ホンダ フィットの新旧比較レビュー。
「用の美・スモール」をコンセプトに、使う人の「心地よさ」を重視したモデルとして登場した4代目フィット。
心地よさ重視の癒し系として、多くの顧客に愛されるクルマに仕上がっている。
今回はこの4代目と元気でスポーティな走りが魅力の3代目を、内装・外装、安全装備面で比較評価する。
- この記事の目次 CONTENTS
- ホンダ フィットの歴史・概要
- コンセプト&外装デザイン
- 安全装備
- 内装
- 走り、メカニズム
- おすすめは4代目フィット?それとも、3代目フィット?
- 新車値引き交渉のポイント
- ホンダ フィットの価格・スペック
ホンダ フィットの歴史・概要
初代ホンダ フィットの登場は、2001年だ。
センタータンクレイアウトを採用し、広大な室内スペースと低燃費性能を実現したモデルとして誕生した。
この初代フィットは大ヒットモデルとなり、当時圧倒的な人気を誇っていたカローラシリーズを抜いて年間販売台数1位へ。
そして、2001-2002年の日本カー・オブ・ザ・イヤーにも輝いた。
その後、フィットは常に販売台数ナンバー1を争うような、ホンダを象徴するモデルへと成長していく。
2代目は、2007年に登場。
大ヒットした初代のキープコンセプトモデルとなった。
2010年には、IMAと呼ばれるハイブリッドシステムを搭載したモデルも追加し、高い人気を維持した。
ただ、大きくつまずいてしまったのが、2013年に登場した3代目だ。
当時、低燃費性能で圧倒的な人気を誇っていたトヨタ アクアに対抗し、ホンダ独自のハイブリッドシステム「スポーツ・ハイブリッドi-DCD(インテリジェント・デュアル・クラッチ・ドライブ)」を搭載。
当時、世界トップレベルの低燃費を誇ったアクアを超える、36.4km/Lという低燃費を実現し、話題となった。
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しかし、突如リコールが発生。
ハイブリッド車に搭載されていた、7速DCTミッションが原因だった。
しかもその後、何度かリコールを繰り返し、顧客の信頼を徐々に失っていった。
また3代目は、大幅なデザイン変更も行ったが、これも不評だった。
エッジの効いたスポーティなスタイルへ変貌を遂げたが、徐々に存在感を失っていった。
3代目の2018年度の販売台数は、85,925台で10位。
当時ナンバー1になった日産ノートは131,760台。大差を付けられてしまっている。
3代目のつまずきにより、4代目の開発は難しさを増した。
2世代連続での失敗は許されないからだ。
そこで、ホンダは4代目のコンセプトを「用の美・スモール」とした。
数値ではなく、使う人の「心地よさ」にこだわったのだ。
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この考え方は、ライバルであるアクアに勝つために燃費値にこだわり続けてきた3代目のコンセプトとは異なる。
結果、ハイブリッド車であるe:HEVの燃費値は29.4km/L(WLTCモード)に留まった。
新登場したトヨタ ヤリスハイブリッドの燃費値は36.0km/L(WLTCモード)なので、フィットと比べて20%以上もよい燃費値といえる。
このことは、「ホンダがトヨタとの燃費技術争いから逃げた」とも受け取れる。
ただ一方で、燃費性能以外は非常に完成度が高いモデルとなった4代目。
3代目とはまったく異なる優しいスタイルへと進化している。
特に大きく変化したのは視界だ。開放感があり、死角も減っていて運転しやすい。
室内スペースは、3代目とほぼ同じで広大。
しっとりとした座り心地のシートの恩恵もあり、なかなか居心地のよい室内空間だ。
「心地よさ」にこだわったというだけあり、乗り心地も良好。
スポーティさを前面に出した3代目とは、まったく方向性が異なるモデルに仕上がっている。
コンセプト&外装デザイン
心地よさ重視の癒し系が4代目。エッジの効いたスポーティフォルムの3代目
4代目フィットのコンセプトは「用の美・スモール」。
数値ではなく、使う人の「心地よさ」を重視した。
デザインについては、塊そのものの造形美とぬくもりを感じさせる表情で、一緒にいたくなる安心感と親近感を表現している。
滑らかな面で構成され、優しさを感じさせる。
良い意味で肩の力が抜けた、多くの人に好まれるデザインだ。
安全装備
新世代ホンダセンシングを得た4代目。安全装備が物足りない3代目
4代目フィットには、新世代の予防安全装備パッケージ「ホンダセンシング」が全車標準装備された。
このホンダセンシングは、11種類の予防安全装備がパッケージ化されたものだ。
後側方車両接近警報など足りない機能もあるものの、高いレベルの機能を有する。
