トヨタは、ニューヨークショーで新型カローラハッチバックを初公開。新型カローラハッチバックは、Cセグメントに属するコンパクトカー。日本発売は2018年初夏を予定。カローラ店にて販売される。

この記事の目次 CONTENTS
NYで新型カローラハッチバック発表
カローラハッチバックとして日本でも再デビューか
安定したシルエットとスポーティなデザインが融合
シンプルで機能的なインテリア
新技術満載のカローラハッチバック
米では新型トヨタセーフティセンスを標準搭載

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

NYで新型カローラハッチバック発表

トヨタは、ニューヨークショーで、新型「カローラハッチバック」(米国車名・米国仕様)を初披露した。米国では「カローラiM」の後継モデルとして、2018年夏に「カローラハッチバック」として発売。なお日本では、2018年初夏からトヨタカローラ店を通じ、販売を開始する予定だ。

カローラハッチバックというと馴染みがない名前かもしれないが、日本や欧州での名前は「オーリス」。Cセグメントに属する、小型のハッチバックだ。

日本では不調だった過去も

初代オーリスは、2006年にデビュー。ライバル車で世界のベンチマークとなっていたフォルクスワーゲン ゴルフをライバルとしていた。その後、オーリスは2012年に2代目となる。トヨタ独自のデザインである「キーンルック」を採用。新型オーリスのデザインテーマは「SMART DYNAMISM」。ユニークなデザインで話題になった。

欧州では人気カテゴリーであるCセグメントにコンパクトカーだったが、日本での販売は不調。好き嫌いが明確にでるデザインだったことや、当初ハイブリッド車が無かったことも影響した。その後のマイナーチェンジでは、1.2Lのダウンサイジングターボエンジンを導入するも、欧州仕様のままでハイオク仕様という状態。しかも、価格は高めだったことも影響し販売台数は伸び悩む。

2016年にハイブリッド車を投入するも、すでに時は遅しといった状況だった。オーリスは、日本マーケットでは存在感を示すことがないまま、日本での販売を終了している。

カローラハッチバックとして日本でも再デビューか

カローラハッチバックは、本来なら従来通りオーリスで販売ということになるのだろう。しかし、今回トヨタからの発表では少々事情が異なっているようだ。

というのも、トヨタは、このカローラハッチバックをトヨタカローラ店で販売すると公表している。従来のオーリスはネッツ店とトヨペット店扱いなので、販売チャネルも変更されている。「アメリカではカローラハッチバックという車名で販売される」「日本ではカローラ店で販売する」という2つを考えると、日本マーケットでの車名もカローラハッチバックとなる可能性が高いだろう。

トヨタは、東京内の販売会社を再編することをすでに公表している。その中には、全チャネルのクルマを扱う共同店舗などを目指す『J-ReBORN計画』の布石かもしれない。

安定したシルエットとスポーティなデザインが融合

新型トヨタ カローラハッチバックのプラットフォームには、TNGAのGA-Cプラットフォームが採用された。いわゆるCセグメント用のプラットフォームで、基本的にはプリウスと同じということになる。国内のカローラアクシオやカローラフィールダーは、Bセグメントのコンパクトカー用プラットフォームを使っているので、同じカローラという名前が付いていてもまったく異なるクルマなのだ。

新型カローラハッチバックのボディサイズは、全長4,370mm×全幅1,790mm×全高1,435mm、ホイールベース2,640mmとなった。過去に販売されていたオーリスと比べると+40㎜、全幅+30㎜、全高-45㎜、ホイールベース+40㎜となっている。全高が下がり全幅が広がったことで、よりワイド&ローでスポーティなシルエットになった。

立体的なワイドさを表現

フロントのデザインは、今までのオーリスを踏襲。台形形状の大型ロアグリルにアッパー部を合わせることで立体的な造形へと進化した「キーンルック」を採用している。フレア形状のバンパーとワイドになったボディということもあり、安定感あるスタイルになった。

