この記事の目次 CONTENTS
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サクラの開発背景
サクラの外観デザイン
サクラのインテリアデザイン
サクラの航続距離は180km
サクラの走行性能-試乗
サクラの価格
日産サクラ 価格とスペック

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

2022年6月、日産初の軽自動車EVであるサクラが発売された。発売前の受注販売台数は1万台を超えることから、関心の高さが伺える。
今回は軽自動車とは思えないほどの加速感やハンドリングを誇るサクラを試乗したレポートや、スペックの解説をお届けする。

サクラの開発背景

2011年、日産と三菱によって、軽自動車に関わる合弁会社「NMKV」が設立された。
NMKVからリリースされた軽自動車の中で、EV(電気自動車)なのが日産サクラと三菱eKクロスEVだ。電動化時代を切り開き、日産・三菱の未来を担うモデルと期待されている。
車名のサクラは社内公募により決まったという。「日本の電気自動車の時代を彩り、代表するクルマとなって欲しい」という願いから、日本を象徴する花である桜に由来しているそうだ。

サクラの外観デザイン

サクラ

日産サクラは、すでに発売されている日産デイズの基本骨格などを改良しながらEV化されたモデルだ。

eKクロスEVの場合、ベースモデルと同じ外板パネルやインテリアを使っているため、スピーディに開発でき、さらに安価な価格で発売が可能だった。
ところが日産は、EVに対して強い思いを抱いていた。サクラは、デイズとは全く異なるデザインとしたのだ。

サクラの外観

サクラのデザインは、クリーンで力強い。軽自動車初のEVらしく、最新のデザイントレンドが積極的に取り入れられた。
フロントフェイスは、大きな顔に大きなグリル風なデザインを組み合わせた。フェイス上部には薄型LEDヘッドライトを装着している。
このデザインパターンは、人気ミニバンやSUVに多い。馴染みやすく、明確な好き嫌いが出にくいデザインといえる。

サクラのフロントフェイス
サクラのリヤエンド

サイドビューは、やや膨らんだ前後フェンダーに、サイドのボトム部が力強さと安定感を表現している。リヤビューは、トレンドの横一文字調コンビネーションランプを上手く取り入れワイド感をアピールしている。コンビネーションランプをブラック系にすることで、引き締まったスポーティなリヤビューとなった。ホイールには、日本の伝統美を感じさせる水引からインスピレーションを受けたデザインを採用している。なかなか個性的で、目を引くデザインだ。

サクラのインテリアデザイン

サクラのインパネ

インテリアデザインも、非常に力が入っている。SUVであるアリアのインパネデザインテイストが採用され、ワイド感ある水平基調のインパネデザインと2本スポークのステアリングと、以下の2つのディスプレイが並べられている。

  • アドバンスドドライブアシストディスプレイ(7インチ)
  • ナビゲーション(9インチ)

スッキリ感と近未来感をうまく融合させている。

サクラのメーター

ナビゲーションシステムは十分な機能を有する。

  • 充電を考慮したルート設定機能
  • 緊急時のSOSコール
  • Apple CarPlay
  • ワイヤレス接続
サクラのフロントシート
サクラのリヤシート

サクラのボディサイズは、デイズに比べて全高が15mmほど高くなり、最低地上高が10mmほど低くなった。フロア下に駆動用バッテリーを設置したことが主要因だが、広大な室内スペースはそのまま維持されている。

サクラの荷室

サクラの航続距離は180km

サクラのバッテリー

サクラに搭載されたリチウムイオンバッテリーの容量は20kWhで、航続距離は180km(WLTCモード)だ。軽自動車は生活の足として、通勤や送迎、買い物などの近距離移動を中心となることが多い。日常的な使い方であれば、航続距離180kmでも十分過ぎるだろう。

サクラの充電口

とはいえ、たまに少し遠くへ行くこともあるだろう。180kmの航続距離で大丈夫か?と、心配になるのも当然だ。
仮に実航続距離が150kmだとしよう。東京駅から東名高速経由で静岡県の御殿場ICまでが約100kmなので、ちょっとした遠出も十分可能だ。途中のSAでトイレ・食事休憩中に急速充電するなど、継ぎ足し充電を繰り返せばロングドライブも楽しめる。急速充電器の場所をあらかじめ調べて立ち寄り先にいれておくなどの手間があるものの、実用面ではそれほど不安はない。急速充電器も全国に7.950基(2021年2月末時点 ゼンリン調べ)もあるので安心だ。

サクラの走行性能-試乗

サクラの試乗会場は、日産グランドライブだ。クローズドのコースなので、いきなりアクセル全開で走ってみた。その瞬間、いきなり強力なGが発生し、ゴンと頭が後方に引っ張られた。シュイーン、とスムースなのに豪快な加速をしながら、速度がどんどん上がる。もはや、軽自動車の枠を超えた加速感だ。

走行中のサクラ

それもそのはず、サクラの最大出力は195Nmだ。この最大トルクは、自然吸気2.0Lガソリンエンジン並みである。豪快な加速力も当然だ。
ちなみに、デイズのターボ車の最大トルクは100Nmだ。サクラは約2倍の最大トルクを誇る。サクラはデイズに対して200㎏位車重が重いが、その重さをまったく苦にしない力強さがある。

