ホンダは、セダンモデルの新型クラリティPHEVの発売を開始した。

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ホンダの自信作「SPORT HYBRID i-MMD」をベースとしたPHEV
EV航続距離は、なんと114.6㎞を達成!
気になる充電時間は急速で約30分、80%充電
バッテリーの冷却に水冷式を採用
3つのドライブモードを自動選択して走るクラリティPHEV
全幅1875㎜のワイド&ローフォルムだが、日本ではやや扱いにくい
スマホ専用アプリを使って利便性も向上
クラリティPHEVの販売価格は5,880,600円

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

ホンダの自信作「SPORT HYBRID i-MMD」をベースとしたPHEV

クラリティという車名は、FCVであるクラリティFUEL CELLに使われている。このモデルは、水素を燃料として走る。排出されるのは水のみという、究極のエコカーだ。今回発売されたクラリティPHEVは、クラリティFUEL CELLの内外装をベースにパワーユニットをPHEVに変更している。

クラリティPHEVのパワーユニットは、2013年に登場したアコードPHEVのものがベースとなっている。2モーターハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-MMD」であることは共通。エンジンやバッテリーの高容量化やコンバーターの高出力化など、その他にも大幅に進化した。

まず、大きく異なるのは搭載されたエンジン。アコードPHEVの2.0Lエンジンから、1.5Lへとダウンサイジングされている。この1.5Lエンジンは、世界トップレベルとなる最大熱効率40.5%を達成した優れた低燃費性能を誇る。出力は105ps&134Nmだ。
駆動用モーターの出力は、184ps&315Nmという高出力タイプ。アコードPHEVのモーターは169ps&307Nmなので、ややパワフルになっている。

EV航続距離は、なんと114.6㎞を達成!

PHEVのEV航続距離は、搭載するバッテリーの容量に比例して長く走れるようになる。クラリティPHEVには、なんと17.0kWhという大容量・高出力のリチウムイオンバッテリーが搭載された。ボディサイズが異なるが、プリウスPHVの電池容量が8.8kWhなので、倍近い容量のバッテリーを搭載していることになる。その結果、クラリティPHEVのEV航続距離は114.6kmと非常に長いものとなった。

ガソリンを使わず燃料費は大幅カット

114.6㎞もの長距離をEVで走れると、日々の通勤や送迎、買い物といった使い方であれば、ほぼガソリンを使わない生活が可能だ。家庭での充電は、ガソリン代よりも圧倒的に安いので、燃料費は大幅に下がる。

ハイブリッドモードの燃費は28.0㎞/L

また、ロングドライブでも114.8㎞も長いEV航続距離なので、移動中にある急速充急速充電器などを上手く活用すれば、あまりガソリンを使用しないで長距離ドライブが楽しめるだろう。
バッテリーの電力が少なくなると、ハイブリッドモードに移行。この時の燃費は、JC08モードで28.0㎞/Lとなかなか優秀だ。

気になる充電時間は急速で約30分、80%充電

かなり便利になったものの、EVは、やはり充電する時間、そして場所が限られるなどの不便さがある。PHEVであれば、電力を使いきってもガソリンで走れるし、充電待ちが発生していれば、ガソリンを使って次の充電ポイントに移動することもできる。ガソリンは容易に手に入るので、電欠の心配がないのは便利だ。実用面を重視して考えると、PHEVはEVよりも現実的な選択肢といえるだろう。
クラリティPHEVの充電時間は、急速充電約30分で80%程度。200V普通充電だと、約6時間で満充電となる。

欠点はホンダディーラーの充電設備が少ないこと

ガソリンを使って走れば、使い勝手のよいPHEVだが、できるだけガソリンをは使いたくない。しかし、日産に対して、ホンダディーラーの充電環境はまだ整っていないのが現状だ。ホンダディーラーには、ほとんど急速充電器が設置されていない状況なのだ。

充電でお世話になるスタンドはホンダではなく日産?!

ホンダは、NCSネットワークの充電器約20,800基が利用できるホンダ独自の充電カードサービス「Honda Charging Service(ホンダ チャージング サービス)」を用意。また、全国のディーラーへの急速充電器配備を進め、EVの本格的な普及に向けて取り組んでいくとしている。いつ頃までに、どれだけのディーラーに充電設備を用意するという明確なメッセージがない。つまり、つまり、クラリティPHEVを買っても、いつホンダディーラーに充電設備が用意されるのかは分からないということだ。
こうした状況だと、ロングドライブで充電などで頼りになるのは、ホンダではなく日産ディーラーということになってしまう。

バッテリーの冷却に水冷式を採用

クラリティPHEVのバッテリー冷却は、水冷方式が採用された。EVのバッテリーは、高出力状態が長く続くとバッテリーが発熱し高温になる。高温状態になると、出力制限をして温度を上げないようにするデメリットがある。一般的な走行状態で、こうした出力制限がかかることは少ない。

