<北米重視のエンジンラインアップがやや改善>

レクサスGSレクサスは、ミドルサイズのセダンであるGSに、2.0L直噴ターボを搭載したモデルを追加し発売を開始。また、同時に一部改良を施した。

現行モデルは2代目。

レクサスGSは、2012年にフルモデルチェンジした。この2代目GSから、レクサスデザインの象徴ともいえるスピンドルグリルが採用された。最初に装着されたスピンドルグリルは、やや控えめのモノだったが、2015年のマイナーチェンジで、現在のより大型でアグレッシブなスピンドルグリルに変更されている。

‖日本では苦戦してきたレクサスGS。

レクサスGSは、初代モデルから国内マーケットではかなり苦戦を強いられている。そのため、2代目は日本への導入を見送る可能性も噂されていたほど。しかし、レクサスのセダンラインアップ上、無いと困るモデルということもあり、またスポーティセダンとして生まれ変わったこともあり日本マーケットに投入された。

‖2代目デビューも、燃費面には課題が残っていた。

2代目GSのデビュー当時のエンジンラインアップは、V6 ガソリンの2.5Lと3.5L、そしてV6 3.5Lハイブリッド の3タイプが用意されていた。もはや、デビュー時からライバルとなる欧州車に対して、ガソリンエンジンは燃費面で大きく遅れを取っていた。輸入車は、ダウンサイジング化が進み大きく燃費を向上。日本車の魅力の一つである燃費性では勝てなくなっていたのだ。その理由は、設計が古くアイドリングストップ機能さえ無いガソリンエンジンにあった。これでは、日本マーケットでは見向きもされない。まさに、ガソリンが安い北米マーケット向けの仕様だったのだから当然だろう。そうしたこともあり、売れ筋グレードはハイブリッド車だった。また、GSの車体にはややアンダーパワーだったV6 2.5Lエンジンは、燃費も悪かったこともありラインアップからすでに姿を消している。

売れ筋グレードのV6 3.5Lのハイブリッド車であるGS450hとはいえ、販売台数面では厳しい状況。それは、価格設定がかなり高価だったからだ。国内において、レクサスブランドは、まだ欧州ブランド並みとはいえない状況。さらに、3.5Lハイブリッド車ほどのハイパフォーマンスは必要なく、より安価で燃費の良いモデルというニーズも多かった。そこで、2013年にクラウンハイブリッドの直4 2.5Lハイブリッドシステムを流用したGS300hが登場する。当時の価格でGS450hよりGS300hは120万円以上安い価格設定とされた。レギュラーガソリン仕様で、より日本マーケットのニーズにマッチしたパワーユニットを得たことで、GS300hが売れ筋になるのは当然だ。

このGS300hの登場と同じくして、まったく真逆の歩行性をもつハイパフォーマンスモデルであるGS Fが登場した。GS Fは、今となっては珍しい自然吸気のV8 5.0Lエンジンを搭載。477ps&54.0㎏-mという大出力を発生する。サーキットから街中まで、フレキシブルに対応することができるハイパフォーマンス スポーツセダンだ。


8速ATが組み合わされたGS200tが新登場。

<よりダイレクトなフィーリングが楽しめるグレード>

レクサスGSそんなレクサスGSに、ようやくというべきなのか、2.0L直4直噴ダウンサイジングターボエンジンが搭載された。新投入されたレクサスGS200tの出力は245ps&350Nm。燃費は13.0㎞/Lもしくは13.2㎞/Lとなった。この2.0Lターボエンジンは、すでにISやNX、クラウンなどにも採用されているものと基本的に同じ。V6 3.5L車並みの最大トルクを持ちながら、燃費値は20%以上向上しているのが特徴だ。ミッションは、8速ATとなった。

‖欧米がメインターゲットという感が否めない。


ただ、このエンジンは、日本マーケットをターゲットにしたものではないようで、燃料がハイオク仕様となっている。ハイオク仕様の国産車は現在ではほとんどない。これは、顧客に好まれないからだ。こうした細かいところで、レクサスは日本マーケットをあまり重視していないことが分かる。

それでも、わずかだがこうしたモデルに対して需要があるのも事実。欧州や北米も含め、日本でもハイブリッド車のCVTフィーリングが嫌いという顧客がいるのだ。さらに、価格はより安く、3.5L車並みの力強さも必要というニーズもあり、GS200tはそうした顧客向けに合わせたモデルといってもいいだろう。よりダイレクトな走行フィーリングが楽しめる仕様だ。