ヘッドライトにはJ字形状に光るBi-Beam LEDが採用され、精悍さとユニークさが際立った顔になっている。オーリスはややクセのある顔だったが、カローラハッチバックは妙なクセが無くなり素直にシャープな力強さを感じさせるデザインになった。

リアビューは、サイドからセンターのバックドア周辺に向けて大きく絞ったフォルムとなった。両サイドは大胆に張り出したフェンダーやバンパーサイドの造形により、立体的なワイドさでどっしりとした安定感を表現。

バックドアは樹脂材料を採用。単に軽量化だけが目的ではなく、樹脂材料を使うことで前方への傾斜角がより大きい形状を可能としている。

シンプルで機能的なインテリア

カローラハッチバックのインテリアデザインは「センシュアスミニマリズム」がコンセプト。スポーティなエクステリアデザインに対して、スッキリとした上質さで感性に響く空間を追求している。

インパネデザインは、水平基調でワイドさをアピール。スッキリとしたシンプルな面構成をもつ。またナビなどのモニターはダッシュボード中央上部に設置されており、視認性にも優れている。

シートは新開発のスポーツシートを採用。ドライバーがより自然な姿勢で運転ができ、助手席は乗り心地の良いドライブを楽しめるようクッション材を改良した。さらにフロント座席のヒップポイントを低くしてホールド性を徹底的に追求している。

新技術満載のカローラハッチバック

優れた走行性能を得るためには、ベースとなるプラットフォームが重要。カローラハッチバックには、TNGAのGA-Cプラットフォームを採用。アルミ材や超高張力鋼板使用拡大や構造接着剤の最適使用、スポット溶接の打点追加などで、ねじり剛性を現行比60%向上させている。

フロントサスペンションはマクファーソン・ストラット、リアにはダブルウィッシュボーンが採用された。ジオメトリの改善や構成部品の性能向上が図られた。運動性能面では重要になる重心高は、現行比で20mm下げられより低重心化されている。

燃費性能を向上しつつトルクアップ

パワーユニットは、TNGAにより開発を進めてきた新型直列4気筒直噴エンジン「Dynamic Force Engine(2.0L)」を採用。この新エンジンは、通常のエンジン・ハイブリッド車(HV)用が用意されており、世界トップレベルを達成している。また低燃費性能だけでなく、低回転から高回転まで全域でトルクアップしている。

新エンジンと組み合わされるCVTも新型となる。世界初の発進用ギヤを採用した新型無段変速機(CVT)「Direct Shift-CVT」が用意された。発進時にギヤ駆動とすることで、ダイレクト感のある力強いスムースな走行性能を得ている。

また発進用ギヤの採用に合わせて、変速比をよりワイドに設定。2.0Lクラストップの変速比幅7.5を実現。これにより、高速クルージングではエンジンの回転を低く抑え静粛性の向上と低燃費化に貢献。さらに、新型6速マニュアルトランスミッションも設定。7kg軽量化し、全長を24mm短縮し、世界トップレベルのコンパクトなサイズとした。

米では新型トヨタセーフティセンスを標準搭載

カローラハッチバックの安全装備には、第2世代のトヨタセーフティセンスが標準装搭載する。ただこうした予防安全装備に関してはなかなか標準装備化しないトヨタだけに、日本仕様で標準装備化するかどうかは微妙なところだ。

今回搭載されるトヨタセーフティセンスは、従来の車両に加えて歩行者検知が夜間でもできるようになり、自転車検知(昼間)もを行えるようになったとのこと。これにより、予防安全性能は格段と向上している。

コネクティッド機能面では、米国で展開するマルチメディアシステム「Entune 3.0 Audio」とタッチ操作が可能な8インチスクリーンを標準搭載。

Entune 3.0 Audioを通じて、iPhoneの機能を車載ディスプレイで操作できるApple CarPlay、音声サービスの「Alexa」を利用可能とするAmazon Alexa、Wi-Fi Connect、音声操作も可能なナビゲーションアプリのScout GPS Link、その他にも様々なアプリが利用可能なEntune 3.0 App Suite Connectなどに対応した。