2019年10月から、消費税が10%に増税されることが首相から明言された。車の買い替えや購入のベストな時期を知りたいと思っている人は多いではないだろうか。この記事では、増税前に購入すべきおすすめ車両や、消費税がかからない車の買い方といった情報もお伝えする。車の買い替え・購入を考えているが、いつ買えばがいいか見当がつかないという方にぜひ読んでいただきたい。

この記事の目次 CONTENTS
1.増税前の今、車購入・買い替えるならいつごろがベストか
2.今からクルマを購入するなら燃費基準を達成しているクルマを選ぶこと
3.中古車を売却するときは消費税分は還元されるのか?
4.消費税増税で個人間売買への影響は?
5.消費税増税が自動車保険に与える影響は?
6.消費税増税がクルマの維持費に与える影響は?

ライター紹介

自動車評論家

松下 宏 氏

中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。 誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。

1.増税前の今、車購入・買い替えるならいつごろがベストか

先日安倍首相は消費税10%への増税を2019年10月1日に予定通り行うことを公言した。
増税時期を考えると、新型車を含め9月末までには登録できなければ、増税後の消費税がかかってしまうことになる。

そこで、車の買い替え・購入の際に注意したいのは商談時期だ。9月に登場する新型車であれば、事前にディーラーに問い合わせ、発売前までに予約注文をするしかない。それでも、ほとんどの場合、9月末までの登録は間に合わないだろう。

6月以降発売の新型車の場合

2019年9月以前に登場する新型車では、いかに早く注文するかが重要になる。とくに、6月以降に出る新型車の場合、発売前から予約注文したほうがいい。予約注文は、早ければ早いほどいいだろう。予約が殺到すると、順番によっては納車までに相当な時間がかかるからだ。
しかし、どんなに焦って買っても、新型車の値引きはゼロが相場だ。実際に注文書を書いてもらうときに、10月以降の登録になるなら、消費税分の値引きが発生するか確認してみるといいだろう。

すでに発売されているモデルの場合

新型車の購入に焦るより、すでに発売されているモデルをしっかりと商談し、増税前に購入したほうがいいだろう。増税前の駆け込み購入が影響し、10月の新車販売は大幅に落ち込むと予想できる。
ディーラー側もこうしたことを予想して、9月末までにどれだけの台数を登録できるかが重要だとわかっているだろう。顧客側から考えると、早めの購入なら値引き額も大きくなると予想できる。

値引きを引き出す商談時期

大きな値引きを引き出すためには、少なくとも7月から商談することをおすすめする。夏休みも含め長期間じっくりと商談し、徐々に値引き額を引き出すとよい。
ただし、9月末までの登録は必須なため、特殊なオプション装着車が欲しい人は、納期を探りながら商談するといい。

輸入車も同様だ。輸入車の場合、基本的に在庫車での販売となる。在庫が無く、特別な仕様が欲しいとなると受注となり、船で海外から運ばれる。そのため、納車までは早くて2カ月以上かかる。それを逆算して商談を始める時期を決めるといいだろう。

2.今からクルマを購入するなら燃費基準を達成しているクルマを選ぶこと

増税前に買うにしても、増税後に買うにしても、クルマ選びの基準は「燃費の良いクルマ」だ。
特に、増税後に買う場合は、環境性能割という課税が適用される。環境性能割とは、簡単に言えば、燃費のいいクルマほど課税率が低くなるというものだ。
これ前提に考えると、燃費基準を達成しているクルマが主なターゲットになる。

燃費基準達成車の例

  • ハイブリッド車(HV):トヨタ C-HR
  • プラグインハイブリッド車(PHV/PHEV) :三菱 アウトランダーPHEV
  • 電気自動車(EV) :日産 リーフ
  • 燃料電池車(FCV):トヨタ MIRAI

燃費基準を達成していれば、環境性能割の税率が低くなるため、燃費性能は無視できない要素だ。

電気自動車・燃料電池車は中古車なら販売価格がかなりお手頃に

EVやFCVはリセールバリューが安いため、中古車がかなりの低価格で販売されている。これらを狙うのもひとつの方法だ。
ただし、FCVのミライは、中古車の流通量が少なくて手に入れにくい。加えて、電気自動車の代表であるリーフは、中古車になると電池の経年劣化によって航続距離が短くなっているクルマが多い。これらの点には十分な注意が必要だ。

つまり、一般的なハイブリッド車を選ぶのが、現実的な選択ということになるだろう。環境性能に優れたクルマは、中古車でも年式が新しくて価格も高いクルマが多い。

3.中古車を売却するときは消費税分は還元されるのか?

