があまりよくない傾向にある。ディーゼル車ということもあり、やや過走行のモデルが多い。ザックリ7万km以上が多く、10万kmという車両も珍しくない。
程度の低い車両を除くと、200万円くらいからが相場になる。グレードは、中間グレードで売れ筋のプロアクティブが中心だ。
マツダCX-30「スタイリッシュな都会派SUV」
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ボディサイズ
全長4,395mm×全幅1,795mm×全高1,540mm
5人乗り
燃費(WLTCモード)
FF | 4WD | |
---|---|---|
2.0L(AT) | 15.4km/L | 14.8km/L |
2.0L e-SKYACTIV X(AT) | 17.4km/L | 16.6km/L |
1.8Lディーゼル(AT) | 19.5km/L | 18.7km/L |
価格
20S(FF) | 2,392,500円 |
X Lパッケージ(4WD) | 3,713,600円 |
特徴
マツダCX-30は、2019年に登場したCセグメントの新型コンパクトSUVだ。シンプルでスタイリッシュなデザインをもつ都会派SUVとしての価値をアピールしている。
全高は1,540mmと低い。これは、立体駐車場(全高1,550mm以下)を使うユーザー向けの配慮だ。このクラスには多くのSUVがあるが、立体駐車場に入れるSUVは数少ない。
2.0L e-SKYACTIV Xは、ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの良いとこ取りした世界初のエンジンだ。マツダ独自の燃焼方式「SPCCI( Spark Controlled Compression Ignition:火花点火制御圧縮着火)」を採用している。マイルドハイブリッドシステムも組み合わされ、ガソリンエンジン以上の燃費と出力を誇る。
長所
SUVは全高や全幅が大きいため、街中ではやや扱いにくい。しかし、マツダCX-30は都会派SUVとしての機能にこだわった。1,540mmという低めの全高と、全幅1,795mmというボディサイズは、都市部に多い立体駐車場の全高制限1,550mm以下と全幅制限1,800mm以下をクリアしている。マンションの立体駐車場を使う顧客も車庫証明が取れるメリットがある。
デザインはシンプルで上質だ。パワーユニットの選択肢も豊富に揃っている。2.0Lガソリンと1.8Lディーゼル、そして最新テクノロジーを凝縮した2.0L e-スカイアクティブXの3種類から自分に合ったパワーユニットが選べる。
短所
マツダCX-30が属するCセグメンコンパクトSUVのリヤサスペンションは、多くの車種がマルチリンクやダブルウィッシュボーンなどを採用している。しかし、CX-30はややグレードが下がるトーションビーム式を採用した。その影響で、荒れた路面では特にリヤサスペンションの突き上げを感じ、ゴツゴツとした乗り心地となる。
最上級パワーユニットである2.0L e-スカイアクティブX搭載車の新車価格は、3,344,000円からと、かなり高価だ。この価格だと、ひとクラス上のCX-5プロアクティブが買えてしまう。
おすすめグレード
マツダのSUVはハイブリッド車が無いので、ディーゼルエンジン搭載車の一択だ。燃料である軽油は、レギュラーガソリンより20円/Lも安価である。
燃費がよく、力強さも持ち合わせた車を求めるのであれば、ガソリン車を選ぶ理由は予算を除けば見当たらないほどだ。
2.0L e-スカイアクティブXも悪くは無いが、あまりに高価な上に、燃料も高価なハイオクガソリン仕様なのが気になる。
1.8Lディーゼル車の中でおすすめなのが、XDプロアクティブツーリングセレクションだ。運転席パワーシート、シートヒーター、自動ブレーキや運転支援機能など充実した装備が魅力的だ。
レザーシートは装備されていないので、装備したいならLパッケージになる。
プラスしたい装備は360°ビューモニターくらいだ。
中古車相場
マツダCX-30は2019年登場の新しいクルマだ。中古車相場はかなり高値を維持しており、2019年式で230~280万円になっている。
この中から1.8Lのディーゼル車XD系グレードのみで見ると、おおよそ240~300万円が相場だ。240~250万円台では、XDプロアクティブやXDプロアクティブツーリングセレクションが中心となる。
