レクサスは、新型のラグジュアリーセダンであるESを投入し発売を開始した。

この記事の目次 CONTENTS
ラグジュアリーセダン、新型ESは2.5Lハイブリッドのみの設定
攻めの販売戦略!?セダンが売れない日本マーケットに投入された新型ES
全長5m弱!かなり長くワイドなボディの新型ES
まるでアートのような美しさ!のスピンドルグリル
優れた静粛性と乗り心地の良さを追求した新型ES
鏡からカメラの時代へ!世界初、デジタルアウターミラーを設定
新型レクサスESのグレードの選び方
新型レクサスESの価格、スペック

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

ラグジュアリーセダン、新型ESは2.5Lハイブリッドのみの設定

新型レクサスESは、ES300hと呼ばれる2.5Lのハイブリッドのみの設定で、日本初導入となる。

日本初導入となった新型ESだが、北米などではレクサスブランド立ち上げ時から存在していたモデル。グローバルでは7世代目となっている。

攻めの販売戦略!?セダンが売れない日本マーケットに投入された新型ES

国内のレクサスラインアップは、多くのセダンが用意されている。LSをフラッグシップとして、GSやISがあり、ラインアップから姿を消したがHSもあった。多くのセダンモデルがあったのだが、国内のセダンマーケットはかなり小さくなっており、売れているのはクラウンのみといった状況。多くの顧客は輸入車に流れている。そんなこともあり、現在のレクサスを支えているのは、NXやRXといったSUVだ。

売れない国内セダンマーケットに投入された新型ES。ある意味、かなりチャレンジャーな立ち位置でのデビューとなった。

同じプラットフォームのトヨタ カムリの販売は好調

だが、そんなマーケットだが、少し明るい兆しもある。同じプラットフォームやパワーユニットを使うトヨタ カムリの販売が好調なことだ。

カムリもESと同じく、北米をメインにしたモデル。日本ではボディサイズが大きく小回りも苦手なため、先代カムリ同様に販売台数は伸びないと予想されていた。しかし、カムリのアグレッシブなデザインと超低燃費ハイブリッドシステムの組み合わせが高く評価され、カムリの販売は好調。つまり、カッコよく低燃費なら売れるという結果を出した。

販売不調のレクサスGSの穴を埋める狙いも

対して、レクサスブランドでESと似たようなボディサイズになるGSの販売は不調。エレガントなデザインと低燃費性能を誇るESを投入することで、GSの穴を埋めるという狙いもあるのだろう。そういう意味では、ESの販売台数は、今後のレクサスセダンの売れ行きを占う意味で非常に重要なモデルだ。

全長5m弱!かなり長くワイドなボディの新型ES

北米がメインに開発された新型レクサスES300h。そのため、ボディサイズは、全長4,975×全幅1,865×全高1,445㎜。ホイールベースは2,870㎜と、かなり大柄なボディをもつ。同じGA-Kプラットフォームを使うカムリよりも、ひと回り大きい。ホイールベースもESの方が長い。

ボディが大きければ当然、小回りは苦手

これだけ大きなボディをもつESは、FF(前輪駆動)車だ。こうなると、カムリ同様小回りは苦手になる。取り回しの良さを判断するための指標である最小回転半径は、5.9mもしくは5.8mとかなり大きい。

この最小回転半径は、ホイールベースが3mもあるアルファードやヴェルファイアと同等程度。道幅が狭い住宅街や駐車場では、かなり扱いにくく感じる数値となっている。

まるでアートのような美しさ!のスピンドルグリル

レクサスESのデザインは、エレガントなクルマのキャラクターを明確に表している。ワイド&ローなフォルムに、流れるようなルーフラインが美しさをアピール。そして、注目はレクサスのデザインアイコンともいえるスピンドルグリル。まるで、アートのような造形で、ひと目でESと分かる優美さを演出している。

レクサスらしいラグジュアリーな室内

インテリアデザインは、エレガントな外観デザインと同様に、レクサスらしいラグジュアリーな空間に仕上げている。インパネデザインは、水平基調で広さを主張。ドアパネルまで流れるようなデザインで、乗員を包み込むような室内にまとめている。

また、センターコンソール上部に設置されたセ12.3インチワイドディスプレイは、視認性も良く見やすい。これは、安全性にも貢献。ただし、コントローラーのリモートタッチは相変わらず節度感が無く使い勝手は今ひとつだ。

優れた静粛性と乗り心地の良さを追求した新型ES

新型ESのプラットフォーム(車台)は、カムリと同じGA-Kプラットフォームが使われている。サスペンション形式など、多くの部分が共用化されているが、ES用意された世界初の技術もある。それが、「スウィングバルブショックアブソーバー」だ。この技術は、ショックアブソーバーのオイル流路に非着座式のバルブを設け、微小な動きに対しても流路抵抗による減衰力を発生させる。この新技術により、ESは応答性が良く上質な乗り心地を実現した。

また、ESは高級ラグジュアリーセダンということもあり、静粛性を高めている。その優れた静粛性に貢献しているが、ノイズリダクションホイールや遮音性の高いアコースティックガラス。こうした技術を採用することで、高級セダンに相応しい静粛性の高い室内空間を作り上げた。

2.5Lハイブリッドを搭載し燃費は23.4km/Lを達成!

