世界トップレベルの低燃費40.8㎞/Lを達成した新型トヨタ プリウス。
走行性能にも磨きをかけた4代目プリウスの実力を試乗評価した。
- 世界トップレベルの熱効率と低燃費を実現
- TNGAと呼ばれる新開発手法により、走行性能が大幅に向上
- プリウスに初めて電気式4WDのE-FOURが搭載
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新型プリウスはTNGAと呼ぶ新しい開発手法に基づいて作られた。これは部品の共通化などコストダウンにつながる要素も持つが、それ以上に低重心で高剛性のボディを作ることにつながるもので、結果として走りの性能に優れたクルマに仕上げている。
プリウスなので環境性能については、ブッチギリの性能を備えていて、最も燃費の良い仕様のEでは、世界トップレベルの40.8km/Lという低燃費を達成している。ほかのグレードでも37.2km/Lだから、十分に優れた燃費性能である。
装備に関しては、人を見分ける最新のトヨタセーフティセンスP(TSS-P)採用するほか、Tコネクトも装備するなど、最新の仕様を備えている。プリウスとして初めて電気式4WDのE-FOURを採用した点も見逃せない。降雪地域の人も、このプリウスの低燃費性能を享受することができるようになった。
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コンセプトは、キープコンセプトだ。エンジンと電気モーターを組み合わせ、それを自在に制御することで高い燃費性能を得るというハイブリッドシステムを世界で初めて実用化したのがプリウスであり、それをしっかり継承して低燃費で環境負荷の少ないクルマにしている。
エクステリアデザインも同様にキープコンセプトと考えていい。特に横から見たときにルーフの中央付近に頂点を持ち、前後に傾斜するトライアングルシルエットを持つのはこれまでのプリウスと同様である。
同時に、クルマの前後のデザインにはかなりの変更感がある。ヘッドランプやテールランプ回りのデザインを新しくしてシャープなイメージを強めたことが斬新な印象を与えるほか、全体として燃料電池車のミライを連想させるようなデザインとしている。
- インテリアデザインに関しては、若干後退したような印象も受ける。従来のプリウスが傾斜したセンターコンソールを持つなど、インパネからコンソールにつながる部分に大きな特徴を持っており斬新だったが、それに比べると新型は普通のクルマに近い印象を与えるようになった。
センター部分にワイドなメーターパネルを持つのは従来のモデルと同じながら、カラー表示の大きめで見やすい液晶パネルが視認性を向上させている。
運転席の着座位置が約60mmも低くなったのが、今回のプリウスの特徴である。低い着座位置の運転姿勢は重心高を下げることにつながるほか、自然で運転のしやすい運転姿勢を作ることにつながるとの考えからだ。ただ、そのために乗降性がやや悪化したほか、ルーフラインの低下によって後席のヘッドクリアランスもやや窮屈な印象を与えている。
- ハイブリッドの基本メカニズムはTHS-Ⅱで変わらない。ただ、その中身は全面変更といえるくらいに新しくなった。特にシステムの軽量・小型化を進めたのが特徴で、これによって効率を高めて燃費を良くしている。
電池については、これまでのニッケル水素電池に加え、新たにリチウムイオン電池も採用し、グレードによって使い分けている。どちらの電池も同じ性能が得られるような設計である。
搭載エンジンも2ZR-FXE型で変わらない。これはエンジンブロックが基本的に共通で、ボアピッチも変わらないからだ。ただ、これもさまざまな改良が加えられ、大量EGRや4-2-1排気などの最新の技術を盛り込むことで、最大熱効率40%という画期的な数値を達成している。
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お勧めグレードはちょっと難しい。長期的にはSが売れることになると思うが、発売直後の今の段階ではAのほうが良く売れていて、こちらのほうをお勧めしたい。
また、AにはAプレミアムという豪華装備のグレードがあるほか、SとA、Aプレミアムには、それぞれツーリングセレクションという走りのフィールを良くした仕様の設定もある。
このツーリングセレクションはタイヤが15インチから17インチに変わり、ダンパーなど足回りのチューンが変更されるため、引き締まった走りが得られるのでお勧めだが、最小回転半径が大きくなって価格が高くなるなどのデメリットもある。
自分で買うとしたら安全装備のTSS-Pが標準されているAツーリングセレクションを選ぶが、グレード選択は個々のユーザーの判断だろう。走り志向ならSツーリングセレクションに安全装備をオプション装着すれば良いし、また走りにそれほどこだわらないならツーリングセレクションではないAやSで良い。
新型プリウス ギャラリー
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自動車評論家
松下 宏(まつした ひろし)中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。
誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員としても、その信念は変わらない。
そのため、大本命といわれている車種さえ外してでも自らの信念を貫き通す熱いハートをもつ。
プリウスのカタログ情報
- 現行モデル
- 令和5年1月(2023年1月)〜現在
- 新車時価格
- 275.0万円〜460.0万円
プリウスの在庫が現在561件あります
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