この記事の目次 CONTENTS
BMW5シリーズとアウディA6
統一感あるインテリアのBMW、デザイン性のアウディ
用途に合わせて選べるのは5シリーズ
燃費という点では大差はない2台
運動性能が高い5シリーズ、安定性ではアウディA6
先進安全装備は5シリーズが圧倒
中古車、登録済未使用車も視野に入れた検討を

ライター紹介

CAR-TOPICS編集長

村田 創 氏

大学卒業後新車ディーラーにて5年勤務。その後、中古車のガリバーへ入社。車一筋20年以上のベテランが新車から中古車まで幅広く解説します。

BMW5シリーズとアウディA6

ドイツ車を検討している人に持ち掛けられる相談の一つに、「BMW5シリーズとアウディA6のどちらにすべきだろうか」というのがある。どちらも「ドイツ御三家」と呼ばれる高級車メーカーを代表する車種で、ボディサイズや価格帯も近い。最近は、どちらも総合力がかなり高くなっている。今回は、そんなライバルともいえる2車種にスポットを当てていきたいと思う。

BMWの主力車種のひとつ、5シリーズ

運動性能が高い5シリーズ、安定性ではアウディA6

シリーズの中で最も長い歴史をもつBMW5シリーズは、1972年にデビュー。3シリーズとならぶBMWの主力車種のひとつであり、デビューから現在まで約800万台のセールスを記録している。

現行モデルは第7世代で、2017年にフルモデルチェンジをむかえたばかり。ボディタイプはセダン、ステーションワゴンの2タイプ。パワートレインはガソリン、ディーゼル、ハイブリッドの3種類が用意されている。

長い歴史をもつアウディA6

長い歴史をもつアウディA6

1994年にデビューしたアウディA6は、アウディブランドを支える基幹モデル。1968年から発売されていたアウディ・100の後続モデルであることを考えると、A6の歴史も長い。

現行モデルは、2011年にフルモデルチェンジをむかえた4代目。ボディタイプはセダンに加え、アバントと呼ばれるステーションワゴンの2タイプが用意されている。パワートレインは、以前ハイブリッドの設定もあったが現在はガソリンのみ。

統一感あるインテリアのBMW、デザイン性のアウディ

統一感あるインテリアのBMW、デザイン性のアウディ

5シリーズの車内に乗り込むと、まず予想外の高級感に驚く。BMWのインテリアというと昔は物足りなかったものだが、近年は格段に良くなっている。現行の5シリーズも木目パネルを惜しげもなく使っているほか、まるで特注したようなシートを備えている。随所にLEDイルミネーションを用いたモダンな雰囲気も備えており、上位モデルならではの仕上がりだ。

一方のアウディA6。室内へ入ると、アウディらしいクリーンさや明るさに目が行く。よくみると、ディテールは随所にスタイリッシュなフォルムのオーナメントパネルが使われるなど、とても丁寧につくり込まれている。体にフィットするようなシートも心地良く、こちらもアウディ上位モデルならではの風格を感じさせる。

高級感という点では甲乙つけがたいこの2台。ただ方向性には少し差があり、A6の方がアウディらしいモダンな雰囲気、5シリーズの方が質感を備えつつもシンプルで運転しやすさを重視したデザインになっている。

伝統を踏襲したエクステリアの5シリーズ、近未来的なアウディA6

最近モデルチェンジをしたばかりの5リーズ。水平基調なデザインにBMWを象徴するキドニーグリルやそれにつながるLEDヘッドライトは、まさしく最近のBMWの顔。他方でショートオーバーハングやロングホイールベースといった伝統はしっかりと踏襲し、BMWらしさを感じさせる佇まいに仕上がっている。

対するアウディA6はヘッドライトからリアにかけるトルネードラインが特徴で、一目でアウディとわかる「らしさ」を残しながらも、ラインナップの中でもスポーティな印象を与えている。特に注目すべきは、世界初のマトリックスLEDと呼ばれるヘッドライト。ハロゲンやHIDとは違って明るく消費電力の少ないヘッドライトで、アウディのテクノロジーが詰め込まれている。

用途に合わせて選べるのは5シリーズ

Eセグメントに属するこの2台に用意されているパワートレーンは、それぞれ以下の3種類ずつ。物足りないきもするが、日本のマーケットを考えてこの展開になっているのだろう。

BMW5シリーズ
・2.0リッター直列4気筒DOHCガソリンターボ
・2.0リッター直列4気筒DOHCディーゼルターボ
・3.0リッター直列6気筒DOHCガソリンターボ
さらに2.0リッター4気筒DOHCターボにモーターを搭載したプラグインハイブリッドも設定されている

