日産は、人気の5ナンバーミニバンであるセレナに、シリーズハイブリッドシステムを搭載した新型セレナe-POWERの発売を開始した。新型セレナe-POWERは、クラストップの低燃費26.2㎞/Lを達成した。価格は2,968,920円から。

この記事の目次 CONTENTS
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e-POWERを搭載した新型セレナが登場!
e-POWERでクラストップ燃費のミニバンに
バッテリーの充電優先という走行も可能に
選べる3つの走行モード
より進化した静粛性と安全性能
セレナe-POWERの選び方
競争が激しくなったため値引きも期待できる
日産セレナe-POWERの価格

e-POWERを搭載した新型セレナが登場!

e-POWERは、エンジンで発電した電力を使いモーターで走行するシリーズハイブリッドシステム。すでに、コンパクトカーのノートに搭載済みのものだ。ノートは、モデル末期だったがノートe-POWERの登場により大ヒットした。その人気は未だ衰えることもがなく、2018年1月にはトヨタ アクアを抑え新車販売台数ランキングで1位になった。

ノートe-POWER 大ヒットの理由は?

ノートe-POWERの大ヒットの理由は、モーターだけで走行するEV的な新しい走行フィーリングを安価に提供できたことだ。ノートe-POWERに搭載されているモーターの最大トルクは、なんと254Nmという力強いもの。このクラスの1.3Lガソリン車が130Nm前後の最大トルクなので、2倍近い最大トルクを誇る。他社のハイブリッド車を含めても圧倒的な力強さとなる。乗り比べてみると、その差は歴然だ。

さらに、ノートe-POWERはコスト面で協調回生ブレーキをもたない。それを逆手に取り、回生ブレーキを緻密にコントロールし、発進から停止までをアクセル操作だけで可能にしたe-POWER Driveと呼ばれる1ペダルドライブを提供した。アクセルとブレーキの踏み換えが大幅に減るので、とくに市街地走行での疲労軽減に役立つ。これが、さらに新たなドライブフィーリングを提供し高く評価されている。

e-POWERでクラストップ燃費のミニバンに

ノートe-POWERで高く評価されたモータードライブによる力強さと、e-POWER Driveの新運転感覚をミニバンにも持ち込んだのが、新型セレナe-POWERだ。

搭載されるe-POWERシステムは、基本的にノートと同じもので1.2Lガソリンエンジンとモーターの組み合わせだ。1.2Lエンジンが発電し、発電した電力でモーターを駆動し走行する。

大出力モーターでパワフルな走り

セレナはミニバンで車重も重いこともあり、e-POWERのシステムも若干変更が加えられている。ます、エンジンは、高負荷に対応するために79psから84psへパワーアップした。モーター出力も、254Nmから320Nmへアップ。1.7トン超の車重をもつセレナe-POWERを力強く走らせるためには、やはり320Nmくらいのトルクが必要。このモーター出力は、2代目リーフと同じだ。この大出力のモーターにより、同クラスの2.0Lガソリン車とは大きく異なるパワフルさを手に入れている。

さらに、搭載されたリチウムイオンバッテリーも容量がアップされた。ノートe-POWERより20%ほど容量がアップされ、セレナe-POWERには1.8kWhのリチウムイオンバッテリーが搭載されている。車重が重いセレナなので、電力の消費も大きい。さらに、エンジンを停止してモーターのみの走行ができる走行距離も増やしたかった狙いもある。このe-POWERシステムの搭載により、燃費はクラストップの26.2㎞/Lを達成した。

バッテリーの充電優先という走行も可能に

新型セレナe-POWERは、300万円を軽々と超えるモデル。ノートe-POWERと差別化する意味で、新たにマナーモードとチャージモードが設定された。

マナーモードは、エンジンを始動せずに、できる限りバッテリーからの電力供給を受けEV走行するモード。エンジンは始動しないので静粛性が高いのが特徴で、自宅周辺など、住宅街での使用を想定したモードだ。バッテリー残量90%表示で、このマナーモードを選択すると約2.7㎞EV走行が可能。

このマナーモードを積極的に使用できるようにするためのモードといえるのが、チャージモードだ。バッテリーがほぼ満充電になるまで、エンジンが始動し充電する。主に幹線道路などでチャージモードにし、バッテリーに充電。自宅付近の住宅街などで、マナーモードに切り替えてEV走行するという走行パターンになるだろう。

選べる3つの走行モード

セレナe-POWERには、走行モードが3つ用意された。ノーマル、ECO、S(スマート)の3つが設定されている。

ノーマルモードは、加速力も減速力も普通という設定。e-POWER の運転には微妙なアクセル操作が必要なのだが、こうした操作が苦手な人向きといったモードだ。もしくは、高速道路でのクルージング向きといっても良いだろう。

ECOモードは、加速力は弱め、減速力は強めの仕様となる。アクセルレスポンスが穏やかにしたことで、無駄なアクセル操作を抑えることで燃費向上をさせる。e-POWER Driveで走るので、減速エネルギーを効率よく回収できる。

S(スマート)モードが加速は普通。減速力は強めの仕様。急な坂道など、一定のパワーが必要な道などで、気持ちよく走りながら、減速時には積極的に回生ブレーキを使用しブレーキの踏み換えを減らし、燃費を稼ぐ仕様となっている。

より進化した静粛性と安全性能

また、セレナe-POWERは、ガソリン車に対して、25アイテムの遮音仕様をアップするなどし静粛性を高めた。

静粛性のアップは、ただ単に高級感を出すだけの目的ではない。セレナe-POWERは、頻繁にエンジンで発電するのだが、その間はガソリン車がアイドリングする以上の高い回転数でエンジンが回っている。そのため、停車中などは意外と騒々しく感じるのだ。また、低速域での走行中もややエンジン音が耳障りになる傾向が強い。こうした騒音を抑える意味もある。

