ホンダは、コンパクトSUVのヴェゼルを一部改良し、同時にスポーティ仕様のヴェゼルRSを新設定して発売を開始した。

この記事の目次 CONTENTS
国内ナンバーワンSUVのホンダ ヴェゼルってどんな車?
安全装備が弱点だったこれまでのヴェゼル
スポーティグレードのヴェゼルRSが登場
ヴェゼルを選ぶなら、RSをおすすめする理由
ホンダ ヴェゼル・ヴェゼルRSの仕様と装備
ヴェゼルRSの価格

ライター紹介

221616 編集部

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国内ナンバーワンSUVのホンダ ヴェゼルってどんな車?

2013年12月に発売されたコンパクトSUV。基本部分をフィットと共用するSUVだ。そのため、フィット ハイブリッドがリコールを繰り返した際、ヴェゼルもリコールを受けた経緯がある。デビュー当時、このクラスのコンパクトSUVは日産ジュークしかなかった。欧州でも高い人気を誇ったジュークは、あっという間に人気モデルとなる。ただし、ジュークは、ガソリン車でFFがメイン。SUVのスタイルをしながら、4WDは高価なターボモデルだけしか設定されていなかった。
それに対して、ヴェゼルは本格的なハイブリッドを搭載し、ガソリンとハイブリッド共に4WDも用意された。降雪地域の顧客に高い低燃費性能とエコカー減税というメリットを与え、ジュークを超えるヒットモデルとなる。その結果、2014年、2015年SUV年間販売台数ナンバー1となり、2015年は、約7.1万台を販売した。

ガソリン車の燃費も良好

売れ筋のヴェゼル ハイブリッドの燃費は、上級グレードのハイブリッドZが23.4㎞/L(FF)、21.6㎞/L(4WD)となっている。対して、1.5Lガソリン車の上級グレードXが20.6㎞/L(FF)、19.0㎞/L(4WD)と、ガソリン車の燃費もなかなか良好。ハイブリッド車との燃費差が少なく、あえてガソリン車を選択するというのもおすすめだ。

ヴェゼルの登場後、マツダがクリーンディーゼルを搭載したCX-3を投入する。CX-3もヒットモデルとなるが、ヴェゼルを脅かすまでに至っていない。それは、CX-3の価格がやや高いということや、荷室の容量、室内空間の広さでヴェゼルが上回っていることなども影響している。CX-3もデミオをベースとしたコンパクトSUVだが、ヴェゼルのようにホイールベースを伸ばすなどサイズを大きくしなかったことがマイナスと要因になっているようだ。

安全装備が弱点だったこれまでのヴェゼル

ただ、ヴェゼルも完璧とはいえなかった。とくに、先進安全装備である自動ブレーキ関連の装備が物足りなかった。すでに、30㎞/h以下の低速域自動ブレーキはあったものの、もはや軽自動車の方が車線逸脱警報や歩行者検知式自動ブレーキなどが用意されており、高額なヴェゼルの方が遅れている状況。

CX-3は、歩行者検知式自動ブレーキは無いものの、ミリ波レーダーを使いより高い速度から減速できる自動ブレーキを装備。ジュークは、歩行者検知式自動ブレーキを標準装備化した。ハイブリッドで上級グレードなら、250万円を超えるようなヴェゼルが、低速域だけの自動ブレーキでは戦闘力不足となる。

ついにホンダセンシングを標準装備化

こうした状況を打開するために、ヴェゼルは早くも一部改良を行い最新の安全装備である「ホンダ センシング」をほぼ標準装備化した。ホンダセンシングは、ミリ波レーダーと単眼カメラの組み合わせたもの。これにより、歩行者検知式の自動ブレーキとなり、車線維持支援や車線逸脱警報、誤発進抑制、アダプティブクルーズコントロール(ACC)など多彩な機能も得た。

高い安全装備でライバルに差をつけたヴェゼル

ライバルとなるジュークにはACCが無く、CX-3は歩行者検知式自動ブレーキはないが、ヴェゼルは両方を満たした格好だ。さらに、ヴェゼルは一部グレードを除きサイドエアバッグ&カーテンエアバッグが標準装備化されているのも高評価ポイント。このクラスのコンパクトSUVでは、高級車にも負けない高い安全装備をもつコンパクトSUVへと進化した。

スポーティグレードのヴェゼルRSが登場

また、ホンダセンシングの追加以外に、ヴェゼルには新たにスポーティグレードであるRSが加わった。ジュークには、すでにニスモがラインアップされている。このジュークニスモが高い人気を誇る。日本マーケットは、こうしたスポーティグレードの人気が高く売れ筋グレードになる。やや価格が高くても売れるので、利益も出やすいドル箱車ともいえる。

ヴェゼルを選ぶなら、RSをおすすめする理由

ヴェゼルRSは、なかなかこだわりの1台となっている。エアロパーツ類や大径ホイールを履いて終わりという単純なものではなく、標準車に対して、ボディを強化している。

カーブを曲がる際の操縦安定性とハンドル操作性が高い

この強化したボディを生かすため、走行時におけるボディのたわみや微振動を軽減するパフォーマンスダンパーをRS専用に減衰力の設定を行い、コーナリング時における操縦安定性を高めている。

