<370馬力、0-100㎞/h加速、わずか4.3秒という驚異の瞬発力。それでいて、価格は770万円とお買い得?>

BMWM2クーペBMWは、コンパクトクーペの2シリーズクーペをベースにしたハイパフォーマンスモデルであるM2クーペの発売を開始した。

BMWの偶数シリーズは元々、1・3・5から派生したクーペ系ライン

BMWはシリーズの偶数番号をクーペ系に位置付けていた。2シリーズもクーペとカブリオレがある。しかし、最近では少々複雑になってきたのだ。なんと、MPVでありFFのアクティブツアラーとグランツアラーが2シリーズに仲間入り。もはや、2シリーズはなんでもあり状態。そんな中、今回2シリーズクーペにハイパフォーマンスモデルのMクーペが加わった。

M2クーペ、こだわりを追求した高スペックを実装

このM2クーペは、もはや只者ではない雰囲気がスペックからでもヒシヒシと伝わってくる。2シリーズクーペで、最もM2クーペに近いスペックをもつM235iのボディサイズは、全長4,470x全幅1,775x全高1,410㎜。このボディサイズに対して、M2クーペは全長4,475x全幅1,855x全高1,410㎜となっている。全長が+5mm、全高は0㎜とほぼ同等。しかし、全幅はなんと+80mm拡大されているのだ! ワイドになったボディは、足回りの変更により、前1,580/後1,600㎜とワイドトレッド化された。ホイールのサイズもそれに合わせF:245/35R19、R265/35R19という大径ホイールを履く。

‖サスペンションが軽量化

BMWM2クーペサスペンション関連は、2シリーズクーペとは別物となった。M4クーペと共通のアルミニウム製フロント/リヤ・アクスルを採用。ダブルジョイントスプリングストラット式フロントサスペンションには、コントロールアームやホイールキャリア、アクスルキャリアなどに軽量アルミニウムを採用し、スチール製に比べ約5kgの軽量化。5リンク式リヤサスペンションは、コントロールアームとホイール・キャリア全てを鍛造アルミニウム製とし、スチール製に比べ約3kgの軽量化を実現している。ワイドトレッド化や軽量な足回りと、旋回性能やトラクション性能を大幅に向上した。

‖力強い走りを実現する3.0Lターボエンジン

強靭な足回りを得たM2クーペのパワーユニットは、3.0L直6ツインターボで最高出力272kW(370ps)を6,500rpmで発揮する。最大トルク465Nm(47.4kg-m)は1,400rpmの低回転から5,560rpmまでの広い回転域で発生。さらに、オーバーブースト機能もあり、一時的に500N(51.0kgm)まで最大トルクが引き上げられる。N55B30A型とM235iと同じエンジン型式ながら、こちらも出力やトルク特性が全く異なる別物といえるものだ。

他のMモデルにも搭載されているこの3.0Lターボエンジンの特徴は、まるで自然吸気エンジンのように高回転まで吹き上がる点だ。よどみなく回るフィーリングは、自然吸気の大排気量エンジンに近く、ターボエンジンながらレスポンスにも優れている。まさに、Mモデルのためのエンジンと言える。

‖サーキット走行にも適応

Mモデル用のパワーユニットなので、サーキット走行に耐えられるように冷却系なども強化された。オイルサンプカバーとサクションオイルポンプ、エンジン冷却ラジエターとトランスミッション・オイル・クーラーを追加採用している。ミッションは、7速M DCTが組み合わされている。

BMWM2クーペM2クーペは、FRの2輪駆動。370psもの大パワーを効率よく後輪で受け止められるようにアクティブMディファレンシャルが用意された。車速やアクセル開度、ホイールの回転速度、ヨーレートなどの車両情報から、介入が必要となる運転状況を前もって察知し、電子制御式多板クラッチによりリヤの左右ホイール間のロッキングファクターを0-100%まで自在に調整する。この機能により、2輪駆動ながら、強烈なトラクション性能をもつ。

こうした多くのM専用パーツで構成されたBMW M2クーペの0-100km/h加速は、わずか4.3秒。これは、431psとパワーに勝るM4クーペと比べてもわずかに遅い程度。M2クーペの走行性能が、いかに刺激的なのかよく分かる数値だ。

もちろん、Mモデルなのでブレーキ関連も強化されている。Mコンパウンド・ブレーキ・システムが装備され高い制動力と対フェード性を実現。ダークブルーのメタリック塗装が施されたブレーキキャリパー(フロント: 対向4ピストン、Mロゴ付き。 リヤ: 対向2ピストン)に、鋳鉄製ドリルドブレーキディスク(フロント:直径380mm。リヤ:直径370mm)とアルミニウム製ブレーキ・ディスク・ハブが組み合わせられた。サスペンションだけでなく、ブレーキ関連も、他の2シリーズとはまったく違う。

内装にはスポーツシート

インテリアは、基本的なデザインは2シリーズと同じ。シートは、コーナリング時の高Gでもシッカリとドライバーの体を支えてくれる電動調節機能付サイド・サポートを備えたスポーツシート(運転席&助手席)が装備されている。表皮は、ブルーのステッチが施され、バックレストにはMロゴがエンボス加工されたブラックのダコタレザーシートとなっている。内装部分では、専用カーボンファイバートリム、アルカンタラのドアパネルなど、スポーティさとエクスクルーシブさを両立した室内空間としている。

安全装備面は高評価!

スポーツモデルだからといって、安全装備などに関して手を抜いていない点も高く評価できる。自動ブレーキ関連の安全装備ドライビングアシストを標準装備。ドライビングアシストは、車線逸脱警報や前車接近警告機能、歩行者検知式自動ブレーキなどを備えている。もはや、歩行者検知式自動ブレーキが標準装備されていないと、EURO NCAPなどで高評価されない流れになりつつある。世界的に、そうした意識が高まっている。そうした装備を積極的に標準装備化したBMWは、さすがプレミアムブランドとしての誇りを感じる。自らプレミアムブランドと言いながら、こうした安全装備が遅れているメーカーはBMWを見習うべきでもある。とくに、日本メーカーの一部は歩行者検知式自動ブレーキの装備が遅れている。

結論、オススメ!Mモデルの中では抜群に高コスパ

そして、注目したいのは価格。M2クーペの価格は770万円。M4クーペの価格が1,126万円。その差は、なんと356万円! パワーこそ控えめながら、加速力はほぼ同等レベル。足回りはM4クーペと、ほぼ同等。ややボディサイズは小さいものの、走行性能は同じレベルであると予想。こうなると、M2クーペのコストパフォーマンスは、非常に優れていると評価できる。Mモデルのエントリーモデルとして注目の1台になることは確実だ。

■BMW M2クーペ価格:7,700,000円


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