この記事の目次 CONTENTS
欧州での定番は5シリーズツーリング
華やかで美しいエクステリア
名門エンジンメーカーであるBMW
軽く頑丈になったボディ
走りをサポートする安全性能
7代目5シリーズツーリングの価格・グレード情報

ライター紹介

CAR-TOPICS編集長

村田 創 氏

大学卒業後新車ディーラーにて5年勤務。その後、中古車のガリバーへ入社。車一筋20年以上のベテランが新車から中古車まで幅広く解説します。

欧州での定番は5シリーズツーリング

BMWでは、いわゆるステーションワゴンタイプをツーリングと呼び、日本に初めてツーリングが導入されたのは、1989年に先行して導入されたのは3シリーズツーリング。その後を追って、1992年から5シリーズツーリングの販売が開始された。現行モデルは、基本ベースである5シリーズとしては7世代目に、ツーリングとしては4世代目となる。

見た目以上の大きな進化

BMW5シリーズツーリング_外観

ベースとなる5シリーズセダンの新型が導入されたのは2017年2月で、ツーリングが日本に登場したのはそれから遅れること4か月後の2017年6月。先代(F11型)と比較すると全長で35mm、全幅は10mm拡大され、ホイールべーは5mmストレッチされている。数字で見る限り、あまり先代と代わり映えしないように思えるかもしれない。

しかし、この保守的とも言える変化に留めていることが、5シリーズツーリングの主戦場である欧州では、支持され続ける大きな要素でもあるのだ。コンサバ系で大きな変化が無い見た目に対して、現行(G31型)5シリーズツーリングの中身は大きな進化を遂げている。

それは、先代に比べて100kgもの軽量化を果たしているということ。軽量化がもたらす恩恵は、燃費や動力性能など、あらゆる面で見ることができ、新型を選択する十分な理由になるだろう。

華やかで美しいエクステリア

見た目上の大きな変化で言えば、5シリーズセダンと同様に、ヘッドライトとキドニーグリルがくっついたデザインに名なったこと。顔周りにおいて、いわゆる光物の存在感が増したことで、先代に比べより華やかない印象になった。そのほか、細部にわたる変更がなされてはいるものの、BMWらしいFR的で、伸びやかなスタイリングは健在。

分かりやすくワゴンではなく、ツーリングと呼び、実用性は確保しながらも、駆け抜ける歓びを体現したような美しいスタイル。商売道具を積載するのではなく、あくまでプライベートユースのワゴンであることを主張している。

拡大されたラゲッジルーム

BMW5シリーズツーリング_荷室

美しいスタイリングももちろん魅力的だが、ステーションワゴンタイプである以上、やはり気になるのはラゲッジルームの大きさではないだろうか。40:20:40のリヤシートを立てた状態での容量は570リッター、さらにリヤシートを倒した状態では、先代に比べ30リッター大きい1700リッターとなる。

また、先代まではラゲッジルームのサイドパネルは、タイヤハウスを隠すようにフラット化され、美しさと引き換えに、ラゲッジの容量と横幅を犠牲にしていた。しかし、現行型では、テールゲート近くのサイドパネルは大きくえぐられ、より使い勝手が向上している。

名門エンジンメーカーであるBMW

BMWはもともとドイツの名門エンジンメーカーであり、どのモデルを選んでもきっと満足できるだろう。中でも、「シルキーシックス」と呼ばれる直列6気筒モデルは、340ps/45.9kgmを発生するモンスターエンジンとは思えないほど静かで滑らか。

もちろん、POWERの違う2.0リッターのダウンサイジングターボモデルでも、絶対的なパワーでは6気筒エンジンに敵わないものの、日本で使用する上では必要にして十分な動力性能を持っている。

全力であることは必要としない

駆け抜ける歓びを信条とするBMWであっても、ステーションワゴンであるツーリングは、長距離移動でこそ、その真価が問われる。市街地だけでなく、ハイウェイからワインディングまで、常に余裕のある動力性能が求められる。しかしそれは、決して絶対的なパワーではなく、包容力のあるエンジンが相応しい。

そこで、決して高回転を必要とせず、どの回転域からも強大なトルクを発生する、2.0リッターディーゼルエンジン(190ps/40.8kgm)は、まさしくツーリングというキャラクターにマッチしたエンジンと言えるだろう。

軽く頑丈になったボディ

日本でも、レガシーをはじめスポーツテストに溢れるステーションワゴンは存在するが、必ずと言って良いほど言われることが、ボディ剛性の不足である。セダンやクーペと違い、重量物であるルーフが長く、室内空間も広いため、どうしてもボディ全体のヨレがでてしまうのだ。

しかし、現行の5シリーズツーリングでは、ルーフなどをアルミにしたことで軽量化し、さらに剛性アップも図られ。スポーツクーペと比べてもそん色のないしっかりとした剛性感を感じることができる。

荷物を積むだけではない快適性

BMW5シリーズツーリング_インパネデザイン

荷物を積むことが想定されるツーリングの場合、足回りがやや硬めにセッティングされ、セダンに比べて後部座席の乗り心地がやや劣ることがあった。しかし、モデルチェンジを繰り返すたびに改善が見られ、今ではセダンと比べてもまったく違いを感じないほど、滑らかでフラットな乗り心地を実現している。

走りをサポートする安全性能

現行5シリーズツーリングには、最新世代の先進運転システムが採用されている。今や当たり前の装備である自動ブレーキは、先行車や障害物だけでなく、歩行者にも対応。衝突の危険迫ったとシステムが判断した場合には、自動的にブレーキが作動するのはもちろん、ステアリング操作に介入して、衝突回避と被害の軽減をサポートする。

ツーリングらしい使い勝手の良い装備

荷物を積むことが前提であるツーリングでは、リヤラゲッジ周りの使い勝手も上々で、ラゲッジスペースへのアクセスは、リヤゲートだけではなくガラスハッチ単独での開閉が可能。さらに、リヤに重量物を積んだ際、リヤの沈み込みを抑制する、オートレベリング機能を持ったエアサスペンションを全車で標準装備していることポイントが高い。

7代目5シリーズツーリングの価格・グレード情報

・523i ツーリング 650万円
・523i ツーリング Luxury 793万円
・523i ツーリング M Sport  794万円
・523d ツーリング  749万円
・523d ツーリング Luxury 816万円
・523d ツーリング M Sport  817万円
・530i ツーリング  815万円
・530i ツーリング M Sport 840万円
・540i xDrive ツーリング Luxury 1055万円
・540i xDrive ツーリング M Sport 1072万円

軽量化されたことや、最新装備が魅力の現行型5シリーズツーリングは、正直「買い」のモデルである。しかし、現行型が登場してまだ数カ月であるため、新車購入の価格交渉は難しい。予算を抑えながらも、5シリーズツーリングに乗りたいというユーザーは、是非中古車も検討してほしい。中古車ならば、予算やア用途に合わせて、さまざまな5シリーズツーリングから選択することが可能だ。