日産セレナe-POWER vs Sハイブリッド徹底比較！ハイブリッドvsガソリン - 新車情報の車ニュースを配信中

この記事では、e-POWERとSハイブリッドのデザインや走行性能、安全装備を徹底比較した。
また、購入の際の値引き術についても詳しく解説している。

大人数で乗車できるため、ファミリーカーとしてだけでなくアウトドアやレジャーにも大活躍する。
また、大きなボディだからこその視野の広さを生かし、運転がしやすいという点も魅力的だ。

この記事の目次 CONTENTS: 1.日産セレナの歴史・概要; 2.コンセプト＆エクステリア（外装）デザイン; 3.インテリア（内装）＆装備; 4.走り、メカニズム; 5.おすすめはe-POWER？Sハイブリッド？; 6.新車値引き交渉のポイント; 7.日産セレナ e-POWER／Sハイブリッド価格・スペック

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡智彦氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車＆中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

1.日産セレナの歴史・概要

現行の日産セレナ（C27型）は、2016年にフルモデルチェンジし5代目（C27型）となった。
搭載されていたパワーユニットは、Sハイブリッドと呼ばれる2.0Lガソリンエンジンのみで、他社と比べて本格的なハブリッド車を持たないセレナは、販売面で完全に不利な状況に陥った。

2018年3月に、満を持してセレナe-POWERを投入した。
このセレナe-POWERの登場により、5ナンバーミニバンのなかで2018年3月から5月までの販売台数No.1の座を獲得した。

5代目C27型セレナは、先代となる4代目C26型のプラットフォーム（車台）を改良して使用している。
そのため、クルマの持つ基本性能に劇的な変化はない。

一般的なガソリン車に近い、Sハイブリッド

当初、セレナに搭載されていたパワーユニットは、Sハイブリッドと呼ばれる2.0Lガソリンエンジンのみだった。
ハイブリッドと名付けられているものの、モーターでの走行はできない。
この仕組みは、ECOモーターと呼ばれる小さなモーターがエンジンの補助をするといったマイルドハイブリッド方式で、限りなく一般的なガソリン車に近い。

燃費は人気グレードのハイウェイスターXセレクションで、クラストップベルとなる16.6㎞/L達成。
ライバル車であるトヨタヴォクシーと比べると0.6㎞/Lほど良い程度になっている。

ライバル車にハイブリッドが登場、販売面で不利な状況に

2017年9月に、ライバルのホンダステップワゴンに待望のハイブリッド車が投入された。
これにより、5ナンバーミニバンで本格的なハイブリッド車を持たないのはセレナだけとなった。

ハイブリッド車の人気は高かったため、ハイブリッド車を持たないセレナは販売面で完全に不利な状況に陥った。

セレナe-POWERの登場で、宿敵ヴォクシーを上回る人気に

2018年3月に、満を持してセレナe-POWERが登場した。
ノートに搭載されていたe-POWERユニットをバージョンアップさせたものを装備した。
2代目リーフと同じ320Nmという大トルクを発揮することで燃費も大幅に向上し、26.2㎞/Lというクラストップレベルを誇る。

セレナe-POWERの登場で、販売台数を大きく伸ばすことができた。
2018年3月から5月までの販売台数は、最強のライバルといえるヴォクシーを破り、単一車名の5ナンバーミニバンとしてNo.1の座を奪取している。

2.コンセプト＆エクステリア（外装）デザイン

e-POWERとSハイブリッドの外観上の大きな変更点は無い。細部に若干違いがある程度。

外観上での差別が物足りないe-POWER

e-POWERは燃費効率などを考慮した15インチホイールだ。
空力を向上させるために、ボディサイド側から後方に伸びたリヤスポイラーを装備した。
また、グリルにブルーの差し色が入り、エンブレムなどもe-POWERに変更。

e-POWERの価格はSハイブリッドよりもかなり高価で、もう少し外観上で差別化したほうがよい。

ボディによく合うSハイブリッドのホイール

Sハイブリッドのハイウェイスター系は16インチホイールとなっている。
セレナのボディは大きいので、カッコよく見えるのはe-POWERの15インチホイールよりも、Sハイブリッドの16インチホイールだ。
リヤスポイラーの形状もやや異なる。

3.インテリア（内装）＆装備

安全装備では差が無いものの、インテリア・機能面で差が出たe-POWERとSハイブリッド。

e-POWERは、7人乗りのみの設定

e-POWERとSハイブリッドで、内装の大きな違いは乗車定員だ。

e-POWERは、走行用のリチウムイオンバッテリーをセンターコンソール付近床に設置したことで、スマートマルチセンターシートを使用できなった。
この結果、e-POWERの2列目シートはキャプテンシートになり、7人乗り仕様となっている。

