スペーシア REVIEW 新旧比較レビュー

スペーシア REVIEW 新旧比較レビュー

スズキ スペーシアは、2017年12月フルモデルチェンジし2代目となった。初代スペーシアは、ライバルとなるN-BOXやタントに販売台数で大敗していた。しかしながら燃費性能や走行性能では、ライバルを超えるパフォーマンスを見せていて、クルマとしての完成度は非常に高いものだった。

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スズキ スペーシアの歴史・概要

スペーシアは、2013年3月に登場。スペーシアの先代モデルは、「パレット」という名前で販売されていた。しかしライバルのN-BOXとタントに大敗していたため、スペーシアと名前を変更。新たな名前で、スーパーハイト系のトップを目指した。

デビュー当時から完成度が高い一台

デビュー時から、クラストップの燃費性能をアピールしていたスペーシア。モデル途中には、マイルドハイブリッドシステムの投入や歩行者検知式自動ブレーキなども用意。走行性能や燃費はクラストップレベルとなっていた。

新型スペーシアは、今までの走行性能などに加えて、スーパーハイト系でトップを取るため、大きく見え迫力のあるデザインが採用された。クラストップの低燃費性能はそのままに、使い勝手も向上している。弱点とされた小さく見える全高も上げ、N-BOXとほぼ同等の車幅となった。

また低床フロアとすることで室内高も高くされ、より広い室内空間をアピールしている。また、歩行者検知式自動ブレーキなどの安全装備も充実させた。それでいて価格もリーズナブルな設定とし魅力をアピールしている。

コンセプト&エクステリア

マーケットニーズを見誤った初代

初代スペーシアは「広くて便利、軽くて低燃費の軽ハイトワゴン」。室内の広さと低燃費性能をアピールしていた。確かに、初代スペーシアは燃費や運動性能ではライバルを凌駕しクラストップレベルの実力を誇っていた。

にも関わらず売れなかったのは、マーケットニーズを捉えきれていなかったから。スズキは、無理やり全高を高くすることは運動性能や燃費面ではメリットがないと考え、全高を低くしてしまった。しかしこれによりクルマが小さく見えてしまったことが、初代スペーシアが売れなかった理由となってしまった。

マーケットニーズにマッチした新型

初代の失敗により明らかになったマーケットのニーズ。それは大きく見え広い室内を持ち、大きく押し出し感のあるフェイスデザインだった。そこで、2代目スペーシアは全高1,785㎜とした。新型N-BOXの全高とほぼ同じ。デザインもフェンダー部分を高く持ち上げスクエアで大きなフェイスを作り上げた。

標準車は、大きな顔ながらスーツケースをモチーフにした可愛らしいデザインとしている。そして、初代スペーシアでは「大人しすぎる」と不評だったカスタムは、大きな顔と生かし大型のグリルを装備し押し出し感を強調。さらに、薄型のLEDヘッドライトを装備し、睨みの効いた迫力のある顔としている。初代スペーシアで不評だった部分は、ほぼ払拭した印象だ。

インテリア・装備

後期型になり安全装備が充実した初代

初代スペーシアの初期モデルは、とくに安全装備が貧弱。自動ブレーキや横滑り防止装置なども標準装備化されていなかった。2013年8月にようやく低速域の簡易型自動ブレーキや横滑り防止装置装置がセットになったオプションが用意された。

初代スペーシアが一気に進化したのは、2015年5月以降に投入されたモデルから。歩行者検知式自動ブレーキである「デュアルカメラブレーキサポート」が搭載され、予防安全性能が一気に向上。しかし、サイドエアバッグは用意されていない状況は変わらず。

新型は安全装備を大幅に強化

新型スペーシアは、ライバル車がより先進予防安全装備に力を入れていることもあり、安全装備を大幅に強化。単眼カメラと赤外線レーザーレーダーを組み合わせた衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポート(DSBS)」をはじめ、誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能と、ヘッドランプのハイビーム/ロービームを自動で切り替えるハイビームアシストを搭載。

