カワイイ2代目ビートルから、精悍な男前になった3代目ザ・ビートル

フォルクスワーゲンは、歴史的なモデルであるザ・ビートルをマイナーチェンジし発売を開始した。

‖ザ・ビートルは、ビートルシリーズ3代目のモデル。

このザ・ビートルは2012年に登場した。ビートルは、フォルクスワーゲンにとって、歴史あるモデルだ。その原点が初代ビートル。フォルクスワーゲンの原点といえるモデルで、1938年から 2003年の生産終了まで 66年間にわたり世界中で2,150万台以上が販売された。カブト虫というニックネームで、世界中で愛された。今でも初代ビートルの愛好家は非常に多い。その初代ビートルを現代流にアレンジして登場したのがニュー・ビートル。2代目となるニュー・ビートルは1999年にデビュー。あのビートルが復活! と、世界中で話題になった。

フォルクスワーゲン ザ・ビートル2代目のニュー・ビートルもロングセラーモデルになった。
そして、3代目のザ・ビートルとして、約13年ぶりにフルモデルチェンジされ登場した。ボディサイズは、やや拡大された。なんと、ザ・ビートルのボディサイズは4,270×1,815×1,495mmとなり、全幅は1,800mmを超えてしまった。全幅が広くなり、全高が5mmほど低くなったことで、ニュー・ビートルはよりワイド&ローなスタイルを強調した。ザ・ビートルは愛らしいデザインで、どちらかというと女性的なクルマだったが、ザ・ビートルは筋肉を思わせる力強い面の張りをもち、男らしい精悍さをもったモデルになった。

ザ・ビートルには、1.2LTSIエンジンを搭載し105PS&175Nmを発揮。ミッションは、ツインクラッチの7速DSGが組み合わされていた。当時の燃費値は17.6km/Lとなった。

‖エンジンやミッションの進化は見送られ、デザイン変更と安全装備が追加された

フォルクスワーゲンザ・ビートルザ・ビートルは、デビューから約4年で、初のマイナーチェンジが行われた。このマイナーチェンジで、グレード構成、グレード名がやや変更され「The Beetle Base」、「The Beetle Design」、「The Beetle 2.0 R-Line」(旧グレード名:Turbo)の3グレード構成となった。

【外装、内装ともリニューアル】


外観デザインは、フロントとリヤのバンパーが新しくなった。水平基調のアンダーグリルから、台形のアンダーグリルになり、よりドッシリした安定感をアピール。全般的にスポーティな印象となった。

インテリアも新デザインとなっている。デザイン変更といっても、基本的に色味が中心。「The Beetle Design」では、ダッシュパッド、ドアトリム、ステアリングトリムをエクステリアカラーと同色にした。さらに、ブラックないしはベージュの専用格子調ファブリックシートやオプション装備のレザーシートと組み合わせることで、最大32通りのカラーコンビネーションが用意された。こうした個性派モデルは、どれだけ顧客の好みに近付けることができるかというのもひとつのテーマ。最大32通りのカラーコンビネーションで、より自分好みのザ・ビートルに仕上げることができる。

【疲労探知システムが標準装備化】


装備面では、ドライバー疲労検知システム“Fatigue Detection System”を全車に標準装備。また、“ブラインドスポットディテクション(後方死角検知機能)”や“リヤトラフィックアラート(後退時警告・衝突軽減ブレーキ機能)”を上級グレードの「The Beetle 2.0 R-Line」に標準装備、「The Beetle Base / Design」にオプション装備とした。

フォルクスワーゲン ザ・ビートルしかし、自動ブレーキ関連の安全装備の装着は見送られている。これは、ザ・ビートルが世代の古いプラットフォームを使っていることもあり、電子系パーツの適合に多大なコストがかかるなどが理由のひとつ。しかし、より高い安全性能が求められる時代。最新の歩行者検知式自動ブレーキではなく、せめて30㎞/h以下の低速域自動ブレーキくらいは装備してほしいところだ。また、自動ブレーキが無いのなら、せめて“ブラインドスポットディテクション(後方死角検知機能)”や“リヤトラフィックアラート(後退時警告・衝突軽減ブレーキ機能)”など、日常で使う頻度の高い安全装備は全車に標準装備化してほしい。こうした安全装備がないこともあり、クルーズコントロールはあるものの前走車全車速追従式ではないのも残念なポイント。

