2代目となった電気自動車である日産リーフ。一般に電気自動車は航続距離が短いとされるが、新型リーフの航続距離は400㎞をアピール。しかし「カタログ値は信用できない!」 という人も多いのではないだろうか。そこで高速道路を100㎞走行して、2代目リーフの実電費値をチェックした!
- この記事の目次 CONTENTS
- 航続距離が大きく伸びた2代目リーフ
- 冬場は電費が悪くなる電気自動車
- 実電費8.3㎞/kWhと好記録を達成!
- 電気自動車は、登り坂が苦手
- リーフの航続距離は推定312㎞
- 2代目リーフは、空力性能で実電費を伸ばしていた!
- 日産リーフ価格
航続距離が大きく伸びた2代目リーフ
電気自動車の日産リーフは、フルモデルチェンジし2代目となった。2代目リーフは、航続距離を400㎞とし先代の280㎞から大幅に伸ばした。これほど大幅に航続距離を伸ばした理由は、マーケットから「航続距離が足りない」という意見が多かったからだ。そこで、2代目リーフは40kWhという大容量リチウムイオンバッテリーを搭載して、航続距離を伸ばすことをモデルチェンジの目玉にした・
実燃費はどれくらいなのか
とはいえ、この航続距離はいわゆるカタログ値。もはや、ほとんどのドライバーがカタログ値であるJC08モード燃費値通り走るとは思っていない。2代目リーフは航続距離400㎞で電池容量は40kWhなので、カタログ値に基づくと1kWh当り10㎞走る計算になる。(※電気自動車では、燃費ではなく電費と呼んでいる。)では実電費はどれくらいになるのだろうか。実際に公道でチェックしてみた。
リーフの実電費値チェックは、横浜の日産本社から首都高速を経由し、横浜町田ICから沼津ICまでの約100㎞を走行。まずは、高速道路での実電費を計測した。
冬場は電費が悪くなる電気自動車
電費チェックは、1名乗車でエアコンはON。設定温度は24°とした。まずは、横浜にある日産本社からすぐの首都高速みなとみらい入口から計測開始。保土ヶ谷バイパスを経由し東名の横浜町田ICを目指した。
電費チェックは日は2月。冬場は電気自動車にとって厳しい条件になる。それは、ヒーターを使わなくてはならないから。ガソリン車のようにエンジンという熱源を持たないので、電気自動車では電力を使いヒーターを稼働する。これがエアコン以上に電力を消費するのだ。
リーフにとっては幸いなことに、この日は2月としては暖かい14度という気温。日差しもあり、車内は意外とすぐに暖かくなった。ヒーターによる電力消費も少ない状況だ。
プロパイロットの快適さを実感するテスト走行
さて、まずは首都高速の状況。この日はやや混雑。速度は70㎞/h以上に上がることはほとんどなく50~60㎞/hでダラダラと流れる。多少電費値を気にした走りで、左側の車線をキープ。そのまま、保土ヶ谷バイパスへ入った。
保土ヶ谷バイパスは、いわゆる渋滞ポイントのひとつ。停止こそしなかったが、30㎞/hくらいまで速度が落ちることもあり、さらにダラダラとした走行状態のまま東名横浜町田ICへ到着。
この間の移動中は、プロパイロットを使用。プロパイロットは、同一車線内で車線維持、全車速で追従走行してくれる機能。アクセルとブレーキ操作から解放されるので、楽々移動できた。やはり、プロパイロットは便利だ。
実電費8.3㎞/kWhと好記録を達成!
