この記事の目次 CONTENTS
カローラシリーズを支える人気モデル
カローラクロスの値引き前に競合を知ろう!
カローラクロスとC-HRの違いは?
カローラクロスのライバル車は他に何がある? 
新型トヨタ カローラクロスの値引きアップのコツは「同門競合?」
新型トヨタ カローラクロス価格
カローラクロスのおすすめグレードやオプションは?

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

トヨタ カローラクロスはSUVカテゴリーの中でも特に人気のモデルだ。新車販売台数の記録も良い。今回はカローラクロスを購入する際に役立つ値引き情報のほか、おすすめのグレードについても解説する。

カローラシリーズを支える人気モデル

トヨタ カローラクロスは、2021年9月に登場した新型車だ。車名のカローラシリーズは、5ドアハッチバックに始まり、セダンやツーリングと異なるカテゴリーのモデルを送り出している。今回投入されたカローラクロスは、人気SUVカテゴリーに属する。

SUVは世界的に人気のカテゴリーであり、日本でもカローラクロスは発売直後からヒットモデルとなった。2021年11月、カローラシリーズが登録車新車販売台数ランキングナンバー1に輝けたのも、カローラクロス人気の賜物だ。
2021年12月にはヤリスシリーズにナンバー1の座を譲ったものの、登録車新車販売台数の前年比は152.0%という驚異の伸び率となった。しかもカローラクロスは、カローラシリーズの約50%前後の販売台数を占めており、デビュー直後からカローラシリーズの基幹車種となっている。

今回はそんな超人気モデルであるカローラクロスの購入時に役立つ、値引き情報やテクニックをレポートする。

カローラクロスの値引き前に競合を知ろう!

同じセグメントに同じトヨタのC-HR

新型トヨタ カローラクロスは、Cセグメントに属するコンパクトSUVだ。このCセグメントには、すでにC-HRがあった。ひとつのカテゴリーに2車種投入する自動車メーカーは稀である。販売面で共食い状態になり、効率が悪くなるからだ。
しかし、トヨタはあえてカローラクロスを投入した。

C-HRは、スタイリッシュ系の都会派SUVというキャラクターをもつ。対するカローラクロスは、ベーシックなSUVだ。明確に分類されたキャラクターにすることで、より多くの異なる顧客に売ることを狙っている。
価格戦略も巧みだ。カローラクロスは、C-HRよりもかなり安価な価格にした。エントリーグレードのガソリン車は、約200万円だ。1クラス下のBセグメントSUV並みである。C-HRのエントリーグレードは約238万円と、大きな差をつけている。

カローラクロスとC-HRの違いは?

デザイン面が差別化されている

新型トヨタ カローラクロスのデザインは、C-HRと大きく差別化されている。C-HRがエモーショナルなデザインであるのに対し、カローラクロスは機能的で万人受けできるデザインになった。カローラクロスは、いかにもアウトドア的SUVらしいダイナミックなエクステリアデザインとなっている。

インテリアも差別化されている

C-HRは優雅な面と線を駆使した流麗なデザインをもつ。対するカローラクロスは、水平基調でシンプルなデザインとした。
ディスプレイオーディオは、C-HRが8インチ、カローラクロスは9インチが選択可能だ(一部グレードにオプション)。インテリアの質感は、より高価格設定であるC-HRが上回る。

コストダウン部分がやや目立つカローラクロス

カローラクロスとC-HRのプラットフォームは共通だ。同じCセグメントのコンパクトカーなので、両車共にGA-Cを採用している。
C-HRのリヤサスペンションは、全車上級なダブルウィッシュボーン式を採用している。対するカローラクロスは、FF(前輪駆動)車のリヤサスペンションが、カローラシリーズでは初となるトーションビーム式にグレードダウンされている。こうした部分も安価な価格設定にするためのコストダウン部分といえる。

安全装備に関してもコストダウンの傾向を感じさせる。C-HRとカローラクロス共に、昼夜の歩行者と昼間の自転車に対応する自動ブレーキを標準装備している。加えてC-HRはデビューが古いのに、右左折時の歩行者と右折時対向車に対応する最新バージョンの自動ブレーキを装備している。後から登場したカローラクロスの方が、その他の予防安全・運転支援装備の機能が古いバージョンのままになっているのだ。カローラクロスの安全装備もクラス標準レベルを保っているが、悩ましい部分である。