さらに、高速道路などの逆走防止などに役立つ「標識認識機能」をスズキで初めて採用。歩行者検知式自動ブレーキなどを全車に標準装備とした。また、サイドポールと呼ばれる衝突安全基準を満たすため、サイド&カーテンエアバッグが標準装備された。

快適で便利なインテリアの新型

インテリアに目を向けると、視界が改善されたのがポイント。そのため2代目スペーシアはかなり運転しやすい。また室内高が+35㎜高くなりより広大な室内になっている。前席左右の乗員距離なども拡大されているので、より広々とした運転席周りになった。

また、スライドドアをより低床にし、開口幅や開口高をアップした。より乗り降りがしやすくなっている。

走り・メカニズム

背が高くなったことで燃費性能はわずかにダウン

スーパーハイト系の軽自動車は、クルマとして物理的に無理が発生する。まず、背を高くすることで重心が高くなる。カーブでは不安定になりがちで横風に弱い。さらに、空気抵抗が増え、車重も重くなり燃費も悪くなる。クルマの動的性能という面では、百害あって一利なしだ。

新型スペーシアも全高が高くなり、安全装備が増えたこともあり車重はわずかに増加。空気抵抗が増えたこともあり、燃費は先代の32.0㎞/Lから30.0㎞/Lへとダウン。それでも、N-BOXよりはかなり軽量で燃費も良いという点は評価に値する。

マイルドハイブリッドシステムは先代と大差なし

新型スペーシアのマイルドハイブリッドシステムは、クリープ時にモーターのみで走行できるようになった。しかし、街中で走っているとモーター走行の恩恵はほとんど感じることができないので、先代のマイルドハイブリッドシステムとそう大差はない。

加速力もほぼ同等といったレベルになっている。ただし、低中速域でのモーターアシストが強くなっているので、アクセルを踏んだ瞬間のレスポンスは新型の方がやや気持ちいい。

新型を買うならターボ車がお勧め

新型スペーシアの自然吸気エンジン出力は、52ps&60Nm。先代とほとんど変わらない数値だ。必要十分といった出力だが、余裕があるというものではない。そのため新型、先代共に、ややエンジンの回転が高くなりがちだ。一気に加速したい時など、エンジン音が騒がしく感じるときもある。

新型、先代共に、余裕のある走りという点では、ターボ車がお勧め。エンジンを回し気味になる自然吸気エンジンに対して、低い回転でも十分なトルクが得られるターボ車は静かなのも魅力的だ。エンジンの回転を上げないので、燃費差も小さい。

ただし、新型スペーシアでは標準車にターボ車の設定が無い。ターボ車を選ぶとなると、やや高額なカスタムを選ぶしかないのが難点だろう。

お勧めは新型スペーシア? それとも先代スペーシア?

完成度では新型スペーシアを選択

クルマとしての完成度という点では、当然新型スペーシアという選択になる。

特に、進化した歩行者検知式自動ブレーキなどを含む先進予防安全装備は高いレベルにあり、先代には用意もされていなかったサイド&カーテンエアバッグも標準装備化されている。安全面を考えるのなら、絶対新型スペーシアだ。

ただし、「絶対に新型スペーシアにすべき」と言うほどの差はないのもまた事実。先代スペーシアも後期モデルでは歩行者検知式自動ブレーキなどが装備されている中古車も多い。燃費は新型よりも優れているし、走りの質も同等なので、大きな差は感じないだろう。

コスパを考えれば初代スペーシアがお勧め

高年式の中古車スペーシアのコストパフォーマンスは一段と優れているので、コスパ重視の人には先代スペーシアをお勧めしたい。

先代スペーシアは、やや背が低く見えることと、スッキリとした顔だったため、あまり人気が無かった。そのため中古車マーケットでも、価格は安めの水準。先代スペーシアのデザインが嫌いでなく、サイド&カーテンエアバッグが装備されていなくてもいいと割り切れるなら、非常に魅力的な1台といえるだろう。

