国内で売れないセダンを売る! その理由とは?

ホンダは、中型セダンであるアコードをフルモデルチェンジし発売を開始した。今回のフルモデルチェンジで10代目となる。

アコードの初代モデルは、1976年に発売されており、ホンダ車の中でも長い歴史を持つ。

主に北米中心で売れているモデルで、アメリカではフォード トーラスやトヨタ カムリと販売ランキングの首位を争った時代もある。

リトラクタブル・ヘッドライトとなった3代目は、日本でもヒット。
5代目アコードでは、ワゴンモデルが高い人気を誇った。

ただ、日本市場でセダンの人気が低迷。
さらに、アコードが北米をメインマーケットとしていることもあり、ボディサイズが大きく日本に合わないなどの理由で、世代を重ねるごとに販売台数を落としていった。

9代目アコードから、ハイブリッド車やPHEVを投入。しかし、国内のセダン離れは深刻で、販売台数が伸びていくことはなかった。

本来ならば、セダンの販売を止めるという選択肢もある。
しかし、ホンダにはそう簡単にセダンから撤退できない理由がある。

国内ホンダの保有台数は、軽自動車やコンパクトカーなどに極端に偏っている。利益率が低いモデルばかりだ。
より収益を向上させるためには、アコードなどの高額セダンをしっかりと売っていくことが大切。

また、すでにわずかだがいるセダン顧客を他社に離脱させないことが重要だ。
保有台数減は、販売面で大きな打撃になる。販売台数は少なくても、顧客を守るために大切に売り続ける理由がある。

低重心で路面に吸い付くような走りをデザインに込めた

新型アコードは、今の時代のユーザーがに自信を持って積極的に選べるセダンを目指して開発された。

クルマの基礎となるプラットフォーム(車台)は、構造を見直し細部まで磨きぬいて開発。
セダンとして必須といえる快適な室内空間を進化させながら、ロー&ワイドでクリーンなデザインを実現した。

動体としてのあるべき姿を極め、本質的な美しさを追求。
デザイナー自らが、低重心で低慣性の新世代プラットフォームを土台にした先行テスト車を北海道・鷹栖のテストコースを走行したのだ。
これによって路面に吸い付くような安定した走りをカタチにした。

まず、動体としてあるべき姿を見つめ直した。

基本骨格に逆らわない自然な造形を追求。
低重心・低慣性プラットフォームの利点を生かし、力強い下半身とスリークキャビンが一体となったロー&ワイドなスポーティーフォルムを実現している。

新型アコードは、従来モデルに対し55mmホイールベースを伸ばしている。
この伸びやかなプロポーションを生かすために、ロングノーズ化が選択された。

張り出させた前後フェンダーは、美しさと強靱な下半身をアピールすると同時に、エキサイティングな走行性能も感じさせる。

心地よさを追求したインテリア

インテリアは、ドアを開けた瞬間からドライビングを楽しむ間、そしてクルマから降りた後も心地良い余韻が楽しめるような空間を目指して開発された。

見やすいインターフェイス、手のひらにピッタリとフィットするステアリングホイールなど、操作性の良さと機能美の両立にこだわりった。しっとりとした大人の上質感を追求した。

インパネデザインは、広さをアピールする水平基調。
大きく広がりのあるタイプで、爽快感と同時にシットリとした落ち着きあるものとなている。

また、フロントピラーの下端を後方に引きスリム化し視界を向上。水平視野角を従来モデルに対し約10%拡大した。
視界の良さは、安全性や運転のしやすさなどのメリットがある。

ただ、センターコンソール上部に設置されたモニターは、設置場所が微妙だ。
悪くはないが、なるべくダッシュボード奥に設置したい。

セダンを好む高齢者の多くが老眼傾向にある。
あまり手前に設置すると、ピントが合いにくく見にくさを感じるからだ。

こうした状態をフォローしてくれるのが、ヘッドアップディスプレイだ。
速度や道路標識のほか、ナビゲーションシステムと連動して進行方向を示など、運転に役立つ情報を選択して表示できる。
高齢ドライバーにとっては、見やすいのでヘッドアップディスプレイを積極的に使うといいだろう。

メーターパネルは、大径2眼メーターを採用。7インチの高精細フルカラー液晶パネルとアナログスピードメーターの組み合わせとなる。
最近のトレンドは、フルデジタルメーターが主流。シンプルで見やすいが、高級車の先進性という面では少々物足りなく感じる。

また、シートにもこだわった。

高密度ウレタンを新採用し、部位ごとに特性を最適化。
シートの奥は骨盤をしっかり支えるよう高硬度高減衰としている。
座り心地とホールド性、そして、運転のしやすさを向上させている。

リヤシートは、広々とした快適な空間に仕上げた。
背もたれ角度は、従来に対し傾斜を強めるとともに、高さを50mm延長。ゆとりの着座姿勢を実現している。

また、背もたれまで暖かくするシートヒーターや大型アームレストなどを用意。後席乗員に対しても、より快適な空間としている。

低重心化された新プラットフォームで、走行安定性を向上

新型アコードでは、プラットホームが新開発された。
より安定した走りを実現する低い重心高と、余分な挙動変化を少なくする低慣性モーメントを追求している。

低重心化においては、サイドフレーム、サイドシル、フロアクロスメンバーなどの主要骨格を低く設定した。
同時に、前後サスペンションを取り付け構造を含め新開発。これらにより、従来モデルに対し約15mmの低重心化を達成した。

この低重心化によって、従来プラットホームに対しロール慣性モーメントが7.2%低減。
同時に、ハイブリッド車の重量物であるインテリジェントパワーユニット(IPU)搭載スペースを後席下に設置した。