8人乗りが条件になるとSハイブリッドという選択肢しかない。

モーターの回生ブレーキを利用したe-POWER Drive

e-POWERとSハイブリッドで、セレナのウリであるプロパイロットなどの装備に大きな差異はない。

装備の差は、e-POWERにモーターの回生ブレーキを利用したe-POWER Driveがあることだ。
この機能は、ECOモードやSモードなどを選択できる。

また、できる限りEV走行になるマナーモードや、エンジンによる発電で積極的に充電するチャージモードなどのドライブモード選択が可能だ。

予防安全装備の積極的な選択が必要

e-POWER、Sハイブリッド共に、安全装備は物足りない仕様になっているので注意しなければならない。

ヴォクシー系には装備されていない歩行者検知式自動ブレーキは、セレナに標準装備されている。
しかし、車線逸脱防止支援や踏み間違い衝突防止アシスト、プロパイロット、サイド＆カーテンエアバッグなどはセットオプション設定だ。
こうした装備を積極的に選ぶ必要がある。

4.走り、メカニズム

e-POWERはシステムだけでなく、機能面でもSハイブリッドに大きな差を付けた。

リーフと同じシリーズハイブリッドシステムを搭載

e-POWERは、Sハイブリッドに対して320Nmという大トルクで、かなり力強い。
シリーズハイブリッドシステムという仕組みによって、1.2Lエンジンでの発電を利用しながら、EV（電気自動車）のリーフと同じモーターを駆動して走行する。
1.2Lエンジンは、発電のみに使用されているのが特徴だ。

静粛性だけでなく燃費性能でもe-POWERが上回る

通常走行時の静粛性面でも、e-POWERはSハイブリッドを上回る。
カーブなどでの安定感も増している印象だ。
ただし、停車時に発電するためにエンジンがやや高めの回転で回るため、少々うるさく感じる。

e-POWERの燃費性能は26.2㎞/Lと、Sハイブリッドの16.6㎞/Lを圧倒する。

ただ、e-POWERにも弱点がある。
他社のハイブリッドと比べると低・中速域の燃費は良いのだが、高速域での燃費が悪くなりやすい。

e-POWER Driveで疲労のない運転を可能に

e-POWER Driveは、e-POWERのみ搭載された機能だ。
アクセルを離すと回生ブレーキが強力に効くため、アクセルペダルひとつで発進から停止までできる。
運転に慣れると、アクセルとブレーキの踏み換え回数が大幅に減るので、疲労軽減にもつながる。

マナーモード、チャージモードのドライブモードの選択が可能

e-POWERには、できる限りモーターのみで走るマナーモードがある。
これを使えば、早朝や深夜など、近所に迷惑をかけることもない。

マナーモードを積極的に使えるように、エンジンで発電した電力を積極的に充電するチャージモードもある。
郊外の幹線道路でチャージモードを使い充電し、住宅街に入ったらマナーモードでEV走行といったドライブモードの選択をできる。

非常に静かで振動を少なくしてくれるモーター

Sハイブリッドの2.0Lガソリンエンジンは、150ps＆200Nmという出力をもつ。
モーターが装備されているものの、ほとんど存在感がない。
しかし、アイドリングストップからのエンジン再始動時に、このモーターは良い仕事をする。

通常、エンジンの再始動時には、キュルキュルという大きな音と振動を伴う。
しかしSハイブリッドでは、小さなモーターがエンジンの再始動を担当しており、非常に静かで振動も少ない。
何度もエンジンの再始動を繰り返す必要がある街中などで、とても快適だ。

Sハイブリッドは力強い走りよりも燃費志向

Sハイブリッドの走行フィーリングは、かなり燃費志向だ。
力強さという感覚とは無縁の印象がある。

ECOモードを選択すると、よりアクセルレスポンスが鈍くなる。
ただし、アクセル操作が雑なドライバーだと、明確に燃費がよくなる効果もある。

5.おすすめはe-POWER？Sハイブリッド？

環境性能が重視され、ハイブリッドやEVなど電動化技術が採用されたモデルがこれからドンドンと多くなる。
そんななか、今あえてガソリン車を選ぶというのは、あまり未来を感じない。

未体験のドライビングが体験できるe-POWERがおすすめ

できるなら、e-POWERを選びたい。

モータードライブによる力強さや静粛性、回生ブレーキを使ったe-POWER Driveなどにより、今まで経験したことのない運転体験が得られ、満足度も高くなる。

ノートe-POWERがヒットした大きな理由のひとつも、こうした未体験のドライビング体験によるものだ。
クルマそのものの満足度という面では、e-POWERが勝る。

短期間の乗り換えならe-POWERが有利

ハイブリッドの人気は今後も続くだろう。
中古車マーケットも同じくハイブリッド車の人気が高いため、ガソリン車とハイブリッド車の価格差は非常に大きくなると見込まれる。
とくに、中古車としての売却が前提となる短期間での乗り換えなら、e-POWERが有利になるだろう。

コストパフォーマンスではSハイブリッドが有利

一度クルマを買ったら乗り潰すという人で、予算最優先ということになると、ガソリン車であるSハイブリッドの方がオススメだ。

Sハイブリッドは、e-POWERに比べ50万円程度安い。
この価格差を、減税メリットや燃費差による燃料費で元を取ることは非常に難しい。
コストパフォーマンスという面だけで見れば、Sハイブリッドという選択になる。