また新型スペーシアが2017年12月に発売されたことで、今後、先代のスペーシアが下取りに入ってくる。多くの先代スペーシアが中古車マーケットに流通すれば、徐々に中古車価格も下がる。そうなると、先代スペーシアのコストパフォーマンスは更にアップするだろう。

新車値引き交渉のポイント

新型スペーシアは発売直後のため値引きは難しい

新型スズキ スペーシアは2017年12月発売と、まだ新しいクルマなので基本は値引きゼロベースとなる。ただし、先代スペーシアは、ライバルとなるN-BOXやタントに対して販売台数で大敗している。パレットまで含めると、2代連続での大敗だ。そのため、新型スペーシアは絶対に負けられない戦いとなっている。

販売現場ではN-BOXやタントと競合したなら、値引き云々などは二の次で、とにかく商談に勝つとことが目的になってくるだろう。こうした状況は、顧客側にとって有利な展開だ。新型スペーシアの購入時には、先に必ずN-BOXとタントの見積書を取ってから新型スペーシアの商談に向かうことが重要だ。

商談時には、N-BOXとタントの見積書を持っていることを伝えること。営業マンは、色々とライバル車との差などを伝えてくると思うが、あくまで予算重視であることをさりげなく伝えるといいだろう。すぐに、大きな値引き金額は期待できないが、時間をかけて商談すれば、徐々に値引き金額は増えてくる可能性が高い。繁忙期の3月に入れば、尚更その傾向が強くなる。

お得な未登録車を探してみる

それほど購入時期にこだわりがなければ、しばらく待つというのもひとつの方法だ。すでに新型スペーシアの未使用車が出回っているおり、この状況だと、4月になると一定数の未使用車が登場するだろう。

未使用車は、ディーラーやメーカーの都合で買い手がいないのに、売れたようにみせかけるために一旦ディーラー名義などで登録したクルマだ。登録しただけなので、ほとんど新車コンディションと同じ。しかし、一度登録したため中古車扱いになり、多くの中古車店で売られるようになる。新車コンディションではあるものの、厳密には新車ではないので価格は安い。自分の要望に合った一台が見つかれば、お買い得なのは間違いないだろう。

必ず利用したい買取店

そして、注意したいのは下取り車の売却。新車値引きで手間をかけて値引き交渉していても、下取り車の売却を失敗するとあっという間に新車値引き分が泡のように消えてしまう。とくに、ディーラーでは値引きした分、下取り車の価格を下げて利益を確保するケース多い。

そこで、必ず利用したいのが買取店。まずここで査定したい。ここでの金額が一つの目安となる。できれば、複数の買取店に行くと、より下取り車の本当の価格が明確になる。買取店での価格をベースにディーラーでの下取りが高いのか安いのかを判断するといい。結果を見て、一番高いところで売却すればいいだけだ。

売却まで時間がある場合、買取店の中にはより高く売却できるように、個人売買をサポートしてくれるサービスを利用するのもお勧めだ。多少、手数料が取られるものの、個人売買は消費税がかからない、中間マージンが無いなどがあり、より高く売れる可能性が高い。今後、消費税が上がれば上がるほどメリットが出てくるサービスでもある。

関連ページ

中古車情報
中古車買取相場
スズキ スペーシア

97.9万円

※過去約6ヶ月間の弊社査定実績の中での最高額。
平成28年式 スズキスペーシア Gリミテッド 全方位モニター付メモリーナビゲーション装着車(パープル 走行距離1万km走行) 2017年10月査定。

新車値引き術
カタログ情報

スペーシア

カタログ情報
■新車時価格(税込):
127.4万円〜158.9万円
■中古車相場:
114.8万円〜158.9万円
■1000km走行時ガソリン代:
約4,333円

スペーシアカスタム

カタログ情報
■新車時価格(税込):
151.7万円〜190.8万円
■中古車相場:
148.8万円〜181万円
■1000km走行時ガソリン代:
約4,642円
※ 燃費は国土交通省発表平成26年3月発表自動車燃費一覧よりJC08モードの数値から掲載しています。
※ ガソリン価格は一律130円で算出しています。