スマートフォンなどを使ったコネクティビティでは、フォルクスワーゲンが提供するオンラインサービス“Car-Net”の一つであ
る“App-Connect”を搭載した Volkswagen 純正インフォテイメントシステム“Composition Media”を全車標準装備。この機能は、スマートフォンと接続するだけで、“MirrorLink”、“CarPlay”、“Andorid Autoなど、3つの異なる通信プロトコルを使用することができる。

さらに、オプション装備の純正ナビゲーションシステムも従来の”714SDCW“に代わり、機能を大幅に向上させた最新の”716SDCW“に変更。従来の高い利便性に加え、より精度の高い位置情報や交通情報の受信ができ、素早く、スムーズに操作できるようになった。スマートフォンとの連携は、かなり高いレベルとなっていて、車内での利便性はマイナーチェンジ前のモデルと比べると非常に高いレベルに進化した。

【残念なのは、スペックに進化がないこと】


今回のマイナーチェンジでは、エンジンとミッションに進化はみられない。1.2Lエンジンに7速DSGの組み合わせのままだ。出力は105ps&175Nmで、燃費は17.6㎞/Lとこちらも変更なし。2.0Lターボは、211ps&280Nmで6速DSG。燃費は13.4㎞/Lと、ターボ車も従来通り。マジメに改良を加えていくフォルクスワーゲンらしくないマイナーチェンジ。ザ・ビートルは、ハード面の世代が古いので、改良を加えていかないとスペック的にもやや古さを感じてしまう。

ザ・ビートル、選ぶならどのモデルが価値あり?

もっともスペックの良さが発揮され、割安感があるのはどのモデルだろうか。
フォルクスワーゲン ザ・ビートルフォルクスワーゲン ザ・ビートル ベースの価格は2,349,000円。マイナーチェンジ前の価格が2,340,000円なので、9,000円の価格アップ。ザ・ビートル デザインの価格は2,699,000円で、59,000円のアップ。ザ・ビートル2.0 R-Lineの価格は3,459,000円で69,000円のアップとなった。安全装備の向上やコネクティビティの進化などを考えると、納得できる価格アップ。

‖意外!お勧めは、スポーツグレードのR-Line!!

ザ・ビートルのグレード選びは、まずベースグレードを選択肢から外すことから始まる。このベースは、基本的に価格訴求モデル。装備もかなり簡素化されていて、オートライトさえも装備されていない。さすがに、輸入車でこの価格帯のクルマを選ぶのであれば、一定水準以上の装備が欲しいところだ。そうした装備面を加味して考えると、真ん中のグレードであるDesignがベストという選択になる。

ただ、このDesignも微妙。色々とオプションがある。安全面でぜひとも選びたいブラインドスポットディテクション(後方死角検知機能)やリヤトラフィックアラート(後退時警告・衝突軽減ブレーキ機能)、バイキセノンヘッドライトに便利機能であるパドルシフト、シートヒーターなどを選んでいくと、かなり高額なクルマになる。こうしたオプションを選択し、ナビまで装備すると300万円コースとなる。ザ・ビートルは安いクルマではない。

一番高額なR-Lineと比べてみる。このグレードになると、オプションで選ぶものがナビくらい。価格は365万円程度。そうなると、同様の装備に近いデザインとの価格差は、やや縮まる。価格差が縮まった上に、デザインには装備されていないパークディスタンスコントロール(フロント/リヤ)、インテリアアンビエントライト、3連メーター(油温計、ストップウォッチ、ブースト計)、タイヤ空気圧警告灯、 R-Line専用リヤスポイラーなど、電子制御式ディファレンシャルロック“XDS”、レッドブレーキキャリパー、18インチホイールなどがプラス装備されているのだ。 R-Lineは、さらに2.0Lターボで211ps&280Nm&6速DSGの組み合わせで、速さは抜群。燃費は13.4㎞/Lともうひとつ。デザインと比べると、さらに個性が際立った分も含め、お買い得感がある。予算に余裕があるのなら、 R-Lineをお勧めしておきたい。

フォルクスワーゲン ザ・ビートルの価格

・The Beetle Base 2,349,000円
・The Beetle Design  2,699,000円
・The Beetle 2.0 R-Line 3,459,000円