しかし、260万円台からでも最上級グレードのXD Lパッケージが十分に狙える。
CX-30の場合、都会派SUVなのでFF(前輪駆動)車が中心だ。4WDモデルはLパッケージが多く、価格も280万円くらいからが相場になる。
マツダMX-30「観音扉の超個性派SUV」
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ボディサイズ
全長4,395mm×全幅1,795mm×全高1,550mm
5人乗り
燃費(WLTCモード)
FF | 4WD | |
---|---|---|
2.0L e-SKYACTIV G(AT) | 15.6km/L | 15.1km/L |
価格
ベースグレード(FF) | 2,420,000円~ |
特徴
マツダMX-30は2020年にデビューした。CX-30をベースにしたCセグメントの新型コンパクトSUVだ。
CX-30と同じく、都会派SUVとしながら観音扉式のフリースタイルドアをもち、デザインもより個性的にしたコンパクトSUVだ。
グレード体系はシンプルにベースグレードのみだ。これに、「Your Original Choice(ユア・オリジナル・チョイス)」を設定。必要な装備を、顧客自らがニーズや嗜好にあわせて選択する仕組みになっている。
長所
マツダMX-30は、CX-30と基本骨格などを共通化している。しかし、外観や内装は専用にデザインされていて、派生車であることを全く感じさせないオリジナリティが魅力的だ。ボディサイズもCX-30とほぼ同じなので、多くの立体駐車場が使え、道路の狭い日本でも扱いやすい都会派SUVである。
長所であり短所でもあるのが、観音扉のフリースタイルドアだ。個性的な点では長所だが、使い勝手という面ではやや短所にもなる。
このMX-30には手動運転装置付きの「MAZDA MX-30 Self-empowerment Driving Vehicle(セルフ エンパワーメント ドライビング ビークル)」が設定されている。足の不自由な方が自ら運転できる仕様だ。車いすから運転席に乗り換える際、フリースタイルドアのメリットを活かし、車いすを容易に後方へ積載することができる。これは、大きな長所だ。
インテリアは仕様によって異なるが、コンソールトレイとドアグリップ部に「ヘリテージコルク」と呼ばれるコルク素材を採用した仕様がある。独自の世界観があり、特別で上質な空間に居る感覚になりリラックスできる。
短所
マツダMX-30の観音扉であるフリースタイルドアは、一般的な使い方をする人だとやや扱いにくい。特に、後席に座っていると、前方のドアが開かないと降りることができない。後席に頻繁に人を乗せる場合、少々不向きな仕様といえる。
エンジンは24Vの2.0Lマイルドハイブリッドシステムであるe-SKYACTIV Gのみだ。MX-30と基本骨格を共有しているのであれば、1.8Lディーゼルエンジンの設定も欲しいところだ。
この24Vマイルドハイブリッドシステムも、12Vマイルドハイブリッドよりもモーターの存在感があるが、48Vマイルドハイブリッドほどではないというやや中途半端な印象を受ける。
おすすめグレード
マツダMX-30は、ベースグレードに顧客が必要に応じてオプションを選択する仕組みだ。
必須なのは2つのパッケージである。
- ベーシックパッケージ(キーレスエントリーなど)
- セーフティパッケージ(アダプティブLEDヘッドライト、追従走行やステアリング操作をサポートするクルージング&トラフィックサポートなどが装着される)
その上で、ブランウンかホワイトベースのインテリアにするインテリアパッケージを選択するのがおすすめだ。
ほぼすべてのパッケージを装着することを推奨するが、300万円オーバーの高価格帯になるのが短所でもある。
中古車相場
マツダMX-30の中古車相場はかなり高値を維持している。2020年登場の新型車であることや、中古車流通量が少ないことが要因だ。2020年式だと240~280万円位が相場だ。安価な価格帯でオプションパッケージがてんこ盛り状態なら、やや買い得感がある程度だ。
マツダCX-3「上質感がある都会派コンパクトSUV」
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ボディサイズ
