2021年12月にフルモデルチェンジとして発売された新型アルト(9代目)。発表当初は「MT仕様がない」こともSNSで話題となった人気軽自動車モデルだ。先代との違いを比較したので是非購入の検討材料にしてほしい。
- この記事の目次 CONTENTS
- スズキ アルトの歴史・概要
- コンセプト&エクステリアデザイン
- インテリア&安全装備
- 走り、メカニズム
- おすすめはどっち?8代目と9代目アルト
- 新車値引き交渉のポイント
- スズキ アルト 価格・スペック
スズキ アルトの歴史・概要
スズキ アルトは、歴史あるモデルのひとつだ。2021年12月に9代目アルトが発売をされ、これまで約半世紀近くラインナップされている。初代アルトの発売は1979年。当時47万円という安価な価格で人気を博した。廉価な軽自動車というジャンルを築き、スズキにとって転換期となったモデルでもある。
根強い人気がある8代目アルト
8代目である先代アルトは、2014年に登場した。この8代目は、非常に力の入ったモデルとなった。安価な価格を維持しながら、スズキ独自の軽量化技術により低燃費化に成功した。当時、乗用モデルでは1グレードを除き、全車エコカー減税免税対象となっている。
さらに、従来のモデルとは大きく異なるユニークなデザインが採用された。まるで眼鏡をかけたような可愛らしいデザインは、とても個性的だった。プラットフォームも刷新し、クラストップレベルの室内長を誇った。
商用のバンは、8代目で最後となる。
2015年、軽量ボディを生かしたスポーツモデルである、ターボRSとアルトワークスがデビューした。軽量スポーツモデルを好むファンに絶大な人気を誇っており、アルトとしては異例の高いリセールバリューとなっている。
アルト史上、最も立派に見える9代目
9代目となるアルトは、2021年12月に登場した。プラットフォームは8代目アルトと共通で、進化版が採用されている。
9代目アルトは全高が50mmアップした。全長と全幅、ホイールベースは同じなので、全体のシルエットは似た雰囲気だが、まったく異なるクルマのように見える。面の張りが強く滑らかになったことで、高級感と存在感が大幅にアップした。1クラス上のクルマのように立派さを感じる。
また、カラフルな2トーンルーフを設定した。実用車としてのシンプルさを残したグレードも残しながら、よりパーソナルなグレードも用意している。
燃費へのこだわりも健在だ。ついにアルトにもマイルドハイブリッド車を設定し、全高を大きくしても、クラストップの低燃費を実現した。
コンセプト&エクステリアデザイン
全高を低くした8代目アルト。全高を高くした9代目
8代目スズキ アルトは、シンプルで安価だ。さらに低燃費と安全性能を担保し、総合力に富んだモデルである。
軽自動車のトレンドは、全高を高める傾向にあった。しかし8代目アルトは、全高を1,475mmとした。これは、7代目アルトの全高1,535mmに対し60mmも低くしている。頭上のほとんど使わないスペースは省く、というシンプルな考え方によるものだ。室内スペースが十分であれば、全高を低くすることによるメリットは、燃費や運動性能の向上など大きなメリットを得ることができる。合理的に考えれば、正しい判断だ。
だが、軽自動車マーケットでは、立派に見える、ということがとても重要視される。実際、より立派に見える背が高いスーパーハイト系に人気が集中している。次に、バランスの取れたハイト系。そして、アルトのようなロールーフ系と、全高が低くなるほど人気も低くなる。顧客が求めていたのは、合理性よりも立派に見えることだった。
9代目アルトでは、全高を1,525mmと再び50mmも高くした。これは、前述したマーケットニーズに対応したためだ。
歴代アルトの中でも個性的な8代目のデザイン
8代目アルトのデザインは、歴代アルトの中でもかなり個性的。眼鏡をかけたようなフロントフェイスに、フォルクスワーゲン ゴルフのような「くの字型」の太いCピラー、そして低いバンパーに設置されリヤコンビネーションランプなど、従来のアルトとはまったく異なるデザインとなっている。全高を下げたことでやや小さく見えるものの、独特の存在感を放っている。
上質感がアップした9代目アルトのデザイン
8代目アルトのデザインが少々先鋭的だったこともあり、9代目アルトではマーケットイン的なデザインへと変更されている。8代目アルトのヘッドライトデザインを少し継承しながらも、全高を50mm高め大きく見えるデザインとした。スッキリとしたシルエットながら、面の張りも強くドッシリとした安定感がある。8代目アルトと比べると、1クラス上の上質感もある。2トーンのボディカラーも用意され、よりパーソナルで愛着の湧くクルマになっている。
9代目アルトのデザインは、8代目よりかなり存在感と上質感がアップしている。