こうした設計により、従来モデルに対しヨー慣性モーメントを1.7%低減している。
実際の走りでは、旋回から直進への立ち上がりやダブルレーンチェンジなどで、一体感のあるドライブフィールが体感できる。

また、軽量化も行った。
構造そのものや、より軽量な超高張力鋼板の適用拡大、前後サブフレームやサスペンションの軽量化などにより、従来モデルに対し50kg軽減。同時に大幅な高剛性化を達成している。

減衰力を自在にコントロールするアダプティブ・ダンパー・システムを搭載

新型アコードのサスペンションは、フロントにマクファーソン・ストラット式、リアサスペンションは、E型マルチリンク式サスペンションを採用。

このサスペンションに使われるダンパーは、減衰力を自在に制御するアダプティブ・ダンパー・システムを初採用している。これは、アコードとして初採用となる。

このシステムは、車輪速信号の変化、前後左右の加速度、ステアリングホイールの舵角などから、車両の状態やドライバーの操作を500分の1秒単位で検知。
減衰力をリアルタイムに連続的に変化させることで、荒れた路面での収れん性向上につながる。
安定感のあるハンドリングと上質な乗り味を実現している。

また、ドライバーの好みや走行シーンに合わせて車両特性を選べる「ドライブモード」に、従来モデルと同様にNORMAL、SPORTモードに加え、COMFORTモードを新設定。
よりドライバーのニーズにあった走行モードが選択できるようになった。

そして、アコードは北米マーケットが中心だったこともあり、小回りが苦手だった。
そのため、狭い道や駐車場が多い日本マーケットでは、やや扱いにくい面があった。

従来モデルに対してホイールベースを延長しながらも、フロントサイドフレームの形状最適化。最小回転半径を従来の5.9mから5.7mに縮小させた。

ライバル車であるトヨタ カムリは、アコードと同じ18インチタイヤを装着すると、最小回転半径は5.9mなので、カムリよりは若干小回りが効くといったところだ。
それでも、最小回転半径5.7mというのは、大型のミニバンであるアルファード並みだ。

また、新型アコードには、VGR(可変ステアリングギアレシオ)を採用。ロック・トゥー・ロックは2.5回転から2.3回転に減少。取り回しの良さを確保した。

SPORT HYBRID i-MMDから、e:HEVへ名称変更

新型アコードのハイブリッドシステムは呼称は、従来の「SPORT HYBRID i-MMD」から「e:HEV」に変更されている。
呼び名は変わっても、基本的なシステム構造に変更はない。

新型アコードのe:HEVは、エンジンで発電しモーターで走行するシリーズハイブリッドシステムだ。
だが、高速クルージングなどで、モーターで走行するよりエンジンで走行した方が効率がよいとコンピューターが判断した場合、エンジン直結モードで走行する。

このハイブリッドシステムに搭載されたのは、直列4気筒2.0Lのガソリンエンジン。燃焼高速化やフリクション低減の徹底で40%以上の最大熱効率を達成している。

このエンジンに、最高出力184ps、最大トルク315N・mの高出力・大トルクモーターを組み合わせた。自然吸気V型6気筒3.0Lエンジン並みのトルクを発生している。
また、ローターに重希土類元素(レアアース)をまったく使わないネオジム磁石を採用している。

新型アコードでは、これまで別体であった12VのDC-DCコンバーターを統合。容積を15%削減しコンパクト化に成功している。

このシステムによって、こ新型アコードのWLTCモード燃費は22.8km/L、従来のJC08モード燃費では30.0km/Lの低燃費を達成。
残念ながら、2.5Lハイブリッドシステムを使うライバル車カムリの25.6km/L(WLTCモード)を超えることはできなかった。

やや物足りない予防安全装備

新型アコードには、ホンダの予防安全装備パッケージ「ホンダセンシング」が全車に標準装備されている。
この機能は歩行者検知式自動ブレーキや車線維持支援、誤発進抑制機能など、計10個の機能をもつ。

ただ、高級車としてはやや物足りない。
今やこのクラスでは、昼夜の歩行者と自転車検知は必須といえる。
また、後側方車両接近警報や後退時車両接近警報などの機能も用意されていない。
こうした予防安全装備の充実も重要だ。

<アコードに搭載するHonda SENSINGの機能>
※サポカーS<ワイド>に該当

1.衝突軽減ブレーキ<CMBS>
2.誤発進抑制機能
3.歩行者事故低減ステアリング
4.先行車発進お知らせ機能
5.標識認識機能
6.路外逸脱抑制機能
7.渋滞追従機能付ACC<アダプティブ・クルーズ・コントロール>
8.LKAS<車線維持支援システム>
9.後方誤発進抑制機能
10.オートハイビーム

ホンダ アコード価格、スペック

・EX:4,650,000円

■ホンダ アコードのボディサイズ、燃費などスペック
・全長(mm)/全幅(mm)/全高(mm):4,900 / 1,860 / 1,450
・ホイールベース(mm):2,830
・車両重量(kg):1,560
・エンジン型式:LFB
・エンジン種類など:直列4気筒DOHC
・総排気量(㏄):1,993
・エンジン最高出力(kW[PS]/rpm):107[145]/ 6,200
・エンジン最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):175[17.8]/ 3,500
・モーター最高出力(kW[PS]/rpm):135[184]/ 5,000-6,000
・モーター最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):315[32.1]/ 0-2,000
・JC08モード燃費(㎞/L):30.0
・WLTCモード燃費(㎞/L):22.8
・タイヤ 前・後:235/45R18 94W