広い室内と荷室で使い勝手が良いカローラクロス

車内や荷室の広さなどの使い勝手は、カローラクロスはクラストップレベルの実力を誇る。特に荷室は、クラストップレベルの487Lを実現した。
ただ、広さにこだわったため、リヤシートと荷室面がフラットにならない。そこで、ディーラーオプションのカローラクロス専用設計の高機能収納ボックス「ラゲージアクティブボックス」を設定した。荷物を車外から見えない状態で収納できるほか、ふたを閉じるとラゲージの床面をフラットにすることが可能だ。多彩な荷室アレンジできる。便利な機能なので、標準装備して欲しいところだ。
さらに、荷物の積み下ろしのしやすさにもこだわった。ラゲージ開口部は、地面から720mmに設定。小柄な人でも荷物の積み下ろしが楽にできるような配慮だ。
一部グレードには、ハンズフリーパワーバックドアを標準装備している。これはリヤバンパーの下に足を出し入れするだけで、バックドアを開閉することができる機能だ。両手に荷物を持っているときに便利である。

カローラクロスのライバル車は他に何がある? 

新型トヨタ カローラクロスは、CセグメントのコンパクトSUVだ。このカテゴリーには、同じトヨタのC-HRがある。日産、ホンダには該当車がない。マツダでは、CX-30とMX-30。そして、スバルではXVがライバル車になる。
ただ、カローラクロスの売れ筋であるハイブリッド車との直接的なライバルは、同じプラットフォームを採用するC-HRのみと言える。このハイブリッド車と同等レベルのモデルは無い。
燃料経済性では、このクラス唯一のディーゼル車であるCX-30がライバルになる。燃料である軽油は、レギュラーガソリンより20円/L前後安価だからだ。

カローラクロスハイブリッドの価格設定は安価だ。ボディサイズではなく、価格帯でライバルとなるのは、1クラス下BセグメントのコンパクトSUVであるホンダ ヴェゼル、日産キックスなどがある。ただ、ボディサイズがひと回り小さいので、積載性や室内スペースはカローラクロスが上回る。

新型トヨタ カローラクロスの値引きアップのコツは「同門競合?」

カローラクロスの値引きはゼロベースが多い。

カローラクロスは、2021年9月に発売されたばかりのモデルだ。そのため、少なくとも半年程度は、値引きはゼロベースだろう。
さらに、コロナ禍による半導体不足や部品不足などが重なり、納期が長期化している。値引きを要求する顧客は、後回しになる可能性が高い。

ライバル車との競合を試みる

ライバル車の納期動向次第では、うかうかしていると他車に奪われる可能性も出てきている。こうなると、多少値引きしてでも、とりあえず受注だけでも取っておきたいはずだ。
何も策なしに商談に挑むと、恐らく「値引きゼロ」ベースになる。そこで重要なのが、ライバル車との競合だ。ライバル車の見積りを先に取ってから、本命であるカローラクロスの商談に向かうことで、「本命はライバル車である」とトヨタの営業マンに勘違いさせたい。「とにかくカローラクロスが欲しい客」と思われると、大幅値引きは引き出せない。

同門ディーラー同士の競合も検討してみる

今回、カローラクロスのハイブリッド車に関しては、直接的なライバルがC-HRのみになる。値引き商談では、まず同門であるトヨタディーラー同士を競わせてみるのもよい。現在、トヨタディーラーは、全車種扱いだ。そのため、経営が異なるディーラー同士を競わせるのがおすすめだ。ネットでディーラー名を調べると、経営社が同じか異なっているか分かる。

異なる経営のトヨタディーラーは、いわゆるライバル関係にある。競合すれば、それぞれの事情次第ではあるが、値引き対応に応じてくれるはずだ。まずは、カローラクロスで見積りを両社から出してもらい「安い方を買う」という姿勢で商談するといい。
そして、1社ではカローラクロス、もう1社ではモデル末期となっていて、値引き額が大幅に拡大しているC-HRにしてみるのもいいだろう。高価なC-HRの大幅値引きがあれば、カローラクロスも値引きに応じる可能性が高い。
こうした同門競合に加え、価格帯が近いホンダ ヴェゼルや日産キックス、スバル XVを加えてみるのもよい。スバルXVはモデル末期なので、大幅値引きも期待できる。

納期も交渉材料の一つに

状況によっては、納期をひとつの条件にしてみるのもよいだろう。
例えば「A車の納期は1ヶ月。しかし、御社のB車は3ヶ月。B車に決めてもいいが、納期が遅い分、値引き額を増やしてほしい」と伝えてみよう。
商談期間は1ヶ月以上など、長めにとる方がよい結果が出やすい傾向にある。営業マンもお店もノルマがあるので、ノルマ達成に追われると痺れを切らせ「いつ買ってくれるのか?」と迫ってくるからだ。その時は、「もう少し安くなれば、すぐに決めたい」などと焦らしながら徐々に値引き額を引き出すとよい。