全長4,275mm×全幅1,765mm×全高1,550mm
5人乗り
燃費(WLTCモード)
FF | 4WD | |
---|---|---|
1.5L(AT) | 17.0km/L | 15.7km/L |
2.0Lディーゼル(AT) | 20.0km/L | 19.0km/L |
価格
15S(FF) | 1,892,000円 |
XD Super Edgy(4WD) | 3,212,000円 |
価格
15S(FF) | 1,892,000円 |
XD Super Edgy(4WD) | 3,212,000円 |
特徴
マツダCX-3は、2015年にデビューした。マツダ2(デミオ)をベースにしたBセグメントのコンパクトSUVだ。CX-3も全高を1,550mm以下に抑えて、都市部に多い全高1,550mm以下の立体駐車場にも入る都会派SUVとして開発された。
Bセグメントには、ヤリスクロスやヴェゼルなどがあるが、この2車種はより大きく見せるデザインになっている。しかし、CX-3は小さいことを活かし、都市部での使い勝手を重視したモデルだ。
CX-3はデザインと質感にこだわっている。このクラスのSUVとしては高い質感をもち、内外装デザインはスタイリッシュな仕様となっている。
デビュー直後は1.5Lディーゼルのみの設定だったが、モデル途中で2.0Lと1.5Lのガソリンエンジンが加わった。
現在は1.5Lディーゼルと1.5Lガソリンの2種類から選べる。
長所
マツダCX-3は、このクラスでは国内唯一となる1.5Lディーゼルエンジンを搭載した。デビュー当時、出力は116ps&270Nmとクラストップレベルだった。非常に余裕のあるパワーユニットだ。最近になり、ようやく他社のハイブリッド車がこの出力に追いついてきた。
ディーゼルエンジンの燃料は軽油だ。レギュラーガソリンより20円/L前後も安価である。燃費もガソリン車より良いので、燃料費はハイブリッド車に近いレベルになる。コンパクトカーのメリットでもある経済性も高く、ガソリン高騰時代にはピッタリなモデルといえる。
短所
マツダCX-3は、デビュー直後からリヤサスペンションの突き上げやゴツゴツがやや強い傾向になった。その後何度かの改良が施され、最新モデルでは乗り心地が改善されている。
しかし、最新BセグメントコンパクトSUVと比べると、少し物足りない。
また、荷室の使い勝手や容量も最新モデルと比べると、やや小さく感じる。
おすすめグレード
このクラス唯一のパワーユニットであるディーゼル車、XD系グレードがおすすめだ。中でも特別仕様車の「XD Super Edgy」は高級感がある。
新設定の外板色に加え、黒を基本に、ダッシュボードやドアトリム、フロントシートバックなどに白を配色している。シート素材は、座面・背面の中央部分に手触りの良いスエード調人工皮革・グランリュクスを使用し、より上質感を高めている。
機能面も、以下の装備などが非常に充実している。
- 全車速追従式クルーズコントロール
- 自動防眩ルームミラー
- ステアリングヒーター
- パワーシート
- 18インチアルミホイール
価格はFF(前輪駆動)車で2,970,000円と高価だ。だが1クラス下のグレードとなるXDツーリングの価格は2,871,000円である。このグレードに上記の装備がプラスされているので、価格以上の価値がありお買い得感も高い。
中古車相場
マツダCX-3の2015年式の中古車相場は、おおよそ110~170万円だ。高値の価格帯は、あまり買い得感が無いが、安価な価格帯であれば人気SUVでディーゼル車なら納得できる価格といえる。
CX-3の場合、むしろ高年式の方が買い得感がある。2019年式ディーゼル車のXD系グレードの中古車相場は、180~220万円位だ。当時の中間グレードであるプロアクティブSパッケージの中古車相場も、180~220万円くらいになる。
プロアクティブSパッケージの新車価格は273万円だ。中古車価格場が200万円以下の安価な価格帯であれば、お買い得といえる。
CX-8のカタログ情報
- 平成29年12月(2017年12月)〜令和6年1月(2024年1月)
- 新車時価格
- 289.4万円〜511.0万円
CX-8の在庫が現在59件あります
以下車両の保証内容詳細は画像をクリックした遷移先をご確認ください。