消費税が10%に増えるまで、カウントダウンが始まっている。しかし、いつから増税が始まるのか、具体的な時期を意識していない方もまだ多いのではないだろうか?この記事では、消費税が10%になる時期、車に関する税金制度の変化を、わかりやすく解説している。「車にかかる税金がよくわからない、でも知っておきたい」という方におすすめの記事だ。これから車の買い換えや購入を考えている方は参考にしてほしい。

この記事の目次 CONTENTS
1.消費税10%はいつから始まる?
2.車の税金何が変わる?叫ばれる自動車取得税の廃止
3.新税・環境性能割は自動車取得税廃止の補填
4.豊田章男会長率いる自工会は自動車税制の見直しを要望

ライター紹介

自動車評論家

松下 宏 氏

中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。 誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。

1.消費税10%はいつから始まる?

安倍首相は、消費税10%への増税を、2019年10月1日に予定通り行うことを公言した。
何度も「もう先延ばしはしない」と言いながら、覆(くつがえ)すことを繰り返してきたが、いよいよ時期が決定した形だ。
現時点で、増税時期が変更になることは考えられない。2019年10月1日から消費税が10%になることは、間違いないだろう。
また先延ばしたら、日本の財政再建の道が遠のくことになるからだ。

2%の増税でも車購入時の負担は見過ごせない額に

消費税増税といっても、8%から10%なら、たった2%の増税と見ることもできる。大したことはないと思うかも知れないが、車は安くても数十万、高ければ数百万にも及ぶ商品だ。たった2%の増税でも、その影響は大きい。100万円のクルマなら2万円、200万円の車なら4万円を余分に払わなければならなくなる。この時世に無視できる金額ではない。

食品や日用品などなら、増税の直前に買いだめすることも考えられるが、車はそうはいかない。高額商品だし、車検が買い替えのタイミングになることもある。
そのため、増税時期を踏まえて対応策を考えておく必要がある。購入や買い替えの計画があるなら、基本的には増税前に済ませた方が良い。

税制法案の決定は2019年3月の見込み

消費税の増税に伴って、自動車取得税が廃止され、その補填分として、新しい税金(環境性能割)が創設される予定となっている。
このように、自動車に関わる税金には、いくつかの変更が実施される見込みだ。
ただし、これらはまだ本決定ではない。税金は法律によって決まるものだが、法案の審議は、次の通常国会になると見られるからだ。
最終的には、2019年3月あたりが本決定の時期になりそうだ。そのため、これらの変更を想定しつつ、消費税増税の対応を考えた方が良いだろう。

2.車の税金何が変わる?叫ばれる自動車取得税の廃止

消費税増税に合わせて、自動車取得税が廃止されるのは間違いないだろう。消費税と自動車取得税は、クルマを購入したことに対してかかる税金という意味で、同じ種類の税となる。
明らかに二重課税であるため、廃止されるのは当然のことだ。

歴史の流れからみて取得税廃止は間違いなし

消費税が5%から8%に増税されたとき、二重課税であるという批判が上がり、自動車取得税は軽減された。
具体的には、自家用乗用車の取得税率が、5%から3%に軽くなった。軽自動車は、3%から2%に軽減された。

消費税が10%に増税されるのに合わせて、自動車取得税を廃止することは、あらかじめ明らかにされていた。つまり、今回の増税で、自動車取得税が廃止されるのは間違いないのだ。

3.新税・環境性能割は自動車取得税廃止の補填

財務省や総務省は、財源不足を理由に、自動車取得税に代わる新しい自動車への課税を目論んでいたようだ。新しい課税は、「環境性能割」と呼ばれるものだ。
廃止される自動車取得税に代わって設定されようとしている。

中古車・軽自動車の負担は自動車取得税と変わらない

環境性能割は、平成27年度基準と平成32年度基準のふたつある燃費基準に対して、達成度がどのくらいあるかを基準に課税される。簡単に言うと、燃費のいいクルマに乗っていれば環境性能割は安くなり、燃費の悪いクルマに乗っていると高くなる。
具体的には、達成度によって、0%から3%(軽自動車は0%から2%)の税率が、自動車税や軽自動車税に上乗せされるというものだ。

平成32年度基準の方が、27年度基準より厳しいものになっている。32年度の基準に照らし合わせて税率が0%になるクルマは、相当に燃費が良いと言える。
対して、中古車は、平成27年度基準のクルマが大半となっている。
27年度基準に照らし合わせると、達成度が高くても2%、低ければ3%(軽自動車は一律2%)が課税される。
これでは、今までの自動車取得税とほとんど変わらない話になってしまう。

4.豊田章男会長率いる自工会は自動車税制の見直しを要望

結局、増税後も自動車にかかる税金の金額は変わらないという計算になる。これに対し、日本自動車工業会の豊田章男会長は、政府に要望を提出した。
9月20日の定例記者会見において、政府与党に対し自動車税制の抜本的な改正を求める考えを明らかにしたのだ。

その趣旨は、こうだ。
日本の自動車税制は、世界一高いレベルだ。
その上、2019年10月1日から消費税の増税が実施されると、国内需要を30万台押し下げる懸念がある。

30万台とは、三菱総研の試算によるもので、新車の需要が30万台減るだけでなく、経済効果がマイナス2兆円に達し、9万人の雇用減につながる可能性があるとしている。
実際、消費税が5%から8%に増税されたときには、自動車の需要が100万台以上減少し、それ以降、増税前の水準に戻っていないのだ。

こうしたことを考えると、自動車税制を抜本的に改正し、自動車ユーザーの負担を軽減しないことには、日本経済にも大きな影響を与えるというのが、豊田会長の弁だ。
自動車工業会は、「自動車税の負担の軽減」「消費税増税による自動車ユーザーの負担増の回避」を訴えていくとしている。

経済産業省の税制改正に関する要望

産業を育成する立場にある経済産業省は、自動車の車体課税に対して抜本的な改正が必要だと主張している。
自動車の保有に関わる税の軽減を総合的に検討し、増税の前後で需要が平準化するような施策を求めるというものだ。

具体的には、以下の通りとなる。

  • 自動車取得税の廃止
  • エコカー減税の延長
  • グリーン化特例の延長

クルマは重要な生活の足であり、経済・雇用面にも影響力を持つ日本経済の牽引役である。
消費税の増税によってクルマの販売が減少したら、地域の経済や雇用、ひいては日本経済全体に大きな影響を与えることになるだろう。
自動車に対しては、税制面でも強力な後押しが不可欠だ。

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