即決厳禁! だが、ここぞというチャンスの時は「今決める!」を使い分ける

商談時にやってはいけないことが「即決」だ。
「こんなに値引けるのは今日だけです。明日以降はできません。今決めてください」と、迫ってくることがある。確かに特別な理由があり、その日だけの大幅値引きの可能性もあるが、それはかなり稀だ。ほとんどの場合、少し値引きをアップして提示する作戦だ。これで、他社に行かせないようにして即決を促す狙いがある。カローラクロスであれば、40万円以上の現金値引きであれば即決でもいいが、それ以下なら再考する必要がある。

また、即決するには微妙な値引きの場合、例えば「あと20万円値引きしてくれれば、今決める。店長にOKもらってきて」などと、逆即決を迫るのもありだ。大幅値引きの領域に入ると、一般的な営業マンでは決められず、店長など上司の承認が必要だからだ。そこで「店長にOKもらってきて」と迫ることで、その値引きが特別な領域に入ったかどうかも判断できる。

現金の値引きが厳しいようであれば、用品サービスや用品値引きに切り替えるのも有効だ。用品値引きや用品サービスなら、ディーラー側も対応しやすいというメリットもある。ボディコーティングやETCユニット、ドライブレコーダーなど、実用的なものがおすすめだ。

新型トヨタ カローラクロス価格

  FF(ガソリン) FF(ハイブリッド) E-Four(ハイブリッド)
G“X” 1,999,000円 - -
G 2,240,000円 2,590,000円 2,799,000円
S 2,400,000円 2,750,000円 2,959,000円
Z 2,640,000円 2,990,000円 3,199,000円

カローラクロスのおすすめグレードやオプションは?

パワーユニットはハイブリッドがおすすめ

新型トヨタ カローラクロスのグレードを選ぶ際、まずはガソリン車を選択肢から外したい。カーボンニュートラルが叫ばれている中、アイドリングストップ機能が付いていないクルマは時代に合っていない。予算が重要なら、中古C-HRのハイブリッド車を選択するべきだろう。

新型トヨタ カローラクロスに用意されたパワーユニットは、1.8Lガソリンと1.8Lハイブリッドの2タイプだ。トヨタは、カーボンニュートラルに全力で取り組むとしているものの、やはり安価なガソリン車は商売的に外せないようだ。
トヨタは、1.8Lガソリン車の顧客は価格志向と割り切っているようで、FF(前輪駆動)のみの設定となった。4WDが欲しい人は、1.8Lハイブリッド車のE-Fourとなる。E-Fourは、リヤにモーターを設置した電動4WDだ。
1.8Lハイブリッドのシステム出力は122psで、燃費は26.2km/L(FF、WLTCモード)と非常に優秀だ。このクラスでトヨタのハイブリッド車並みの燃費を叩き出すモデルは他にはない。

トヨタは、カーボンニュートラルに全力で取り組むとしているが、1.8Lエンジンにはアイドリングストップ機能が装備されていない。燃費性能は、14.4km/L(FF、WLTCモード)と少々物足りない数値となっている。エンジン出力は140ps&170Nmと普通に使うには十分なものとなっている。

おすすめグレードは「Z E-Four」

カローラクロスなら、ハイブリッド車一択となる。グレードは、最上級グレードのZがおすすめだ。シンプルな装備が好きなら、中間グレードのSグレードもよい。ただ、Zグレードには、Sグレードにプラスして以下が装備される。

  • 18インチアルミホイール
  • LEDシーケンシャルランプ
  • 本革+ファブリックシート
  • パワーシート
  • シートヒーター
  • ハンズフリーバックドア

どれも魅力的な装備で、Zグレードの方が満足度は高いだろう。グレード間の価格差は24万円なので、安くはないが妥当な価格アップといえる。
また、おすすめの駆動方式をモーター駆動の4WDであるE-Fourとしたのは、リヤサスペンションがダブルウィッシュボーン式になるからだ。FF(前輪駆動)のトーションビーム式でも、低中速域での乗り心地や操縦安定性は悪くはない。しかし、ダブルウィッシュボーン式のE-Fourだと、より速度の高い領域での操縦安定性が高く、より路面の悪い道などでの乗り心地も良好になる。E-Fourを選択すると、FFに比べ約21万円高くなる。降雪地域やウインタースポーツ、高速道路での移動が多い人には特におすすめだ。

カローラクロスのおすすめオプション一覧

ぜひとも装着したいオプションは以下の通りだ。

  • ブライドスポットモニター(車線変更時の安全に寄与する後側方車両接近警報)
  • パノラミックビューモニター(車両周辺のカメラ映像を加工し、車両を俯瞰で見た映像に変換。死角を無くし接触事故を減らす効果がある)
  • 9インチディスプレイ
  • 100V・1500Wのアクセサリーコンセント(キャンプなどで家電などが使えるようになるだけでなく、停電などの災害時にクルマが給電する役割を担う)