3代目は単眼カメラとミリ波レーダーの組み合わせだったが、4代目はワイドビューカメラとソナーの組み合わせに変更されている。
レスオプションが設定されている点が少々残念ではあるものの、全車標準装備されているのは高評価ポイントだ。
サイド&カーテンエアバッグも、標準装備。
どのグレードを選んでも、高い予防安全性能となっている。
一方、3代目については、ホンダセンシングが装備されたのは2017年6月のマイナーチェンジ後から。
それまでは30km/h以下で、対車両のみの簡易型自動ブレーキだった。
ただ、このマイナーチェンジでも全車標準装備ではなく、オプションでも装備できないグレードもあった。
物足りない仕様だ。
内装
スッキリとした4代目、こってりとしたデザインの3代目
4代目フィットのインパネは、水平基調のスッキリとしたデザイン。
Aピラーを極細化することで死角を減らすとともに、開放感ある視界を作り出している。
死角が減ると安全性が向上し、運転もしやすくなる。
走り、メカニズム
機械が出しゃばらない4代目。機械が存在感を主張する3代目
4代目フィットのハイブリッドシステムは、3代目とはまったく異なるタイプへ変更された。
今までアコードなどに搭載されていたハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-MMD」の発展型だ。
ホンダは、このハイブリッドシステムの呼称を「e:HEV」へ変更した。
e:HEVは2モーター式シリーズハイブリッドの発展型で、エンジンは基本的に発電に徹し、モーターで走る。
日産ノートe-POWERに近い仕組みだ。
ただ、e-POWERとは異なるのは、e:HEVにはエンジンドライブモードがあること。
4代目のe:HEVは、高速クルージングなどの、モーター走行するよりエンジンで走行した方が効率がよいとコンピューターが判断するシーンにおいて、クラッチによってエンジン出力軸とタイヤ駆動軸を直結しガソリンエンジン車として走行する。
エンジンとモーター、それぞれの得意分野を使い分けるのだ。
このシステムにより、4代目は29.4km/L(WLTCモード)という低燃費を実現している。
4代目フィットe:HEVのモーター出力は、109ps&253Nm。
ノートe-POWERのモーター出力が109ps&254Nmなので、ほぼ同等レベルだ。
ところが、アクセルを踏んだ瞬間のフィーリングはまったく違う。
ノートe-POWERは、モータードライブ感が強く、やや唐突な感じはするものの、非常に力強い加速を示す。
しかし4代目フィットは、あえてモータードライブ感を消している。
これは、心地よさを追求したため。
自然で滑らかな加速となっている。
ホンダ自慢のハイブリッドシステムだが、妙にメカが出しゃばってこない。
このあたりのセッティングは、顧客の好みにもよるだろう。
一方、3代目フィットのスポーツ・ハイブリッドi-DCDは、1モーター式のハイブリッドシステムだ。
高出力モーターに、ツインクラッチ機能をもつ7速ミッション(7速DCT)を組み合わせている。
初期モデルは、この7速DCTがとにかく存在感を主張する。
ガチャガチャとシフトする音が聞こえており、メカの存在感が明確だった。
燃費性能は、37.2km/L(JC08モード)。
4代目は38.6km/L(JC08モード)なので、燃費性能は若干向上している。
4代目フィットのガソリン車は、1.3L直4エンジンを搭載。
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4代目は24.2km/L(JC08モード)なので、若干燃費値が落ちている。
走行性能については、3代目、4代目ともにレベルが高い。
3代目フィットは2017年6月のマイナーチェンジで、ボディ剛性アップや静粛性能向上、乗り心地向上などの改良が行われた。
これにより、走行性能はかなり向上した。
当時のコンパクトカーの中では、トップレベルの実力だったほど。
しかし最新の4代目フィットと比べると、当然だが分が悪い。
ただ、キャラクターも大きく変わっている。
3代目フィットは、スポーティな走りを重視したモデルゆえ、キビキビした走りを披露する。
スポーティグレードのRSは、さらにキレのある走りだ。
全般に不快ではないが足回りはやや硬めのセッティングといえる。
ところが4代目フィットは、ここでも3代目と逆のテイストをもつ。
乗り心地はしなやかで快適性重視。
ハンドリングもスポーティさは抑えられ、穏やかな反応を示す。
肩の力が抜けた適度な脱力感ある走りが、4代目が目指した心地よさを感じる。
ある意味、4代目は、3代目に対するアンチテーゼともいえ、真逆のテイストをもったモデルなのだ。
おすすめは4代目フィット?それとも、3代目フィット?