さらに、新たな装備が追加された。ステアリングの操作量に応じてタイヤの切れ角が変化するVGR(可変ステアリングギアレシオ)が採用され、コーナリング時にはきびきびとしたハンドリング性能を手に入れた。

アクセル操作に対する反応が良い

また、ヴェゼルRSのガソリン車には、CVTが使われているが、このCVTもRS専用チューニングが施された。ややダイレクト感に乏しいCVTの特性をアクセル操作とCVT変速制御を高精度に協調させるホンダ独自の制御「G・Design Shift」を採用。CVTが持つ無段階変速というスムーズさを活かしながら、アクセル操作に対してダイレクトな走りが楽しめるようになった。

RSだけのスポーティな世界観をアピール

その他、エクステリアにRS専用フロントグリル、クリスタルブラック塗装を施したボディーロアガーニッシュ・ドアミラー、RS専用18インチアルミホイールを採用。インテリアには、RS専用スウェード調表皮「ウルトラスエード」を採用し、RSだけのスポーティな世界観をアピールする。このRSはガソリン、ハイブリッド共にFF車のみの設定となっている。

買い得感のある価格設定

そして、価格。ヴェゼル ハイブリッドRSの価格は277万円。上級グレードのハイブリッドZの価格との価格差は約10万円となっている。若干の装備差があるものの、RSだけにしかないVGRや専用外装パーツなどを加味すると、なかなか買い得感のある価格設定。ハイブリッド車は、価格アップ分が少ないので、より質の高い走りを求めるのであれば積極的にRSを選ぶといい。

ヴェゼルRSのガソリン車は、239万円で上級グレードのXより27万円高い。ハイブリッド車に比べると価格アップ分は大きい。しかし、プラス装備分を考えると安いとは言えないが妥当な価格アップといえる。ただ、239万円になると、ハイブリッド車もターゲットになるので、悩みどころでもある。

また、短期での乗り換えを考えているのなら、ハイブリッドRSがおすすめだ。

リセールバリューも高いと予想

スポーティグレードは、リセールバリューが高くなることが予想でき、ハイブリッドで歩行者検知式自動ブレーキも装備されているのならなおさらだ。ハイブリッド車は価格アップが10万円と少ないので、リセールバリュー差を加味すると、結果的にRSの方がお買い得になることも予想できる。

ホンダ ヴェゼル・ヴェゼルRSの仕様と装備

新型ホンダ ヴェゼル/ヴェゼルRSの詳しい情報は以下の通り。

Honda SENSING標準装備グレード※1を設定

・すべてのグレードでHonda SENSINGの選択が可能

走る楽しさを追求したRSを設定

・走行時の安定性に寄与するパフォーマンスダンパー※2、可変ステアリングギアレシオ※3を採用
・Honda独自のCVT制御「G・Design Shift」を専用設定(ガソリン車のみ)
・エクステリアにRS専用フロントグリル、クリスタルブラック塗装を施したボディーロアガーニッシュ・ドアミラー、RS専用18インチアルミホイールを採用
・インテリアには、RS専用スウェード調表皮「ウルトラスエード」※4を採用

HYBRID Z

・乗り心地の向上に寄与するパフォーマンスダンパー※2を採用
・運転席8ウェイパワーシート+助手席4ウェイパワーシート※5を追加
・本革シート※5にアイボリーのソフトパッドを採用
・4WDモデルを追加

快適装備の充実

・ドアの施錠・解錠に連動してドアミラーが自動で開閉する「オートリトラミラー」を全タイプに標準装備
・ナビ装着用スペシャルパッケージ+ETC車載器を標準装備※6
・左右独立温度コントロール式エアコンの採用をHYBRID全グレードに適用

乗り心地、質感の向上

・4WDのリアサスペンションにも「振幅感応型ダンパー」を標準装備し、乗り心地を向上(全グレードのフロント、リアに適用)

ボディーカラーの追加

・プレミアムクリスタルレッド・メタリック、シナモンブロンズ・メタリック、ルナシルバー・メタリック※7を新たに設定
※1HYBRID X・Honda SENSING、HYBRID Z・Honda SENSING、HYBRID RS・Honda SENSING、X・Honda SENSING、RS・Honda SENSINGに標準設定
※2HYBRID RS・Honda SENSING、HYBRID Z・Honda SENSING、RS・Honda SENSINGに設定
※3HYBRID RS・Honda SENSING、RS・Honda SENSINGに設定
※4ウルトラスエードは、東レ株式会社の登録商標です。シート、インストルメントパネル、センターアームレストなどに採用
※5メーカーオプション設定、パワーシートは運転席はスライド/リクライニング/ハイト前・後、メモリー機能付、助手席はスライド・リクライニング付
※6HYBRID X・Honda SENSING、HYBRID Z・Honda SENSING、HYBRID RS・Honda SENSINGに標準設定
※7シナモンブロンズ・メタリック、ルナシルバー・メタリックはHYBRID RS・Honda SENSING、RS・Honda SENSING以外のグレードに設定

ヴェゼルRSの価格

ホンダ ヴェゼルRSの価格は以下の通り。

・ヴェゼルRS ホンダセンシング FF 2,390,000円
・ヴェゼル ハイブリッドRS ホンダセンシング FF 2,770,000円