スズキは、軽自動車である「アルト」をフルモデルチェンジし発売を開始した。アルトは、このフルモデルチェンジで8代目。スズキでも歴史あるモデルのひとつだ。

この記事の目次 CONTENTS
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スズキアルトの誕生
デザイン一新で「可愛い」から、「カッコいい」へ変更
ミライースを超える軽量化技術と燃費性能
簡素化だった装備も標準装備
スズキ アルトの選び方
スズキ アルト価格

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

スズキアルトの誕生

初代アルトは、1979年に登場した。当時、オイルショックなどもあり不安定な経済状態ながら、アルトは47万円という低価格で登場。装備類は簡素化されたが、価格志向の顧客に支持され大ヒットする。セカンドカーや、地方での生活の足など、軽自動車としての価値を高め新たなマーケットを創出したモデルだ。

■ ベーシックな軽自動車を追い求め、失いかける存在感

しかし、その後1993年にスズキはワゴンRを発売。この頃から、軽自動車はスペース重視へと舵を切る。その後、さらに全高を高めたスーパーハイト系のスペーシアなどが登場し、大ヒットした結果、アルトのようなベーシックな軽自動車は存在感を失いかけている。

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デザイン一新で「可愛い」から、「カッコいい」へ変更

そうした流れを受け、8代目となったアルトは、デザインを一新。女性的で丸みのあるデザインから、シャープなエッジの効いたスポーティなものへと変更。なんともユニークで、思わず笑顔になってしまうデザインだ。愛着がわくデザインとも言える。

インテリアは、シンプルなデザインとなった。横基調のインパネなどがワイド感を演出し、ライトブルーのシートなど明るい色を使っていることもあり、広がりのある明るい空間が作り出されている。

■ 新型アルトに新開発のプラットフォームを採用

ベーシックな軽自動車とはいえ、単に安いだけでは売れない時代だ。価格が安い上で、燃費もよく品質も高くなければ売れない。そこで、スズキは最新のテクノロジーを投入。新型アルトには、新開発のプラットフォームを採用。プラットフォームは、軽さと強さを持ちながら、コストも下げなくてはならない。そのため、プラットフォームを滑らかな形状にすることで補強部品を減らし、さらに板厚を薄くするとともに骨格部を連続化した。こうしたことで、より少ない部品で十分なボディー剛性を確保している。

ミライースを超える軽量化技術と燃費性能

軽量化を燃費に貢献するだけでなく、部品点数を減らし低コスト化も同時に進められた。ボディ、エンジン、足回り、シートに至るまで軽量化を徹底し、従来モデル比で60kgの軽量化を達成。ボディの46%(重量比)に高張力鋼板を採用し、軽量化と剛性を確保している。この軽量化技術により、最軽量モデルで610㎏という車重を達成している。新型アルトの上級グレード「X」の車重と先代のアルトエコSを比べると、新型アルトは60㎏も軽い。ライバルのダイハツ ミライース比では80㎏も軽い。スズキの軽量化技術は、かなり高いレベルにあると言っていいだろう。

■ 新設計し軽量化、コンパクト化も実現

こうした軽量化と合わせ、搭載されているR06A型エンジンも大幅に改良が施された。圧縮比の向上やEGRシステム採用(F 5MT車、VPを除く)に加え、吸気、排気系を新設計し、低中速の動力性能を高めた上で、燃費性能を大きく向上。エキゾーストマニホールド一体型シリンダーヘッドの採用や触媒ケースを簡素化するなど、軽量化、コンパクト化も実現している。出力はアルトエコと同じ52ps&63Nmと同じだが、最高出力の発生回転数が500回転ほど上がり6,500回転となっている。

その結果、燃費はガソリン車ナンバー1となる37.0㎞/L! ミライースの燃費が35.2㎞/L、エンジンスペックが49ps&57Nmなので、新型アルトは、ほとんどのスペックでミライースを上回った。車重も軽いことから、新型アルトの方が軽くて速く、その上燃費が良いということが予想できる。

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また、新型アルトはベーシックな軽自動車という立ち位置のため、価格も安くなくてはならないという宿命がある。そのため、最も安価なグレードであるFの5MT車は847,800円で、燃費は27.2㎞/Lとエコカー減税は免税対象としている。評価したいのは、自動変速機能付きの5MTである5AGSが用意され、価格は5MTと同じとしながら、燃費は29.6㎞/Lと向上している点。

■ さらに居住性も向上、小さいスペースを最大限広く使う

燃費や走行性能だけでなく、居住性も向上。新プラットフォームの採用により、2,460mmのロングホイールベースを実現し、クラストップの室内長2,040mmと前後乗員間距離900mmを実現。小さいスペースを最大限広く使うという軽自動車ならではのテクノロジーともいえる。

簡素化だった装備も標準装備

安全装備類では、レーダーブレーキサポート装着車を全機種に設定。レーダーブレーキサポートは、衝突被害軽減ブレーキ、誤発進抑制機能、エマージェンシーストップシグナルとなり、スリップや横滑りを抑えるESPは乗用全車に標準装備された。

スズキ アルトの選び方

アルトの選び方だが、基本的にSかXグレードを選びたい。スズキの悪い癖だが、価格を安くしようとするとFやLグレードのようにリヤシートのヘッドレストを無くしてしまうのだ。これでは、安全装備に不安がある。ヘッドレストは、衝突や急ブレーキなどでの首への障害を軽減する役割をもつからだ。せっかく良いクルマを作っても、これではイメージが悪くなる。

そんな理由から、新型アルトはSかXグレードに限る。Sグレードにレーダーブレーキサポートを装備して価格は1,023,840円からだ。

■ アルトワークスを彷彿させる新型アルトターボRS投入

そして、注目したいのが2015年3月に久しぶりといえるターボモデル、新型アルトターボRSが投入されるという。詳細は明らかにされていないが、久しぶりのスポーツモデルになる。このモデルは、その昔、圧倒的な速さと走りの楽しさで人気を得たアルトワークスを彷彿させるモデルだ。できれば、軽自動車の出力自主規制枠から飛び出して、軽自動車のスポーツモデルとしての価値を提示してほしい。

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■ 安くて軽く、速い新型アルトターボRSに期待

このアルト ターボRSに期待したいのは価格。ダイハツとホンダが、軽のオープンスポーツモデルは200万円前後の価格。手軽に買える価格帯ではない。もっと手軽にスポーツモデルが楽しめるという意味で、安くて軽くて、速い軽自動車スポーツ新型アルトターボRSに期待したい。

スズキ アルト価格

スズキ アルトの価格は以下の通り。

・F 5MT FF 847,800円~・X CVT 4WD 1,229,040円
* レーダーブレーキサポート装着車は21,600円高。