悩ましいのは最高出力だ。
サクラの最高出力は64ps(47kW)と、最大トルクと比べると、かなり控えめな数値である。その理由は、軽自動車の自主規制に合わせたからだ。この自主規制が無ければ、さらに高速域でパンチのある加速を得られるのでは?と、思うと少々残念だ。

サクラのドライブモードは、エコ、スタンダード、スポーツの三種類だ。大トルクを発生するので、ほとんどのシーンでエコモードでも不満はない。

e-Pedalステップは、モーターの回生ブレーキを使い自在に速度をコントロールする装備だ。アクセルとブレーキの踏みかえ回数が激減するので、疲労軽減の効果がある機能である。ノートなどに装備されているe-Pedalよりも洗練さが増し、さらに自然に走れるようになっている。

サクラは、ハンドリングも秀逸だ。
大きく重いリチウムイオンバッテリーを床下に設置したことで、デイズよりも重心高が大幅に下がった。
リチウムイオンバッテリーの配置は公表されていないが、姉妹車関係にあるeKクロスEVと同じなら、前後重量配分は56:44になる。これは、FF(前輪駆動)車として、異例なほどリヤヘビーな設定だ。
なお、リチウムイオンバッテリーを保護するためのケースは、ボディ剛性をアップさせる役割も果たしている。

デイズに対して、重心高が下がり、重量バランスが良く、ボディ剛性もアップしたのだから、走りの質は別次元になるのは当然のことだ。
サクラのハンドリングは、ステアリング操作に対して、より忠実に素早く反応する。FF車にありがちなフロントの重さや、アンダーステアを感じさせずにターンインしていく。コーナーリング中にステアリングを切り足しても、ノーズはイン側に向かってグイグイと入っていく。非常に限界域が高く、それでいて扱いやすい。まるでスポーツカーのような走りを披露した。

こうした旋回性の高さは、前後重量バランスの良さから生まれたものだ。
リヤヘビーなFF車であるならば、大トルクゆえに、カーブでの立ち上がりでフロントのトラクションが抜ける心配があった。ところが、サクラはトラクションが抜けることなく、走り抜けていく。トラクションが抜ける手前で、モーターを緻密に制御して何事もないように走れるセッティングになっていた。

EV化によりボディ剛性が上がったため、サスペンションもしなやかに動き乗り心地も快適だ。カーブでの傾きも小さい。もちろん、EVなので静粛性も高い。

惜しかったのが、最近の日産車のシートの柔らかさだ。カーブで一定の旋回Gが体にかかると、シートの座面がギュッと圧縮され、ドライバーの姿勢が崩れるのだ。乗り心地の良さを追求している点は評価が高いものの、腰回りのフィット感も含め、しっかりと体を支えてくれるシートが欲しい。

サクラは、軽自動車の枠をはるかに超える走行性能をもつモデルとなった。軽自動車は生活の足になるケースが多いとはいえ、ファーストカーとして十分な魅力をもつ。誰にでもお勧めできるモデルだ。

サクラの価格

誰にでもお勧めできるサクラの、唯一気になる点が価格だ。
最上級グレードで約294万円と、少し高価だ。日産は、約115万円(国と東京都の補助金)の補助金が出るのでメリットはあるという。確かに補助金を使えば179万円と魅力的な価格になる。
しかし、179万円だとデイズの最上級グレード並みだ。これでは、購入に悩む人も多いだろう。EVは家の充電設備も用意する必要があるし、EVに対して懐疑的な考え方をもつ人も少なくない。

日産の、「サクラを日本のニュー・ノーマルモデルにしたい」という思いの実現に向けて、「補助金を使えば、ガソリン車よりも大幅に安価なので、試しに買ってみるか!」と思わせるような価格設定になれば、サクラは爆発的な人気を得られるだろう。

中古車でハイブリッド車やEVの購入を検討している方は以下ページも参考にして欲しい。

日産サクラ 価格とスペック

日産サクラ 価格

S 2,333,100円
X 2,399,100円
G 2,940,300円
  • 国の補助金…55万円
  • 自治体の補助金…60万円(東京都の例。自治体により異なる)

日産サクラ電費、充電時間、ボディサイズなどスペック

代表グレード サクラG
ボディサイズ(全長×全幅×全高) 3,395mm×1,475mm×1,655mm
ホイルベース 2,495mm
最小回転半径 4.8m
定員 4名
駆動方式 前輪駆動(FWD)
蓄電池種類 リチウムイオン電池
総電力量 20kWh
モーター最大出力 47kw/2,302-10,455rpm
モーター最大トルク 195N・m/0-2,302rpm
一充電走行距離 WTLCモード 180km
充電時間(普通充電) 約8時間(バッテリー残量警告灯点灯位置~100%)
充電時間(急速充電) 約40分(バッテリー残量警告灯点灯位置~80%)
サスペンション(前/後) マクファーソン/トルクアーム式3リンク
タイヤサイズ 155/65R14