インテリア&安全装備
9代目が上回っている予備安全装備
8代目アルト初期のモデルには、対車両低速域のみ対応の自動ブレーキ「レーダーブレーキサポート」がオプション設定された。
2018年12月の改良では以下の機能などが追加され、現在でも一定レベルの予防安全装備を得ている。
- デュアルセンサーブレーキサポート
- 後退時ブレーキサポート(後退時の衝突被害軽減ブレーキ)
- 車線逸脱警報機能
- ハイビームアシスト
9代目アルトは、全車標準装備の機能が満載だ。
- デュアルカメラブレーキサポート(夜間の歩行者も検知する自動ブレーキ)
- 誤発進抑制機能
- 車線逸脱警報機能
- ふらつき警報機能
- 先行車発進お知らせ機能
- ハイビームアシスト
- 後退時ブレーキサポート
- 後方誤発進抑制機能
衝突安全面では、サイド&カーテンエアバッグなども標準装備化された。こうした安全装備の強化は、法的に義務化されている。そのため、法規制前の8代目アルトとは大きな差がついた。
室内空間が広い9代目アルト
室内の広さは、プラットフォームが共通なので前後スペースは同等だ。ただ、9代目アルトは室内幅が25mm拡大されたので、やや運転席と助手席間に余裕が出ている。また、全高を50mmアップした分、少し開放感がある。
8代目アルトのインパネは、水平基調のカチッとしたシンプルなデザインなので好感度は高い。
9代目アルトも水平基調でスッキリ系なのは共通だが、若干立体感がある。インパネとドアトリムに落ち着きのあるオシャレなネイビーカラーを使用した。
全体的に9代目アルトの方が、上質感がある。ただ、一部グレードにオプションを装着しないとUSB電源が装備されない。クルマの中は、スマートフォンのチャージングポイントだけに残念だ。
走り、メカニズム
マイルドハイブリッドにより燃費が良い9代目アルト
8代目、9代目アルトに搭載されたエンジンは、ともに自然吸気660cc直3エンジンだ。8代目アルトの出力は、52ps&63Nmで燃費は25.8km/L(FF、WLTCモード)だった。
対する9代目アルトは、マイルドハイブリッドを搭載している。出力は49ps&58Nmと、8代目アルトと比べると若干低い数値になる。しかしマイルドハイブリッドなので、このエンジンに2.6ps&40Nmのモーターがプラスされる。燃費は27.7km/L(FF、WLTCモード)だ。
車重は8代目が650kgなのに対して、9代目は710kgとやや重い。しかし9代目の燃費は、8代目を圧倒する数値を叩き出している。マイルドハイブリッドの恩恵だ。
走りの軽快さは8代目アルト。乗り心地なら9代目
走りの軽快さでは、8代目アルトが勝る。車重が軽いことや、ミッションが変速比幅の大きい副変速機付きCVTであるため、力強く走る。9代目には、副変速機付きCVTは採用されていない。全高は8代目のほうが低いため重心高も低く、軽快感もある。
乗り心地と静粛性では9代目が上回る。初期の8代目アルトは、とにかく足とタイヤが硬い。全体にゴトゴトとした乗り味になる。最上級グレードのXは、若干乗り心地がよくなっている。
9代目アルトは、車重が重くなったことも影響してか、8代目と比べるとマイルドな乗り心地になっている。ただ、少し荒れた路面だとリヤの突き上げ感が強めに入るが、8代目ほどではない。
圧倒的なのが、マイルドハイブリッド車の静粛性だ。アイドリングストップからの再始動時にキュルキュル、ブオォーンというエンジン始動時のセルモーターやエンジン音がほとんどない。街中で何度も繰り返されるアイドリングストップからの再始動時に、静粛性が高く振動もないので非常に快適だ。
通常走行時のロードノイズも適度に抑えられている。9代目アルトの静寂性は、このクラスでトップレベルだ。
おすすめはどっち?8代目と9代目アルト
生活の足ならコスパに優れる8代目アルトがおすすめ
8代目アルトの中古車価格は、やや高めだ。ただ、絶対的な価格が安価なので、コストパフォーマンスに優れる。
2020年式の中古車相場は、上級グレードのSで70~100万円程度になっている。当時の新車価格は約110万円だったので、高価格帯の中古車はかなり割高に感じる。だが高価格帯や70万円台の車両は走行距離1万km未満が多く、中古車としての程度は良好だ。なるべく安価な価格帯の中から探すとコストパフォーマンスに優れる。
装備も重要だ。基本的にシンプルな仕様なので、純正ナビやパーキングセンサー、シートヒーターなどが装備されている車両を中心に選びたい。ETCやドライブレコーダーなどは後から購入すると高価なので、既に装着されている車両はさらに買い得感がある。
8代目アルトのコストパフォーマンスは、装備がよく安価な車両が見つかれば9代目を大きく上回る。ただし、2018年の改良で歩行者検知式自動ブレーキが装備されたモデルであることが前提だ。
