クルマでしか行けないVol.38  太宰治も通った河口湖の名店 天下茶屋 
春になると、桜と富士山のツーショットを求めて多くの観光客が訪れる富士五湖周辺。でも、富士山にはもう一つ、似合いの花が。

文豪 太宰治の小説「富嶽百景」の中にある有名な一説、「富士山には、月見草がよく似合う」です。今回は、その舞台でもあり太宰治が執筆を行っていたという「天下茶屋」さんを訪れました。

河口湖から137号線を北上し、御坂みちを蛇行しながらのぼっていきます。幅が極端に狭い道やガードレールのない道を慎重に走ること30分。新御坂トンネルの前にポツンと建つ趣ある木造2階建ての建物が天下茶屋さんです。

歴史を感じさせる建物からは、暖かみを感じます。
昭和9年に建てられたという初代から昭和58年に開店したという現在建物も、30年という時間に味付けされた風合いが「茶屋」という2文字にぴったりです。この場所から見える富士山は、あの日、太宰治が見ていたもの、そう思うと感慨深いものがあります。

店内に漂うおでんの匂いに食欲が刺激されます。
天下茶屋さんからの眺め。
ここから見える景色は何十年経とうと変わることはありません。
2階に設けられた記念館を見た後は、太宰治も愛したという甲州の郷土料理「ほうとう」を頂くことに。富士山をぼんやりと眺めながら座敷で待つこと15分。
天下茶屋さんの2階には太宰治が使用した火鉢と机が置かれています
「斜陽」「富嶽百景」など貴重な初版本も展示されています。
やわなか日差しが差し込むお座敷。
ここから富士山を眺め食事を楽しむことができます。
目の前には湯気が立ち上る大きな鉄鍋。一人で食べきるかなと少し不安になりながら、ほうとうならではの太麺へ箸を伸ばします。歯ごたえがもちもちで、麺というよりまるで麺のカタチをした団子のようです。野菜と麺を交互に味わい、時折煮汁といったローテーションが自然と生まれ、気が付けば筆者の心配もむなしく、大振りの鉄鍋の中身は空っぽに。

「きのこほうとう鍋」は地元の野菜を使った人気の一品。
デザートがわりにじゃがいもを揚げたいもだんごを注文。こちらも文句なしのうまさ。バターの甘みと、外はカリッ、中はふんわりとしたじゃがいものバランスが絶妙。あっさりと完食でした。

ジャガイモを揚げた「いもだんご」。
染み込むバターがジャガイモの甘さを引き出します。
「ここから見える絶景と、古くから伝わる郷土料理を楽しんでくれればそれで満足です。春、夏、秋、冬、四季おりおりの風景を楽しめるのでお気に入りの季節を見つけることもたのしんでもらえればうれしいですね。ちなみに私は、赤く染まる紅葉が美しい秋の富士山が一番好きですね」
と武蔵さんは楽しみ方を教えてくれました。

「気軽に立ち寄ってください」と、左から武蔵さん、早川さん、小佐野さん
<アクセス>
天下茶屋
住所:山梨県南都留郡富士河口湖町大石2585-85
TEL : 0555-76-6659
OPEN:9:00~日没まで
定休日:なし
HP: http://www.tenkachaya.jp/