ESに搭載されたパワーユニットは、2.5Lのハイブリッドのみとなった。このハイブリッドシステムも、基本的にカムリと同じもの。吸気効率の向上や燃焼室内の気流強化による高速燃焼技術などにより、世界トップレベルの熱効率を実現。JC08モード燃費は23.4km/Lと優れた低燃費性能を誇る。

鏡からカメラの時代へ!世界初、デジタルアウターミラーを設定

ESには、量産車として世界初のデジタルアウターミラーが用意された。このデジタルアウターミラーは、ドアミラーの代りに、小型のカメラを設置。その画像を左右のフロントピラー付近に設置された5インチディスプレイに表示する。

バック時やウインカー作動時などには、映像がよりワイドになり、視界が広がる。さらに、夜間や雨天時などでは、自動で輝度調整するの視認性が良い。こうした機能により、より安全なドライブが可能となる。

最上級グレードであるバージョンLにのみオプション装備可能

ただ、このデジタルアウターミラーだが、まだまだ改善の余地がある。車内モニターの設置場所も、より視線移動の少ない場所へ移設すべきだ。また、モニターはLEDライト車が近付くと点滅して見え、煩わしさを感じる。
オプション価格も216,000円と、やや高価な印象だ。このデジタルアウターミラーは、最上級グレードであるバージョンLにのみオプション装備が可能となっている。

新型レクサスESのグレードの選び方

新型レクサスESのエンジンは、2.5Lハイブリッドのみなので、グレード選びは容易だ。グレードは、標準車と豪華仕様のバージョンL、スポーティ仕様のFスポーツの3タイプが用意された。

走りを重視するなら違うクルマの選択を

グレード選びでは、まずESに何を望むのかが重要。静粛性や乗り心地、ラグジュアリーな空間というのであれば、標準車かバージョンL。スポーティな走りを重視というのであればFスポーツということになる。ただ、Fスポーツの走行性能は、それほど尖ったものではない。走りを重視するのであれば、違うクルマを選択したほうがよい。

新型レクサスESを買うならバージョンLがおすすめ

ESのキャラクターから考えると、おすすめはバージョンL。やや貧弱な予防安全装備も、ブラインドスポットモニターなどが標準装備されるので安心。
そして、セミアニリンの本革シートが標準装備される。このシートには、ベンチレーションやヒーターも用意されているのでとても快適だ。後席も電動リクライニング機能が標準装備される。さらに、AC100V/1500Wのコンセントも標準装備。この装備は、災害などで停電した場合など、クルマが発電機となり家電製品などが使えるようになるので安心だ。

オプション関連では、バージョンLにのみデジタルアウターミラーが装備可能。この機能は、好き嫌いが分かれるので、試乗車なので実際に試してみる必要がある。また、高音質のマークレビンソンのオーディオなどは、好みと予算で選ぶといい。

レクサスESは短期乗り換えユーザーにおすすめ

レクサスESは、国内初投入のモデル。そのため、リセールバリューの予測はしにくいが、レクサス車は、人気車が多くリセールバリューが高い。ESも同様な傾向になるので、短期で乗り換えするユーザー向けのモデルといえるだろう。
また、レクサス車は下取以上に買取店で高価な買取り価格が提示される可能性が高く、車両価格が高いクルマなので、まずは買取店で査定し、下取り価格と比較検討することも新車購入時には重要だ。

新型レクサスESの価格、スペック

新型レクサスESの価格、スペックの情報は以下の通り。

新型レクサスES価格

グレード 価格
ES300h 5,800,000円
ES300h “version L” 6,980,000円
ES300h “F SPORT” 6,290,000円

レクサスES 300h“version L”のスペック情報

全長×全幅×全高 4,975×1,865×1,445㎜
ホイールベース 2,870㎜
最小回転半径 5.9m
車両重量 1,730kg
JC08モード燃費 23.4㎞/L
総排気量 2,487cc
最高出力[NET] 131kW (178PS) / 5,700r.p.m.
最大トルク[NET] 221N・m (22.5kgf・m) / 3,600~5,200r.p.m.
モーター最高出力 88 kW(120PS)
モーター最大トルク 202N・m (20.6kgf・m)
サスペンション形式(前/後) マクファーソンストラット (スタビライザー付)/ダブルウイッシュボーン (スタビライザー付)