東名横浜町田ICから東名高速に入り沼津ICを目指す。ただ、横浜町田IC~厚木IC間は混雑状態。リーフのプロパイロット機能の設定速度は100㎞/h。追い越し車線でも100㎞/hを超えることが無い状態が続いていた。ここでも、やや電費を意識して追い越し車線には出ない選択。80㎞/h前後での走行が続いた。
一旦、海老名SAで電費のチェックする。走行距離約34.0㎞で、平均速度は59㎞/hとなった。そして気になる電費はなんと8.3㎞/kWh! この電費だと40kWhというバッテリー容量をもつリーフの航続距離は332㎞になる。
スムーズな加減速と良好な実電費
この良好な電費値は、気温が高くヒーターの稼働が低かったことや、道がほとんど平坦路、さらに道が混んでいて速度が低かったことが理由だと思われる。
また、プロパイロットとの相性もいい。なかなかスムースな加減速で、人が運転して必要以上にアクセルを踏み込み過ぎ電費を悪化させることがないことも実電費が良かった理由のひとつでもある。先代リーフの24kWh車では、ほとんど8.0㎞kWhを超えることはなかったように記憶しているだけに、2代目リーフは実電費には期待が持てた瞬間だった。
電気自動車は、登り坂が苦手
海老名SAの次は、足柄SAをチェックポイントとした。海老名SAから先は、しばらくの間登り坂が続くため、電費値が落ちると判断。どの程度落ちてくるのか確認できるからだ。電気自動車は、とにかく登り坂が苦手。電費はかなり悪化傾向になる。
あまり負荷をかけすぎて、いたずらに電費を悪化させたくないという気持ちも働き、ややエコラン状態とした。100㎞/h制限では90㎞/h、80㎞/h制限では80㎞/hでプロパイロットを設定し、左側車線をキープした。
この区間での電費は7.1㎞/kWhまでダウン
こうしたややガマンの走りも効いて電費の落ちは想像以上にゆっくりだった。とはいえ、やはり電気自動車は登り坂が苦手。足柄SAに到着した時の電費は、大幅に悪化し7.1㎞/kWhまで落ち込んでいた。
ただ登り坂があれば下り坂もある。下り坂は逆に電気自動車にとって電力回生できる大チャンス。足柄SAから沼津IC間の下り坂は、電費アップが期待できる。
リーフの航続距離は推定312㎞
御殿場ICを過ぎた付近から、ゴールとなる沼津ICまでは下り坂。電気自動車にとって下り坂は得意科目。下り坂で電力が回収しやすくなるので、好電費が期待できる区間だ。下り坂とはいえアクセルの踏み過ぎは電費に悪影響を及ぼすので、この区間もプロパイロットは90㎞/h設定し左側車線キープ。のんびりツーリングとした。
沼津IC到着後の電費値は、下り坂で電力回生が行われたこともあり7.8㎞/kWhまで回復した。この数値が約100㎞高速道路を走行して出たリーフの実電費値だ。
ややのんびりツーリングだったが、7.8㎞/kWhで計算すると、リーフの航続距離は312㎞となる。搭載された40kWhの電池をすべて使いきるような走りはなかなかできないので、安全マージンで5kWh残しと考えても273㎞走れることになる。この距離は、90㎞/hアベレージで走行したとして3時間相当になる。この間、1度くらいは休憩。そのタイミングで充電すればいいと考えると、実用性面でそれほど困ることは無くなったといえるだろう。
2代目リーフは、空力性能で実電費を伸ばしていた!
このような航続距離アップの理由は、単に電池容量を大きくしたというだけでなく、空力性能を向上させるなど燃費性能そのものの向上によるところも大きい。
特に高速道路では空力性能により電費を向上させている。日産によると、高速道路での空気抵抗によるエネルギー損失割合は、ガソリン車が13.3%なのに対して、EVでは59.3%も占める。つまり、EVでは空気抵抗を減らすことによる実電費値アップの伸びしろが多いのだ。
そこで、2代目リーフでは、新形状のアンダーカバーを開発。初代比で空気抵抗を約4%改善した。さらに、横風空気抵抗にも着目し、リヤサイドスポイラーの形状により空気の流れを改善。実用航続距離を横風だけで約2.5㎞向上させた。たった2.5㎞だが、こうした小さな改善の積み上げが実電費に大きな影響を与えている。
実際に高速道路上を走行していると、こうした空気抵抗による電費の悪化が手に取るように分かる瞬間がある。瞬間電費計を見ながら走行中、大型車が前方に入ってくると、急に電費が良くなる。これは、安全走行のために一定の車間距離を空けていても同様。ついつい、実電費値向上を狙い大型車の後方を走りたくなるのだが、視界が悪くなるところが悩みどころだった。
日産リーフ価格
・S 3,150,360円
・X 3,513,240円
・G 3,990,600円