• スバル XV

    新旧比較レビュー

3代目XVには、1.6L車が追加された。2代目XVには用意されていなかったエンジンだ。1.6Lエンジンということもあり、安価な設定のため1.6L車は買い得感が出ている。XVのウリである最低地上高200㎜は、3代目でも継承。歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備アイサイトもver.3へ進化している。運動性能面では、3代目XVにはスバルの新プラットフォーム(車台)であるSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)が採用され、走りの質や衝突安全性能が一段と向上した。

比較レビューのまとめ

  1. 「アイサイト」装備車なら、新旧XVとも安全性能は高い
  2. エンジン性能、燃費は大差なし!
  3. インテリアの質感、走行性能は新型XVが圧倒
  4. 走りにこだわらなければ、2代目XVのアイサイト付き中古車もおすすめ

スバル XVの歴史

スバル XVは、現行モデルで3代目となる。初代や2代目はインプレッサXVと呼ばれていた。また、2代目XVにはハイブリッド車が用意されたが、2017年7月現在3代目XVにハイブリッド車は設定されていない。
2代目XVは、2012年に登場。インプレッサをベースとし、前後のアンダーガードやフェンダーガードを装備しSUVらしさをプラスしたクロスオーバー車に仕上げた。また、最低地上高は、なんと200㎜! この余裕ある最低地上高により、優れた走破性をアピールした。
やや遅れて、スバル初となるハイブリッド車も登場。
そして、3代目XVは2017年5月に発売を開始。2代目は2.0Lガソリンと2.0Lハイブリッドだったが、3代目は2.0Lと1.6Lのガソリン車が用意されている。ベースとなるインプレッサが、歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備「アイサイトver.3」と歩行者エアバッグを全車標準装備したことから、XVもそれに準じているのでクラストップレベルの高い安全性能を誇る。

XV新旧比較

コンセプト & エクステリア比較

2代目XVのコンセプトを引き継ぎながら、大幅に進化させた3代目XV

2代目XVのコンセプトは「Urban Adventure(都市冒険)」。そして、3代目は「Fun Adventure」と、ほとんど同じだ。わかりやすくまとめると、都市部に合うよう洗練され、走りもスポーティなクロスオーバーモデルということになる。そのため、2代目と3代目には、鮮やかな明るいボディカラーが多く設定されている。
インプレッサをXV化するための手法は、2代目と3代目共に同じ。前後のアンダーガード風の加飾とフェンダーガードなどで、クロスオーバーモデルであることを強調する。2代目XVは、柔らかな面の張りで全体のスタイリングをアピールするのに対して、3代目XVはシャープなキャラクターラインを使い、固まり感あるスポーティなデザインとしている。3代目XVは、ずいぶん精悍さが出た印象だ。ただ、2代目XVもデザインが古臭く見えないのが特徴で、派手さはないが飽きのこないよいデザインといえる。

XV新旧比較

安全装備

アイサイトver.3と歩行者エアバッグが標準装備され、安全性能面では圧倒する3代目XV

XVの装備で大きく進化した部分が、歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備であるアイサイトだ。現行3代目XVには、アイサイトver.3が全車に標準装備化されている。しかし、先代2代目XVの初期モデルは、旧仕様となるアイサイトver.2が基本オプション設定なのだ。モデル途中でアイサイトはver.3へと進化したものの、こうした状況は変わっていないので、2代目XVを中古車で選ぶ場合は、アイサイトの有無をチェックする必要がある。また、2代目XVはサイド&カーテンエアバッグ類がオプションなのに対して、3代目XVは全車標準装備化されている。さらに、3代目XVには、後側方車両接近警報やハイビームアシストなどをセットにしたアドバンスドセイフティパッケージは、オプションとなっている。インテリアの質感は、3代目XVが大幅に勝る。3代目XVは、電気式のパーキングブレーキに変更されている。メーター類の見やすさも向上した。

XV新旧比較

走行性能比較

コスパ高い1.6L車。SGPの採用で走りの差は歴然!?

