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「もやもやクルマ選び」第9回 ホンダ シビック タイプR(4代目 FK2型)


レアでマニアックなだけがクルマじゃない。新型車たちにも、世間から忘れられた中古車たちにも、クルマ好きのぼくらをワクワク「もやもや」させる悩ましい魅力を持つクルマがたくさんあります。第9回はホンダのスポーツスピリッツを継承するアツい一台、「ホンダ シビック タイプR」をお送りします。

シビックは1972年に登場した、当時としては画期的な1.5ボックスカーでした。1990年代までは排気量1.2~1.5リットルクラスの小型ハッチバックの代表選手としてヒットしました。その後車格があがって上級移行、2010年以降は日本での販売も撤退。シビックが受け持ったクラスは現在フィットが担っています。

一方、欧州と北米におけるシビックはホンダの量販車種であり、8代目から欧州=5ドアハッチバック、北米と日本(南米、中国など含む)=4ドアセダンが投入され、9代目も同様です。ちなみに北米のみ10代目が登場しています。

◆スポーツイメージを牽引した「TYPE R」の称号

シビックはスポーティである、というイメージは初代から受け継がれています。そもそもホンダというメーカーがスポーティな印象を受けますものね。最近はミニバンやSUVのイメージが強いですが、ここぞというときに繰り出すスポーツモデルには、かつてNSXという本格スポーツカー(というかスーパーカー)や、歴々のスポーティなホンダ各車の印象がかぶります。シビック タイプRもそんな一台です。

1997年登場の初代タイプRは6代目シビックに追加されたスポーツバージョンで、白いボディに赤いエンブレムの印象が強烈でした。ノンターボ1.6リットルエンジンながらも185psの高出力が自慢です。その後、7代目シビックをベースとしたタイプRは、日本ではスポーツモデルが下火になっていた時期のため英国から逆輸入という方法で導入されています。

8代目シビックには日本製のセダンのタイプRと、欧州から逆輸入されたハッチバックのタイプRの2種類がありました。7代目以降のエンジンはノンターボの2リットルエンジンとなり、7代目では225ps、8代目では201psを発生しています。

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そして2015年に登場したタイプRの4世代目となるFK2型は、9代目シビックの欧州仕様ハッチバックをベースにターボで武装され310psまでパワーアップ。外装も派手になってこれまで以上に過激なモデルとなったタイプRの目標は「FF車世界最速」。2015年3月にはニュルブルクリンク北コースで、王者メガーヌRSのタイムを破ることに成功しました。また、日本では抽選による販売方法が注目されましたが、428万円の高価格に関わらず750台はあっという間に完売。ホンダ=スポーツという図式を求めているオーナーが多いことを感じさせています。そして2017年の夏、5世代目の新タイプRの登場も予告されています。


【イラスト/文 遠藤イヅル】
フリーのカーイラストレーター/ライター。東京都出身。自動車雑誌、WEBサイトにクルマをテーマにしたイラストや記事を多数提供。世界各国の生活感があるクルマを好み、20年間で18台のクルマを乗り継ぐ。クレイジーなほど深くて混沌としたクルマ知識を持つ元自動車系デザイナー。自身のクルマ体験をもと、独創的な視点で切り込むイラストやインプレッション記事は、他にないユニークなテイストとして定評がある。2015年7月現在の愛車はプジョー309SI。最新の掲載誌は遠藤イヅルのfacebookで確認!

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