2017年2月の乗用車・軽自動車の新車車種別販売台数を各機関が発表しました。新車・中古車市場で「今、本当に売れている車」はどんな理由で売れ筋なのでしょうか。新車だけではなく、株式会社IDOM(旧社名:ガリバーインターナショナル)の中古車販売実績と比較しながら、自動車市場の最新の動向を解説していきます。

この記事の目次 CONTENTS
1.2017年2月販売台数ランキング
2.2017年2月の新車販売台数ランキング
3.プリウスが好調なのは、C-HR納車待ちの影響!?
4.2017年2月の中古車販売台数ランキング
5.モデルチェンジしたら、旧型はお買い得になるの!?

ライター紹介

221616 編集部

世の中の自動車ニュースとは一味違う視点でスローニュースを発信。編集部員はクルマ初心者からクルマをこよなく愛するマニアまで幅広いメンバーで構成。全国のガリバーで売れている中古車や車のスタッフレポートなど、生の情報をお届け中。

1.2017年2月販売台数ランキング

【データ出典元】:
新車車種別乗用車販売台数:一般社団法人自動車販売協会連合会
新車車種別軽自動車販売台数:一般社団法人全国軽自動車協会連合会
中古車車種別販売台数:株式会社IDOM(旧社名:ガリバーインターナショナル)の販売実績

2.2017年2月の新車販売台数ランキング

2月は軽自動車の売れ行きが好調です。3ヶ月連続で首位獲得のホンダ「N-BOX」は、5ヶ月連続で売り上げを伸ばし続けており、あと一歩で2万台に届きそうな勢いでした。

トップ10がすべて販売台数1万台以上となった2月

トップ2を軽自動車が独占するのは、2014年10月のスズキ「ワゴンR」とダイハツ「タント」以来、2年4か月ぶりとなりました。日産「デイズ」は11月には10位でしたがその後6位、4位と上昇を続け2月は2位となる1万6093台。他にもスズキ「ワゴンR」、ダイハツ「ムーヴ」、スズキ「スペーシア」といった人気の軽自動車が前年を大きく上回る売れ行きでランクインしています。
普通車ではトヨタ「プリウス」、「C-HR」、「アクア」といったトヨタの人気車も軒並み好調です。

トップ10がすべて1万台以上の販売台数となった2月。 全体的に好調の要因はどこにあるのでしょうか。

ハイト系軽自動車が変わらず人気

ランク外から7位に急上昇したワゴンRは17年2月1日にフルモデルチェンジ。新たにマイルドハイブリッドを搭載したことや軽自動車ワゴンタイプでは最も低燃費となる33.4km/Lを達成したことが好感され、前年比163.5%となる1万2585台の販売となりました。

デイズの16年12月のマイナーモデルチェンジでは外見に大きく変更が加えられ、精悍な印象となっており、人気上昇の要因の一つと言えます。このような潜在力を下地に、2月の日産はデイズにセールスパワーを集中させていた模様です。

販売好調のカギは、決算期

2月に売り上げが伸びている大きな要因の一つは、車を買う人が増えていることでしょう。
1月〜3月は新生活に備えて車の購入が増えるシーズンです。
購買力が増している背景の中、メーカーやディーラーも、モデルチェンジやセールなど大きなイベントを合わせて販売に勝負をかけています。メーカーやディーラーが頑張る背景には、2月から3月が決算の時期と重なっていることも大きく影響しています。

さらに2〜3月はメーカー・ディーラーにとっては決算期で売り上げを伸ばしたい時期。そして同時に、消費者にとっては4月からの新生活に備えて車を買い替える時期。そんな両者の需要が一致するため、各車とも販売台数は増加傾向で、N-BOXやデイズ、タントなどが大きく売り上げを伸ばしたと考えられます。

3.プリウスが好調なのは、C-HR納車待ちの影響!?

1月は販売台数8位に落ち込んでいたプリウスですが、2月の販売数は1万5958台となり3位に戻しました。同様にアクアも先月の12位から8位と戻しています。
先月は新発売のC-HRにセールスパワーが集中していましたが、納車待ちの状況からプリウスやアクアが再び販売台数を伸ばしています。 プリウスはプリウスPHVがフルモデルチェンジし2月15日に発売を開始したばかりなので、注目が高まっています。

戦略が成功し大ヒット!トヨタ C-HR

トヨタが世界で売れるSUVを世に出すため、注力して作りあげられたC-HR。洗練されたデザイン、安全性・圧倒的低燃費といった要素が重なり予想以上の大ヒットとなっています。
16年12月の発売から1ヶ月で当初の目標の8倍にもなる約4万8000台の受注台数を獲得し、早速納車待ちとなっていました。ガリバーのリセールバリューランキング(値下がりしにくいクルマランキング)でも、17年3月度予想1位!今買って損はない!?注目の車です。

3月予想:軽自動車が更に伸びる!?