3代目XVは、プラットフォームを刷新しSGPが採用されている。そのため、走りの質感は、当然3代目XVが優れる。2代目XVと比べると、乗り心地やタイヤの路面追従性などがかなり良くなっている。XVは、走破性をアップするために最低地上高を200㎜も確保しているため、重心が高くなっている。そのため、カーブでの安定感を確保するためやや硬めのサスペンション設定になっている。2代目、3代目XVとも同じようなセッティングなのだが、ステアリング操作に対するクルマの反応やカーブでの安定感は3代目が勝る印象だ。
2.0Lエンジンは、スバル伝統の水平対向4気筒エンジン。3代目が154ps&196Nmに対して、2代目は150ps&196Nm。差はわずかで、加速感などは変わらない。

XV新旧比較

燃費比較

3代目の燃費は16.4㎞/Lに対して、2代目は16.2㎞/Lなので、これも大差はない。新たに3代目に投入された1.6L水平対向4気筒エンジンは、115ps&148Nmという出力。燃費は16.2㎞/Lだ。一般道を中心に使うのなら、十分といった出力だ。やや、2.0Lに比べ最終減速比の関係でエンジンの回転数が高めになり、ややうるさいが車両価格が約24万も安いので、高速道路などを頻繁に使いロングツーリングが多いという人でなければ、1.6L車のコストパフォーマンスは高い。

買うなら新型?旧型?

安全装備の充実した2代目XVなら中古車もあり?

スバルXVは、2.0Lエンジンのパワーや燃費差もほとんどないので、意外と2代目の中古XVもおすすめだ。3代目は悪路での走破性が上がっているのだが、悪路を走ったり、ガンガンとスポーティな走りをしないというのであれば、走行性能面は目をつぶることができる。ただし、最新のアイサイトver.3と&カーテンエアバッグが装備されていることが条件。とくに、アイサイトが装備されていないモデルは買う価値がないと思っていい。
アイサイトver.2のモデルでも、価格が安ければよいが、ver.3の洗練さと性能向上分を考えると、やはりver.3を選びたい。ただし、2代目XVも人気車ということもあり、中古車価格が高いのが難点。とくに、ディーラー系中古車店は、強気の高め価格設定が目立つ。あまりに中古車価格が高いようであれば、力強さでは負けるが、リーズナブルな価格の3代目XVの1.6Lという選択肢もアリ。

値引き術

トヨタC-HRとの競合が必須! できれば、購入はしばらく待ちたい

スバルXVは、Cセグメントのクロスオーバーモデルに属する。国産車で直接のライバルは、意外と少なく、トヨタC-HRくらいとなる。そのため、値引きを引き出すためにはC-HRとの競合は必須となる。

ホンダ ヴェゼルやマツダ CX-3とも比較せよ

ただ、競合車がC-HRだけだと、人気車であるXVのガードを崩すことが難しい。そこで、クラスではなく価格軸で競合させたい。XVの2.0i-Lアイサイトの価格は、2,484,000円。おおよそ250万円前後のSUVと競合させるといいだろう。そうなると、ホンダ ヴェゼルハイブリッドやマツダCX-3などが加わる。まず、競合車の見積もりを先にとり、本命はXVではないことを営業マンに感じさせることが重要だ。「XVも条件次第では買ってくれるかも・・・?」と値引き次第で購入してくれるかもと営業マンに感じさせたい。ただ、通常のモデルならこれで十分なのだが、XVの人気は高く、そう簡単にはのってこないだろう。こうなると、値引き交渉は難しい。じっくり長めの交渉にして、現金値引きが厳しいようであれば、オプションや用品からの値引きを勝ち取りたい。XVは5月に発売されたモデルなので、現在はスバルユーザーの買い替えで営業マンも精一杯といった状況。できるのなら、しばらく様子を見て、2018年の1~3月くらいまで待ちたい。この頃には、バックオーダー(入荷待ち)も無くなり、スバルユーザーではない新規顧客に売っていかなくてはならない状況になっているはずだ。さらに、その時期は1年で最も重要な繁忙期。値引きしてでも売りたい時期なので、この時期まで待って買いたいところだ。

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下取り車がある場合は、まず最初に買取店で査定を実施

値引きが厳しい車種なので、重要になってくるのが下取り車の処理。スバルディーラーの中古車処理能力は、それほど高くない。中古車処理能力とは、ほぼ再販能力である。とくに、ディーラー系は自社扱いモデル以外は、あまり期待しないほうがいいだろう。せっかく新車で数万円の攻防をしているのに、下取り価格で大きな損失をしてしまっていては、すべてが時間の無駄になる。そうならないようにするためには、必ず買取り店に行き、下取り車の正しい価値を知ることが重要だ。この価格をベースに、下取り車の価格が安いのか高いのかが判断できる。そのうえで、最も高価で買い取ってくれる店で売ればいい。

新旧XV 比較ギャラリー

クルマ評論家 CORISM代表 大岡 智彦 氏
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。
日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員