また、安全装備も進化している。まず、ハイビームアシストが新設定された。そして踏み間違い防止アシストは、機能面が大幅に向上。従来の踏み間違い防止アシストでは、近距離のクルマや壁に対して、停車もしくは約10㎞/h以下の低速域に限って制御が行われていた。しかし、それが約25㎞/h以下の走行中にも対応できるようになった。また歩行者も検知できるようになり、より安全性能が高められている。

しかし優れた安全装備はほとんどがオプション扱い

セレナe-POWERの安全装備は、クラストップレベルといえるものだ。しかし、このトップレベルの安全性能は、すべてのオーナーに与えられている訳ではない。最低限のインテリジェント エマージェンシーブレーキ+LDW(車線逸脱警報)は標準装備化されている。しかし、他の安全装備に関しては、ほぼオプション設定になっているのだ。

これでは、日産が安全思想として掲げる死亡・重傷事故を減らすという目標とは大きくかけ離れている。こうした安全装備は、標準装備化してこそ意味がある。さらに、Xやハイウェイスターでは、安全装備がオプションでも装備もできない状態だ。

標準装備となっている安全性能に限っていえば、ライバル車に対しても遅れている。ホンダの先進予防安全装備であるホンダセンシングは、ライバル車であるステップワゴンに全車標準装備化されている。セレナe-POWERは、家族や大切な人などの乗員を多く乗せるクルマだ。300万円を軽く超えている高級車でもあるのだから、標準装備化が望ましい。

外観やインテリアのデザインは僅かな変化に留まる

セレナe-POWERの外観デザインは、ガソリン車に対してそれほど大きな変更はされていない。変更点は、フロントグリルに入れられたブルーのカラーアクセントに、LED3本ラインが入ったストップランプ。そして、リヤスポイラーの横にサイドスポイラーが追加され、新デザインの15インチアルミホイールがが装備された。この2つの変更点は、主に空力性能を上げるためのもの。空力抵抗を下げて、燃費性能を向上させる狙いがある。

インテリアの変更点もごくわずか。専用のメーター、ブルーのライティングによるコンソールトレー、バイワイヤーのシフトノブやブルーのスタータースイッチなどだ。

セレナe-POWERの選び方

セレナの選び方は、まず「ガソリン車なのか? e-POWERなのか?」という選択から。

ガソリン車との価格を比較すると、e-POWERは21万円程度高価。この差なら、積極的にe-POWERを選択したい。しかもe-POWERはエコカー減税免税なので、税金分がガソリン車に対して約10万円前後節税可能だ。そうなると、実質10万円前後が支払い総額の差になる。燃費もe-POWERの方が良いので、総走行距離数にもよるがガソリン代の差額で回収か可能なレベルになってきている。走りの質の差やリセールバリューが高くなると予想できることも含めると、e-POWERがお勧めだ。

しかし、e-POWERは若干制限がある。4WDや8人乗りが欲しいとなると、ガソリン車しか選べない。e-POWERはFF(前輪駆動)で7人乗りのみの設定だ。

グレード選びのポイントは?

セレナe-POWERのグレード選びは、まずXとハイウェイスターを外して考えたい。この2グレードは、プロパイロットや踏み間違い防止アシスト、サイド&カーテンエアバッグがオプション設定もないグレードだ。とくに、プロパイロットは、同一車線内を維持しながら先行車に追従できる機能をもつ。疲労軽減に役立ち、高速道路などでの渋滞時には非常に便利な機能。積極的に選択したいオプションなので、プロパイロットが選べないXとハイウェイスター選択肢から外すべきだろう。

セレナe-POWERは4グレード構成なので、残りはXVとハイウェイスターVになる。この2グレードの大きな装備差は、ハイウェイスター専用エアロパーツやサスペンション、LEDヘッドランプ、本革巻きステアリング、ハンズフリーオートスライドドアなど。価格差は約28万円となる。

予算に余裕があるのなら、ハイウェイスターVがお勧め。短期での乗り換えなら、リセールバリューも高い。また、装備の充実度しており満足度も高い。予算重視であるというのであればXVという選択も悪くは無いが、ハイウェイスターVと比べるとリセールバリューが若干低くなるので、乗り潰すつもりで選ぶといいだろう。

競争が激しくなったため値引きも期待できる

今まで本格的なハイブリッド車が無かったセレナにe-POWERが加わったことで、5ナンバーミニバンライバル各社に独自のハイブリッド車が出そろったことになる。
 
1.8LのハイブリッドであるTHS-IIを積むノア&ヴォクシーにエスクァイア。2.0LのSPORT HYBRID i-MMDを搭載するステップワゴンと、3メーカーすべてに異なるハイブリッドシステムを搭載。それぞれ異なる走行フィーリングをもつ。

一時期、ハイブリッド車は価格が高価になり顧客が買ってくれないとし、5ナンバーミニバンのハイブリッド化が遅れていた。しかし、今では人気の中心がハイブリッド車になってきている。

元々、この5ナンバーミニバンは販売競争が厳しいクラス。そのため、各社ともにより使い勝手が良く燃費もドンドンと向上してきた。ハイブリッド車が出揃った今、販売戦争はさらに過熱することは確実。顧客にとって、買い手有利な状況になってきている。ライバル車同士をしっかりと競合させれば、大幅値引きが期待できそうだ。

日産セレナe-POWERの価格

・セレナe-POWER X 2,968,920円
・セレナe-POWER XV 3,128,760円
・セレナe-POWER ハイウェイスター 3,178,440円
・セレナe-POWER ハイウェイスター V 3,404,160円