心地よさ重視なら4代目。コスパとスポーティさなら3代目
室内の使い勝手やガソリン車の燃費性能面は、ほぼ互角といえる。
それ以外では、設計が新しい4代目の方が当然優れている。
ただ、4代目と3代目は、あまりにキャラクターが異なるので、単純にどちらが良いとは言えない状態。
ざっくり言うと、クルマにあまり興味がない人からクルマ好きまで、幅の広い顧客層に受け入れられるのが4代目だ。
新車値引き交渉のポイント
マーケットが低迷中。新車でも値引きに期待高まる!
本来なら4代目フィットは新型車なので、しばらくの間値引きは期待できないというのが一般的だ。
しかし、新車マーケットは新型コロナウイルスの感染拡大や消費税増税などにより低迷。
しかも、ライバル車であるトヨタ ヤリスが同時期に登場している。
こうなると、顧客の奪い合い状態だ。
値引きしてでも売りたくなる。
ただしこの状況下であっても漫然と商談していては、値引きの恩恵を受けることはできない。
4代目の場合、必ず新型ヤリスと競合させる必要がある。
新型ヤリスは、デビュー時期がほぼ同じで、ライバル意識が非常に強い。
当然、両陣営ともに競合され、どちらかが値引き対応すれば、それに応じるカタチで値引きする可能性が高いのだ。
ただ、どちらも新型車ということもあり、大幅値引きまでとはいかないだろう。
場合によっては、販売店オプションのサービスなどに切り替えてみるのもよい。
ホンダ フィットの価格・スペック
フィット1.5Lハイブリッド車価格
- e:HEV BASIC FF 1,997,600円/4WD:2,195,600円
- e:HEV HOME FF 2,068,000円/4WD:2,266,000円
- e:HEV NESS FF 2,227,500円/4WD:2,425,500円
- e:HEV CROSSTAR FF 2,288,000円/4WD:2,486,000円
- e:HEV LUXE FF 2,327,600円/4WD:2,536,600円
新型フィット 1.3Lガソリン車価格
- BASIC FF 1,557,600円/4WD:1,755,600円
- HOME FF 1,718,200円/4WD:1,916,200円
- NESS FF 1,877,700円/4WD:2,075,700円
- CROSSTAR FF 1,938,200円/4WD:2,136,200円
- LUXE FF 1,977,800円/4WD:2,186,800円
代表グレード | フィットe:HEVネス(FF) |
---|---|
ボディーサイズ | 全長3995×全幅1695×全高1540mm |
ホイールベース | 2530mm |
車重 | 1200kg |
エンジン | 1.5リッター直4 DOHC 16バルブ |
エンジン最高出力 | 98PS(72kW)/5600-6400rpm |
エンジン最大トルク | 127N・m(13.0kgf・m)/4500-5000rpm |
モーター最高出力 | 109PS(80kW)/3500-8000rpm |
モーター最大トルク | 253N・m(25.8kgf・m)/0-3000rpm |
WLTCモード燃費 | 27.4㎞/L |
最小回転半径 | 5.2m |
タイヤサイズ前後 | 185/55R16 |
関連ページ
フィットのカタログ情報
- 現行モデル
- 令和2年2月(2020年2月)〜現在
- 新車時価格
- 155.8万円〜286.7万円
フィットの在庫が現在180件あります
以下車両の保証内容詳細は画像をクリックした遷移先をご確認ください。