クルマを手離す、つまり中古車を売るときには、ユーザーは消費税分を受け取れることを忘れてはいけない。
消費税が増税されれば、その分だけ受け取る額が増えるわけだ。しかし、実際にはそんなに甘くない。
中古車の買い取り価格は消費税を含んだ額として提示されることが一般的なため、具体的に受け取る額が増えるわけではない。

そもそも中古車は相場商品だから、相場の上げ下げによる影響のほうが、消費税増税よりもはるかに大きい。消費税分だけ高く売れるようになるといった考えは持たないほうが良いだろう。

たいていの場合、次のクルマへの買い替えを含めたクルマの売却であることが多い。そのため、消費税の増税を待つのではなく、増税前に買い替えた方が、トータルの税負担が少なくなる。

4.消費税増税で個人間売買への影響は?

個人間売買なら、基本的に消費税はかからない。売買の価格が、増税前後で変わらないということだ。
たとえば、増税後に100万円の中古車を販売店から買うと、110万円が必要になる。しかし、個人間売買なら100万円だけで良い。この差はけっこう大きい。
しかも個人間売買なら、販売店で売る価格よりも安く買えることが多いのだ。

増税で個人間売買がますます盛んになる可能性も

諸外国の例を見ても、消費税と同じような間接税が増税されたことで、個人間売買が発達した例がある。中古車業界が大きな打撃を受け、実質的に中古車業界がなくなってしまった国もあるほどだ。

クルマの場合は不安が残る個人間売買

消費税増税後は日本でも、ある程度、個人間売買が増加するだろう。しかし、それが主流になるとは考えにくい。
個人間売買は、リスクも大きいからだ。中古車販売店で買うなら、販売店を通じてローンが組めるので、現金で全額用意しなくてもクルマが買える。あるいは、購入後に不具合が発生しても、販売店で買ったクルマなら、保証やアフターサービスでカバーされることもある。

しかし、個人間売買ではローンを組むのが難しく、オークションなどの例を見ても「ノークレーム/ノーリターン」が条件とされることが多い。
それを言い訳にして、事故車を隠して販売する例が今でも後を絶たないのが実情だ。個人間売買で安く買えると簡単に考えたら、失敗することもある。

ガリバーがサポートする個人間売買サービスならリスクも最小にできる

リスクの少ない中古車の個人間売買サイトも存在する。中古車大手のガリバーが運営するガリバーフリマだ。
修復歴(事故歴)の有無は、ガリバーによる査定で確認できるし、ローンでの支払い、書類や現金の受け渡し、納車や車両の引き取りといったことまで代行してくれる。もちろん、各サービスを受けるためには手数料が必要となるが、リスクを回避するための経費と考えれば安いものだろう。

リスク覚悟で安さを追求するなら、個人間売買はベストな方法だろう。しかし、安心を含めて買おうと思うなら、信頼できる販売店で、保証付きの中古車を買ったほうが良い。

5.消費税増税が自動車保険に与える影響は?

クルマ関係の出費で多いもののひとつが、毎年更新する任意の自動車保険だ。最近は通販で安い自動車にも加入できるようになったが、普通の自動車保険に加入すると年に10万円を超えるのも珍しくない。

自動車保険は消費税の対象外となるため、消費税が増税されても保険料が変わることはない。ただし、保険会社のさまざまなコストには、消費税増税が影響してくると考えた方がいいだろう。長い目で見れば、「増税の影響」が「保険料引き上げ」という形で表面化してくることは十分に考えられる。

6.消費税増税がクルマの維持費に与える影響は?

自動車保険料以外にも、自動車の整備費用、ガソリン代、高速料金など、すべてのものに消費税が課税されている。どれもユーザーの負担が増えるものであるのは、間違いない。

自動車の整備費用に5万円かかるとしたら、これまで4000円だった消費税が、増税後は5000円になる。ガソリン代も同様だ。高速料金は認可も必要なので単純ではないが、消費税分の増税が実施されるのは間違いない。
今はETCによる電子課金が中心なので、高速料金に消費税増税分を反映させるのも容易になっている。

クルマに関わる諸経費だけでなく、すべての物やサービスに対して課税されるのが消費税だ。そのため、増税の影響は大きい。高額商品であるクルマの購入・売却に関しては、入念な消費税対策を考えたい。

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