ただ、バッテリーが高温状態になると、耐久性にも大きな影響を与える。耐久性を上げるためには、なるべく一定の温度を保つことが重要だ。そこで、クラリティPHEVでは、バッテリーをコンパクトなレイアウトで効率的に冷却。小型化とバッテリーの耐久性向上を実現した。

3つのドライブモードを自動選択して走るクラリティPHEV

クラリティPHEVは、EV走行を中心にし3つのドライブモードが用意された。

  • 「EVドライブ」は、バッテリー残量が十分な状態で、徹底してEV走行するモード
  • 「ハイブリッドドライブ」は、1.5Lエンジンの高効率領域を使って発電。その電力を使い、走行用モーターを駆動して走行するモード
  • 「エンジンドライブ」は、バッテリー残量が少ない状態での高速走行時に、モーター駆動で走るよりもエンジン力で走行した方が効率がよいコンピュータが判断した場合に、エンジン直結クラッチを締結する。直接エンジンの力でタイヤを駆動して走行する

クラリティPHEVは、コンピュータが走行状態を常時モニター。常に最適なモードを自動的に選択し走行する。
また、より積極的にEV走行ができるように、EV走行の上限が直感的に分かるペダルクリック機構も搭載。アクセルペダルを一定量踏み込んだ位置に、スイッチを押すようなクリック感(反力)が生じるポイントを設定。エンジンが始動するポイントを分かるようにすることで、EV走行をより長く持続するようにドライバーにアピールしている。

全幅1875㎜のワイド&ローフォルムだが、日本ではやや扱いにくい

クラリティPHEVは、全長4.915×全幅1875×全高1480㎜というボディサイズになった。さすがに、これだけ全幅が広いと、道の狭い日本では少々扱いにくさを感じるサイズ。最小回転半径も5.7mと大きめだ。

デザインはスタイリッシュに

ただ、この1875㎜という全幅もあり、デザイン的にはワイド&ローが強調されスタイリッシュなフォルムとなった。また、クラリティPHEVは、セダンボディなのだが、クーペのように傾斜したAピラーとCピラーをもつ。これは、空気抵抗を下げるためでもあるが、結果的にスポーティさもアピールしている。
フロントフェイスのデザインは、かなりアクが強い。ユニークさがあり、ひと目でクラリティと分かるが、少々奇をてらった感が強い。好き嫌いが明確に分かれそうなデザインだ。

インテリアデザインはシンプル

こうしたアクの強いフェイスに対して、インテリアデザインは、クリーンでシンプル。スッキリとしたデザインの中に、上手く未来感も表現している。落ち着いた空間に仕上がっている。

スマホ専用アプリを使って利便性も向上

PHEVらしい便利機能も用意された。スマートフォンで専用アプリケーション「Honda Remote App」を使用することにより、航続可能距離や高電圧バッテリー残量、車内温度の車両情報をスマートフォンで取得可能。

遠隔での操作が可能

また、タイマー充電設定や充電用リッドのオープン、エアコンのオン/オフ操作や出発時間に合わせたタイマー設定が遠隔で可能だ。Bluetooth通信を採用し、施錠・ドアなどの閉め忘れ通知や、広い駐車場で車を見つける「カーファインダー」などの機能も使用できるなど、最近のEVやPHEVに用意されている通信系便利機能は一通り設定されている。

クラリティPHEVには、歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備ホンダセンシングが装着された。渋滞追従機能付ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)も含まれるので、渋滞時の疲労軽減にも効果がある。

クラリティPHEVの販売価格は5,880,600円

クラリティPHEVの価格は5,880,600円。クラリティFUEL CELLの価格が約762万円なので、約174万円安い計算になる。水素で走る先進技術の塊ともいえるFUEL CELLが安過ぎるのかもしれないが、やや高めの印象も残る。
ただ、新型クラウンの2.5LハイブリッドRS Advanceの価格は5,799,600円。同じような価格で、先進のPHEVが買えるというのであれば安いようにも感じる。

販売目標は微妙な年間1000台!

そして、注目したいのは、クラリティPHEVの販売目標。なんと、わずか年間1,000台としているのだ。平均月間販売台数目標に置き換えると、たった約83台!国内マーケットでは、セダンの人気がないとはいえ、売る気があるのかないのか分からない目標設定だ。

高額車販売が苦手なホンダ、クラリティPHEVの販売手法はいかに!?

ホンダは以前、アコードPHEVを出したものの、リース販売のみという自信の無さがあった。その結果、国内営業はアコードPHEVをほぼ放置状態にしてしまった。しかも、ホンダは 高額車を売るのが苦手。個人への販売も可能となったクラリティPHEVをホンダの国内営業は、どういう手法を駆使して売っていくのかにも注目だ。