8代目アルトは、そのキャラクター的に上級グレードの流通量が少なく、中間グレードのL系が多い。中古車価格は50万円台位からと、さらに安価だ。生活の足として割り切れるなら、L系グレードのコストパフォーマンスは非常に高い。
安全装備や高い質感を求めるなら9代目アルトがおすすめ
9代目アルトの新車価格は、約94~138万円だ。8代目と比べると高価になっている。マイルドハイブリッド車の登場や、安全装備がかなり充実したことが要因だ。非マイルドハイブリッド車のLグレードは約100万円と安価な価格を維持している。
安全装備は、もはや雲泥の差といえる。より安全性能を重視するのであれば、躊躇なく9代目アルトを選択したい。
上級グレードのハイブリッドX(FF)の価格は、約126万円だ。さすがに8代目と比べると高価になるが、価格アップ以上の価値がある。単なる生活の足、それ以上を求めるのであれば、装備や燃費、質感の高い9代目のハイブリッドXがベストな選択といえる。絶対的な価格は安価ではないが、クルマの性能や燃費、質感・装備を含めたコストパフォーマンスは非常に優れている。
新車値引き交渉のポイント
ミライースシリーズとの競合は必須
9代目スズキ アルトの値引きは、大幅値引きの交渉は非常に厳しい状態といえる。新型車であることやコストパフォーマンスに優れたモデルだからだ。だが何もしなければ、値引きゼロか、端数の数千円程度で終わるだろう。
数万円程度とはいえ、一定の値引き額を引き出すためには、ライバル車との競合が必要である。9代目アルトの直接的なライバルは、ダイハツ ミライースだ。9代目アルトの見積りを取る前に、ミライースの見積りを先に取ることが重要である。先に見積りを取ることで、「ミライースが本命か?」と、営業マンに勘違いさせたい。「ミライースに勝ちたい」と思わせることで、値引きのガードが緩くなる傾向になるからだ。
9代目アルトは、マイルドハイブリッドシステムを搭載したことや、最新世代の安全装備が全車標準装備になったことで、新車価格はやや高めになっている。そのため、車両価格そのものの比較では、ミライースがかなり安価になる。商談時には、この車両価格差をテーマに攻めるとよい。
営業マンから9代目アルトの魅力を十分に聞いた後「アルトが欲しいけど、支払額に大きな差があり、予算的に厳しい・・」と伝えてみよう。営業マンが、なんとしてでも9代目アルトを買って欲しいと力が入ってくれば「ご予算は?」「いくらまでなら払えますか?」と、探りを入れてくるだろう。そこで、本当の予算を言ってはいけない。あくまで、安い方がよい程度に止め、「9代目アルトを買うには、家族にも納得・協力してもらわなければいけないので、支払総額の差を縮めて欲しい」とお願いし続けるとよい。商談時間は1ヶ月以上使い、徐々に値引き額をアップさせていくと良いだろう。
現金値引きが厳しくなったら、ディーラーオプションのサービスに切り替えるとよい。現金より、用品サービスの方が容認しやすくなるからだ。
何にせよ、新車デビュー直後の値引きは非常に厳しいので、デビューから半年以上経過してから商談した方がよい結果を得やすい。
スズキ アルト 価格・スペック
スズキ アルト価格
2WD | 4WD | |
---|---|---|
A | 943,800円 | 1,075,800円 |
L | 998,800円 | 1,129,700円 |
HYBRID S | 1,097,800円 | 1,228,700円 |
HYBRID X | 1,259,500円 | 1,379,400円 |
スズキ アルト スペック
代表グレード | アルトHYBRID X 2WD |
---|---|
全長×全幅×全高 | 3,395mm×1,475mm×1,525mm |
ホイールベース | 2,460mm |
最小回転半径 | 4.4m |
タイヤサイズ | 155/65R14 |
車両重量 | 1,710kg |
駆動方式 | FF(前輪駆動) |
エンジン | R06D型直列3気筒ガソリン |
最高出力 | 36kW(49ps)/6,500rpm |
最大トルク | 58N・m(5.9kgf・m)/5,000rpm |
モーター型式 | WA04C |
モーター最高出力 | 1.9kW(2.6ps) |
燃料消費率(WLTCモード) | 27.7km/L |
サスペンション形式(前:後) | マクファーソンストラット:トーションビーム |
アルトのカタログ情報
- 現行モデル
- 令和3年12月(2021年12月)〜現在
- 新車時価格
- 94.4万円〜161.3万円
アルトの在庫が現在52件あります
以下車両の保証内容詳細は画像をクリックした遷移先をご確認ください。