どのメーカーも勝負をかけていた2月ですが、来月は更に競争が激化することでしょう。フルモデルチェンジを行ったばかりのワゴンRがどれだけ上位に上がってくるかが見ものです。
買いやすく、乗りやすい軽自動車。クルマには慣れていないけど生活に必要になる、ということで4月からの新社会人や、転勤になる会社員の方、子供が学校に上がるご家庭など、様々なニーズのもとで、軽自動車が選択肢にあがることが予想されます。

もしかすると3月の販売台数ランキングでは軽自動車が1-5位を独占、なんていうこともあるかもしれませんね。

4.2017年2月の中古車販売台数ランキング

一方で、買取・販売実績No.1のガリバー(※1)で最も売れたクルマは、2ヶ月連続でタントでした。今月もタントは強く、2位のワゴンRに1.3倍近い販売台数差をつけて圧倒的な売れ行きとなりました。

※1
2014年度主要10社における中古車販売台数 小売・卸売合算値 グループ企業除く
株式会社矢野経済研究所調べ 2017年3月現在
2001年~2014年主要買取専門店7社における中古車買取台数
株式会社矢野経済研究所調べ 2017年3月現在

ワゴンRにつづき僅差でプリウスが売れています。手を出しやすい価格帯の中古車市場では安定した人気です。

ノートe-Power発売後、新車市場でトップレベルの人気をほこるノートは、中古車市場でも人気が上がりつつあります。同様に、12月、1月とトップ3の販売台数だったセレナは2月は7位に落ち着きました。こちらはモデルチェンジ後、落ち着いてきたと言えそうです。新車で代替わりが起こると中古車市場で旧型が売れ筋になる仕組みについては、下記でご説明します。

新車と中古車では、軽自動車の売れ筋が違う

新車ランキングとの違いとして、中古車市場のほうが豊富な軽自動車に人気が集まっていることが挙げられます。 ママに人気のタントをはじめとして、4位のムーヴや8位のラパン、15位のモコ、16位のミラ、18位のアルト、19位のハスラーといった軽自動車がランクイン。

新車ではN-BOX、デイズ、ワゴンR、N-WGNといった大きめでかっこいい印象の軽が人気上位を占めているのに対し、中古車市場では丸みを帯びた中性的なフォルムの軽と人気を二分しています。

女性を中心に人気!値段も魅力的な軽自動車

軽自動車ユーザーの6割を女性が占めていると言われています。
買い物や子供の送り迎えなど、生活の足として車を必要とする中で、小回りのきいて運転しやすい軽自動車は運転に苦手意識のある女性からも支持率が高いようです。

また、中古車市場で軽自動車が人気の理由の一つは、軽自動車には「新古車」や「登録済未使用車」と言われるクルマが多く流通しているからということが言えそうです。実際には新車とほぼ変わらないコンディションのクルマが、新車価格よりずっと安く買えるところにメリットを感じる人が多そうですね。

5.モデルチェンジしたら、旧型はお買い得になるの!?

2016年秋の新型ノートの大ヒット以降、中古車市場でもノートが人気になりつつあります。 新型車が発売されると旧型中古車が人気になる背景には、どのようなメカニズムがあるのでしょうか。

乗り換えや手放しで市場の旧型在庫が豊富に

代替えが進むと、そのクルマの中古車が多く市場に登場します。これは旧型から新型に乗り換えるユーザーや、代替え前の買取価格が高いうちに手放すユーザーが多く存在するため。
その結果、一時的に中古車市場にそのクルマの在庫が豊富になり、選びやすく、買いやすい状況となるのです。 ただし、在庫の流通量にはムラがあります。人気が続き、ノートの中古車が買われ続けると、数ヶ月後には在庫が品薄となることが予想されます。

旧型になってしまった一世代前のノートは、性能面や燃費では未だにかなり評価されている優秀なクルマ。中古車市場で在庫の豊富な今のうちに購入するのも賢い手と言えるかもしれませんね。