GS200tの追加と同時に、一部改良も行われた。リヤタイヤのトラクション性能を高めるトルセンLSDを、GS200tとGS350の“F SPORT”2WD車 にオプション設定した。駆動輪であるリヤタイヤのトラクション性能を確保。コーナーの立ち上がりなどで、よりダイナミックな加速を発揮できる。また、減速時にもスムーズで安定感のある挙動を確保。悪路や雪道での安定した走行性能を得た。

その他、外板色は、新設定のダークグレーマイカを含む全11色を設定。AMラジオが聴きとりにくい地域でも、FM放送でAMラジオの番組が聴けるワイドFMに対応した。

そして、ハイパフォーマンスモデルであるGS Fも一部改良を受けている。“F”モデル用に開発したNAVI・AI-AVSを標準設定。ショックアブソーバーの減衰力を最適に電子制御し、ロール姿勢の最適化・ステアリングレスポンスの向上を図ることで優れた操縦安定性とフラットな乗り心地を両立。同時にナビゲーションのコーナー情報から予め制御を行うことで、優れた旋回性能も確保している。NAVI・AI-AVSの設定に伴い、足回りおよび電動パワーステアリング(EPS)、およびVSCのチューニングも実施した。

そして、多彩な乗り味を楽しめるドライブモードセレクトには、CUSTOMIZEモードが新設定された。CUSTOMIZEモード選択時には、パワートレーン、シャシー、エアコンの各制御の組み合わせをドライバーの好みで選択が可能。より、自分好みの設定が可能になり、走りを楽しめるようになった。

外板色は、新設定のダークグレーマイカを含む全8色を設定。GSと同様にワイドFMにも対応した。

エントリグレードは200t。選ぶなら、どのグレード?

<ランニングコストや税金を加味するとハイブリッドの300hが上回る!?>

レクサスGSの選び方だが、まず、3.5Lのガソリン車を買うメリットはないだろう。3.5Lは、アイドリングストップ機能も無いため燃費が悪くハイオク仕様となっていて、一昔前のパワーユニット。ハイブリッド車が人気を集めている日本マーケットでは、リセールバリューも高いとは言えないので、短期での乗り換え時に買取価格面でも不利になる可能性が高い。

2.0Lターボ車も少々微妙だ。車両価格面ではエントリグレードということもあり、最も安価な設定で価格面でメリットはある。ところが、ハイオク仕様のエンジンンなので、多少燃費が良いとはいえ、燃料費はそれほど安くはならない。ランニングコストという面では、やはりハイブリッド車より高くつく。

‖結論。オススメは、GS300h。高予算なら、450hだ。


また、GS200tとハイブリッドのGS300hの価格差は約38万円と意外と小さい。この程度の差だと、エコカー減税やランニングコストで逆転してしまう可能性が高い。300hと200tのエコカー減税差は、20万円前後もあるのだ。こうなると実質差は18万円前後。300hは23.2㎞/Lという燃費値に対して、200tは13.2㎞/Lと大きな差がある。さらに、燃費の良い300hがレギュラーガソリン仕様で、ハイオクを使う200tに対して10円/L前後の燃料費差も発生する。走行距離が少ない人はあまり関係が無いが、それなりの距離を走る人にとっては、ランニングコストも含め、300hの方が最終的にはお買い得になるケースもある。そう考えると、走りの質感に違和感がなければ、バランスが取れているのは、GS300h。日本では、このグレードがお勧めとなる。

問題は、V6 3.5Lのハイブリッド車。モーターアシストに加えパワフルな3.5Lエンジンが組み合わされているので、極めてスムースで速い。燃費も18.2㎞/Lと、なかなかか優秀。高級車らしい、余裕ある力強さと静粛性は非常に魅力的だ。ただ、300hとの価格差が128万円もある。予算があるなら、450hもよい選択だ。450hはハイオク仕様となっているので、燃料費コストは、やや高くなる。

■レクサスGS/GS F価格


・GS450h FR 7,428,000円/“version L” 8,435,000円/“F SPORT” 8,463,000円/“I Package” 7,824,000円
・GS350 FR 6,430,000円/AWD 6,657,000円
・GS350 “version L” FR 7,437,000円/AWD 7,648,000円
・GS350 “F SPORT” FR 7,465,000円/AWD 7,486,000円
・GS350 “I Package” FR 6,826,000円/AWD 7,053,000円
・GS300h FR 6,153,000円/“version L” 7,160,000円/“F SPORT” 6,982,000円/“I Package” 6,549,000円
・GS200t FR 5,770,000円/“version L” 6,777,000円/“F SPORT” 6,599,000円/“I Package” 6,166,000円
・GS F FR 11,110,000円