6.新車値引き交渉のポイント

セレナe-POWERの登場で、ヴォクシー系3姉妹（ヴォクシー、ノア、エスクァイア）・ステップワゴンと、3社異なるハイブリッドが出揃った。

2017年9月以前にハイブリッド車をもっていたのはヴォクシー系のみだった。
それだけに、ハイブリッド車に関しては強気の販売をしていた。

しかし、どのメーカーもハイブリッド車を用意したことから、ハイブリッド車でも値引きに関してはかなり有利な戦いができるようになった。

ヴォクシー系3姉妹・ステップワゴンとの競合は絶対条件

値引きを引き出す基本テクニックは、まず競合させることだ。
セレナが本命の場合、ヴォクシー系3姉妹の内1台と、ステップワゴンの2台の見積りを必ず先に取っておくとよい。
セレナが本命だからといって、焦ってセレナの見積りを最初に取りに行ってはいけない。
セレナが本命車種だと見破られる可能性が高くなるからだ。

営業マンの説明を受けた上で、セレナ検討中ということを伝える

セレナの商談時には、本命車種はヴォクシー系3姉妹かステップワゴンのいずれかといった雰囲気を出しながら、セレナもとりあえず見に来た程度で話を進めよう。
ライバル車の見積りをすでに取ってあることを告げ、説明を聞く。

ポイントは「営業マンの説明でセレナもいいことがよく分かった。セレナも予算次第だが、購入リストに入れたい」というようなことをさりげなく伝えることだ。

購入タイミングは2～3月、6～7月、9月の繁忙期

とくにセレナの場合、ヴォクシーより売れているので値引きは厳しいように感じる。
しかし、日産がトヨタに勝てる車種は少なく、相手がヴォクシーというのであれば販売台数で勝ちたいという意識が強いため、大幅値引きに出る可能性も高い。

購入タイミング的に買い手が有利になるのは、2～3月、6～7月、9月の繁忙期だ。
このタイミングに合わせて少し前から商談すると、優位に値引き交渉ができるだろう。

買取店での事前査定で、より新車をお得に購入する

値引きと同様に重要なのが、下取り金額の処理だ。
まず、新車の見積書を取る前に買取店に行き、必ず査定を行う。

大幅値引きが出たとしても、下取り車の価格が安ければ意味がないからだ。
買取店で査定することで、下取り車の正しい価格が分かる。
そもそも、買取店での査定が下取り価格より安ければ、買取店の存在価値はない。

ディーラーによっては、値引きした分、下取り車の価格を安くして利益を取り戻そうとする。
結果的に損しないためにも、買取店での査定は必須だ。
最終的に最も高値を付けたところに売ればいい。

7.日産セレナ e-POWER／Sハイブリッド価格・スペック

日産セレナ e-POWERとSハイブリッドの価格・スペック情報は以下の通り。

セレナe-POWER（FF）価格

グレード名	価格
e-POWER X	2,968,920円
e-POWER ハイウェイスター	3,178,440円
e-POWER XV	3,128,760円
e-POWER XV（防水シート車）	3,161,160円
e-POWER ハイウェイスター V	3,404,160円
e-POWER ハイウェイスター V（防水シート車）	3,436,560円

セレナSハイブリッド（FF）価格

グレード名	価格
S	2,435,400円
X	2,489,400円
G	2,847,960円
ハイウェイスター	2,678,400円
ハイウェイスターG	3,011,040円
X Vセレクション	2,674,080円
X Vセレクション（防水シート車）	2,706,480円
ハイウェイスター Vセレクション	2,934,360円
ハイウェイスター Vセレクション（防水シート車）	2,966,760円

セレナSハイブリッド（4WD）価格

グレード名	価格
X	2,733,480円
G	3,135,240円
ハイウェイスター	2,965,680円
X Vセレクション	2,918,160円
X Vセレクション（防水シート車）	2,950,560円
ハイウェイスター Vセレクション	3,194,640円
ハイウェイスター Vセレクション（防水シート車）	3,227,040円

日産セレナハイウェイスター Vセレクションのスペック情報

全長×全幅×全高	4770×1740×1865mm
ホイールベース	2860mm
最小回転半径	5.5m
車両重量	1650kg
排気量	1997cc
最高出力	110kW（150PS）/6000rpm
最大トルク	200N・m（20.4kgf・m）/4000rpm
トランスミッション	CVT

日産セレナ e-POWER ハイウェイスター Vのスペック情報

全長×全幅×全高	4770×1740×1865mm
ホイールベース	2860mm
最小回転半径	5.5m
車両重量	車両重量
排気量	1198cc
最高出力	62kW（84PS）/6000rpm
最大トルク	103N・m（10.5kgf・m）/3200-5200rpm
モーター最高出力	100kW（136PS）
モーター最大トルク	320N・m（32.6kgf・m）
トランスミッション	CVT