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悩ましき2台 ホンダ ヴェゼル と 日産 ジューク

クルマ選びって楽しいですよね。でも、最後に選ぶ決め手ってなんだろう?って思うこと、ありませんか。このコーナーは、クルマ選びで悩み疲れたそんなアナタの背中をドーンと押しちゃいます。迷える子羊よ、存分に迷いたまえ・・・・

今回は、小型アーバンSUVとして熾烈な販売競争を繰り広げる2台、「ホンダ ヴェゼル」と「日産 ジューク」をお送りします。選ぶなら、どっち!?


◆大人気カテゴリーの小型SUV


セダンが主流の時代は遠くなり、ステーションワゴンもいまや数を減らしています。いまやミニバンは売れ筋車種の王道になったほか、SUV(スポーツユーティリティビークル)も販売を伸ばしています。ミニバンは広い車内で使い勝手や積載性が人気の理由ですが、SUVは高めの車高にアウトドアを意識させるデザインで、「こんなクルマがあったらいろいろなことにチャレンジしてみたいな」という気持ちにさせてくれるような気がします。

SUVには大小さまざまなモデルがありますが、特に最近人気があり、クルマの販売市場でも無視出来ない規模に成長して来たのが小型SUV。1990年代にデビューした「見た目はヨンクだけど中身は乗用車に近い」ライトクロカン(クロスカントリー)車のはしり「トヨタ・RAV4」が嚆矢と言えるでしょう。とくに2010年に登場した日産 ジューク以降は車種が増えており、高めの車体で乗り降りもラク、見晴らしもいいうえ車体も小さくキビキビ走り、ミニバンほど広くなくてもいいけど人も荷物も積みたいという声にも応え、4WD版では悪路走破性もそれなりに有することから、アクティブ派に限らず全世代で人気を博しています。

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◆2014年から3年連続SUV販売台数No.1のヴェゼル

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2013年にホンダが送り出した小型SUVが「ヴェゼル」です。フィットをベースに開発されたSUVですが、外観からはフィットの面影は一切ありません。全幅が1.8mほどあってちょっと広いですが、全長は4.3m以内に収められ、乗りやすいサイズを堅持しています。エンジンは重くなった車体をひっぱるために1.5リットルガソリンエンジンがメインで、その他ホンダお得意のハイブリッド版もあります。後者ではカタログ値(JC08モード、FFモデル)で27km/Lとうたわれています。

コンパクトな車体から想像される以上に室内は広く、後席も大人がゆったりと座れます。フィットベースのメリットとして、燃料タンクがセンターレイアウトでフロントシート下にあるため、ラゲッジスペースも広くなっています。ヴェゼルの美点はこのオールマイティさ。これ1台ですべて済ませられる魅力があります。


◆小型SUVの先鞭となったジューク

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現在の小型SUV市場の隆盛の立役者が「日産・ジューク」です。丸いヘッドライトや眉毛のようなランプ、スポーツカーのようなテールエンドを持ち、一度見たら忘れられないようなインパクトあるデザインを持ち2010年に登場しました。大胆なデザインですが老若男女限らずに市場では受け入れられて販売数は順調に推移。発売から6年以上が経過した現在でも古さは感じさせません。

販売台数はピークだった2011、2012年頃には月間平均2800台、最大で6000~7000台に達した時期もありましたが、現在では3桁後半に落ち着いてしまっています。インテリアも外観に負けず独特で、シート間コンソールは光沢仕上げ。仕様によっては内装っぽくないカラーも用意されます。そこにぽっかりとあいたカップホルダーの穴も面白い意匠です。「パーソナライゼーション」により90パターンから内外装の色を選ぶことも可能です。車体サイズは全長4.2mほどですが、デザイン重視のため室内は少々タイトで、後席は広いと言いがたいところではあります。

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◆決め手は、どこに!?


発売されてから2010年発売のジュークと、好調な販売実績が続くのヴェゼル。この2台は同じ小型SUVですが、実際には性格付けはちょっと違うかもしれません。それは、パーソナル感がより強いのがジューク、ファミリーカーとしても使用出来るオールマイティ感があるのがヴェゼル、というイメージです。大胆で個性的なジュークか、おとなしめのヴェゼルかという内外装のデザインも、買うときの大きな選定ポイントになるでしょう。同じようにスニーカー感覚で乗れる2台ですが、ジュークはどちらかといえばちょっと派手なカラーのスポーティなもの、ヴェゼルはどんなシーンでも問題ないベーシックなカラーのベーシック

◆迷える子羊よ、迷いは消えただろうか


ということで、迷っているアナタ、いかがでしたでしょうか。気になったらぜひ現車に乗り、触れ、いろいろ感じてみてくださいね。
くるま選びは楽しくもあり、そして悩むもの。これからもいろいろな視点でのクルマ選びをこのコーナーで提案出来たら、と思います。


【イラスト/文 遠藤イヅル】
フリーのカーイラストレーター/ライター。東京都出身。自動車雑誌、WEBサイトにクルマをテーマにしたイラストや記事を多数提供。世界各国の生活感があるクルマを好み、20年間で18台のクルマを乗り継ぐ。クレイジーなほど深くて混沌としたクルマ知識を持つ元自動車系デザイナー。自身のクルマ体験をもと、独創的な視点で切り込むイラストやインプレッション記事は、他にないユニークなテイストとして定評がある。2015年7月現在の愛車はプジョー309SI。最新の掲載誌は遠藤イヅルのfacebookで確認!

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