アウディA6
・1.8リッター直列4気筒DOHCターボ
・2.0リッター直列4気筒DOHCターボ
・3.0リッターV型6気筒DOHCスーパーチャージャー

BMWのエンジンは、5シリーズの「シルキーシックス」こと3リッター直列6気筒を筆頭に、どれを選んでも間違いはないだろう。しかし最近のアウディも負けてはおらず、「デザインがお洒落なブランド」程度に思っている人は良い意味で裏切られる。意外にもパンチのある走りを楽しめるため、どちらを選んでも外れない。

ただし5シリーズはディーゼルやハイブリッドも用意されている。街乗り中心で静かさ重視の人はハイブリッド、燃費や加速の良さを求める人はディーゼルという選び方ができるため、選びやすさという点では5シリーズだろう。

用途に合わせて選べるのは5シリーズ

燃費という点では大差はない2台

5シリーズの燃費は、カタログ値にはなるがリッター12.5~15.4km。対するアウディA6は、リッター12.9~15.4km。

同じ3.0Lの4WDモデルである540i xDriveと3.0 TFSIクワトロで比較した場合、540i xDriveは12.5km/Lで3.0TFSIクワトロは12.9km/L。若干アウディA6の方が数値で上回るが、大差はないといって構わないレベルだろう。

ただし5シリーズにはディーゼルやハイブリッドのモデルも用意されている。いうまでもないことながらディーゼルやハイブリッドを選ぶと維持費はかなり安くなるので、それも考慮に入れて選んでほしい。

燃費という点では大差はない2台

運動性能が高い5シリーズ、安定性ではアウディA6

5シリーズを走らせてみて感じるのは、その高い運動性能。中でもスムーズな加速と軽快なハンドリングが大きな特徴である。それを可能にしているのは、アウディよりも軽いボディ。またホイールベースがA6と比べて65mm長い2,975mmであること、そして50:50という理想的な前後重量バランスが、BMWらしい軽くてスポーティな走りを生み出している。

対するアウディA6の特徴は、安定性のある走り。中でも、アウディが長年技術を培ってきたフルタイム4WDの「クアトロ」が果たす役割は大きい。路面のコンディションが悪い状態で不用意にアクセルを踏んでも、しっかりと路面にエンジンのパワーが伝わり、路面に張り付くような安定感がある。

運動性能が高い5シリーズ、安定性ではアウディA6

先進安全装備は5シリーズが圧倒

最近は日進月歩で開発が進み、大きな効果が認められている安全技術。

5シリーズは、安全で快適なドライブを実現する機能が充実している。半自動運転機能の「ドライビング・アシスト・プラス」はその代表車体前方に装着されたレーダー、ミラー固定部のカメラによって先行車と車線を検知するなど、ドライバーの運転をサポートしてくれる。一歩先の未来へ進んだといっても過言ではない技術が惜しげもなく導入されている。

アウディも安全機能に関してはかなり充実しており、自動ブレーキや車線逸脱警告機能などは、同じクラスの他のクルマと比べても遜色はないだろう。アウディA6独自の機能としては、Googleストリートビューを車内のディスプレイに表示させられるほか、最大8台までWi-Fi接続可能なアウディコネクトも装備している。

アウディA6の安全機能も、このクラスのクルマとしては標準的で「物足りなさ」はない。しかし半自動運転機能が搭載されたBMW の5シリーズは、一歩も二歩も未来を感じさせてくれる。

コストパフォーマンスでは5シリーズか

BMWやアウディのクルマを検討するときに、どうしても気になるのがその価格。財布と相談しなければという人も多いだろう。

BMW5シリーズの価格帯は617~1036万円、アウディA6は628~972万円と、5シリーズの方が上にも下にも幅がある。

大排気量モデルを比較すると5シリーズの方がやや価格は高い。ただし装備が充実していることを考えれば、実際には価格差は大きくはないといっていいだろう。最廉価モデルに目を向けてみると、アウディA6の方がエンジンの排気量が小さいにも関わらず、5シリーズの方がお手頃。その点では5シリーズの方がコストパフォーマンスに優れているといっていいだろう。

中古車、登録済未使用車も視野に入れた検討を

あらゆる面でいい勝負を繰り広げているBMW5シリーズとアウディA6。

どちらもドイツの高級車メーカーを代表する2車種だけに、インテリア、エクステリア、走行性能、快適性能、燃費など、どれをとっても申し分はない。それぞれに苦手だった分野を克服し、総合力が高いクルマに仕上がっている。

A4や3シリーズよりも1つ上のモデルであるため、新車だと手が届きにくいという人もいるだろう。上級グレードだとなおさらだが、中古車を視野に入れるとどちらも手が届きやすくなる。5シリーズはモデルチェンジをしたため、先代モデルはかなり価格が下がってきており、お買い得だ。「登録済未使用車」と呼ばれる初年度登録のみを済ませて使用・運行されていないクルマもあるので、「中古車はちょっと抵抗がある」という人は、そういったクルマがないか問い合わせてみても良いだろう。