
「もやもやクルマ選び」第10回 マツダ ロードスター(ND型)
レアでマニアックなだけがクルマじゃない。新型車たちにも、世間から忘れられた中古車たちにも、クルマ好きのぼくらをワクワク「もやもや」させる悩ましい魅力を持つクルマがたくさんあります。第10回は、初代の登場から累計台数100万台以上も世に送り出されたという偉大な2シーターオープン、「マツダ・ロードスター(ND型)」をお送りします。
2014年9月で4代目のND型にフルモデルチェンジしたマツダ・ロードスターに関しては語らないといけないことがいっぱい。

でも、スペースが限られていることもあって、ND型のスペックやグレード構成などはここでは触れないでおこうと思います。ぼくがロードスターでお伝えしたいのは、実はこれも多く語られていることではあるのですが、「継続することの大切さ」「ロードスターというクルマの偉大さ」があります。
◆稀代の名車たちが生まれた年
初代ロードスターのNA型が登場したのは1989年。同時期にたくさんの名車が誕生し、本格派スーパースポーツカーのホンダ NSX、圧倒的な性能を持っての復活となった日産 スカイラインGT-R(R32型)、世界のレベルをも越えた高級車のトヨタ・レクサスLSが相次いで登場した、いわゆる「ヴィンテージイヤー」。ロードスターはこの自動車史に残るであろう年から現在に至るまで、ボディサイズの拡大、排気量の拡大、バリエーションの追加、モデルチェンジを行いながら4代に渡り生産されてきました。
そして27年が経過した2016年4月、「2人乗り小型オープンスポーツカー」生産累計世界一のギネス世界記録を更新し続ける中、ついに100万台を達成する偉業を達成しました。
2シーターオープンカーという特殊ともいえるクルマが、姿形を変えども同一メーカーから一貫して27年間、基本コンセプトも変えずに生産されてきたこと、そして100万台という台数を生産したことはとても凄いことなのです。27年間ともなれば、売れ筋のクルマにでさえコンセプトだけでなく車種や車名自体が存続しないことは多くあります。ましてやスポーツカーともなれば、一代や二代限りで終わってしまうことも多いのです。それは日本のメーカーに限ったことではありません。
◆苦境を乗り越え守り続けたコンセプト
(クリックで拡大)初代のロードスター登場以来、モデルチェンジを重ねる中で高級化がはかられたり車重が重くなったりもしたのですが、それでも「ライトウェイトの2シーターオープンスポーツカー」というコンセプトはぶれませんでした。この間、マツダ自身も経営危機や親会社の変更など様々な出来事を経ています。
経営が苦しくなった際は真っ先に車種整理の対象になるであろう2シーターオープンカーですが、それでもマツダはロードスターの生産を続けてきたのです。書くのは簡単ですが、大変な努力が伴う経営判断であったと思います。
マツダ ロードスターは、これからもたくさんのクルマ好きを喜ばせるとともに、新しいクルマ好きを生み出していくことでしょう。応援していきたいと思います。
【イラスト/文 遠藤イヅル】
フリーのカーイラストレーター/ライター。東京都出身。自動車雑誌、WEBサイトにクルマをテーマにしたイラストや記事を多数提供。世界各国の生活感があるクルマを好み、20年間で18台のクルマを乗り継ぐ。クレイジーなほど深くて混沌としたクルマ知識を持つ元自動車系デザイナー。自身のクルマ体験をもと、独創的な視点で切り込むイラストやインプレッション記事は、他にないユニークなテイストとして定評がある。2015年7月現在の愛車はプジョー309SI。最新の掲載誌は遠藤イヅルのfacebookで確認!
ロードスターのカタログ情報
- 現行モデル
- 平成27年5月(2015年5月)〜現在
- 新車時価格
- 249.5万円〜368.3万円
ロードスターの在庫が現在50件あります
以下車両の保証内容詳細は画像をクリックした遷移先をご確認ください。